まず、箱に入れる。
透明な箱の中に。
入れたらた
「困ったこと、悩み、負の感情」。
箱を振って
混ぜてみる。
混ざらない。
もちろん消えない。
箱を開けて
マッチで火をつけてみる。
燃えた。
煙。
燃えかす。
燃えカスを指でくだいて
ゴミ箱へ。
手を洗う。
消毒。
ついでに
シャワー。
シャンプー。
トリートメント。
洗顔。
体もゴシゴシ。
鼻歌。
呻(うめ)くような。
タオルタイム(わたし流呼び名)
パウダーパタパタ。
ローション。
保湿液。
歯磨き。
うがい。
パジャマ着る。
灯りを消す前に
透明な箱。
じゃまにならないところに置く。
布をかける。
寝る。
自分にも
布を掛けて。
2011年2月28日月曜日
2011年2月27日日曜日
シャワータイム
シャワーを浴びている
シャワーを浴び終わって
扉を開けると
君がいる世界に
きっと
繋がっているだろう
と 思えてくる
シャワーを浴びていると
いつシャワーを浴び始めたのか
季節はいつか
何年何月か
混沌としてくる
シャワーを浴び終わり
タオルで水滴を拭う時
現れたてきた世界を
生きていくしかないのだろう
それでいい
それしかない
君はシャワーを浴びず
湯船で
体を泡だらけにして
半身浴をしている
微笑みかける君は
僕の手のひらに触れる
シャワーを浴びない君は
別の世界の人なのか
シャワーを浴びながら考えてみたけれど
それがいつのことだったのか
だれのことだったのか
混沌とする
シャワーよ
勢い良く
水滴を放出し
体を刺激せよ
何も考えずに
無数のアタックをさせてくれ
シャワーを浴び終わって
扉を開けると
君がいる世界に
きっと
繋がっているだろう
と 思えてくる
シャワーを浴びていると
いつシャワーを浴び始めたのか
季節はいつか
何年何月か
混沌としてくる
シャワーを浴び終わり
タオルで水滴を拭う時
現れたてきた世界を
生きていくしかないのだろう
それでいい
それしかない
君はシャワーを浴びず
湯船で
体を泡だらけにして
半身浴をしている
微笑みかける君は
僕の手のひらに触れる
シャワーを浴びない君は
別の世界の人なのか
シャワーを浴びながら考えてみたけれど
それがいつのことだったのか
だれのことだったのか
混沌とする
シャワーよ
勢い良く
水滴を放出し
体を刺激せよ
何も考えずに
無数のアタックをさせてくれ
2011年2月26日土曜日
未来 -ある朝に-
いつ始まったのかわからなかったが
周りに朝が来ていた
あなたが抱える銀色の小さなケースの中には
あなたの過去が詰まっているの?
箱にあなたと僕が映っている
耳を近付けて箱を揺すると
小さな鉄琴が
小さな音を響かせ静まった空気を揺らした
過去は美しい秘密
未来は開いた手のひらの
指の間を掠めて
床に散らばった
拾う必要はない
拾わなければ未来は
無限に降り注いでくる
周りに朝が来ていた
あなたが抱える銀色の小さなケースの中には
あなたの過去が詰まっているの?
箱にあなたと僕が映っている
耳を近付けて箱を揺すると
小さな鉄琴が
小さな音を響かせ静まった空気を揺らした
過去は美しい秘密
未来は開いた手のひらの
指の間を掠めて
床に散らばった
拾う必要はない
拾わなければ未来は
無限に降り注いでくる
2011年2月25日金曜日
2011年2月24日木曜日
あなたが見たもの
あなたの眼が見てきたものを
わたしも見たいのに
わたしに見えるのは
荒れた日照りの道を歩いてゆく
あなたの眼
あなたの姿
そして
あなたの唇を塞ぐ
砂混じりの風
あなたが旅立った訳を
あなたは知らない
知ることは縛られることと分かっていたから
あなたは自らに問いかけることなく
旅立っていった
すべてをそのままにして
あなたがわたしの前に現れたとき
わたしはあなたに夢中になった
あなたはあなたを
わたしに惜しげもなく差し出した
次々とボタンを外して
すべての服を脱ぎ捨てて
あなたのからだは
夜の中で陶器のように輝いた
触れ合った部分が熱を帯びて
しっとりと引き合った
あなたの長い脚はわたしに絡みつき
わたしの手はあなたの膨らみをおおった
あなたが見てきたものの中に
わたしも含まれるのだろうか
わたしはあなたの眼になって
見えるものを見て見たいけれど
あなたを見るわたしの眼は
何を望んでいるのだろう
眼をつぶりあなたを見る
眼をあけると
あなたはわたしを見ていないから
わたしも見たいのに
わたしに見えるのは
荒れた日照りの道を歩いてゆく
あなたの眼
あなたの姿
そして
あなたの唇を塞ぐ
砂混じりの風
あなたが旅立った訳を
あなたは知らない
知ることは縛られることと分かっていたから
あなたは自らに問いかけることなく
旅立っていった
すべてをそのままにして
あなたがわたしの前に現れたとき
わたしはあなたに夢中になった
あなたはあなたを
わたしに惜しげもなく差し出した
次々とボタンを外して
すべての服を脱ぎ捨てて
あなたのからだは
夜の中で陶器のように輝いた
触れ合った部分が熱を帯びて
しっとりと引き合った
あなたの長い脚はわたしに絡みつき
わたしの手はあなたの膨らみをおおった
あなたが見てきたものの中に
わたしも含まれるのだろうか
わたしはあなたの眼になって
見えるものを見て見たいけれど
あなたを見るわたしの眼は
何を望んでいるのだろう
眼をつぶりあなたを見る
眼をあけると
あなたはわたしを見ていないから
2011年2月23日水曜日
あなた
久しぶりにあなたの夢をみて
あなたの香りが私を満たした
寝過ごして目覚めるとカーテンの間から陽が差し込んで
部屋の中に眩しい陽だまりを作っている
一瞬 季節が分からなくなったのは
あの夏の日のつづきと錯覚したから
幸せなことだ
あなたはいないのに
いるような気がする
ブランコから飛び降りて
駆け出した
少年時代の息の乱れ
喉の奥で予感した未来の中
突然抱きしめ合うことになったあなたは
消える運命だったのか
白い2つの山が
息をするたびに小さく波打ち
愛という異人の接近を押し返していた
あなたの香りが私を満たした
寝過ごして目覚めるとカーテンの間から陽が差し込んで
部屋の中に眩しい陽だまりを作っている
一瞬 季節が分からなくなったのは
あの夏の日のつづきと錯覚したから
幸せなことだ
あなたはいないのに
いるような気がする
ブランコから飛び降りて
駆け出した
少年時代の息の乱れ
喉の奥で予感した未来の中
突然抱きしめ合うことになったあなたは
消える運命だったのか
白い2つの山が
息をするたびに小さく波打ち
愛という異人の接近を押し返していた
2011年2月22日火曜日
こえ
たすけてください というこえも
もう ききとれない
ほしのひかりが じめんにあたるときの わずかな おとよりも
ちいさくなってしまったから
あとは まぶたを いっしょうけんめいに あけて
ゆびさきを さしだして
あのひとに つたえるしかない
まだ おとなになったばかりなのに
からだがしびれ いきがくるしい
くびすじには
ははの ての やさしいかんしょくが
まだ のこっている
かがみのまえにたつと
わたしは つよいめをして みらいをゆめみていた
はしりだせば
だれもおいつけなかった
くつひもをむすび
かばんをもって
まいあさ でかけた
でんしゃの わっかに つかまって
いやほんからきこえる おんがくにききほてれていた
それが いま
わたしは
じめんに はうように よりそって
じぶんの しんぞうのこどうも いたみとしてしか かんじられない
なにかが わたしを とりのぞこうとしている
まけたくない
という ふとでた ことばが わたしに まけをおもいしらせた
たすけてください
と いってみた
じぶんにもきこえないよ と
つっこみをいれた
もう ききとれない
ほしのひかりが じめんにあたるときの わずかな おとよりも
ちいさくなってしまったから
あとは まぶたを いっしょうけんめいに あけて
ゆびさきを さしだして
あのひとに つたえるしかない
まだ おとなになったばかりなのに
からだがしびれ いきがくるしい
くびすじには
ははの ての やさしいかんしょくが
まだ のこっている
かがみのまえにたつと
わたしは つよいめをして みらいをゆめみていた
はしりだせば
だれもおいつけなかった
くつひもをむすび
かばんをもって
まいあさ でかけた
でんしゃの わっかに つかまって
いやほんからきこえる おんがくにききほてれていた
それが いま
わたしは
じめんに はうように よりそって
じぶんの しんぞうのこどうも いたみとしてしか かんじられない
なにかが わたしを とりのぞこうとしている
まけたくない
という ふとでた ことばが わたしに まけをおもいしらせた
たすけてください
と いってみた
じぶんにもきこえないよ と
つっこみをいれた
2011年2月21日月曜日
お月さん バンコンワ
心にフィルターがかかり
いつもの街の上を動き回る人々が
よく見える
自分の様子もよくわかる
夜になりライトアップされたオブジェの赤い色が
くっきりと見える
足を交互に投げ出して
歩くことができる
友だちと話すこともできる
うまく喋っているつもりでも
どこかがおっかなびっくりなところがあるが
相手のいたわりが感じられ
気を遣う
最近忙しすぎた上に
過大なストレスを抱えてしまったのだろうか
普段の流れから弾かれ
改札口で歩くことができなくなり
友だちからかかってきた電話にすがりついた
間もなくやってきた友だちは
明るい笑顔とハキハキした態度で
肩を抱えて
歩いた
カフェにはいると
きょうは何か食べたか尋ねられ
食べていないと答えた
運ばれてきたパスタを食べてみた
美味しいのかどうか、いつまで食べたらいいのか
考えた
友だちは心配していた
私も心配していた
何がどうなってしまったのだろう
やるべきことをするため
休むことにした
周りの人が助けてくれるだろう
かえっていいかもしれない
それまでよりもっとうまくいくかもしれない
家に帰り
友だちにコーヒーをいれてもらった
こんなありがたいことは初めてだ
窓の外の空に
月がこうこうと輝いていた
死んだおばあちゃんにおぶられて見た月だ
お月さん バンコンワ
コンバンワではない
おばあちゃんは何度も繰り返していた
お月さん
バンコンワ
いつもの街の上を動き回る人々が
よく見える
自分の様子もよくわかる
夜になりライトアップされたオブジェの赤い色が
くっきりと見える
足を交互に投げ出して
歩くことができる
友だちと話すこともできる
うまく喋っているつもりでも
どこかがおっかなびっくりなところがあるが
相手のいたわりが感じられ
気を遣う
最近忙しすぎた上に
過大なストレスを抱えてしまったのだろうか
普段の流れから弾かれ
改札口で歩くことができなくなり
友だちからかかってきた電話にすがりついた
間もなくやってきた友だちは
明るい笑顔とハキハキした態度で
肩を抱えて
歩いた
カフェにはいると
きょうは何か食べたか尋ねられ
食べていないと答えた
運ばれてきたパスタを食べてみた
美味しいのかどうか、いつまで食べたらいいのか
考えた
友だちは心配していた
私も心配していた
何がどうなってしまったのだろう
やるべきことをするため
休むことにした
周りの人が助けてくれるだろう
かえっていいかもしれない
それまでよりもっとうまくいくかもしれない
家に帰り
友だちにコーヒーをいれてもらった
こんなありがたいことは初めてだ
窓の外の空に
月がこうこうと輝いていた
死んだおばあちゃんにおぶられて見た月だ
お月さん バンコンワ
コンバンワではない
おばあちゃんは何度も繰り返していた
お月さん
バンコンワ
2011年2月20日日曜日
長い一週間
六角形の紙に
手紙を書き
水曜日にだした
木曜日に着いた手紙の返事は
金曜日に書かれ
土曜日に出された
月曜日
返事の手紙が届いた
七角形の紙に
誤解を解くための手紙を書き
火曜日にだした
もうすぐ一週間
手紙を書き
水曜日にだした
木曜日に着いた手紙の返事は
金曜日に書かれ
土曜日に出された
月曜日
返事の手紙が届いた
七角形の紙に
誤解を解くための手紙を書き
火曜日にだした
もうすぐ一週間
2011年2月19日土曜日
うつむく力はあるか
澄んだ空気を吸う
吐き出す空気には湿気が混じる
空気が沢山私を取り巻いている
足元には湿った路
服に身をまとい
靴を履いて
鞄を持っている
心のなかには思い出がある
思いがある
傷もある
周りにいる人の顔を見る
姿を見る
笑顔や無表情を見る
今まで生きてきた
これからも生きていく
確認するまでもないほどの
私
(うつむく力はあるか)
吐き出す空気には湿気が混じる
空気が沢山私を取り巻いている
足元には湿った路
服に身をまとい
靴を履いて
鞄を持っている
心のなかには思い出がある
思いがある
傷もある
周りにいる人の顔を見る
姿を見る
笑顔や無表情を見る
今まで生きてきた
これからも生きていく
確認するまでもないほどの
私
(うつむく力はあるか)
2011年2月18日金曜日
あした海を見に行く
あした
海を見に行こうと思う
車に乗って
愛する人と
いつか
一人で見に行こうとして
あまりの寂しさに
思わず友達を誘って見に行った海だ
その友達は素敵な人だった
海を見ると
自分が何にこだわっているのか
みえてくる
海はいつもそこひとりであるからだろう
海はその胸にあらゆる思いや夢をうけとめるからだろう
海水浴シーズンの海は
ひとでごった返している
海の家が粗末なシャワールームをかまえ
貧乏臭く水をチョロチョロ浴びさせる
シャワールームでは
人は一人で後悔に呉れ
将来を考える
ある朝
目が覚めると
なにか大事なモノがガラガラと風に飛ばされ
爽やかな空虚がそこに満たされていた
シャワーのお湯が
体を包み
空虚もそっちのけで
未来に溶かしていた
海を見に行こうと思う
車に乗って
愛する人と
いつか
一人で見に行こうとして
あまりの寂しさに
思わず友達を誘って見に行った海だ
その友達は素敵な人だった
海を見ると
自分が何にこだわっているのか
みえてくる
海はいつもそこひとりであるからだろう
海はその胸にあらゆる思いや夢をうけとめるからだろう
海水浴シーズンの海は
ひとでごった返している
海の家が粗末なシャワールームをかまえ
貧乏臭く水をチョロチョロ浴びさせる
シャワールームでは
人は一人で後悔に呉れ
将来を考える
ある朝
目が覚めると
なにか大事なモノがガラガラと風に飛ばされ
爽やかな空虚がそこに満たされていた
シャワーのお湯が
体を包み
空虚もそっちのけで
未来に溶かしていた
2011年2月17日木曜日
見るだけのわたし
怖がりな人
弱虫の人
お節介なきみ
ひとのいい彼
生き急ぐ人
苦労症の人
やりくり上手なきみ
細やかな彼女
見せたがる人
我儘な人
執念深いきみ
欲深い人
呼べばくる人
出不精な人
困り顔のきみ
笑いすぎる彼
物知りな人
人を騙す人
破天荒なきみ
謹慎中の彼
狂い咲く人
煙たい人
話好きのきみ
お呼びでない彼
嫁入り前の人
愛される人
まぶたを伏せたきみ
ただ見るだけのわたし
弱虫の人
お節介なきみ
ひとのいい彼
生き急ぐ人
苦労症の人
やりくり上手なきみ
細やかな彼女
見せたがる人
我儘な人
執念深いきみ
欲深い人
呼べばくる人
出不精な人
困り顔のきみ
笑いすぎる彼
物知りな人
人を騙す人
破天荒なきみ
謹慎中の彼
狂い咲く人
煙たい人
話好きのきみ
お呼びでない彼
嫁入り前の人
愛される人
まぶたを伏せたきみ
ただ見るだけのわたし
2011年2月16日水曜日
いつもと違う日
林の上の澄んだ空気に
月が明るく光り
降り積もった雪を集めた小山に
苦しみを抱えた人が腰を下ろす
誰の文句も受け付けない場所
息をすると恥ずかしいほど
たっぷりと白い湯気が出る
でも誰も見ていない
静かさが
包む
心配事は
氷に閉じ込める
きょうはいつもと違う日
栞の日
月が明るく光り
降り積もった雪を集めた小山に
苦しみを抱えた人が腰を下ろす
誰の文句も受け付けない場所
息をすると恥ずかしいほど
たっぷりと白い湯気が出る
でも誰も見ていない
静かさが
包む
心配事は
氷に閉じ込める
きょうはいつもと違う日
栞の日
2011年2月15日火曜日
秘書がいない
秘書が
私のからだの半分を連れて
出て行ってしまったので
自分の考えが正しいかどうか判断ができない
その半分には脳も含まれていたようだ
記憶がその分なくなり
思考力ももっていかれただろう
そのため日常の生活もままならず
高度な仕事は穴だらけとなる
チンチンも半分なくなったようだ
以前がどういうものだったのか思い出せない
知人と何があったか
何処に住んでいる人なのか
何か約束をして違えていないかどうかなど
重要と思われることが分からない
そのくせ
思い出さなくていいことが
鮮明に蘇る
秘書がここにいたときには
今日のご予定がよく分かった
物事の手配や段取りはすべてうまくいった
パスされたボールを投げれば
得点が上がった
秘書はいま何処で何をしているのだろう
半分の自分にメールして尋ねてみたいが
アドレス帳の所在が分からないうえ
自分がいるかさえも分からない
あちらからの連絡を待つために
フェイスブックに登録しておこう
私のからだの半分を連れて
出て行ってしまったので
自分の考えが正しいかどうか判断ができない
その半分には脳も含まれていたようだ
記憶がその分なくなり
思考力ももっていかれただろう
そのため日常の生活もままならず
高度な仕事は穴だらけとなる
チンチンも半分なくなったようだ
以前がどういうものだったのか思い出せない
知人と何があったか
何処に住んでいる人なのか
何か約束をして違えていないかどうかなど
重要と思われることが分からない
そのくせ
思い出さなくていいことが
鮮明に蘇る
秘書がここにいたときには
今日のご予定がよく分かった
物事の手配や段取りはすべてうまくいった
パスされたボールを投げれば
得点が上がった
秘書はいま何処で何をしているのだろう
半分の自分にメールして尋ねてみたいが
アドレス帳の所在が分からないうえ
自分がいるかさえも分からない
あちらからの連絡を待つために
フェイスブックに登録しておこう
2011年2月14日月曜日
弱さ
これ以上弱くなれないという弱さ
命の崖っぷちを歩くことができない自分
生きている価値というのはどういうものだろう
顕微鏡の中でうごめく細胞をみながら
思い出の海を捜し回る
いつから道はなくなってしまったのか
それまであったはずだった道は幻想だったのだろうか
答えてくれる者はいない
白い雪が街に降り積もる
いつもと違う街の風景
これは幻想ではなく現実なのだろうか
頼りなく指先を動かす
干からびかけた手が
誰かの意志で動いているようだ
命の崖っぷちを歩くことができない自分
生きている価値というのはどういうものだろう
顕微鏡の中でうごめく細胞をみながら
思い出の海を捜し回る
いつから道はなくなってしまったのか
それまであったはずだった道は幻想だったのだろうか
答えてくれる者はいない
白い雪が街に降り積もる
いつもと違う街の風景
これは幻想ではなく現実なのだろうか
頼りなく指先を動かす
干からびかけた手が
誰かの意志で動いているようだ
2011年2月13日日曜日
センサーが働いちゃうんだよ
感じないようにしていても感じてしまう
感度を下げられないし
スイッチを切ることもできない
センサーは心臓に直結していてそこから脳へと管が伸びている
グロテスクな形だが
いいものは案外こんなものだ
それが世の常
昼ごはんを食べる
松花堂弁当は
胃の中で混ぜ合わされ
もう松花堂弁当と呼ぶことは出来なくなる
言葉を費やし
重ね
こねくり回しても
もはや原型を求めることもできず
そのためか
道や電信柱やスレートの屋根や雲は
切り離されたままこの世にに存在できている
ジョギングのための服や諸々をまとって
そこからスタートする
中身が踊っている
風が意外と冷たく
頬が痺れる
距離をカウントする理性が
野生に思えてくる
センサーは働く
自動計算機の上に汗のつぶが落ちる
なんのために
その問いはご法度
暗黙のルールがあるからだ
感度を下げられないし
スイッチを切ることもできない
センサーは心臓に直結していてそこから脳へと管が伸びている
グロテスクな形だが
いいものは案外こんなものだ
それが世の常
昼ごはんを食べる
松花堂弁当は
胃の中で混ぜ合わされ
もう松花堂弁当と呼ぶことは出来なくなる
言葉を費やし
重ね
こねくり回しても
もはや原型を求めることもできず
そのためか
道や電信柱やスレートの屋根や雲は
切り離されたままこの世にに存在できている
ジョギングのための服や諸々をまとって
そこからスタートする
中身が踊っている
風が意外と冷たく
頬が痺れる
距離をカウントする理性が
野生に思えてくる
センサーは働く
自動計算機の上に汗のつぶが落ちる
なんのために
その問いはご法度
暗黙のルールがあるからだ
2011年2月12日土曜日
うさぎとくま
うさぎ対くまの対決が始まった
どっちもまけるな
ふわっと浮かびあがって
桃色のキック
吐息を漏らして
緑色の靄(もや)
もつれて
ふたりで
空中戦で
ぐるぐるまわる
(目だって回る)
えーい、なんだか思いたぜない
今朝の夢の続きよ攻撃
むかしの恥ずかしいことをまとめた独り言攻撃
帰宅途中の新しいLED街灯を見すぎて目が変
坂道の下に猫の死骸を発見
服が似合わない
好きな服がほつれてる
靴底は減りやすい靴屋の陰謀攻撃
少しでも高くとろうとする人気店
良品ではない無印
いやなうわさ話をする田舎の人の良さそうなおばさん
組んず解れつ
やさしい戦い
くまさんもうさぎさんもどっちもがんばれ
部屋の中で
ふたりの戦いを見ていると
自分も戦いを思い出す
負けてしまったけれど
いつかあいこにしなくては
生きている限り
まだチャンスはある
どっちもまけるな
ふわっと浮かびあがって
桃色のキック
吐息を漏らして
緑色の靄(もや)
もつれて
ふたりで
空中戦で
ぐるぐるまわる
(目だって回る)
えーい、なんだか思いたぜない
今朝の夢の続きよ攻撃
むかしの恥ずかしいことをまとめた独り言攻撃
帰宅途中の新しいLED街灯を見すぎて目が変
坂道の下に猫の死骸を発見
服が似合わない
好きな服がほつれてる
靴底は減りやすい靴屋の陰謀攻撃
少しでも高くとろうとする人気店
良品ではない無印
いやなうわさ話をする田舎の人の良さそうなおばさん
組んず解れつ
やさしい戦い
くまさんもうさぎさんもどっちもがんばれ
部屋の中で
ふたりの戦いを見ていると
自分も戦いを思い出す
負けてしまったけれど
いつかあいこにしなくては
生きている限り
まだチャンスはある
2011年2月11日金曜日
2011年2月10日木曜日
美しい背景
絵が飾られた壁
夜には照明が作り出す影さえ
光源となっている
きみの背景はいつだって美しい
例えばダウンタウンの雑踏でも
きみとの境界線のエッジがくっきりと立ち上がって輝き
背景は柔らかく後ずさりして協和し
雑多なディティールを和ませる
きみのからだは光を弾いて
瞳のグレーを吸収する
脛の直線はシーツの上で燃え残る
白い灰で焔を隠す役割を果たして
朝
白い壁に
窓からの光が反射し
きみの顔をレフ板のように明るくし
新緑の世界が宿る
きみは手のひらの上でオブジェをもてあそんで
僕に見せる
重い扉の外の世界は
きみが出現すると一瞬のうちに
背景と化す
夜には照明が作り出す影さえ
光源となっている
きみの背景はいつだって美しい
例えばダウンタウンの雑踏でも
きみとの境界線のエッジがくっきりと立ち上がって輝き
背景は柔らかく後ずさりして協和し
雑多なディティールを和ませる
きみのからだは光を弾いて
瞳のグレーを吸収する
脛の直線はシーツの上で燃え残る
白い灰で焔を隠す役割を果たして
朝
白い壁に
窓からの光が反射し
きみの顔をレフ板のように明るくし
新緑の世界が宿る
きみは手のひらの上でオブジェをもてあそんで
僕に見せる
重い扉の外の世界は
きみが出現すると一瞬のうちに
背景と化す
2011年2月9日水曜日
真面目に生きてきて
楽しむことの罪悪から逃げて
真面目に苦労してきたよ
本当は怖がりなだけ
楽しいことはたくさんあったから
という
遺書を残した人がいた
という書き出しの物語りを放り出して
ぬるい風が強く吹く街に出ていった
道行く人はみな日常の歩行を楽しんでいるようだった
私は綺麗な写真を撮ろうとデジカメを取り出して
撮影を繰り返した
信号機に目が留まった
シャッターをためらわずに押すと
赤信号と青信号が同時に灯る信号機が
モニターに写し出された
真面目に生きてきた人へ
真面目に生きてきて
どうでしたか
真面目に生きてきて
真面目に苦労してきたよ
本当は怖がりなだけ
楽しいことはたくさんあったから
という
遺書を残した人がいた
という書き出しの物語りを放り出して
ぬるい風が強く吹く街に出ていった
道行く人はみな日常の歩行を楽しんでいるようだった
私は綺麗な写真を撮ろうとデジカメを取り出して
撮影を繰り返した
信号機に目が留まった
シャッターをためらわずに押すと
赤信号と青信号が同時に灯る信号機が
モニターに写し出された
真面目に生きてきた人へ
真面目に生きてきて
どうでしたか
真面目に生きてきて
2011年2月8日火曜日
亀と猿
ハラハラドキドキ
カミツキガメが逃げ出した
いきなり噛みますので
ご注意ください
寝ている間に
噛まれた人もいます
友達を噛まれた人もいます
カミツキガメは
神出鬼没で
修学旅行の学生のカバンの中にも
入っていたことがあります
OLのかすみさんは
フライパンだと思って
火にかけて気づきました
落ちこぼれ小学生の雷太くんは
おもちゃ箱の中のブレードを取り出そうとして
亀に噛まれました
サラリーマンの小千谷さんは
帰り道で小便をしようとして
噛まれたそうです
カミツキガメの噂がもちきりとなった街に
それに嫉妬したカミツキザルが現れました
すっとんでやってきて
腕やお知りに噛み付きます
すっぽんにも噛み付きます
釜にも噛み付きます
だけれど
カミツキザルとカミツキガメは
お互いを噛まないのだそうです
明け方近くに
今日も眠りにつこうとすると
どこからか
噛み付く気配を感じました
しかし眠さに勝てず
すーっと眠りの中に落ちてゆきました
すると
一緒に眠りの世界に
落ちてゆく亀と猿を目にしたのです
カミツキガメが逃げ出した
いきなり噛みますので
ご注意ください
寝ている間に
噛まれた人もいます
友達を噛まれた人もいます
カミツキガメは
神出鬼没で
修学旅行の学生のカバンの中にも
入っていたことがあります
OLのかすみさんは
フライパンだと思って
火にかけて気づきました
落ちこぼれ小学生の雷太くんは
おもちゃ箱の中のブレードを取り出そうとして
亀に噛まれました
サラリーマンの小千谷さんは
帰り道で小便をしようとして
噛まれたそうです
カミツキガメの噂がもちきりとなった街に
それに嫉妬したカミツキザルが現れました
すっとんでやってきて
腕やお知りに噛み付きます
すっぽんにも噛み付きます
釜にも噛み付きます
だけれど
カミツキザルとカミツキガメは
お互いを噛まないのだそうです
明け方近くに
今日も眠りにつこうとすると
どこからか
噛み付く気配を感じました
しかし眠さに勝てず
すーっと眠りの中に落ちてゆきました
すると
一緒に眠りの世界に
落ちてゆく亀と猿を目にしたのです
2011年2月7日月曜日
ただなにかだいじなものをしまいたがるだけで
開いていたものを閉じるとき
そのなかにモノを収める
そのことを「しまう」というのかもしれない
閉じていたものを開き
その中からモノを取り出すとき
そのことはなんというのだろう
きみはそんなことにはお構いなしに
入れたがってばかりいるのではないのか
回転しているものの上で
行ったり来たりしながら
きみとぼくはふたりで思案に暮れる
周りにはそうした人がいっぱいだ
その人達はテーブルの影で
当然のようにお互いを握り合っている
きみは
ただなにかだいじなものをしまいたがるだけで
他のことに興味がない
ぼくはきみがしまうものを探すのに熱中するばかりだ
そのなかにモノを収める
そのことを「しまう」というのかもしれない
閉じていたものを開き
その中からモノを取り出すとき
そのことはなんというのだろう
きみはそんなことにはお構いなしに
入れたがってばかりいるのではないのか
回転しているものの上で
行ったり来たりしながら
きみとぼくはふたりで思案に暮れる
周りにはそうした人がいっぱいだ
その人達はテーブルの影で
当然のようにお互いを握り合っている
きみは
ただなにかだいじなものをしまいたがるだけで
他のことに興味がない
ぼくはきみがしまうものを探すのに熱中するばかりだ
2011年2月6日日曜日
待ち合わせ
時計のある塔の下で待ち合わせをしましょう
幾多の恋人たちがそうしてきたように
遠くに見える噴水や
石作りの回廊を眺めながら
一枚の絵の中に
私たちを美しく閉じ込める準備をして
お互いを発見したら誰もがそうするように
軽く手をあげて笑顔を見せましょう
それがきょうも始まりの合図です
いつ終わるともしれない刹那の逢瀬の
私たちは名前も所番地も捨てて
ただの愛し合う恋人同士となり
あの街並みの人混みの中に入って行きましょう
私たち自身も見失うほどお互いの中の街に溶け込むように
幾多の恋人たちがそうしてきたように
遠くに見える噴水や
石作りの回廊を眺めながら
一枚の絵の中に
私たちを美しく閉じ込める準備をして
お互いを発見したら誰もがそうするように
軽く手をあげて笑顔を見せましょう
それがきょうも始まりの合図です
いつ終わるともしれない刹那の逢瀬の
私たちは名前も所番地も捨てて
ただの愛し合う恋人同士となり
あの街並みの人混みの中に入って行きましょう
私たち自身も見失うほどお互いの中の街に溶け込むように
2011年2月5日土曜日
2011年2月4日金曜日
2010年2月4日に来た手紙
封を開ける前から手紙がサヨナラを言っている
寒い夕に届いた薄い桜色の封筒は
あなたからとびたったひとひらの花びらなのか
夜の暗いトンネルを抜け
寒い人ごみの雑踏を抜け
ポストにやってきた
ため息のようにポトンという音を響かせて
封筒は季節を映して色を変えてきた
まるで映画の予告編みたいに
これからのふたりの未来を見せようとしていたのか
最後の手紙はいつもと同じブルーブラックの宛名
よく似合う花の切手にあなたの地名
なんど行ったことだろう
何度行くことだろうと思いながら
寒い夕に届いた薄い桜色の封筒は
あなたからとびたったひとひらの花びらなのか
夜の暗いトンネルを抜け
寒い人ごみの雑踏を抜け
ポストにやってきた
ため息のようにポトンという音を響かせて
封筒は季節を映して色を変えてきた
まるで映画の予告編みたいに
これからのふたりの未来を見せようとしていたのか
最後の手紙はいつもと同じブルーブラックの宛名
よく似合う花の切手にあなたの地名
なんど行ったことだろう
何度行くことだろうと思いながら
2011年2月3日木曜日
スキを狙って
私の値段は幾ら?
とても大事なことなのに
そのシステムの中で自ずと価格が決められてしまう
自分には抱えられないほど
大きくて小さな私なので
私の価値はさまよう
キスをする時は別世界が入ってくるので
伸ばした手に引っかかった紐を指に巻き付け
それを頼りに戻れるようにするけれど
有効かどうかは分からない
戻った場所が元の場所なのか判断がつかないからだ
相手はなにを考えているのだろう
いつも少しだけ興味を持つ
でも尋ねる術が思いつかないので
なるがままいる
私の名前はキミという
私がキミなんて
たまにこんがらがる
どうでもいいことだが
何か深い意味があるのだろうか
たぶんないだろう
幽霊を見たことはないが
私は幽霊のようにあなたの前に現れる
初めて私を見たあなたは眼を輝かせて
落ち着きなく紳士を気取る
または気取りなく話しかけてくる
私はあなたの指の一本を握り
半分を自分のために使おうとするけれど
ごちゃごちゃになって
何人もの私が現れるので
結果はわからずじまいだ
私には価値があるとみんなが言う
私もそう思う
私はやりたいことをやる
そのためにやりたくないこともやる
ただ たまに
その二つは入れ替わる
私の許可なく
私が忙しいスキを狙って
とても大事なことなのに
そのシステムの中で自ずと価格が決められてしまう
自分には抱えられないほど
大きくて小さな私なので
私の価値はさまよう
キスをする時は別世界が入ってくるので
伸ばした手に引っかかった紐を指に巻き付け
それを頼りに戻れるようにするけれど
有効かどうかは分からない
戻った場所が元の場所なのか判断がつかないからだ
相手はなにを考えているのだろう
いつも少しだけ興味を持つ
でも尋ねる術が思いつかないので
なるがままいる
私の名前はキミという
私がキミなんて
たまにこんがらがる
どうでもいいことだが
何か深い意味があるのだろうか
たぶんないだろう
幽霊を見たことはないが
私は幽霊のようにあなたの前に現れる
初めて私を見たあなたは眼を輝かせて
落ち着きなく紳士を気取る
または気取りなく話しかけてくる
私はあなたの指の一本を握り
半分を自分のために使おうとするけれど
ごちゃごちゃになって
何人もの私が現れるので
結果はわからずじまいだ
私には価値があるとみんなが言う
私もそう思う
私はやりたいことをやる
そのためにやりたくないこともやる
ただ たまに
その二つは入れ替わる
私の許可なく
私が忙しいスキを狙って
2011年2月2日水曜日
2011年2月1日火曜日
帰り道
夜道をゆっくり歩いて帰っていく
パンの袋を破ってパクつきながら
空にはお月さん
通りの向こうにはコツコツ音を立てて急ぎ足の女
間をバイクが通る
私はそろそろすり足気味で歩く
手にコンビニの袋揺らして
コンクリートで覆われた橋を渡る
パンはおいしい
部屋についたら灯りをつけて
暖房をつけて
トイレに入る
トイレには綺麗な神様がいるから
だれかがそういっていたから
そのあとは
眠くなるまで起きていたら寝る
それまでの間に何が出来るか
眠った後にすることよりいいことができるか
パンの袋を破ってパクつきながら
空にはお月さん
通りの向こうにはコツコツ音を立てて急ぎ足の女
間をバイクが通る
私はそろそろすり足気味で歩く
手にコンビニの袋揺らして
コンクリートで覆われた橋を渡る
パンはおいしい
部屋についたら灯りをつけて
暖房をつけて
トイレに入る
トイレには綺麗な神様がいるから
だれかがそういっていたから
そのあとは
眠くなるまで起きていたら寝る
それまでの間に何が出来るか
眠った後にすることよりいいことができるか
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