わるいこともして
よくもわるくもないことをして
どちらかわからないことをして
おとなになった
おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった
じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない
あくびをしたら
しかられる
しかったひとも
あくびをしてる
おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった
じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない
あくびをしたら
しかられる
しかったひとも
あくびをしてる
寒い季節がやってくると
落ち葉に隠した
木の葉のお金が
白い煙を出しながら
小さな炎を灯して燃えてしまう
寒い季節がやってくると
散歩に行くのがいやになり
ついでに
愛する人を
迎えに行くのもいやになる
寒い季節がやってくると
寒がりのあなたが
暖をもとめてあいつに寄りそい
いつまでまっても
帰ってこない
あなたは私の様子を窺って
質問の玉を打ち込んでくる
わたしは
しどろもどろになるが
必死にこらえて体勢をつくり
その玉を打ち返す
うまく打ち返せることもあれば
そうでないときもある
フェンスを越えて
通りがかりの人に拾ってもらうことも
しばしばだ
それでもあなたは
不意をついて
質問を打ち込んでくる
剛速球の質問は
打ち返すことができずに
地面にバウンドして
快音を立て後ろに流れていく
あなたはびくともしない
笑っているのか泣いているのか
なんともないのかさえ分からない
星屑が暗くなった空から
降ってくる
月がやさしく灯っている
あなたは
私を近づけない
あなは
私が近づくのを恐れながら
誰かを待っている
私が思う分だけ
きっとあの人は
私のことを
思ってくれている
なぜだかは
わからないけど
私は
信じることができる
なぜだかは
わからないけど
私はあの人を
愛している
私は、いま北京大学に留学生として来ていて、学校の宿舎に住んでいます。リビングとシャワー・トイレは三人共用ですが、寝室兼デスクの在るパーソナルスペースがあり鍵を掛けられます。
毎日、約四時間の授業に出席し、そのために約4時間の予習復習をしています。留学生はいろんな国の、いろんな年齢の人がいて、一緒の教室で勉強しています。15人ほどのクラスで、いい感じの人がそろっています。日本人も一緒になることがありますが、しゃべらないようにしているので、日本語はまったく使うことがありません。
北京大学はとても広くて美しいキャンパスですが、たまにスモッグに包まれます。そんな日は喉が痛くなる前に、部屋に帰って喉用のスプレーをひと噴きしてなるべく外に出ません。昔から喉が弱く、すぐ風邪をひきましたが、いまは、対処法がいろいろ見つかったので、風邪をひかなくなりました。
来週はアイスランド、日本からも詩人が来て、中国の詩人たちと一緒に、北京大学で詩の研究会があります。私も参加することになりました。
詩の勉強をすることや、その同志たちと何かができることはとても幸せです。
中国に来る詩人の一人に覚和歌子さんがいらっしゃいますが、先日、横浜のオブラートのイベントでご一緒しました。中国で再会できるなんて、素敵なことです。
中国に来た目的の一番は、中国の詩人たちと交流することにあります。友人の詩人、田原さんのおかげで、早い機会に中国の詩人たちと再会出来ることとは、ありがたいことです。
見慣れない文字を消し
かなわない絵空事を消し
空に浮かぶ雲を消し
書き損じた作文を消した
紙の上の世界が吸い込まれ
消しゴムのかすが取り払われると
新しい道のように
まぶしい光が反射していた
消しゴムを手に
私はきょうも
出かける
どこかに
行くために
帰る場所を
見つける旅を
思い描きながら
悪魔は
本棚の隙間に隠れて
旧い詩集のように
私を見ている
私が悪魔を見ようとすると
悪魔はすかさず目をそらすので
恋人同士のように
親密にはなることはできない
悪魔は私が寝入ったあと
何をしているのだろう
訊いてみたい衝動に駆られるが
目を覚ましたとき
いつもそこに悪魔はいない
どこにいってしまうのか
自分の胸に
訊いてみよるとしよう
どんな花が香っているのか
目を閉じて想像しながら
月の明るい海に漕ぎ出す
近くで波音はするが
海は静まっている
小さな船は
めまいを起こしそうな揺れを続けるが
あなたと私はしっかりと結び合って
酔うことも受け付けない
たしかなお互いの感覚を
確かめるだけだ
遠いような近いような
未来のような
懐かしい景色の中にいるような
今までにない想いが
とどまって波打つ
あなたは
揺れが収まるタイミングで
小さく声を漏らし
喉の奥に仕舞い込む
私たちは目を開けているのか
瞑っているのかも分からないまま
どこかへ進もうとしているが
同じ場所を行ったりきたりするばかりだ
あなたはずっと
私の腕に長い指を巻きつけてつかまったまま
疲れることも知らないようだ
どこかで
鳥が飛び立ったような気がして振り向くと
それは
あなたの胸から
たったいま飛び立った
透明な鳥だった
月の光の反射で
その輪郭だけが
空に上っていった
あなたはすでに濡れていたから
濡れるべきところは
濡れているたら
もうこれ以上濡れることはなかったのだろう
あなたは
乾いた笑いに湿り気をなじませて
絡み合う手をしっとりと結び
濡れた瞳で見つめているだろう
だから
あなたは
この雨に
濡れていないだろう
濡れている私をよそに
乾いていっているだろう
☆読んでくださっている方へ
ありがとうございます。
今、中国に来ていて、自分のブログを毎日見ることはできません。二週間に一度ぐらいは見られると思います。
ただしコメントが書き込まれた場合、コメントはすぐにメールで送信されてきますので、見ています。Pollyさん、匿名さん、メールで感想を送ってくださる方、ありがとうございます。
マツザキヨシユキ
あなたのあなただけにしかないものを
その素敵さを思っていたら
いろんなことを忘れてしまい
そしたら雨が降ってきた
あなたと私は
うまく別れられたかな
私はそうは思っていない
あなたはあまり気にしていないだろう
最後は笑顔で手を振って
うれしい気持ちがあふれていたけど
それが最後だったのかな
そしたら雨が降ってきた
天気のことなど気にしていなかった
あなたのことを考えていたから
ほかのことはすっかり忘れて
街路樹や花壇が美しかったから
あなたのことを思っていた
そしたら雨が降ってきた
別れに涙は似合いすぎていて
私はなおさらかっこわるかっただろうから
笑顔で手を振る雰囲気で
じっさいとてもうれしくて
あなたもきっとうれしくて
それはとてもよかったな
あなたはその後どうしているの
私はなにかに弾かれたように
空を飛んで遠くの町にやってきた
時間は過ぎていったけれど
いまからまたあのつづきもできそうで
いろんなことが
ごちゃごちゃになって混じり合い
前後不覚
倒れこむ勢いで
足を出せば前に進む
乾いた石の歩道はさっきから
ずっと続いていた
目的地を目指して歩いているんだ
そしたら雨が降ってきた
雨は歩道を濡らしている
あなたは濡れていないだろう
道を歩くと
自分の靴音が控えめな音を立てて鳴っていることに
心地よさを感じる
これは
さびしい
悲しみのリズムを刻んでいるのだろうか
小さな鳥は
私が見ていることに気づくと
首をかしげて何かを考えているようだったが
すぐに飛びたって
見えなくなってしまった
すべてのことがなかったかのように感じるのは
感傷的な心のせいだろうか
私が歩いていくと
木々や芝生の庭が
前方からやってきて
後方へと去っていく
見上げるられた
木は
角度の変化に合わせて
葉っぱが膨大な情報量の映像を浴びせかけてくる
しかしそれは
ひとときのことだ
銅像の向こうを回り
その古い建物の入り口から中に入り
学生たちの間をすり抜けて
教室に入ると
さまざまな国からやってきた
おそらくはさまざまな事情を変えた人々が
かたことの言葉や
流暢な母国語でしゃべっている
私は
日本で生まれ日本で育った
マツザキヨシユキという名前の人間だが
いまは
ソンチーイーシンだ
ソンチーイーシン
あなたは誰ですか
あなたはなにを
したいのですか