2011年5月31日火曜日

約束

約束しても
すぐに破るんだね

あなたは気が変わりやすいんだ
でも
約束したい気持ちは変わらないね

分かる

黙っていても
分かってしまうよ

黙っている理由が
知られたくないからだと
すぐに分かるからさ

2011年5月30日月曜日

死に向かう詩

死に向かう詩があるね

たまに足踏み行進してる
あっ
また歩き始めた

道端の花火のような草を踏まないように
よけて

2011年5月29日日曜日

雨が降っているね

何かの言いわけに
雨を使ったことがあるのに
思い出せないんだね

錆びてしまったかな

2011年5月28日土曜日

u

u


アイスコーヒーは
まずブラックで飲み始め
量が少なくなったらミルクとガムシロップを入れる

二種類の味を味わうが私の主義
小さな楽しみを寄せ集めて
幸福感を得ている

そんな風に
その場限りのものを繋いで
引きずることにしている

私は私の周りに起きる
様々な事象をコントロールすることで
人生を築いていく

変化を暗示するコマに進み
突然変異することを
心のどこかで願いながら


u


水銀灯の光は
拡散して用を足している

道は人を通行させるために作られたが
人以外のものも受け入れている

あなたは慣れないカメラを持って
自転車で走っている
脛にアザを作って

夜明け前
午前11時
昼下がり
夕方

深夜
あらゆる時間帯に

行ったり来たり
役目を果たし
行きたいところへ
いい香りのする方へ


u


崖の下のトンネル




電車が通過して行く


商品
接客
会話と笑い

ここに何がある
何もない場所は
どこにある


u


夜は恋を包む
御多分に洩れず
私たちの歴史を包む

一枚の布で包まれた体を
擦りせ合わせ
しっとりと絡ませる

思いはどう絡んでいるのか
すれ違っているのか
通りががった
光る目が目にしただろう

2011年5月27日金曜日

あなたは いま

あなたは
いま
泣いているの
笑っているの
悲しんでいるの
喜んでいるの

????

とにかく
よろしくお願い
いたします

2011年5月26日木曜日

ベッドから落ちながら

ベッドから落ちながら
考えた
あの人は私にとって
私はあの人にとって
何なんだろう

男と女の関係であるべきなのか
親友のようなものでいるべきなのか
足りないものを補う補完関係なのだろうか
それとも名付けることのできない
ややこしい関係なのだろうか
どうあるべきか
ベッドから落ちながら
フローリングの床に近づきつつ
私は突然悟った

そして
床に強く額がたたきつけられた
目が覚めると同時に
目覚まし時計が鳴り
誰かが玄関をノックした

じんせいにさようなら

あなたとさよならするより
じんせいにさようなら

じんせいは
つまらない

つまらないから
いきづまる

あなたと
さよならしたくないから
じんせいに
さようなら

なんどもくりかえす
りんねなんかいらない

2011年5月25日水曜日

罠を張る

あちこちで
綺麗な独楽が回っている

わたしは
目を回して
泡を吐く

あなたは
気を回して
罠を張る

2011年5月24日火曜日

今はまだ言えないけど

くるぶしまでのソックス
始めてのキス
串焼きのタオルケット
煙たい朝の涙

四方山話の文集
やかんに容れたハチミツ
消毒済みのウエイトレス
消し忘れた欲望

座りっ放しのドアマン
見えそうで見えない未来
ときめくだけの柱時計
やられっ放しのだし巻き卵

コンクールに出す予定の指サック
澄まし顔のトンボ
ヤクルトをのむイリオモテヤマネコ
砕け散った夢のかけら

口を開けたままのポスト
すり鉢状の乳房
草色の手鏡
緩みきった緊張

額縁が溢れかえるの画廊
ずんだもちの差し入れ
やさしくない性格
クリームを盛ったデザート皿差し出す手

2011年5月23日月曜日

月の夜から漕ぎ出す舟

きょうは
あなたの心が激しく揺れているので
海は凪となっている

笑顔を照らす太陽が沈み
闇夜が世界を覆ってしまったので
海は彼方まで月の光を映して輝いている

遠い日の海の暖かな風
鮮やかな色のシャワーが
すぐそこにあり
あなたは一人でそれを浴びている

目に涙を溜めて
海はつながっていることを
何度も確かめようとするが
心の中でそれはつながらない

途方にくれる
どうしていいのかわからない

そうしているあいだに
月は傾き
闇が白み
世界と自分が照らし出される
眩しい太陽が闇を破壊にかかる

どこに逃げ帰ることもできずに
取り残された
あなたは
この世を渡るために両親からに与えられた
その名前の船に乗って
漕ぎ出している


注*
おとといのものを書き直しました

2011年5月22日日曜日

きみの苦しみは

きみは
自分の苦しみは
誰にも分からないと思っているね

そうだよ
きみ自身も
分かっていないんだからね

2011年5月21日土曜日

月のネックレス

月が一つ
闇空のてっぺんで明るく光っているだけなのに
海はその下に
煌めく光の路をつくり
プラチナで編み上げられた
ネックレスみたいに
海の胸元をゴージャスに飾っている

砂浜にいるのはきょうもあなた一人だから
その美しい光景も
ネックレスも
あなただけのもの
きっと誰かがくれたプレゼント

海の中に入っていくあなたは
自称  人魚
ぼくはそうは思わないけれど

泣き尽くして涙を枯らして
夜が白み始めると
あなたはここから去っていく

誰もいなくなった海は
波を手持ち無沙汰に打ちながら
一人で何かを語り続ける
答えなのか問いなのかは
分からない
もうどれだけの時間が流れたのかも分からない

あなたは
昼間
仕事場で汗をかきながら働く
何かをおし殺し
自分に言い聞かせて

そして
海に行ったことは
波の中に入って行ったことは
友人には話さない

海と約束をしたからなのか
それとも
自分が消えてしまったあとに
なにも残さないという
決意の表れなのか

2011年5月20日金曜日

15分後 と 私

5分おきに気持ちが変わる
10分おきに違うことをやる
30分経つと悩みが何かを忘れている
1時間後にかかってくるはずの電話
3時間後にはベッドに入りたい
10時間後には灰色の机の上でパソコンに向かい
24時間後 私はこの世にたぶんいるだろう
3日後 気ままな旅に出たいけど
7日後 気ままといっても宿は予約してしまったから
1か月後 いつものように会社に通勤
3か月後 いつものように片想いだった相手のことは忘れ
半年後 アパートの更新日が過ぎ
1年後 季節はやはり初夏に違いなく
5年後 私の三回忌に
10年後 枯れた草花はそのままにしておいてください

50年後 誰も私のことを知らず

15分後 ブログに一つの詩がアップされている

2011年5月19日木曜日

古い扉

朝の電車の中で
人いきれに耐えながら
なにを思っているの?

電車が揺れるので
輪っかに掴まっている
革の軋む音は
馴れてしまったせいか
聴こえてこない

つなぎとめられている
人の群れ

休日にはなにしよう
自分と相談
明日は晴れそう

生まれてから
色んなものを見て来た
危なくないものと
危ないもの

いつの間にか
自分が一番危なくなってる

会社に着いて
無意味な仕事をする
お金をもらうため

色んなことを学んだ
生きていく上で大切なこと

自分を優しい心にすることは
答えがわからないまま
忘れていた

古民家の古い扉
開ければ
教えてくれるかな

2011年5月18日水曜日

海に向かう電車で

海に向かう電車に乗っているのは誰ですか

はい、私ですけど

何をしにいくんですか

いえ、ちょっと、砂浜を歩きに

それだけですか

まあ、色々考え事をして

はい、

人と待ち合わせします

誰とですか

最近知り合った人とです

どんな関係ですか

いえ、ちょっと、仕事の関係・・

愛しているんですか

・・・・・・

恋人にしたいんでしょ

なに言ってるんですか、そんな

もうキスはしたんでしょ

いいえ、なんで・・?

もういいです、はっきりしない人だ

はい。

そこははっきりしてるんだ

・・・・・・・

2011年5月17日火曜日

setsunaの前奏曲

あなたはわたしと
遊ぶだけ
刹那の哀しみを
見にゆくために

あなたは
わたしといても
幸せになれない
積み重ねることはできても
それはいつか踏み台になるだけ

とび箱の前で
息を整える暇もなく
まっしぐらに
挑んでいったけど
とんだ後の世界は向こう側
別の人が
待っている

あなたは
初めから気づいていたでしょう

わたしと見る
一風変わった
ドラマチックな景色は
あなたが幸せになるための
前奏曲
わたしにとっては
クライマックスであることを

出会った時
砂浜で
波は大きく波打ち白い泡を巻いて
反対した

2011年5月16日月曜日

深夜の手紙

「愛する人へ」

これは最後の機会かもしれません
あなたとわたしの間には
埋めることのできない距離が存在します
時々その距離が縮んでなくなるものだから
勘違いしてしまいますが
やはり向こう岸が見えないほどの距離が存在するのです

最後の機会だと偉そうに言うのは
とても
おこがましいことでしょう
わたしはえらいにんげんではありません
誤魔化しの多いくだらない人間です
親にさえそう言われてきました

だからあなたは多分錯覚して
わたしを見ているのです

わたしは
あなたの前から去らなければならないと思いつつ
決意ができずに今まで来てしまいました
なにか残せるものとか
手渡せる財産が欲しかったのです
しかしそれは無理な相談でした
わたしはわたしに
無理だと
やっと
告げたのです

わたしはきょう
自分の無力さを知りました
どうでもいいような存在だと思いました
これは
わたしが目指す私の将来像と
正反対のものです

ここからどれだけ
努力したら
いいのでしょう

こんなことを書いているようでは
永遠に
無理だと言えるのではないでしょうか

そこで
わたしは
あなたへの被害を食い止めるため
ここで
あなたの目の前から去ることにしました

たぶん
そういうことになります
優柔不断な自分ですから
信用することはできませんが

そういうわけで
その決意をここに記し
その証にしようとしているのです

こんなくだらない証が
この世にあっていいものなのでしょうか

ながなが書きましたが
そういうことです

寝て
目覚めたら
わたしは
あなたのことを忘れるために
生きていきます

神様
よろしくおねがいします

2011年5月15日日曜日

仕方がないこと

お金持ちが
お金をもっと儲けたくて
そのための仕組みを作る

悪いことではない
仕方がないことだ

権力者が
権力を保持し続けるため
弱いものから奪い
強い者のスキをうかがう

悪いことではない
仕方がないことだ

人間が生きてゆくため
他の命から搾取し
身内の生活を保護する

悪いことではない
仕方がないことだ

嘘つきが嘘をつき続けるため
嘘に合わせて現実を作り変え
真実は忘れようとする

悪いことではない
仕方がないことだ

気取った人が
いい人になりたくて
不器用な悪人を非難する

悪いことではない
仕方がないことだ

お笑いタレントが
笑いを取るたろに
空気をつかめない人をコケにする

悪いことではない
仕方がないことだ

以上の中から
良いと思うものを選び
その理由を140文字以内で述べよ
最も良いという答えの多かったものを
正解とし
その中から任意に選んだ答えを
Twitterで公開し
人気投票によって
トップになった方を
みんなのお笑いショーにご招待し
素晴らしい賞品を差し上げます

未来の鳥を

あなたと歩いた砂浜を
足の裏が憶えていて
恋しがる

テーブルを挟んで
見あげた空が
まだ あのときのまま
残っている

未来がないように思えたのは
過去があまりにも誘いかけたから

あなたはアイシテルと私に行ったけれど
もうそのことは忘れて
未来の予定ばかりを気にしている

その未来の空には
変わった風貌の鳥が飛んでいる
大きくて愛嬌のある鳥だ
あなたはそれを
つかまえて! 
と叫ぶのだが・・・

2011年5月14日土曜日

slow

階段を12段昇って
12段降りて

あなたの周りを
18回まわって

鍵盤の黒いところだけで
ピアノを弾いて

何度もメールを書いては
下書きに保存した

敗れたシャツで靴を磨き
ホテルに行ってはあなたを置いて帰った

空を見上げて風を心地よく受け
雨に降られるたびに安い傘が増えた

階段を12段昇ってドアを開け
あなたの唇に初めてキスした

消えている

あなたのことを
見失っている間に
私の住む街が
消えてしまった

住民もろとも
居なくなってしまった
それなのに
騒ぐ人は
誰もいなかった

ニュースにもなっていない
ネットで検索しても
出てこない

オロオロしていると
見る間に
あなたがどこにいるのか
という思いが
消えていくことに気がついた

きのうのメールの返事もこないまま
出したことさえあやふやになってゆく

ブログに書き綴った詩のサムネイルだけが
木片のように流れ着く

やっとの思いで
ブログの端っこに貼り付けた
終わりの方は
失くなっている


、、、

私は古い家 建物なので あなたのところへゆくことはかなわい ただ思いをこめて念じるだけだ 私の隣には古い寺があり 今時はツツジの香りが立ち込めている 掃き清められた庭は どこから見ても美しい ツツジの香りの良さを あなたに届けたい そう願って私は念じる あなたがやってくるように ところで 私には 一人の男が住んでいる 私を手入れし磨き上げているうちに 若い一人の娘が やってくるようになり すぐに男と結ばれ...


解説

これより先の部分は見当たりません。きのうコピーした方がいらっしゃれば、データをご提供くださると助かります。
Googleのブログサービスは、一応今しがた復旧したようですが、多くの下書きデータと、昨日以降の投稿とコメントは、見つかりません。

2011年5月12日木曜日

ろくろっくびはいいやつだ

ろくろっくびだよ
ろくろっくび
またまたやったきたよ
ひさしぶりだよ
なつかしいかぎりだよ
またきたよ
よばれなくても
こちらから
きたくてきたよ
ろくろっくび
りずむにのって
かぜにのって
らいばるけおとして
やってきましたろくろっくび
なんかいいかんじだよ
にゅーすにもでそうだよ
にんきものだよ
ろくろっくび
ぶらさがったよ
のびちじみしたよ
くるくるまいたよ
でんちゅうも
もんちゅうも
もちゅうも
きんしんちゅうも
ちゅーしてるさいちゅーも
かまわずまいたよ
ろくろっくび
ぐるぐるしたよ
めがまわったよ
なみだでしーつもぬらしたよ
ろくろっくびは
いいやつさ
あいどるよりも
にんきもの
ろくろっくびは
へのかっぱ
やることなすこと
おおあたり
ぜんもんせいかい
ごじゅうまる
ろくろっくびさ
ろくろっくび

ろくろっくびだよ
ろくろっくびだよ
いせいがいいよ
けいきづけだよ
どんどんまいて
どんどんまかれ
かってもまかれ
まけてもまかれ
くびったけだよ
ろくろっくび
いちにのさんで
ろくろっくび
くびがながいさ
ろくろっくび

またいつか
やってくるね
およびでなくても
こちらから
ではまたあおう
ろくろっくびは
いいやつだ

2011年5月11日水曜日

月屋の日誌より

照明が消えてしまったので
月を5つほど貸していただけませんか
そう言って
木戸を静かに開けて彼女は入ってきた

ちょうどいい月が
入荷したばかりだったので
私は迷わず
いい月があります
電球色のもので
やや黄色い感じです
表示してあるのはひと月分の値段です
と説明した

彼女は
安心した様子で
商品を手に取ると
昼光色のものも一つ貸していただけますかと言った
そして
鈴のついた横長の札入れから
きれいなお札を出して代金を払いつり銭を受け取った

私は
ありがとうございます 
どうもありがとうございます
と丁寧に言って
彼女の後ろ姿を見送った
彼女は小峰ににているが
小峰ではないな
と思った

2011年5月10日火曜日

父が生きていた頃のこと

浜辺に打ち上げられたウミホウズキが
月の光を浴びて
体を乾かしている

見知らぬ浜辺だ
と言っている

歌にして聴かせてくれた
打ち上げられるまでの顛末

まだ父が生きていた頃のこと

月模様のドレス

8つの会場を
出たり入ったりしている
あなたは
そのたびごとに
服を着替える

さっきから
もう何度繰り返しているだろう
これは
夜を徹して行われているのだろうか

もう汗びっしょりだ
控え室のタオルで汗を拭うが
また慌ただしく
出て行く

会場では
それぞれ別々の会合が催されている
たとえば
花と音楽に包まれた陽気なお別れ会であったり
新婦が欠席している結婚披露宴であったり
平均年齢82歳の老人会の学芸会であったり
麻酔医7人のための生前葬であったり
仲間同士のただの飲み会であったり…だ

ひとつの会がおわると
また別の会の準備がなされ
やがて出席者がやってきて会が始まる
稀に「ワケあり」の会もあり
そんなとき
あなたはいつも 
緊張でカチカチになって入っていく

そんなことを繰り返しているうちに
どうも
もう数年の月日が流れてしまったらしい

あなたは
私に目配せをして
パーティーに参加するように促した
私がためらっていると
あなたはイルカになって
海の中を泳ぎ回り
高く飛び上がった

次の瞬間
イルカはトンビになり
トンビは空中で激しく輪をかいた

トンビは地面に落下して
あなたにもどり
私の手をとって
話しかけてきた

楽しいでしょ!

驚いた私は

もう終わりにしない?
お家に帰ろう

と訴えた
それをどこ吹く風といった感じで
あしらったあなたは
だれかの首にしがみついて
もう踊っている
濃厚な接吻などしながら

月の模様のドレスを腰に絡ませている

私は水

人生を楽しむの?
うまく人付き合いして

人気者になるの
友だちも恋人もスペアはすぐ見つかるよ

あなたには向いている
私には向いていない

でも一緒にご飯を食べよう
あなたは焼酎
私は水

2011年5月9日月曜日

五月の私 その1

私の命は特別に選ばれた命なのだろうか

五月

山の下の方で鮮やかに輝きはじめた緑の木々の上に
暗い雲が広がり
湿った風が強まってくる
こんなときには決まって
中腹で霙(みぞれ)が降っているのだ

私は選ばれた特別の人間なのだと
私の中の何者かが記憶している
だが私の心はそう思ってはいない

あなたはどうだろうか

小さなボロ車で山頂から一気に駆けおりる

2011年5月8日日曜日

リゾートの夜

壁を隔てて聞こえてくるのは
ウシガエルの声かと思っていたが
違うようだ

隣に寝ている彼女は
裸のままなのに
眼を閉じてどこかに出かけていってしまった

窓を開けると
暗い夜から
森の香りと一緒に
せせらぎの音が入ってくる

そこに
海辺からのメールが紛れて届く

メールも
一糸纏わぬ裸だった

2011年5月7日土曜日

天使のBIRTHDAY

二股どころではない
十股だ
いや二十股だ
いやいや百股だ

彼女の魅力は
たくさん
股をかけても
減らない

むしろ
股をかければかけるほど
加算されていく感さえある

彼女はいつも
自分のことで
忙しい

美味しい物を食べては
太らないか気にする
愛しい人に会っては
洋服をおねだりする
約束しては
遅れて登場する

ハードなスケジュールが
彼女のスレンダーな体に
磨きをかけ
過密すぎるイベントが
睡眠時間を奪い
様々な悩みが
様々な表情を作る

いつも
いつも
彼女はいそがしく
考えることが追いつかない
感じるままにやっていく

他人のことを中途半端に慮らず
ただ驚かせ喜ばせようと努力をおしまない

そんな彼女に
転機がやってきた

彼女はいままでの自分をあっさり脱ぎ捨て
新しい服に着替えた

初めての肌触り
天使の羽で織られた
それは
夏のユニクロのワンピース

地球日記より その1

2011年5月6日
地球

どんとこい


2011年5月7日
地球

スーと行け


2011年5月8日
地球

蹴り飛ばした


2011年5月9日
地球

瓶を集めます

2011年5月6日金曜日

いつのまにか

いつのまにか『命のバトン』を渡されていた

いつのまにか自分の命を守るプログラムを手に入れた

いつのまにか日が傾いてきょうも夕暮れがやったきた

いつのまにか知り合った人がどこかにいってしまった

いつのまにか大きな雲が形を変えて彼方へ消え去った

いつのまにか電話がかかってこない日々がつづいていた

いつのまにか体が古くなって皮膚が乾燥した

いつのまにか側で蛙の声が聴こえなくなっていた

いつのまにか愛する人のことを忘れようとしていた

いつのまにか遠くから小さな何かの音が鳴り続けるのが聴こえていた

いつのまにか寂しい気持ちが心に満ちていた

いつのまにか生きていることが自分のことであると気がついた

いつのまにかあの頃のコロッケが食べたくなった

いつのまにか「今」が立ち止まってこちらの様子を窺っていた

いつのまにか外出の時間が近づいてきた

いつのまにかカーテンの向こうの窓の外で星が瞬きはじめた

そして

いつのまにか私はいなくなった

2011年5月5日木曜日

ひやす

ひやして
見る

湯気が立たない状態で
見てみる

それが大事

ついでに
大事も冷やす

すると
ただの 事 になる

しみじみして

しみじみしてね

しみじみしてね

しみじみと
しみじみしてね

しみじみして
しみじみしてね


しみじみ
しみじみ
しみじみしてね

しみじみと
しみじみ
しみじみしてね

しみいる
しじま
しみじみ
すすいでね

恨みを持って

恨んでいるね

恨んでいるんだね


恨みを持っているんだね

恨みを持って恨んでいるんだね


恨んでね

恨みを持って恨んでね

恨んで恨みを持って恨んでね

恨んで恨んで

売られた喧嘩は
買わんでね

もういいか

静かな時が流れる
もういいか
って思うのは
あなたのくせ

ちやほやされていると
本当の自分が
分からなくなる

思いついたプランは
どれも実現し難く
高度な技とセンスが必要

もういいか
そう言って
諦めるのが常

だれも気にしない
あなたの本心
あなたの真の長所

あなたは
一人ではできない
一人でできることは
とうにやってしまった

それで
いつものように
誰かを誘うのだが
誘う前に
諦めている自分に気づかない

用意されている
もういいか
が 
ほら 出番をまってるよ

2011年5月4日水曜日

きまぐれごめん

いつでもついで
なにかのおまけ
わざわざこない
へんじはおくれ

すすんでもどる
とまってやめる
なくなくとらい
きもちはどらい

こっそりにげる
いるすをつかう
けんかはさける
はなしはしない

おいたてられる
たいろがたたれ
よくよくみれば
だいすきなひと

2011年5月3日火曜日

貝殻の瞳

あなたのいいところは
眼が光るところだ
タイミングよく
光るところだ

相手は背筋をゾゾッと震わせ
もう逃げることはできない

月の光の中で
あなたの眼だけが光り
波音が遠ざかる

時間の縄に縛られた二人は
窮屈に互いの体を行き来する

柑橘系の木の実の香り

どこで弾けたのか
そこここに
散らばり
もう
貝殻と区別がつかない

2011年5月2日月曜日

恋をしよう

春だ、恋をしよう!
とTが言った。

恋をした、春がきた
とYが言った。

春が来たし
恋もしたから
結婚しようと言おう
とRは思った。

春が来たし
恋もしたし
結婚しよう、とも言ったし
赤ちゃんもできたので
このままずっと一緒にいよう
とKは思った。

どれも
みんな
私が知っている話。

別々の誰かの
よくある話。

2011年5月1日日曜日

あなたの影

あなたの影があなたを見上げている

あなたはその影を
見下ろしたことしかない


わたしはあなたを
自分の目のある高さから見ている

忙しそうなあなた
ゆったりしているときも
自分のことを忘れている


影は
あなたを見ている
あなたのことを
よく知っているのに
何も語らない


わたしは
あなたのことを
あなたに語る

あなたは
何を考えているのだろう
その答えは
あなたの中にはないのだ