2014年3月31日月曜日

きょうの印象

空の裂け目から血が滲んだような濃いオレンジ色の〈別の空〉が
私たちを覆い尽くそうとしている
もし一瞬でも覆われてしまえば
すぐさま窒息してしまうだろう

澱んだ湖がその空を映して
湖底深く抱え込んだマグマを混ぜ合わせようとしている
企てが地上のそこここで
虎視眈々と実行されようと狙われている

この世に冒険者がいなくなってから
ただ人は冒険者の模倣品を繰り返し送り出し続けている
それなのに
ひとは希望を抱くことさえ
いつのまにか拵えられた前世紀の柵の中でしかすることができない

空が群青色に移行し
地上を見下ろす無数の瞳が現れる
だがひとはそれを見ながらも気づくことができない
発せられたコトバは
翻訳され他国にも通じるコトバだ

幼児がテキストブックを開く
何かを知るためではない
知ることから遠ざかるために
幼児は学びの時間に沈んでゆく

もう救うことはできない
どんな手を差し伸べても
手は枯れた細く頼りない草の茎でしかなくなっているから

2014年3月30日日曜日

森のなかの会社

会社は3階建てで森のなかにある
上空から見ると正方形のタイルのようだ

そこには101人の人が働いているが
その内31人は別の会社に在籍している

建物の外装はコンクリートの打ちっぱなしで
内装もごく簡素であるが
間仕切りはしっかりとしている

1階から3階まで
見通しのよい幅広の階段でつながっていて
1,2階の階段踊り場からは下のフロアの突き当りにある正面の入り口を
ほぼ見渡すことが可能だ

会社にはめったに最終ユーザーたる顧客は来ない
そのためビルには立派な玄関はなく
ビルの正面のガラス扉を開けると
すぐにデスクワークをしている社員たちを見ることができる
当然受付嬢が着席している受付のようなものはない

私がいるフロアは3階だが
3階は大きなコモンスペースが中心に陣取り
それを取り囲むようにワークスペースが配置されている
コモンスペースはフレキシブルにその姿を変え
あるときはイベント会場に
またある時はプレールームに
またあるときは何の変哲もない日常的な会議室となる

建物の柱は皆コンクリートがそのまま露出していて
均等に整然と立っている
すべてのフロアの天井高もまた統一されていて
4メートル50センチメートルである
故に時折いま自分がどのフロアに居るのか
錯覚のため分からなくなることがある

建物の外周は
無人のプロムナードとなっていて
その美しさには誰もが驚愕する
柱の間に見られる風景は
緑を湛えた森と芝生の庭である
道はなく
そこだけが孤島のようであることを誰もが感じる

初夏をまえにしたその日
私は詩人の御徒町凧を招いて3階のコモンスペースで
夜を徹しての詩の朗読会を主催していた
すでに会を終え二人は何人かを伴って
私のワークスペースで思い思いの飲み物を手にしながら
詩についての話をしていた
その時
パイプスペース脇の物置から私を呼ぶ声がして
私は一人そこへ入っていった

中には物干しロープが張られ
私がきのう洗濯した洗濯物が干されていた
柱に取り付けられた配電盤を開けると
そこにはエアコンのスイッチがあり
私はそれを右にひねり
壁から突き出ている通風ダクトから勢い良く吹き出し始めた熱風に
洗濯物を押し当て乾かすことに全神経が集中していった

御徒町凧は階段を降りていった
私は何事もなかったようにもう案内している
「このフロアのこの辺りは提携会社の社員の人たちが仕事をしている」
などど自ら計画し実現したことを説明する
朗読会を終え朝のビルの中から感じられる外の気候は
この上なく爽やかだ
このビルで働く人の男女比は女子が約8割と多い
男は恋愛の誘惑の香りを感じ心がざわめくのが普通だ

社長
と呼ぶ声がした
御徒町凧と私は振り向いた
そこにはなんと
おかちめんこの仮面をかぶった
あの噂の美人秘書が立っていたのだ

2014年3月29日土曜日

ならないくちぶえ

くちぶえが
うまくふけない

あなたは
うまくふけるのに

でも
それはきらいなところ

くちぶえふくより
くちびるふさいで
ちからをこめて
だいてね

なみのように
ただよわせ
そらに
うつして

わたしは
ならないくちぶえで
きみを
たたえるから

2014年3月28日金曜日

春が

世間の隅っこにいるけれど
ここは世間の隅っこの真ん中

世間は賑わっているけれど
ここは世間から一番遠い場所

だれもが世間へ出かけていって
友をみつけて笑顔を見せ合う

世間の隅っこの真ん中には
だれもやってこない

世間の隅っこの真ん中には
一足早く
だが 静かな春がやってくる

2014年3月27日木曜日

やきもち

やきもちをやいても
いいですか

あなたをひとりじめ
したいの

それはわるいことではない
それはすてきなこと

だれかとあなたをわけあうなんて
ふじゅんだわ



やきもちをやいて
くれませんか

わたしをひとりじめ
してほしいの

それはきゅうくつなんかじゃない
それはかんじること

このむねのほのかなかおりを
おぼえてほしいの

2014年3月26日水曜日

トリは

トリが木の実をついばみます
ぼくはなにをついばもう

ぼくはケーキをついばみます
トリはなにをついばむの

トリはシュークリームを
ついばみます

ぼくはトリが大好きです
トリはだれが好きですか

2014年3月25日火曜日

みらいのともだち

ともだちが
そのともだちの
そのまたともだちの
うわさばなしをしている

うわさばはなしを
されているのは
ぼくがあったことがない
ともだちのともだちのともだち

ともだちのともだちにも
あったことがないから
ともだちのともだちと
ともだちのともだちのともだちとでは
どちらがいいともだちになれそうかは
わからない

だけどきっと
とのだちのともだちや
ともだちのともだちのともだちなら
きっとともだちになれるだろう

ともだちとはいいもんだ
ぼくはむねがあつくなる
あったことがないともだちのことをかんがえると
きっと
あったことがないともだちも
あったことがないぼくにあいたがっている

かぜのうわさでつたえてよ
ぼくのうわさばなしを
ついでに
だれもしらないみらいのともだちに

2014年3月24日月曜日

ぼくの頭に巣をつくって

ぼくの頭に巣をつくって
鳥が住みついた
朝から賑やかでしょうがない

友達は
うらやましいという
いい効果音だね とも
ぼくがなにを考えているっていうんだ

そうか
蒼い空に
なにか忘れ物をしてきたっていう
あの 詩人が言っていたやつ?

鳥は巣を出て行ったり
戻って来たり
おい そこでなにか食べるのは
やめてくれないか

人の悩みなんて
こっけいだね なんて
どこかでうわさ話してきたのかい?

ほら
月がのぼってきたら
もう おやすみ
あしたはぼくが

たたきおこしてあげる

2014年3月23日日曜日

樋口くん 結婚の日に

なぜか光ってるね
樋口くん
なぜ光ってるんだろう
樋口くんの顔
なぜか光ってる
樋口くんの目

なぜか目立っているね
樋口くんの筋肉
なぜか少し変だね
樋口くんの話
なぜか面白いね
樋口くんといると

樋口くんは
見ているね
人やものごとを
樋口くんは動じないね
ちょっとのことでは
樋口くんは
何が好きなの
樋口くんが好きなもの
変わってるよね

なぜか人が寄ってくるよね
樋口くん
なぜかいい仕事をするね
樋口くん
なぜかひとを驚かせる
樋口くん

人生の晴れ舞台ってどんな気分?
わりといいせんいけちゃってる
なんて
思ってる?
きょうはおめでたいね

みんなが驚き
ほっとして
うらやましくなり
自分も頑張らなくちゃって
思ってるよ
そして樋口くんから
幸せのおすそ分けをもらって
案外 いつも
もらってばかりだな
なんて 思ってる

樋口くんはそんな人
いつも
与えてもらうような顔をして
なにかを
与えてくれる人

ありがとう
お礼を言いたいことに
いま 気づいた
でも
あんまりイイキになるなよ

2014年3月21日金曜日

封筒

封筒の中に
何が入っているのか
思い出せない

それは
見たことがある
よく知っている封筒

封が外れかかっている
でも
凛とした封筒

誰が何をいついれたのか
分からない
それを誰が知っているかも
忘れてしまった

でも
ここにある 封筒
私がここに来る前から
ここにあった

静止した風が
出てきたがっているかも
知るよしもない
隣人に不利な何かが
入っているのか
信心深い人を喜ばす何かが
入っているのか

見ていると
目眩さえしてくる
四角く視界をふ塞ぎ
静かにたたずむ
封筒

2014年3月20日木曜日

あなたは きっと 帰ってこない

いつもあなたがいたキッチンに いまも
あなたがいるような気がして
見てしまう 何度も

でも そこに あなたはいない

いつもあなたに注意された 悪いくせ
あなたに見られたようなきがして
ハッとして 振り向く

でも そこに あなたはいない

あなたは ほんとうに
いなくなってしまった
どこかへ いってしまった

私は あなたを
待つことはできない
あなたは
帰ってこない

あなたの気配を
まって
生きていくだけ

2014年3月19日水曜日

よごれたおとなには ぜったいならない

ゆきだるまが
おこっていたのは
つくったひとに
みすてられたから

ゆきだるまだって
ずっと
おもっていてほしい
つくったひとに

そんなこと
ぼくにだって
わかる

つくったのは
おとな
せけんをわたり
よごれてしまった
おとな

ゆきだるまは
おしえてくれた
あんなおとなに
なっちゃいけないと

ぜったいならないよ
ぼくは
つくったものをだいじにする
おとなになる

あんな
よごれたおとなには
ぜったいならない
そして
よごれたおとなに
いつも
きみのことを
はなしてあげたい

帰り道が待っている

帰り道が待っている
少し表情を暗くして

帰り道に足を踏み入れる
来たときの足跡をチラ見して

帰り道は家へとつづく
それはいつも変わらない真実

帰り道で寄り道しても
また帰り道に組み込まれる

帰り道を逆に歩いて
帰らない勇気はまだない

いつも帰り道が待っている
凡庸が顔を現す
けれども すがりつきたい毎日がある

2014年3月18日火曜日

わごむ いいきぶん

わごむひいて
あのこのせなか
ねらってあてる
ごめんね あてて

てくびにはめて
ちをせきとめる
だれかにじまん
したくって

たくさんつなげ
ごむとびしよう
ぱんつのごむも
ひきいれて

こわれたふたを
わごむでとめて
がっこうへいく
いいきぶん

2014年3月17日月曜日

Lover

むっつりがおが
かわいいね
おこったしぐさが
しんせんだ
ほおづえついても
えになるね
ないてすがるの?
スヌーピーに

あっさりしてて
さびしいよ
だまったままは
かなしいな
わらうのこらえて
おこりがお
あまのじゃくだね
マイ・ダーリン

2014年3月16日日曜日

そのときもきみは

私が疲れて帰ってきて表紙をひらいても
きみはため息をつかない
居住まいを正して
八百屋がトマトやごぼうやレタスを並べるように
活字を並べている

きみは愚痴を言わず
飽きることもなく
同じ話を
どこからでも
話してくれる

だがきみは 表紙を閉じると
話すのをやめてしまう
その表紙を誰かが開けてくれるのを
ひたすら待っているだけだ

この家にやって来たとき
きみは私のかたわらで
幸せそうにしていた
私の不幸と釣り合って
私に居場所を支えてくれた

私はきみに何ができただろう
愛を注いだことはあったが
旧い昔の恋人のように
思い出の中にしまい込み
たまに取り出してみるだけだった

そして
きみのページの間に
映画の半券をはさみ
どんよりと雲がたれ込めた日に
きみをテーブルの上に投げつけた

そのときもきみは
怒りもせず
ただ表紙を再びあけてくれるのを
待っているだけだった

2014年3月14日金曜日

くやしいときは

くやしいときは
なみだかくして
おおきなこえで
わらうのさ

くるしいときは
そとにとびでて
だいすきなもの
にらむのさ

さびしいときは
あまえたことば
きいてもらおう
ののはなに

2014年3月13日木曜日

ちんこ

おとこのこは
ひそかにちんこを
おもってる
ともだちたちの
ちんこのことをよくしっている
おとこのこは
ひそかにちんこをくらべている
いいちんこには
いいじんせいがまっているから

おとこのこは 
ちんこにいっしょうをささげる
だからちんこをほめられるとしあわせで
けなされるとふしあわせだ

おとこのこはちんこを
ぴかぴかにみがきあげ
なんどでもみつめる

ちんこにじしんがもてないこは
ちんこいがいでじしんをもてないか
いっしょうけんめいかんがえる
そんなことには
とうのちんこはおかまいなしだけど

あるひちんこはたびにでる
すきなあなをもとめて
ながいだびにでる
おとこのこは
おずおずとついてゆく

そして
あるひ
ちんこから
こういわれる

「きみはぼくより
   りっぱなにんげんだろうか」

すると
おとこのこはきまって
うつむいたままこうこたえる

「ぼくはもっとりっぱになる
   きみがいてもいなくても
   へいきなくらい」

ちんこはだまってきいている
ちんこには
ともだちがいなかったから

おとこのこは
そんなちんこを
ふびんにおもう
ちんことは
もちつもたれつのかんけいだ

ぱぱのちんこが
ゆめのなかでかたっている
ちんこのことは
あまりきにするなと
どんなちんこをもっていても
にんげんはじぶんのじんせいが
じぶんでつくれるから
ちんこにかんけいなく
いいじんせいが
まっているから

2014年3月12日水曜日

ちえのわ

ちんこがぼうちょうして
そらをみあげてた
ぼくはそれをむりやり
ぱんつにおしこんで
がっこうへかけていった

おんなのこのおっぱいが
あるくたびに
ちいさくなみうって
すかーとが
ゆれて
なかからぼくをさそっている

ぼくはちんこで
おいでおいでする

ぼくのからだは
おんなのこに
むいている

こんなにはなれているのに
くっついてはなれない
ちえのわみたいに

2014年3月11日火曜日

わすれずに なはがさいた

わすれずに
なはがさいた
かわいくて
きれいなはなだよ

わすれたのは
ぼくのほう
はなびらにとじこめた
さびしいそらいろ

はながあわく
かおってる
なつかしい
いいかおりだよ

あわくおもう
ずっとまえのこと
となりにいたのは
いまはいないひと

2014年3月10日月曜日

しんだひとのいのち

せんそうでしんだひとが
からだをぬけて
おもいでもすてて
ひかるたまになって
とんでゆきます

そのちいさなたまは
めにみえないほどちいさい
ひかりのつぶで
できています

ひかりのつぶはじぶんでひかっているようにみえますが
たいようからふりそそぐひかりをうけて
そのちからでひかっています
しかし
もしひとにみえたとしたら
それは
はんしゃしたひかりのほうです

せんそうでしんだひとは
せんそうをしたくないおもいで
せんそうをしていましたが
しんだとたんに
どうでもよくなってしまいました

いろいろなものをすてると
とてもらくになって
てきだった
しんだへいしも
もういっしょにはなねをのばして
わらいながら
ひかっていましたから

2014年3月9日日曜日

やったもんがちのよのなかは

やりたいことをやりたいときは
やりたくないことやらなきゃいい

やりたくないことやるときは
やりたいこともやればいい

やりたいことと
やりたくないこと
たまにいれかえてみるといい

やったもんがちのよのなかは
やりたいことと
やりたくないこと
どっちもやらなきゃはじまらない

2014年3月8日土曜日

なにがおやすみ?

たびびとは
たびをするのは
おやすみ

ままは
しょくじのしたくは
おやすみ

ねこは
ひげをじまんするのは
おやすみ

くもは
あめをふらすのは
おやすみ

さなぎは
ようちゅうがそだてるのは
おやすみ

うみは
なみをキラキラさせるのは
おやすみ

ぼくは
しゅくだいをするのは
おやすみ

きみは
きょうなにが
おやすみ?

しじんは
しをかんがえるのは
おやすみ

2014年3月7日金曜日

ミントティーを
入れましょう
きょうのお客は
かわいいこ

グラハムクッキー
添えましょう
風が吹いて
雲間から太陽

銀のスプーンで
混ぜましょう
指輪もいっしょに
回ります

涙はこっそり
こぼしましょう
いないないばあ
ひとりあそび

2014年3月6日木曜日

ね きんぎょ

あのひとがかえってくると
また でていってしまうのがしんぱい
ね きんぎょ

あのひとがでていくと
また かえってくるのがまちどおしい
ね きんぎょ

そんなことをくりかえしているうちに
こんがらがって わからなくなってしまった
ね きんぎょ

あのひとがいるのといないのと
どっちがしあわせなんだっけ

ね きんぎょ

2014年3月5日水曜日

きいろいくまさん

きいろいくまが
わたしをみつけると
きのうえから
とびおりてきた

うでをくびにまきつけて
みみもとで
なにかいっている

ぐしゃ ぐしゃ
ぎゅう ぎゅう

なにを
いってるのか
わかりません

わたしは
にんげんかんけいで
なやんでいるので
かまわないで

じんせい
おもいどおりに
いかないことばかり

きいろいくまさん
にたっ
と わらって
とびさった

あらら
おとしもの

きんいろの
ちいさな
ひかる
うんこだよ

2014年3月4日火曜日

きれいなこころを つむひとに

きれいなおはなを
つむひとが
きれいなこころも
つんでいた

きれいなこころを
つまれたひとは
かれたじんせい
おくってた

きれいなこころを
そだてるひとに
きれいなこころが
あふれだす

きれいなこころを
つまれたひとに
きれいなこころを
あげました

2014年3月3日月曜日

ことばでうまくいおうとすると

ことばでうまくいおうとすると
こころがひろがってゆく
こころでうまくうけとめようとすると
やさしいまなざしになる
やさしいまなざしでといかけようとすると
あいがふかまってゆく
あいをふかめようとすると
ことばをかけたくなる

きみのくちびるが
ちいさくうごきだして
こえがおくれて
こまくをたたきにいく

つきのきれいなしずかなよるに
なみおとのように
くるかえす
きみのといきが
ことばをはこんで
よるがそこだけ
しんとしずまりかえった


*みちるです。ことばってやっぱり、魔力が備わってしまうことがありますよね。詩はその魔力を使った芸術です。

2014年3月2日日曜日

おかねのことばかり きにしているおとこ



おかねのことばかり
きにしているおとこがいた
おとこはちいさなおかねを
あつめるのがすきだった

ちいさなおかねを
ながいじかんかけてあつめると
むらのひとびとをしょうたいして
えんかいをやった

だがむらのひとびとは
おとこのきげんがわるいことをしっていた
そこでおとこのきげんをとって
もてはやした

おとこはふくざつなきもちだったが
やがて
またおかねをあつめはじめると
きもちはおちついた

おとこはおかねをあつめるために
おおくのものをぎせいにした
それがおとこのじんせいだった

おとこがしんだあと
のこされたおかねは
にょうぼうがうけついだ

にょうぼうは
かなしみもかんじたが
よろこびのほうがおおきかった

おかねのことばかり
きにするのは
にょうぼうのほうが
いちまいうわてだったようだ

2014年3月1日土曜日

ろうそくのほのお

ろうそくの
ほのおのかたちは
つぼみのかたち
これからはながさくのかな
わたしが
ふーっといきをかけたら
へんなゆがんだかたちになって
どこかにとんでいっちゃった
とうめいなマントをきて
しろいけむりのせんをのこして