2011年8月27日土曜日

湿った時間の中で

湿った時間が流れている
薄暗い空間に
発酵した花の香り
あなたの服の襟から漏れてくる鼓動

灼けた肌が
境界線を作っているので
私はそこから中に入ることができない

ただ入ることができるのは
許可証を持った者

あなたは笑って
チケットを発行するけれど
それはすでに有効期限がきれている

それは
誰もが知っている
神話のようなメルヘン

あなたの姿を探そうと
発酵した花の香りを追ってきたけれど
そこにいたのは言葉を知らない
異国の少女だった

1 件のコメント:

  1. 知らない言葉の異国の少女は
    境界線の越え方を知っている。
    あなたは、知っていることを知っている。
    彼女がなぜ、有効期限切れのチケットを渡すのかも
    わかっている。

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