2010年10月31日日曜日

館内放送

ミミー マーガ サン さん
モーガ チチ トルノ さん
いらっしゃいましたら
クソレタッ イ レプス 広場で
シンケウコ ヨグウ の皆様がお待ちです
至急 お越しください

2010年10月30日土曜日

みなさんごめんなさいのトークショー

1

式次第

会場のみなさんに謝ることを告げる
お詫び
世間から奪ったもの
お詫び
世間に対するなめた考え
お詫び
会場のみなさまに与えた苦痛について
お詫び
自分の行動についての反省
お詫び
いまと今後の自分の行動
お詫び
みなさまに自分ができること
お詫び


2

みなさんごめんなさいトークショーは
あやまってばかり

あやまってばかりでは間がもたないので
言い訳を語り始める
言い訳は聞きようによっては
お詫びよりおもしろい

あやまってほしい人は
話者が一通り話し終えると
聞きたかったのは
お詫びではなく
その経緯でもなく
自分に対する気持ち
でもなく
その気持ちに対する思いであるこを知る

トークショーは
夜を徹してつづき
いつ終わるともしれない
話者は改心しているが
性格は変えようがない
話は巡り
同心円を描きながら遠ざかっていくが
時々同じ道を辿る


3

みなさんごめんなさいのトークショーは
入場は無料
訪れた人が満足できるかは
主催者は自信が持てないでいる
それでも
主催者はいたるところで
どうしても開催したい

お詫びをしたい気持ちが
なにかを産むと信じているから

お詫びをされたい気持ちをもって生きる
苦しみを手にした日
世間が振り返って見せた
不敵な笑い顔を見てしまったから

2010年10月29日金曜日

トタンの屋根にトトトタン

ペットボトルの紅茶を腰に
ナイキエアーの靴底で
ワーキングシェアで生じた休暇に
ピクニック気分の小旅行

電池が心配アイフォーン
音楽聞くのはウォークマン
電池を食うぞノイズキャンセラ
押してはいけないこのボタン

ルンルン ラルラル
トトトタン
トタンの屋根に降るものは
雨粒でなはなく落ち葉でもない
誰かが降らせた最終兵器

2010年10月28日木曜日

消し忘れた灯(ひ)

街にLEDの明かりが灯る
無数の星
お店の中で揺れるキャンドルの炎
瞳に映る灯
白い歯の表面で輝く光

眼を閉じてみると
そこにもある
金星のチラチラと揺れる紅い光
青白い月光
ピアノの鍵盤に反射する朝日
椅子の背中に乗っている光の粒子

そのなかで
僕が灯した光が
今も
輝いて見える

君にこっそりともした光
君の指で輝く
イミテーションの宝石

2010年10月27日水曜日

月の香

目が覚めていくとき
固まってしまうだろう

季節の風が運んでくる感覚
何回めぐってきたのだろう

今はもういないあのひとの香り
浸みこんでとどまるように祈ったけれど

月のない夜に観た
思い出の中の月はほのかに赤かった

不吉と絶頂の予感が繰り返し
やかんの水が煮えたぎる音だけがして

通奏低音が鼓膜の奥でなっている
自分はどんな譜面の上を進むのか
誰の意思で
いつまで

2010年10月26日火曜日

香里奈

好きなドライフルーツはイチジク
噛むと奥歯で小さな粒が潰れて音がする
その音がたまらない
他にないその音
その歯ざわりも

田舎のスマートな女
革のジャケットがよく似合う
細くまっすぐな脚
前髪から覗くロマンティックな瞳
形のいいくちびる

そんな香里奈にも
太刀打ちできないライバルがいる

小峰だ

2010年10月25日月曜日

気づくともういない

気づくと
イヤホンをして
きみが坂をのぼってくる
リズムよく大胆な歩幅で
僕を見つけたからだろう

僕もきみに向かって歩き出す
早くきみの体に触れたいから
きみはイヤホンを外して笑顔を投げてくる

春の日差しを感じた
バスが騒音をまき散らして登ってきたけれど
僕たちの前を通りすぎると
もう僕たちはいなくなっているのさ

紅茶にスプーンが入れられて
くるくるかき回す
真昼の喫茶店にたばこの煙が漂い
誰かが入ってくる音がする
すると
もうそこに
僕たちはいないのさ

2010年10月24日日曜日

自分への伝言

泣く泣く僕も空を見る
というフレーズが
空に消えて行く

消えて
なくなってしまえ

いらないものから逆に見捨てられ
しがみつく

何々のように
と比喩を言って受け流すのは
止めにしたら

まとまる筈ないよ
デスクトップは狭いんだから
それに何世代も前の年代物

大事にしたってたかが知れている
広い空にならすてられる

やり直した人生の失敗作だって
これからの未来だって

いきてていいよ

いつか旅先で見つけた花
いきてていいよ
いきてていい
いきてていいよを
いきてていいよを
いきていよいよ
いきていよいよ
いきていきて
いきてえいきてえ

生きてていいよ
生きてていい
生きていい世を
生きていい夜を
生きていよいよ
生きて居よ居よ
生きて生きて
生きてえィきてえ

2010年10月23日土曜日

とてもいいわ

(とてもいいわ

そう言われて
舞い上がった

(とても素敵

あっ、また、ほめられた
ナマでこう言われるのはいい

短いヒトコトなのに
地球だって持ち上がりそうだ

(なんでもできるね

そんなことないけど
そんな気さえしてくる

(ひとりでなんでもできるよ
(あなたひとりで

2010年10月22日金曜日

花びら

小峰が大事にしている花
ベランダで咲いている綺麗な花
いつだったかてんとう虫が茎を登っていった
きっとその細い足に
水の流れを感じていたのだろう

小峰は別の流れを感じていた
花びらを染める鮮やかな色の流れだ
茎を伝わるうちに
見る見る変化していくその色は
花托に到達すると同時に
その花びらの色となる

そんなことは理科の時間には
習わなかったけど
小峰はそう信じていた

何かを思い
合わせて握られた手のひらの中で
息づいていた
小峰の思い

しっとりと熱い
愛のような 
愛でない なにかのような

2010年10月21日木曜日

不足

きょうは指たちがやる気ない
キーボードを叩いても
愚痴ばかりしか出てこない
ビタミンが不足しているのか

月の光に訊いてみたら
反対に叱られた

何をいってるの!
ビタミンじゃないわ
愛情が欠乏しているのよ
愛錠で補いなさい

ところで
それがどこで売っているのか
月の光も
どこ吹く風で
教えてくれない

誰に電話したら
教えてくれるのかな

2010年10月20日水曜日

帰宅

帰り道の不真面目な月
きょうはその位置で合っているのか

腕を振って歩くことが
力をくれる
車の音が遠ざかる
家は暖かく
何気なく迎えてくれるだろう
テレビが笑わせてくれたり

すぐ脇を
追い越す自転車
倒れろ と念力かける

きょうは つかれた
はりきりすぎた

一歩ごとに近づくドア

一歩ごとに遠のく
やさしい友

2010年10月19日火曜日

おっとこれは泥のついた一万円札か!

おっとこれは泥のついた一万円札か!
この封筒の金はつかわずにおこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この祝儀袋の三万円もつかわずにおこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この通帳の10万円はつかわずにおこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
このお守りは大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この掛け軸も大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この本も大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
このグリーティングカードも大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この写真も大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
そうおもってこれも大事にしておこう
おっとこれは泥のついた一万円札か!
いいやこれは泥のついていない一万円札だ
(あってよかった。)

2010年10月18日月曜日

塀の向こう

ぴにょーん ぴにょーん
おまちかね
またまたやってまいりました
ぴにょーん

トランポリンは良い道具です
塀の向こうがよく見える

新しい塀 古い塀
垣根も 白壁も 砂壁も
勢いつけて ひとっ跳びです
ぴにょーん

自分の体の重さだけを使って
気になるあのひとの 塀の向こう
プライバシーだって
勝手気ままにのぞき見します

それはダメダメ
イケないこと
なんて言わないで

深いわけがあるのですから
それは人を助けるためなのですから

ぴにょーん と跳ぶと
塀の向こう 芝生が見える
家が見える
中では君が倒れている

わたしは
ぴにょーん
それを発見して
救急車を呼ぶ
病院に連れて行く

ピーポー ピーポー
ピニョン ピニョン
ピーポー ピーポー
おまちかね
またまたやってまいります
お邪魔でしょうか
塀をこえたら
よくないですか

2010年10月17日日曜日

無関係な自分

睡眠障害になりたくなかったので
気にしないことにした
朝と夜がどう過ぎようと
眠気や気だるさがいつ襲って来ようと
僕とは無関係
ということにした

毎日同じ夢も見るし
さまざまなバリエーションの怖い夢も見るので
それに
起きていても厄介な妄想や気分の抑揚が激しいので
僕は無関係
ということにした

僕のことは僕には無関係
僕は日記にそう記し
関係ない僕に時々日記を書かせた

詩を担当している僕は
僕を現実の社会に連れ出そうとする
しかし無関係な僕はそれを夢の中のこととして始末しようとする
僕は怒り僕を問いただす
しかし僕は答えず
反対に質問をしてくるありさま
僕は途方に暮れてあきらめる

僕は何を思い何をしようとしているのか
僕はだれに頼まれて僕を運営しているのか

そうして
疑問は置き去りにして
時間が流れたり逆流したりして転がっていく

時計が転がっているのではなく
中身の針やら数字やらがまわっているだけなのだ
きっとそうなのだ

推敲しながら

このブログは公開されている日記のようなものです。毎日書いた詩は、しばらくすると読み返して推敲します。なかなか思うようにいかないものも少なくありません。
黒糖ジンジャーソーダ

2010年10月16日土曜日

三姉妹

一番上のお姉さんが一番美人
二番目のお姉さんが一番かわいい
三番目のわたしは個性的でチャーミング

一番上のお姉さんはしっとりした名前
二番目のお姉さんは弾けそうな名前
三番目のわたしは個性的な名前

一番上のお姉さんは英語が上手
二番目のお姉さんは料理が上手
三番目のわたしは踊りが上手

一番上のお姉さんはほっそりしてる
二番目のお姉さんはぽっちゃりしてる
三番目のわたしはふつうの体系

一番上のお姉さんはハードな生き方
二番目のお姉さんは平凡生き方
三番目のわたしは思いつきで生きる

一番上のお姉さんは結婚に失敗
二番目のお姉さんはもうすぐ結婚
三番目のわたしはもうすぐ出産

一番上のお姉さんは夢を追う
二番目のお姉さんは現実を追う
三番目のわたしは夢見て生きる

一番上のお姉さんは二番目をかばう
二番目のお姉さんは三番目をかばう
三番目のわたしは一番上をかばう

一番上のお姉さんは6歳年上
二番目のお姉さんは4歳年上
三番目のわたしはいつも年下

一番上のお姉さんが夕日を見てる
二番目のお姉さんは日向ぼっこ
三番目のわたしは月食に祈る

「みんな しあわせ
 いつまでも
 みんな 
 別々
 いつまでも」

2010年10月15日金曜日

いつも聴こえていた

耳を澄ますと何が聴こえる?

雑多な日常の音たちの向こうに
いつも聴こえているその音
きっと
巡り合えるだろう

音は鳴って
語りかけている
音は
耳を傾ける者のためにある

しかし
音は
操作することはできない

音は 
救命ロープみたいだ

底なしの闇に落ちても
いつの間にか地上にいるのは
そのせいだ

今夜

耳を傾けてみないか
息を 殺して
しじまのような呼吸に

音は
近づいてくるか
遠ざかっているのか
確かめて

2010年10月14日木曜日

燃えよ! キャンプファイヤー

燃えろよ 燃えろ 炎よ燃えろ
と 歌いながら
炎と 皆の顔と 星の出た空とを
かわるがわる見て
何かに酔いしれていく

嫌いな子も 嫌な先生も
今は 一緒でいい
不揃いな歌声も
かえって 素晴らしいと思ってしまう

僕たちに たしかに過去はあったけれど
嫌な過去は この炎にくべて
今を照らせれば役に立つ
そのままもっていても役には立たないから

炎を囲んで 皆で歌い踊る
太古の精霊も混じっているけれど
ほとんどの人は気づかない
でも気配は感じているはず

おしゃべりには魔法がかけられ
明日の朝にはほとんど消えてしまう
ただ大事な約束は10年後に思い出すらしい
嫉妬や皮肉は消えにくいから残りかすが出るらしい

炎は太陽より強く 心に何かを焼き付ける
影絵のような気持ち 
メルヘンのような不思議な夢
記憶のしおりのような
炎がつくったページになる

やがて 
炎は消され
友だちは 皆 帰っていく
もう ここに集まることは二度とない
ただ 思い出すことはできる
その時
ここで君は 何を考える?

僕は 君のことを考える
この僕の思いを
いまでも 燃やすことができるか考える
そして
精神を集中してみるのさ

2010年10月13日水曜日

僕ら

敵はいない
いるのは味方だけ
君が正しく生きて行けば

外にでよう
おそれることはない
きみが自分を信じていれば

呼びかけよう
とても大事なことを
何回でもあきらめずに いつも

語り合おう
僕ら 向かい合って
夜明けが夜を押しやるまで

2010年10月12日火曜日

煮え切らない思い

煮え切らない思いをかかえたまま
旅に出る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

煮え切らない思いをかかえたまま
部屋へ帰る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

煮え切らない思いをかかえたまま
旅に出る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

2010年10月11日月曜日

sign

そのひとのことを思うとき
目の前は涙で滲み
辺りは水の香りで一杯になる

じっさいに泣いているわけではない
涙の思い出があるわけでもないはずだ

しかし
そのひとのことを思うとき
その笑顔はさびしさに輝き
笑い声は風鈴の音のように止むことがない

手をつないで遠出をして
初めて眺めた夕暮れの景色
旅先の部屋で勢いよくボタンをはずす指
夜の迷路ををさまよいながら
目をつぶって遠くの音を聴いた

鏡の前に立ち
ツーショットの具合を確かめると
また向きあった胸と胸
そこに激しい嵐の予兆が打ちよせたのだ

朝はあっけなくやってきて
地平線が煙り
すぐに二人は互いを見失った
探すこともままならない

それからどう季節が流れたのか
思い出せず
目を上げるとそこには部屋の白い壁があり
一通の手紙が届いた
カレンダーを見ると
20年の年月が過ぎていた

そのひとは
いま
新しい土地に出発しようとしているという

ぼくは 小さくサインを出してみる
2人へのサイン
何のサインかは自分にも読み解けない

2010年10月10日日曜日

しましまの(パールホワイト)

しましまのよる
うずまきのもちーふ
しるくのしーつ
するするするつーる
ぴかぴかのかーぶ
りっしんべんのべんつ
つきあかりのりんく
すべすべするちーく
すりすりしてたーん

2010年10月9日土曜日

胸の ここに

なつかしい声の響き
いつか聴いたことのある

美しい光の反射
夜の深い湖の中にある

こころ時めかせる初めての香り
鼓動を高鳴らせ体温を熱くする

しっとりとすべる感触
巻きついては離れるレースのような

つなぎとめる細い紐
絡むことなく巻きつくこもとなく

それらが一つになって
ここに 胸のここに

胸のここに とどまり

2010年10月8日金曜日

秘書の階段

秘書とタワーに上る
階段で

どうしてこんなことになったのか
覚えていない

ドアに向かう社内の廊下では
秘書は前を歩く
階段では社長が前を歩く

でも疲れると
社長は秘書に前を歩くように命じる
秘書は訳もきかず今度は前を歩く
昇っていく

秘書はハイヒールに
ストッキングの足を心地悪そうに突っ込んでいる
でもすべてをかなぐり捨ててただ歩く
社長がヒーヒーと疲れて愚痴を言う
秘書は頑張らなきゃだめですよと声をかける

秘書は若くよく体を動かしている
社長はしょっちゅう椅子に座って煙草を吸いコーヒーを飲む
だから階段においては社長のほうが不利だ

足がもつれれば怪我をすることにもなる
途中でやめるには
階段を下りなければならない

汗の玉が落ちる
階段の掃除をする人のことが頭をよぎる

秘書は後ろを気遣うようにしながら
容赦なく昇っていく

社長は秘書を制止する
肩に手をかけて
秘書の一段上に倒れるように昇ると
今度は自分が先に行くという

呼吸を5回ほどすると
スローペースで昇り始める

秘書はそのペースに合わせて
二、三歩遅れてついてくる
秘書が持つ鞄には
秘密の書類

社長の後ろからついてくる
秘書の体には正しさが満ち溢れ
秘密の書類は秘書を超えて
どこまでも昇ろうとしている
階段の先の その先までも



http://www.liftec.net/

2010年10月7日木曜日

初秋に書いた詩

雨の滴が

住みなれた 窪地の家々を濡らす
中学校の校歌を濡らす
靴の底と 先端をぬらす
隠しておいた想い出を濡らす

雲り空の明りが

盆地を照らす 空家になった犬小屋の屋根を照らす
落ち葉が溜まった池を照らす
元気ハツラツ と書かれた看板を照らす
黄色い 止まれ の文字を照らす
誰もいない野外音楽堂を照らす

遊んでいる声が

へいに反響する 電柱に反響する
開かずの扉に反響する
玉虫の背中に反響する
放課後の音楽室に反響する
盲人の鼓膜に反響する

コスモスの色が

夕日と仲良くなる 日没と仲良くなる
見つめる瞳と仲良くなる
花びらに触れる唇と仲良くなる
血のついたハンカチと仲良くなる
浅い眠りの夢想と仲良くなる

初秋の詩は
いつまでも着地せず
中空を漂う

2010年10月6日水曜日

月見

僕は45歳
もうすぐ46歳
毎年一つずつ年齢が上がってきた
僕のうち
どれだけが昔の僕なのかわからない
細胞としては
もうすべて入れ替わってしまっているだろうから
勝手にバトンタッチして
僕の存在を守ってきたのだろう
それが余計なことかどうか
そう問われれば 余計だと言いたくなる
けれどそう言ったところで
これからも今までと変わりなく
細胞は再生し
自分は守られていくのだろう
細胞を誰かに明け渡そうとしたこともない

僕は生れてから45年と11カ月
それを秒でいうなら……どこかのサイトで便利に計算できるはずだが
僕の元となった精子や卵子はもっとまえに生まれた訳だし
さかのぼれば何億年生きてきたことやら
へその緒が懐かしい
今まで僕につながってきたへその緒を全部つないだら地球を一周するだろうか
これじゃ長すぎて縄跳びさえできないね
いや ひょっとしたらした奴がいるかもしれないけど だれか調べられないか?

僕が愛した人数十人 いや数百人かもしれない
なぜ愛したかわかる人 数人
愛とは何かわかる人 ???
僕の今の立場
ホームレスに親近感を覚える
ちょっと孤高を気取る
サラリーマンにして自由人にして見栄っ張り
夢追い人で一風変わったメタボレーゼ

過去に出した自分の詩集 10冊ぐらい
書いた詩の数 1000ぐらい
これから書く詩の数 1年に400×(死ぬまでの年数-5)+50くらい

昔好きで今も好きな女性 あり
今好きで昔嫌いだった女性 なし
小学校の先生に結婚すると予測された年 45
予測された相手の年齢 うんと若い
実際 兆候なし

趣味 実益を兼ねるもの
本当の趣味 実益を兼ねないもの
家族 父が2年前に他界 その他は健在
自分 不健全であるが健在
モットー 正直に明るくひとが喜ぶことを
生活方針 先送りしない(なるべく)
実際 ほとんど先送り
夢 夢を持ち続け追いかけること
使命 信じてくれた人を幸せに

住居 アパートの2階
若葉コーポ

昔から若葉は好きでした
今日の夜ごはん パン、ハム、バター(バター成分が30%のマーガリン)
好きなこと 好きな女性と交際 旅行 デジカメで撮影(自分撮りを含む)

仕事 一生懸命頑張ってやっていた ※大事なものを守れなかった経験あり

きょうは一人で秋を感じるお祭りの日にした
帰ってきてから
1パック105円の団子を窓辺に置いて
ススキ代わりのグアムのまじない人形を飾り
空を見上げた

そこに月があってもなくてもよかった
何度も観てきた月を思い出して 空に重ねることができるから
細胞の記憶をたどれば
愛する人の網膜にも入ることができそうな気がした
そうすることで
自分の思いの波にも乗ることができそうで
それで祭りは盛り上がれそうで






この詩をアップしたら下↓のような広告が出た。びっくり。




  • 聖心再生医療センター
    将来の疾患や若返り治療に向けて 自分の細胞を凍結保管
  • 2010年10月5日火曜日

    杓子定規な私

    先生の言う事をよくきく優等生
    制服があるおかげでお洒落は楽
    文学で男女の恋愛をよくまなび
    インターネットで擬似体験する
    小峰はこのさき正しく生きます

    2010年10月4日月曜日

    新聞連載詩 未来4

    「未来の手のひら」  マツザキヨシユキ

    皺だらけの手を見ていると
    安心だ

    その手は
    いろんなものを触って
    強さを蓄えてきたから

    生まれたばかりの日
    その手は
    差し出された人差し指を
    力強く握った

    以来 
    その手は
    差し出された いろんなものを
    握ったり
    握らなかったりしてきた

    父が買ってきたおもちゃ、ドアのノブ、どんぐりの実
    リレーのバトン、消えていく雪の粒
    恋人の湿った手、去っていった人の袖のボタン
    あげればきりのないほどのものたちだ

    指先は敏感で
    いろんなものの感触も確かめた

    きょう
    皺だらけの手が
    生まれたばかりの命に触れようとしていた

    未来へと育つ小さな手が
    もうすぐ去り行く人の人差し指を握り締めた

    いつかも そんなことがあった
    そのまま
    しばらく開くことのなかった小さな手のなかに
    残ったもの

    メッセージ☆
    赤ちゃんと年寄りは実はとても近くにいるということを誰もが感じているでしょう。
    たとえば二人が視線を合わせているとき、とても濃い交流が何かの形でなされているのではないかと思えてなりません。秘密の暗号交信のように。
    輪廻というのがあるかどうかは分かりませんが、生まれてきた命というのは、すべてを見透かす無垢の目を持っている、・・・いや、実はもっとも老成した種の生命そのものの視点をもっているということなのかもしれません。年寄りから赤ちゃんに伝えることがあるとしたら、人類の未来のための使命、とでもいうべきものでしょうか。

    2010年10月3日日曜日

    窓越しの猫

    へいの上に猫がいる
    こちら側と あちら側
    猫は 両方 見えるだろう

    へいの向こうでは
    蛙が 池に 飛び込む
    こちらでは 豆腐屋の自転車が
    通る

    へいとは 関係ないところで
    子供の はしゃぐ声が する
    もぐらは
    もうじき 目を覚ます

    電話を切った 女子高生が
    涙を流して 泣いている
    猫は ちらと 後ろを 振り返る
    遠くで 汽笛が鳴って
    街に響き渡る

    猫は 足音も立てずに 歩き去る
    きょうもまた
    私が残される

    2010年10月2日土曜日

    心の波は寝息になって

    屋根を取り払えば
    まんてんの星が瞬いている
    みんなそれぞれ必要なものを
    カバンに詰め込んでやってきた
    それは夢の焚きつけにつかう
    燃料みたいだ

    ぼくはラジオを持ってきた
    いつも自分の部屋で聴いている番組を
    きょうは周りの友だちを気にしながら
    ちょっと自慢気に聴くのだ

    なかなか周波数が合わないが
    ノイズの波の向こうに
    見え隠れするいつもの声

    星も何かのメッセージを発しているのだろうか
    壁を何枚か隔てた所には
    みんなと同じ布団を敷いて
    小峰が寝ている

    同じ星の天井の下
    同じ星の同じ場所で
    寝息はモールス信号のように繰り返し
    未来のメッセージを伝えようとしている

    2010年10月1日金曜日

    あいまいなわたし

    世間は
    あいまいなことであふれている

    そのほうがいい と
    みんなが 言う

    そう言う みんな は
    オトナ と呼ばれている
    呼ぶのはオトナである

    ところで
    山の中腹にある
    自然公園
    (中腹というのが どの辺りなのか
    なんという山であったかは
    あいまいだが)
    そこに
    かもしかが 数頭いた
    その かもしかは 
    なぜか クリスマスになると
    商店街に 駆り出された

    いい 鴨になった
    とは思わない
    だって
    かもしかは
    喜んでいたかもしれない

    しかし
    もしかしたら
    かもしかは
    疑問だらけだった
    かもしれない

    自分は誰なのか
    トナカイと 同じなのか
    そうなのかもしれない
    でもすべては
    うそのうえに成り立っているのかもしれない

    首を傾けて
    澄んだ目を空に向けて