2011年9月7日水曜日

土ぼこりの香り

急に雨が降ってきたんだ
ちょうど道に迷っていた
静かな町なのに
前からも後ろからも
左右の道や建物の間からも
ひとが出てくるんだ
みんなそれぞれ
何か用がありそうだったり
楽しそうだったり
さびしそうだったり
何かを抱えているみたいなんだ

そういう自分だって
他人からみれば
何かを抱えているように
みえるんだろう

雨の間を風邪が吹いて
木の下の乾いていた土が
けむりをたてる

曲がり角をまがり
みたことがない静かな道に入ったとき
外人のジャージ姿の人が
声を掛けてきたけど
何をいっているかわからないので
こちらも自分でもわからない言葉で
わからないと伝えて手を振った

さびしげな道に入ったはずなのに
相変わらずひっきりなしに
ひとびとがいき過ぎる
なかには迷い顔のひともいる

さあ
部屋に帰らなくては
傘をとって
ご飯と洗濯屋に行かなくては

雨が降っている
優しい雨だ
きょうは朝から
霧っぽい空気だった

夜の向こうに何があるのかな
すれ違うひとびとは
何処に帰るのかな
食事をしおわったら
どこかのラウンジに座って
誰かの前にいてみようかな

そのとき
雨は
土ぼこりを鎮めているだろう

2 件のコメント:

  1. あ、昨日に間に合いましたね^^

    知らない街で迷子になったら大変です。。
    大通りは刺激が強すぎて、路地へ入ればかえって危険。
    言葉が通じればいいのですが・・・。

    雨の匂いは、土の匂い。
    何故か落ち着く、その匂い。

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  2. 異国の地では、五感が研ぎ澄まされる
    言葉に慣れない、景色に慣れない、匂いに慣れない。
    その中で、自分は真理を知り、心がたおやかになる。

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