2011年9月24日土曜日

僕は年老いて指揮棒を振る

僕は年老いて指揮棒を振る

それに合わせて
楽器を奏でる楽団は見当たらない
もちろん歌を唄う歌手もいない

僕はいつかみた映画の
ワンシーンのように
森の中で指揮棒を振る
たまに
鳥や獣が興味ぶかげにみているが
直ぐに
何処かにいなくなってしまう

だから
だいたいはひとりで
指揮棒を振っている

だか彼には
楽団とピアニストが
彼の動きや表情を注意ぶかく観ているのが見えるので
彼は
気を緩めることなない

彼の唇には
いくつかの国の言葉が
かわるがわるたち現れるが
すぐにどこかに消えてく

隠れていたものたちが
彼の指揮によって
たまに姿を見せたり見せようとしたが
彼はその気配を感じ
それを織り込んで
さらに先を指揮した

すると突然
ひとりの美少女が
砂浜の道を駆けていったかと思うと
また戻ってきて
親しげに彼の顔を覗き込んだ
彼は狼狽したのを悟られないように
海のほうを向いて
意味のないセリフを吐いた

美少女は屈託なく笑ったが
それができたのは
深い悲しみと向きあい
それを押しやる術を学んだからだった

僕はそれにやっと気づいた時
彼女の姿はその国になかった

波音が森の上空を回り
何処からか銃声が聞こえてくる
彼ももうここにはいない

僕は
いくつかの国の言葉を
詩のリフレインのように発して
携帯の電源を切り
森に還すため
土に沈めた

2011年9月23日金曜日

何のために


という字に
おいしそうな食べ物は
ついていない

釣針と違い
先にギザギザもない

何のためにあるのだろう

2011年9月22日木曜日

途轍もなく不思議なもののために

途轍もなく不思議
不思議に思うのは何処か
自分を何から引き受けたのか
流れているだけなのか
流れてさえいないのか

自分を放(ほう)っている時は
何が引き受けているのか
引き受けていないのか
放っているだけなのか

何が必要なのか
思考する必要があるのか
あるなら何処にあるのか
必要なものは必然か
必然は語っているのか
疑問を受け付けないのか
疑問さえ内在するのか
包み込むのか

自分は自分に必要なのか
必要は自分を探すのか

金髪の男が黄色いボールを投げ
それをもう一人の茶髪の男が
杓文字のような板で打ち返した
ボールはベンチの方向に転がり
さっきまで本を読んでいた
黒い髪の女が拾い上げて
茶髪の男に投げた
笑顔と一緒に
何か言葉を発した
男も言葉を発した

世界とは自分を中心に広がる時間と空間なのか
中心は別の所にあるのか
ないのか
中心が無数にあるのか
無数にあったのか
一つもなかったのか

黄色いボールから
女が遠ざかり
茶髪の男が近づいた
黄色いボールから
茶髪の男が遠ざかり
金髪の男が近づいた

巨木が緑を揺らし
銅像の周りを廻った
銅像も自分の中心を軸にして回った

巨木と銅像の間を
笑い声が波となり進み
エコーが小さい波としてやってきて
干渉して渦巻いた

その渦巻いた中心は
周りを巻き混んで
激しく回った

辺りの風景は
加速度に耐えきれず
中心を拡散し
何処かに追いやる力が働いた

働きは
エネルギーを移転し
移転する時に
風を起こし
ひかりを乱反射した

乱反射の中心で
必然が笑い声に移転し
黄色いボールを追った

いま
そのボールは
自分の視界になく
ここに存在しないかのようだが
ボールは
自分に向かっているかもしれない

途轍もなく不思議だが
自分の中心が
ボールに近づいている

黒い髪の女は
二つの目を頭の前側につけ
中心のバランスを
うまく取り
向かってくるものに
迷いを与えているのだ

2011年9月21日水曜日

優しい人に

優しくしてくれる人と会いたくない日に
いままでの生き方が悔やまれて
息ができず
濁った池のほとりに立って
正面からさしてくる夕日に
立ち向かうわけでもなく
途方に暮れていることさえ
あとからあとから
悔やまれてくる

繰り返し聞いた母の声は
正義と嘘つきの話を語っていた
繰り返していた
日々はいまも
繰り返しているようだか
いままでとは違い
私を守る砦は私の中にない

ウイルスが侵入しないよう
敵が攻撃をしてこないよう
びくびくするばかりだ

優しくしてくれる人と会いたくない日に
優しい人のことを思う

優しい人が
いつまでも生きていかれますように
幸せを感じられ
愛に恵まれますように
いつまでも優しい人で
いてくれますように

私も
優しい人に
なりたい

2011年9月20日火曜日

私はあなたに会いに行くことができる

世界のどこにいても
あなたに会いに行くことができる

たとえば
明日
台風の過ぎた砂浜が見える
いつも待ち合わせがうまくいかなかった
カフェで
会うことが
できなくても

夏の日差しが輝き
夜になり
月の独壇場となる
あの
海が見える場所までいけば
あなたと
会うことができる

たとえば
二人で計画した通り
2016年の初夏に
あなたの父と母が結婚式をあげた
あの教会で
衣装に身を纏って
会うことが
できなくても

お互いのことを知るために
歩いた
素敵な街並みと店で
紅茶を飲んでサンドイッチを
笑いながら頬張っている
あなたに
会うことができる

私は
いま一人で
言葉の通じない国にいるが
あなたに
会いに
行くことができる

あなたは私の気持ちをもてあまして
やはり言葉の違う国にに旅立とうとしているが
あなたがどこにいても
ふりかえれば
私に会うことができる

インターネットが繋がれば
私は詩を書き
あなたに読ませるために
ブログにアップし
tweetする

私はあなたに
会いにいくのだ

2011年9月19日月曜日

マオはくじらの肩の上

最近
中腹に上がっていることがおおい蒼いくじらだが
友だちのくじらは
ガーデンプールと
中庭を挟んだ温室プールにいる

父と母のくじらは
この辺りには来ていない
(ロープウェイに載せようとした時に
すでに載せられない大きさだったから
諦めたようだ)

下のは施設には
くまとしかがいる

潮が引いたときに現れる道を
荷馬車で運ばれたのだ

中州のような
低く小さな島に
ひしめき合って住んでいるので
たまにくまとしかは
恋人のようになる

くまは
ヤシノキに登っていることもある

人は
どこにいるのだろう
携帯の着メロが聞こえてくるほらあなの中か
商店の向こうに霞んで見えるビルのネオンサインのあたりか

日曜日に
観光電車が駅に着いたら
だれかに
きいてみよう

色んな疑問を放ったらかしに
したままだったから
質問がうまくできるか
わからない

猫は思った
そういえば
あの国では
知り合いの猫たちはみんな
マオとよばれていた

マオね
にゃーんだろうにゃん

2011年9月18日日曜日

あなた、きみ、わたし

あなたが連絡を断ったので
あながあいてしまった

きみがとても優しくするから
きみが悪い

私は大事なものを
わたし忘れてしまったので

あなたが開けた
あなはそのまま
きみが送ってくれた
きみどりの切符は期限切れ
わたで首を締めているのか
笑うような泣き声が聞こえてくる

2011年9月17日土曜日

自分のことは

よく見ると
見えてくるものがある
よく見ることを
心がけると
世界が変わってしまう

見ることができる量は
決まっているのだろうか
よく見れば見るほど
自分のことを
わすれていく

2011年9月16日金曜日

希望の姿

古い建物の窓から乗り出して
あなたは電話しているけれど
その建物が完成したときのことを
あなたは知らない
あなたのママは
まだあなたを産んでいなかったし
あなたのパパは
まだ知らない外国の人と付き合っていた

あなたが生まれた時
その建物は
もう生まれて20年が過ぎていた

建物は
完成したときのことをよく覚えている
オーナーのオジさんが初めて建てた建物だったから
友人知人関係者たちが集まって
お酒を飲んで
それはそれは大騒ぎしたものだと
オーナーのオジさんは
希望に胸を膨らませ
翌日
なんと結婚を申し込んだのだ

多くの人たちが
ピカピカの建物をたたえた
オジさんは
新しいお嫁さんを思いながら
くる日もくる日も
建物を大事にメンテナンスした

だから
建物は大活躍して
入居者を喜ばせ
オジさんに富をもたらした

そのオジさんも
いまは
もうここに
来ることはなくなってしまった

あなたは
窓から
雲が敷き詰めれた空や街の景色を
見るともなく見て
色んな表情を作りながら
電話している
くすんだ外壁から
あなたの鮮やかな色と優しい曲線が輝き
私は目を奪われている

建物は
オジさんのことを思っているが
窓から乗り出しているあなたのことも
きっと好きだ

私は
この建物に新しい風景を見出している
どこかに芽生える私の希望を
この建物に
重ねられるから

何もかも失った私には
希望の姿が眩しいほどに
よく見えるのだ

2011年9月15日木曜日

十年前の九月十五日に書いたもの

あしたのあしたはあさって
あさってのあさってはやのあさって

あさってのきのうはあした
あしたのおとといはきのう

きのうのしあさってはあさって
あさってのおとといはきょう

あしたになったら
どうなるだろう

じゅうねんごになっても
あしたはあしたかしら

2011年9月14日水曜日

愛を続ける

庭からは見えないんだ
橋からも見えない
木々の隙間からも見えない
テニスコートの向こうにも
風が渦巻いている場所にも
見えない

想像して
耳を澄ましても
聞こえないんだ
遠くの雑踏の中にも
子供たちのはしゃぎ声や
誰かを呼ぶ声の後ろからも
聞こえてこないんだ

触れないんだ
手を伸ばしても
近づいても
向かい合わせになっても
触れられないんだ
そこにいても
目を合わせても
触れられないんだ

2011年9月13日火曜日

夜の街

きつく締めて
硬く結ぶ

サッと抱いて
少し揺らす

月の舌で
肌を濡らす

夜の街で
影と暮らす

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日本
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マレーシア
21
シンガポール
2
中国
1
イギリス
1

2011年9月12日月曜日

片思いの月

月を見上げながら歩いていたら
道に迷ってしまった
こんなときに
旅先から
愛するあなたに電話するのは
やめよう

きっとあなたも
道に迷っているに
違いないから

月からみれば
2人は一緒も同然
いつも会うカフェの
飾り物の風見鶏が
青く光って見えている

また
あそこで
一緒にすごすんだ

そのとき
私は片思いの月
悲しくて身を細らせている

2011年9月11日日曜日

いやなプレゼント

目覚まし時計の中に
蝉を隠して
あなたに贈ろう

気まぐれに
ジリジリ鳴るよ
気まぐれなあなたに
目を覚ませ の合図

2011年9月10日土曜日

これも性格

ぼくのほっぺは
ふくらんでいる気がする

こんなにふくらんでいなくても
いいのに

おまけに拳はまるい気がする
熊に近い形に見える

体もずんぐりムックリしている気がする
下手するとムッツリナントカだ

だから
自分と似ていない形にあこがれるとすると
すらっとした細身で
ほっぺはスッキリしている形
ということになる

また
オタクで小心者
見栄っ張りでワガママ
自分が大事で
イベント好き
詩人を気取りたがり
特別感をもとめる
人を驚かすのが好きで
驚かされるのは嫌いな
気がする

とすると
同じように
社交的で勇気があり
素直で親切
特別なものを求めず
見栄を張らず自然体
人を驚かせない
性格に惹かれる
ということになる

そんなことを考えていたら
自分の形や
性格をなおしたほうがいいと
思えてきた

そして
いつものように
考えるのをやめてしまう

これも性格

2011年9月9日金曜日

詩人のスーパーカー

これは
ぼくが作った電気自動車なんだ
とその詩人は言った

*これは、最終行にもってきてもいいかな

巨きな会場の床一面に
テストコースが設置されている
きょうは昼の生番組で
スーパーカーを披露することになった

サングラスを掛けた司会者が
ゲストを呼び込む
私も一足遅れて一緒にでる
サポート役だからだ

さっきまで
会場内のレストランで打合せをしていたときには
客はまだ少なく
白けたらどうしよう という感じだったのに
いつの間にか二階の上のほうまで客はが入り
心配は別の心配に変わった
盛大な拍手と歓声に
圧倒され
失敗が怖くなったのだ

スーパーカーは
ゴーカートのようなおおきさで
床は紙でできている
ボディは夏休みの宿題と同じ
牛乳パックで作ってあるが
仕上げに凝ってある
ドライバーと
後部座席にもう1人乗れるが
きょうは
車の不具合を調整する使命で
私が同乗する

コマーシャルが終わり
サングラスの司会者がスタートを盛り上げた
ついに
走り始めた
だかあろうことかすぐに
ボディがしなって
よじれて失速した

2人でよじれを直しながら
平静を装い
走り続けようと
必死になった

実況のアナウンスが盛り上げようとしているが
無理だ!

いったいどこが
スーパーカーなのだ
といった様相だ

そのとき
ドライバーが振り向いて
後ろに設置された
ちいさなワイヤレスカメラに向かって
カメラ目線で言った

これは
ぼくが作った電気自動車なんだ

2011年9月8日木曜日

雨が降り
あたり一面が濡れた

あなたの頬に
マイナスの記号をつけたら
いままで生きてきた人生が
幸せになるか
不幸になるか

もし不幸になるなら
マイナスの記号は
不幸が訪れるときまで
とっておこう

雨があがり
地上に湿った風が吹き
見渡す限りの
光る街が現れ
海と地続きになる

風に置き去りにされた私は
どんな符号を待っているのか

2011年9月7日水曜日

土ぼこりの香り

急に雨が降ってきたんだ
ちょうど道に迷っていた
静かな町なのに
前からも後ろからも
左右の道や建物の間からも
ひとが出てくるんだ
みんなそれぞれ
何か用がありそうだったり
楽しそうだったり
さびしそうだったり
何かを抱えているみたいなんだ

そういう自分だって
他人からみれば
何かを抱えているように
みえるんだろう

雨の間を風邪が吹いて
木の下の乾いていた土が
けむりをたてる

曲がり角をまがり
みたことがない静かな道に入ったとき
外人のジャージ姿の人が
声を掛けてきたけど
何をいっているかわからないので
こちらも自分でもわからない言葉で
わからないと伝えて手を振った

さびしげな道に入ったはずなのに
相変わらずひっきりなしに
ひとびとがいき過ぎる
なかには迷い顔のひともいる

さあ
部屋に帰らなくては
傘をとって
ご飯と洗濯屋に行かなくては

雨が降っている
優しい雨だ
きょうは朝から
霧っぽい空気だった

夜の向こうに何があるのかな
すれ違うひとびとは
何処に帰るのかな
食事をしおわったら
どこかのラウンジに座って
誰かの前にいてみようかな

そのとき
雨は
土ぼこりを鎮めているだろう

2011年9月6日火曜日

ずっと話していない人は

ずっと話していない人のことを
考えている
窓の向こうでは
秋の虫が鳴いている

ずっと話していない人は
どうしてか
愛おしい
どうしてか
とても身近に感じられる

ずっと話していない人は
どこでなにして
いるのだろう
まさか私のことを考えている?
まさか まさか

ずっと話していない人は
ほんとは少し前に別れた人
あれからまだ髪も切っていないだろうが
昔別れた人みたい

2011年9月5日月曜日

恋の歌

材料はこうだ

厚めに切った食パン
真四角で小麦の感じがしっかりしていて、ややしっとりしているもの
蜂蜜
ココナッツパウダー
シナモン
ザラメの砂糖
隠し味に味噌
鶏の卵
無塩バター

出来上がると
それは
とてもおいしい
ものになる

どうしておいしいのかは
教えてくれない

ただ
あなたは
笑顔と神妙な顔を繰り返しながらそれを作り上げ
食べる時はまた別人になる

器用なあなたは
周りにいろんな問題を抱えているが
平気な顔をしている

それが
一番器用なところだと
一番私が知っている

2011年9月4日日曜日

あなたと航海 はじめちゃう

あなたが騒いだので
花火大会は
ぶち壊しになった

みんなが怒って車に乗り
列をなして田舎道を走り出す
臨時に設けられたガードレールは
工事用ヘルメットを並べたものだが
異様な縁石にしか見えず
その不始末を隠そうとして担当者は
外側に体操着を広げて並べた
だがかえってますます意味が分からなくなり
目立ってしまっている

花火大会はまたやればいいし
ガードレールも必要ない
騒いだあなたは
必要な人だから
助手席で
眠っていたほうがいい

あしたはここで
マラソン大会があるのだ
ホイールが外れた車が
続出して
渋滞が激しくなってきたのを
上で天の川が見下ろしている

愛する人が眠っている間に
つまらない考えは
捨ててしまおうと試みていだが間に合わなかった
もう
荒波に巻き込まれて
ヘラヘラ笑いながら
だんだん本当に楽しくなっていってしまった

言わず終い

電話してもいいですか

電話してみた

出なかった

ますます
電話したくなった

いつになったら電話に出られますか

電話しようとしたら
だれかから
電話がかかってきた

電話してもいいですか

その寂しがり屋に尋ねられ

それは私が別の人に
言おうとした台詞だ

答えた

その人は
私が話したかった相手から
電話がかかってきて
電話してもいいですか

だれかから
電話がかかってきた

言われた

言う

私は
電話してもいいですかと
自分が
言わず終いであることに
深く
絶望した

2011年9月3日土曜日

だれのもの?

揺れて霞んでいるのは
あなたの姿
香りがどこかに
残っていて
たまに気づくと
問いかけてくる

あなたが
わたしを愛しているのは
なにか
理由があるのよ
言葉にはできない
理由が


あなたにも
なにかが
問いけてくるのだろうか
不意に
どこかからか

それは
だれのものなのだろう
私には
分からない

2011年9月2日金曜日

弱虫の宣言

降りしきる蝉時雨の
都会の木立を抜けて
あなたから
離れていった

地下鉄にもぐり
当てもなく駅で降りて
また乗った

気づくと
知らない国にいた
飛行機を降りたのは半日前

あなたから離れたのは
一日前

知らない人に囲まれて
泣いていたのは
ずっと前
そしていまもだ

何かがこんがらかっているが
解く気持ちにならないのは
それが我が身を守っているから

そのことだけは
宣言しておこう

2011年9月1日木曜日

きちゃってよ、いますぐに。

いっちゃってよ いっちゃって それで きちゃって いっちゃってよ やっちゃってよ やっちゃって たまには やらずに よっちゃってよ くんじゃってよ くんじゃって そしたら ぬいて だしちゃってよ だしちゃったら いれちゃって じゅんじょは いいから ぬいちゃってよ すっちゃってよ すっちゃって どさくさ まぎれに もんじゃってよ いっちゃってよ いっちゃって くんず ほぐれつ きちゃってよ

2011年8月31日水曜日

私の狙い

雨が降る前の
黒い雲に空をおおわれて
気持ちが昂ぶってくる

そのことを知っているかのように
空は
雨粒を落としてこない
生暖かい空気をかき混ぜて
晩夏の膚に
じっとりと
汗をにじませるだけだ

空は
意地悪だ

あまのじゃくの私以上に
心を弄ぶのがスキだ

そこが
いいところでもある
私の愛する人と同じ

突き落とされる前の
後のない私を
楽しんでいるのだ

私は
あなたを巻き添えにして
どこまでも
落ちていくんだ

狙っている

2011年8月30日火曜日

漂泊者

旅人が増えてきた
住む場所が少なくなったのか
心が漂泊を求めたのか
あるいはその両方か

星の数が増えてきた
誰かが命を燃やしたのか
強い願いが集まったのか
あるいはその両方か

旅人は故郷を探し
星は道しるべとなる
故郷は星に照らされて生まれ
道しるべは旅人が打ち立てる

2011年8月29日月曜日

サイコーの二人

メンチカツが
乗っていた

ご飯の上
私の
ご飯の上にも
メンチカツが
乗っていた

おそろいの
ポークカレー
メンチカツのトッピング

並んで食べる

サラダには
三種類のドレッシングをかけて
違う味を楽しむ
私からあなたを見れば
あなたが
スプーンを握って
私と話しながら
カレーを口に運ぶ

あなたから
私を見れば
あなたを見ている私が
スプーンを握って
あなたと話しながら
カレーを口に運ぶ

釣り合った二人は
バランスがいいので
何をしていても
最上だ

だから西城秀樹は
秀樹、感激! というのだろうが
この辺のギャグは
通じるかどうかリスキーだが
雰囲気は伝わるので
大丈夫だ
サイコーの二人には
怖いものなどないのだ

2011年8月28日日曜日

バス停からの道

バス停から
遠回りに
5分ほど歩いて
何も貼っていない
掲示板の横を通り過ぎ
風さえ立ち止まる
小さな交差点を過ぎると
あなたの家がある

冬の日にはやさしく揺れ
春の日には
笑い声が漏れ
夏の夜には
静かに月の光が
高い窓をノックする

その家に
訪れるごとに
あなたは成長し
僕は少年の日を思い出し
ふたりで悲しみを握りしめて
結晶にして遊んだ

その結晶を砕いて
岩塩の代わりに目玉焼きにふりかけ
フォークとナイフで気取って食べる
サラダと一緒に
お日様の味と
ひよこの味と
海の味と
血の味が混じっている

向き合って
座ってたべる
僕たちに
聴こえるはずもない
バスの音が聞こえる

2011年8月27日土曜日

湿った時間の中で

湿った時間が流れている
薄暗い空間に
発酵した花の香り
あなたの服の襟から漏れてくる鼓動

灼けた肌が
境界線を作っているので
私はそこから中に入ることができない

ただ入ることができるのは
許可証を持った者

あなたは笑って
チケットを発行するけれど
それはすでに有効期限がきれている

それは
誰もが知っている
神話のようなメルヘン

あなたの姿を探そうと
発酵した花の香りを追ってきたけれど
そこにいたのは言葉を知らない
異国の少女だった

2011年8月26日金曜日

あなた13景

あなたのしっとりと上気した胸になにを書こう

あなたのよくつかわれた掌になにを持たせよう

あなたの死と暴力を見つめた眼に何を見せよう

あなたの頼りない後ろ姿に何を投げかけよう

あなたの体が向く先の街に何を香らせよう

あなたの眠っている間に何を企てよう

あなたの雨に打たれた思い出に何を加えよう

あなたのあなたである理由にどう降参しよう

あなたの見つめる眼差しの中にどう立とう

あなたのものであるあなたをどう分けあおう

あなたのあなたが気づかない魅力をどう守ろう

あなたの傷むキズをどうやわらげよう

あなたの悲しい時間をどうともに過ごそう

2011年8月25日木曜日

そばにいないひとに

そばにいない
ひとの名前を
呼んでみたくなる

そばにいない
ひとの眼差しを
何度も思い出す

そばにいない
理由について
考えてみる

そばにいない
時間のほうが
ずっと多い

そばにいない
ひとがそばにいた
時間はとても短い

そばにいない
ひとに頼みたい
ことがでてくる

そばにいない
ひとはなぜ
そばにいないのか

そばにきて
おしえて欲しい



・・・・・・・・・・・


そばを食べる彼女に

そばをたべる彼女(ひと)に
眼が釘付けになった

長い髪をゴムひもで束ね
一目散に
そばを吸い上げる

休むまもなく
食べ続ける

ブラウスのボタン二つ外し
体じゅうで
脇目もふらず食べ続ける

口の中はそばで溢れ
頬にはそばつゆが飛び散る

話しかけても
何を言っているのか
分からないだろう

ほおばったそばに
阻まれて
しゃべることはできない

そうしていつも
彼女はそばを食べるのか

そう思うと
背筋が凍るような勢いだ

彼女はなぜ
そばを食べるのか

短距離ランナーのように
必死で逃亡するように

そばにいって
きいてみたい

2011年8月24日水曜日

ピスタチオの殻

ピスタチオの殻を
爪で弾き割って
皺々の実を
口に放り込み
歯の間で
砕く

噛むたびに
一つ
また一つと
忘れていたシーンを思い出す

もしかしたら
空想のシーンも
混ざっている

ピスタチオが好きになってから
10年の月日が流れた
ピスタチオが好きな間に
出会って愛した人
嫌いになった人
忘れてしまった人もいる

ピスタチオの実は
外国の農園の空を背負っている
その皮の下から覗く明るく鮮やかな緑は
草原に憧れている証拠
(いつか通りかかったのだろうか)

それは誰の思いなのか?

決まっているでしょ
こうして
ピスタチオを
口に放り込んでいる
私の思い

?

私と似た
あなたの思い

2011年8月23日火曜日

偶然ばかりがかさなって

偶然ばかりがかさなって
約束したこと破られて
あなたの面影かさなって
連敗記録破られて

あなたと私かさなって
夜の静寂破られて
行きたい場所がかさなって
古い写真は破られて

第二章が待ってます

2011年8月22日月曜日

クリスマスとこれします

クリスマスとこれしますはどこが違うの?

陸続きと理屈好きはおんなじ?
栗とリスとスリとストリートとリュートは
仲良しなの?

スリットと小鳥とトリックとリュックは?
びっくりとどんぐりとどんくさいとうどんくださいは?
さいの目とメリーさんとさんまととんまとママは?

暁(あかつき)と啄木鳥(きつつき)とキス好きと好き好きは?
空(す)き空きと好き好きは?

こたえ:みんな同じ

2011年8月21日日曜日

微かな光に

古い木の家の
破れた壁を塞ぎ
朽ちかけた柱を補強して
箒で床を掃いた

屋根に溜まった木の葉を下ろして
木ぎれと一緒に焚き火をした

ほかに
なにが必要だったのか
思い出せない

乾き始めた風の向こうに
いつのものともつかない
笑顔が見える

その人と別れてしまったのか
まだ出逢っていないのか
はっきりしない

わたしは
欲しいものを手にするために
生きてきたが
欲しいものは
わたしが持っていなくてもいいものばかりだった

だからわたしは
なにかに欲されたいと願った
この世界が
わたしを爪弾きにせず
受けとってくれることを願った

誰かが
受け渡してくれるのなら
すべてを委ねたい

2011年8月20日土曜日

あなたの感じは

笑いながら話すのが
あなたの特技
普通に話していても
その声は笑い声を含んでいる

私は
あなたと話していると
つられて笑いそうになる
辛く悲しい話をしていても
そこに絶望は存在しなくなる

荒海から浜に打ち上がった昆布を海鳥が運んできて
味噌汁の鍋に入れた
例えて言うなら
そんな感じた

あなたの感じは

かっこいい

かっこをつけて生きてきた「きみ」が
かっこつけていることに疲れて
裸で生きていきたいという

僕は
「世間では
裸は目立ちすぎるので
外出するときは
服を着たら」

かっこをつけて言う

だが
内実は
そうではなく
長年
服を着ないでいい気になって
外を歩いた僕は
人々に注意されて
いよいよそれができなくなってしまったのだ

だから
「きみ」が裸で外を歩くのに乗じて
「僕」も一緒に歩きたいのだ

かっこつけないで
かっこよく


2011年8月19日金曜日

私は何もした覚えがないのに

私は何もした覚えがないのに
あの人と私の間に濃い霧が出て
風が立ち
霙が降り
雷が鳴った

あの人は悪いことをしようとしているのに
行く手に虹が出て
満月が出て
日輪が眩しく光り
小鳥がやさしくさえずった

2011年8月18日木曜日

君が夢見るものは

君が持っているものは
お金で買った物ばかり
その隙間に君が作ったものが隠れている

君が作ったものは
借りてきたものばかり
その隙間に君のものが隠れている

君が大事にするものは
思い出ばかり
その隙間に名付けられない未来が隠れている

君が夢見るものは
他人まかせの夢ばかり
その隙間に君を愛するひとの涙が光っていた

2011年8月17日水曜日

性急な性格

瓶の口をお口に入れちゃって
gkgk

急いで飲み干す必要はないのに
いつも
すごい勢いで
一気にいってしまうのね

味は後から思い出して
楽しむの?

恋もそうするの?

2011年8月16日火曜日

カジュアルなカバン

カジュアルなリバーシブルのカバンにカメラを入れて
海のある駅に降りた
小さなバスに乗り
ビーチ入り口で降りた

狙い通り
夕日が見渡す限りの世界を描き出している
海の家で真っ黒な男がホースで
ビキニの水着の女に水を掛けじゃれ合っている

その脇を通って波打ち際に近づく途中で
自分にカメラをむけて写真をとった
背景はビキニの反対側の海の家の側面の壁画だ

皮のシューズが砂に沈み
気分が砂混じりになってゆく

波打ち際から左右を見ると
左手に防波堤
その向こうに灯台の明滅

右側では
いく人かのサーファーとその連れ合い
さらに遠くには
船が繋留されて行儀良く並ぶ

波はやや強く打ち寄せ
私はその様を
躍動感ある写真にしようと
取り組んでいた

どんな時でも
写真を撮るからには
納得いく写真を撮りたいのだ
私をカメラに収めようとするひとは
今日はいない

このあとの行動は決まっていた
予定は予測通りにこなされるだろう

独りでここに来ようかどうか
さっきまでの迷いはもうなかった

気持ちは愛する人と同伴していた
そのことは
きっとに伝わるだろう

デニーズに入り
月の出を待った

月は出ても出なくてもよかった
また
見にくることが
わかっていたから

だから帰りの電車のことも
ちゃんと気にしていたのだ

2011年8月15日月曜日

オレンジの恥じらい

「オレンジジュースの中に溶けたよう」

いつもライム色のあなたが
体じゅうをオレンジに染めて
恥じらいを露わにしている

「服がくっついてぴたぴたなの。たすけてほしい」

風も止んでしまったから
あなたは
私に救いを求めるしかなった

手を差し出して
引っ張るよう促す

私はあなたに
何度も肩透かしをくっていたので
少しためらったが
直ぐに左手を差し出した

あなたは右手を精いっぱい伸ばして
私の手に捕まるかのように見えたが
その瞬間に
脇から伸びてきた別の手に捕まった

あなたの体が一瞬宙に舞うと
あなたは苦痛の表情で微笑むと
薄闇の中に溶けていってしまった

私は左手をそそくさと
しまった
恥じらいのオレンジに
身を染めて

2011年8月14日日曜日

やきもち

君は胡桃の木の下で
月を見ているんだね

ぼくはサンダルで波打ち際に立って
月を見ている

取り替えようか

君は波打ち際に立ってぼくを見る
ぼくは胡桃の木の下で君を見る
月はサンダルを履いたのだが
もう見られていないので
切なくなって
仕方なく
ウサギのついた餅を焼く

2011年8月13日土曜日

はぐれた あのこ

ねえ神さま
あのこは元気?
月夜の晩にはぐれたこ

あの砂浜で待ち合わせしようと
約束したのは
いつのこと?

その場所には いま
ドーナツ屋さんが建っている
そこで待てば
日照りや雨がよけられていいかもね

ねえ神さま
お願いします
あのこが
いいこのまま
育っていますように

わたしと釣り合うくらい
ほどよくいい経験を
していますように

はぐれたことが
愛おしくなるくらい
祝福される
再会でありますように

月が雲に隠れ
また現れたときに
その光が
あのこの輪郭を
浮かび上がらせてくれますように

わたしは
こえをかける
「ひさしぶりだね」
笑顔で
涙を流して


2011年8月12日金曜日

暗闇

りん りん
りん りん

電話じゃないよ
あれは きっと
暗闇の音


虫の声に混じって
聴こえている

ここにいます
って
言っているのかな

2011年8月11日木曜日

あなたとわたし

ありえない
あなたとわたし
たのしくこいする
こどうがどきどき
はちきれそうで
みつめあうと
えがおになって
いっしょにあるく
まえにうしろに
いきするときも
おもいがあふれ
かいさつぐちで
えきのほーむで
しんやのみちで
おわかれのきす
すぐまたあって
さいかいのきす
ぐるぐるまわる
まいにちげんき
びょうきになっても
まぶたのうらに
こいするひとを
とうじょうさせて
あまえてでんわ
のどがかれても
かんせつつうが
ひとごとのよう
じぶんはうまれ
かわったようで
やまいもなにも
かんけいなくて
ただただあいの
しろっぷをすい
いつまでつづく
よかんはむしし
たんじょうせきの
ゆびわをかって
にあいのふくの
このみをしって
いつもいかない
いせいのうりば
いっしょにいって
かっこをつけて
あつくないかと
きづかいあって
さむくないかと
たしかめあって
けんかをしても
それをりようし
もっとなかよく
ないたりしても
やさしさみせて
なぐさめあって
はだかのむねに
むねをおしあて
まさぐるように
おたがいもとめ
べっどのうえで
しーつにもぐり
あさはおんどの
ちがいにおどろき
まぶしいひかりを
ふりかけあって
いたずらをして
はがたをつける
ありえないこと

ありえない
あなたとわたしは
ただのしりあい

どこまでいっても
もうそうのなか

2011年8月10日水曜日

シンプルな木の額のなかに

誰にも理解されないと
泣いているあなた

なぜ泣いているのか
分からないと言っている私

それを見ている


それを聴いている


みんな
別々のようで
みんな
一緒のようで

昼下がりに訪れた
見知らぬ田舎町の
古い家の
玄関から
少し入ったところの
白い壁に掛かっていた
シンプルな木の額のなかに
収まっている
一枚の写真の中にいるようで

2011年8月9日火曜日

あなたが歩く速度は私と違う 〜ある夏の日に〜

フロリダアイスコーヒーのグラスが
汗をかいている
となりで
氷水のグラスも
汗をかいている

さっきまで汗をかいていた
あなた と わたしは
汗をかいたグラスを
それぞれ
反対側から見つめている

氷がゆっくり
溶けていくと
時間が過ぎているのが分かる

この速度は
いったい
誰が決めているのだろう
仕事好きの神様だろうか

あなたが
歩く速度は
私が歩く速度と
違っていて
そのため
ふたりで歩くと
どこかぎこちない

その
ぎこちなさは
何を宿しているのだろう
あなたとふたりで
探求してみたい

時々
歩くのをやめ
同じ速さて
止(とど)まって