2012年7月31日火曜日

弱い心を

強い心はどうやってできますか

それは苦しみの芯の周りに
降り積もる雪が
固まったものなのでしょうか

それとも
優しさが引き寄せた
砂鉄ですか
枯れたと思われた土地から
突如目を吹きだした新芽ですか

強い心は弱い心を助けますか?
強い心は
くじけた時
卑しい心と仲良しですか
夜空に見える星とは
友だちのままでいられませんか

私の弱い心は
強くなることができますか
何度やり直しても
いつまでやり直し続けでも
構いませんか

自分の弱い心に
訊いてみるけれど
心は答えをはぐらかします
追い詰める方法を
誰か知りませんか?

知っていたら
私の心に教えてください

2012年7月30日月曜日

あなたについてわからないこと

地球上のどこにあなたはいるのか

あなたがどれだけ背伸びして何かを見つけようとしても
あなたの出っ張りはGPSに測位されることはない
あなたが電波を発していないのは
あなた自身がそれを断ち切ったから

あなたは地球上を走り回り
いくつかの言語や記号を巧みに混ぜてしまう
そのためにあなたの言語はあなたの香りを強く放っている

あなたの声はまた
複雑な音源を混ぜることなく
ピュアなか細さで構成されている

たから私は
いつも何をどうやって
あなたと近づき結び合っていいのかわからない

2012年7月29日日曜日

問われていないのに話し始める

そんなに隙間なくうめなくたっていいものをあさっての予定
このへんのタクシーは暑くても窓を開けているんだ暑いな
COSTA COFFEEはここにもたくさんあるがスタバよりいいCOFFEEの文字もあるし
1971年生まれだって私より若い
夜の街に吸い寄せられ何か吸い取られなければいいが
どの街でも街は同じ店が進出してくるなくなる店もあるが
彼女はどんな将来ビジョンで毎日暮らしているのだろう私にはない
ホテルに帰ろうきょうはそこが私の故郷
地下鉄のアナウンスの女に惚れたいつか巡り合って確かめたいことがたくさんある
私には誰かに聞かれ答えるべき回答がない用意していない都いう意味ではなく

2012年7月28日土曜日

あさってはやってくる

あさってはやってくる
あしたがやってきた
そのあとに
あしたにも
あさってはやってくる
あさってがやってきた
そのあとに

そうして
100年後も
1000年後も
その次の日のあさっての
前の日に
あさってはやってきて
いるだろう

2012年7月27日金曜日

あしたからがんばります

あしかからがんばる
(*_*)
ふしたからがんばる
(*_*;
ふはあのとなり
あしかはあしのこうほ
(*_*;
jzx@g9d8g
みなれたこれはまつざきよしゆきのいちの
えいじ
めは?
これなに?
6q@yb@→おだんご
おたんこなす
あしたからがんばります

2012年7月26日木曜日

3枚羽根の発電機

3枚羽根の発電機が
空気を切り裂きながら
欲望を仕分けしながら
唸っている

その唸りをBGMにして
海は波を寄せ
風は来るべき時間を連れてくる

ぼくは
ここにはいない人のことを
さっきから思っている

その人の笑顔は
甘えた声でいつまでも
何度でもぼくに
話しかけてくる

3枚羽根の発電機が
ぼくを切り裂きながら
愛を仕分けしながら
唸っている

ぼくもまた
唸りをあげて
夜の夢を先取りして
淀んだ空を塗りつぶす

星が1つ見え始めた浜には
3枚羽根の発電機が
この星の灯りを瞬かせている

2012年7月25日水曜日

私船

もう死にたいと嘆いている夜は
全く死にたいとは思っていない
だから必死に生きる途を探す
夜空と朝焼けが交わる河原あたり
過去と未来の渡し舟の上真夏の静止した風に



Facebookで連載

Facebook で写真家野口勝宏さんと毎日Collaborationしている「福島の花」シリーズ。

縁側にて

真夏の午後に
縁側に腰掛けて
熱いお茶を飲んでいる人
鮮やかな緑色の湯が
喉を通過して行く
蝉の鳴き声が響く

さっきまで
お茶を飲んでいた人は
何処からやって来て
何処に行ってしまったのか

かすかなぬるい風が
縁側を廻っている

夕方の太陽は
ほどなく
真昼の太陽を押し出し
空を橙に染めるだろう

何もかも
我が身に起こることは
お茶を飲んでいた人と
すべてが同じこと

縁側は黙って
軋むだけ
樹の葉を移して
黒光りして
この夏も熱されている

2012年7月24日火曜日

そこはあそこ

次々と建物が建つ
そこに
次々と透明な塔が建つ
そこに
時が経つ
そこに
居なくなった人々が立つ
そこに
友達たちの裸体が立つ

私は後悔を隠さない
懐かしい思い出を
そこに遊ばせる
ラジオやら電話やらの電波が
そこに
留まることはなく
鳥の影さえ
通りすぎてゆく

階段を逆から昇る人
足音を吸着するフィルムを
回収するゴミ収集車

そこは
そこにいるひとにとって
あそこ

あそこは
彼らの中心

誰が発しているのかわからない声が
くちびるの奥で
君の名を呼んだ

2012年7月23日月曜日

宇宙人

さっきから猫を撫でてかわいがっている人は
半分 猫に成りかかっている
本人は気づいていないらしい

猫も 四分の一ほど
ヒトに成りかかっている

二つの生き物が
歩み寄り
混ざり合い
お互いの中に入っていくことは
よくあることだ

猫とヒトとの境界線に
夕日が沈み
星が輝きはじめる

私はその星を見て
六割ほど
宇宙人に成りかけている

2012年7月22日日曜日

友達と私は

野菜を作っている友達は
やや黒い
詩を書いている私は
やや白い

友達はやや痩せていて
私はやや太っている

太陽は友達を毎日長い時間照らし
エアコンの風は私に毎日長い時間吹く

友達と私はだいぶ違う
私は友達とだいぶ違う

私が考えている時
友達は夢を見ている

2012年7月21日土曜日

もうすぐ目薬を

目薬をさしてあげよう
愛する人よ
水晶を抱えたコーヒー色の瞳が好きだ

綺麗な円を描き
外側に広がっていき
やがてぼんやり白昼のもとに消えていく瞳
境界線からは陽炎が立ち上っている

瞼を閉じた瞳も好きだ
睫毛とともに動きやがて震えながら静止する


瞳を包んだ瞼は
こんもりと丘を作り
光沢のある黒曜石やガラスの粉が
表面で光っている

嬰児を孕み
予感の胎動を
扱いきれずに
放出している

睫毛は筆とは違う
瞼と瞳の間に
決まりごとを作っている
私は
そのあたりを含め
すべてが好きだ
大好きだ

2012年7月20日金曜日

目撃者

たとえば
すべり台の途中で
世界がわたしの前から突然溶けて
なくなって
独りだけすべり台の途中の位置に
取り残されてしまったら
一緒にいたあなたは消え去った世界で
何を頼りに生きていけばいいのだろう

あなたのことがいつも心配だ
私のことを忘れてしまう
あなたは私のことを
忘れているのではないか

とある午後
私はあなたに鍵をかけて
その鍵を飲み込んだ

あなたの中に誰も出入りできず
あなたがさらわれても
誰も気づかぬように

ただ私だけが
それを目撃していた

2012年7月19日木曜日

木の子ども

木の子どもは
父母(ちちはは)に抱(いだ)かれて空に顔を出す
笑顔の表面は
つややか

風も
やってきた小さな虫も
滑ってしまう

木の子どもは
父母に抱かれてオトナになる
清々しく薫る
花を咲かせる

誰も
その花に
見惚(みと)れないものはいない

木の子どもは
もう子どもではなくなった
だが笑顔は
あの日のまま


(李先生に)
分度器な気分がするぞ

2012年7月18日水曜日

あなたは私を無視しないの

信じてよ 私を
信じないでよ 私を
私に言われて変えないでよ あなた
私に言われて変えてよ あなた
あなたに抱かれたいの 私
あなたに抱かれたくないの 私
立ち入ってこないでよ あなた
立ち入ってよ あなた
しらけた顔で見物しないでよ 私たち
しらけた顔で見物してよ 私たち
雨が激しく降ってきたじゃないか 心の中
雨が激しく降ってきてないじゃないか 心の中
すべては私を飲み込まないの 死ぬまで
すべては私を飲み込むの 死ぬまで
あなたは私を無視するの 昨日から
あなたは私を無視しないの 昨日から

2012年7月17日火曜日

うえからものを

うえから ものをいうひと
したを みている

うえから ものをいわれるひと
うえを みている

うえから ものをいうひと
したしか みない

うえから ものをいわれるひと
ひろいうちゅうが ひろがっている

2012年7月16日月曜日

ぶんかいま

やきなす
やきな



きなこ

きな

こまったな
こまつな

こま
つた


まわり
ひまわり
まり

ひま


まり

なつのよ
つのよ


よの


りくつづき
りくつずき
くつ
つづき

くすりづけ
すりつけ

つけ



けつろん
けつろ
ろん

んろ

2012年7月15日日曜日

悲劇

崖は斜めに切り立っている
あなたの髪の生え際もまた
斜めに切り立っている

鳥は
どちらを目掛けて
降下したらいいのかわからない
という悲劇
と喜劇

日直

集中して聴いているのに
いくら聴いても分からない授業がある

簡単な足し算や
ちよっとした婉曲話法
誰もが知ってる当たり前の法則が
一箇所にまとまって何かを相談しているだけだ

いわば
私には関係ない事か
または
もともと私を欺こうと企てられた事なのか

水飲み場で
いじめる相手を待っているのは
いじめっこなのだろうか
関係ない人なのだろうか

休み時間のチャイムは
教室の大きな時計と
少しずれているが
それは
放っておいて大丈夫なのだろうか

音楽室から
ピアノの音と
歌う声に混じって
うめき声が聞こえてる

おお
ミステリー
僕らはますます集中力を空中で弄んで
巻きつけて
手首の血管を止めようとしている

何か不都合があれば
日直に言ってくださいと
きょうの日直が言っている
その日直がまずい
明日の日直のほうが
きょうの日直より
まっすぐに立っているから

2012年7月14日土曜日

おなかがすきました

おなかがすきました
「おなかがすきました」というシールを
胸に貼っておきたいくらい
いつもおなかがすいています

これは人類にとって
たいへん厄介な問題です
おなかがすくということは
食べなければならないから
食べなければならないということは
食べられてしまう側の命を奪うということだから

命を奪うということは
自分にその価値があると信じるいうことだから

ぼくはおなかをすかせて
頭を抱え込む
頭をかかえこんで
おなかを鳴らす

自分にそんな価値は見当たらない
人はぼくに価値があると
思ってくれているのだろうか
親や友だちは思っていてくれているだろう
仕事のパートナーもそう思っていてくれているだろうか
世間はどうだろうか

ぼくはおなかをすかせて
頭を抱え込むことしかできない

そうしているあいだにも
おなかがすきました
「おなかがすきました」という刺青を
背中に彫っておきたいくらい
いつもおなかがすいています

おなかがすくことから
逃れることはできないのでしょうか
食べ過ぎておなかを壊せば
もうたべたくなくなるでしょうか
いいえだめです
またすぐに食欲というものは復活を果たすでしょう
リバウンドして
ますますおなかがすいてしまうでしょう

もやは八方ふさがりです
八方焼きです
八宝菜です
たべたいです
おいしいものを
自分を生き延びさせる価値があると信じて

あなたは食べますか
食べ続けますか

あなたは食べていいとおもいます
ぼくはあなたに生き延びて欲しいです
あなたは生き延びる価値があると思います
食べられてしまう側の命より

だから生き延びて
ぼくに手本を示してください
そしてできれば
ぼくの価値を教えて欲しいのです
生きていっていいかどうかのその価値を

2012年7月13日金曜日

ホーホケキョ

変わり者だとうわさされ
誰も近寄らないあなたの
やさしさを私は知っています

普段はどんな服を着ているの?
初めて出会う人がいつも私に尋ねてくる

青空とは別れたわ
曇が好きなの
台風みたいに饒舌な人はキライよ
微かに葉を揺する夜風が最高ね

太陽が消え去ろうとしている
別れを惜しんで空が真っ赤に染め上げられる
想い出があなたの前に現れ
夜の闇が悪戯をそそのかす

楽しげな話には首を突っ込まない
出来上がった物語は
ドラム缶に突っ込んで燃やしてしまう

トンネルから夜の電車が飛び出すとき
ウグイスの鳴き声を重ねるあなた
ホーホケキョ

2012年7月12日木曜日

手のひらの町

君が手の指を立てて
手のひらで囲った小さな町には
雨が降るとフナの稚魚が泳ぐ
ベッドの上でカメラのレンズを見つめる瞳は濡れて
華奢な体がワンピにつつまれている
大胆な胸のカットからつややかな肌を現し
その肩がなめらかに見るものの視線を
滝つぼに誘い落とす

君はだれにとっての君なのか
君は私に君と呼ばれて何を考えるのか
柔らかい日差しの差し込む過去のある日のベッドの上で
君は答えなど持っているはずもなく

2012年7月11日水曜日

詩を書いていた

昔 毎週3編 詩を書いていたんだけど
一つは ラジオで朗読する用
一つは ブログに載せる用
一つは 雑誌に載せる用

ターゲットが決まっていたので
幸せな気分で書いていた
書く際の留意点を自分で決めて
それに添って書いていた

その時書いた詩は
残っているものもあるが
なくなってしまったものもある
会社がつぶれた時に
人に迷惑をかけてしまうんだからと
処分される机やパソコンと一緒に運びだされるのを
気配だけ感じながら見送った

詩は埴輪のように
黙って笑い土に埋まっただろう
僕の中には
幸せだった感覚がまだ残っている
凍えそうになったときは
その残り火に手をかざして
体が冷えきってしまうのを防いでいる

やることがある
人のためにやることがある
もしやらなければ
また自分の書いた詩を見捨てる


2012年7月10日火曜日

あなたと出会ったたとき

石造りの街であなたに出会ったとき
私は別の人と一緒でした
あなたはひとりで
何をしに来ていたのでしょう

オープンカフェで昼下がりに
穏やかな季節の風景を眺めながら
蜂蜜を絡めてこんがりローストしたフォアグラの
サンドウィッチを片手に
私は遠い街で出逢った別の人のことを考えていました

私の連れは舞踏会に行く準備がしたいと
そそくさと食事を終えて
ホテルに帰ってしまったのです

あなたは再び現れて
私の目の前をとぼとぼと通りすぎて行きました
とぼとぼと

その牧歌的な雰囲気に
私はいいしれぬ可笑しみを覚えて
思わず顔の筋肉を
映画スターのようにキュートに締めたのです

それからあなたのことを
しばらく考えていました
なんとなく
いろんなところで出会い
挨拶を交わし
すれ違ったあなたと私

いつのまにか夜になって
私は石の外壁の周りを回りこんで
舞踏会の会場に連れと行きました

シャンパングラスとワイングラスは
こうも様々な種類の優雅な線と輝きを
描いているものなんだと感心していると
そこに銀の皿でカナッペをサーブして回る
あなたが現れました

階段の上の壁には
ライオンの彫像が貼り付けられています
私は笑顔を作って
舞踏会をこなし
部屋に帰りシャワーを浴びると
ベッドに倒れ込みました

そこにはあなたが居たのです
なんということか
連れはあなただったのです

2012年7月9日月曜日

権利がない私

私には香りのいいおいしいお茶を飲む権利がない
私は水道の水を冷やして飲むから平気
私にはJRとメトロを乗り換えて目的地に行く権利がない
どちらか一つに絞っても行けるので平気
私には医者で健康診断を受ける権利がない
暴飲暴食をせず睡眠をとっていればたぶん平気
私には道の真ん中を堂々と歩く権利がない
道はたいてい端っこをおどおど歩くと安全なので平気
私には焼肉屋に誘われても一緒に行く権利がない
もう誰も誘わないので肉は牛丼屋で食べるし 平気
私にはカビたパンを捨てる権利がない
カビを削ってしまえばほぼ元通りのパンなので全く平気
私は穴あき靴下を捨てる権利はない
穴あき靴下は空いた方だけ靴磨きに使えばいいので平気
私には期日通りに電話料金を支払う権利がない
電話が止まる前にハガキが来てコンビニで支払えるので平気
私には結婚して子どもを作る権利がない
たとえ権利があっても結婚して子どもを生む相手がいないので平気
私には他人にはある様々な権利がない
でも何とかやっていっているので今のところたぶん平気

2012年7月8日日曜日

スターバックスという

スターバックス
コー ヒー

コー コー コー
ヒー ヒー ヒー

スターバックスと
コーヒーは別れ
コーヒーの 葉とコーヒーの 実は
さよなら し 慣らし

鳩と 富とは
コーヒー飲みと はとこ とは
一緒にいない
コー と ヒーは 離し合う
手と手 権利と管理を

スター と バック ス
コーヒーも別れ
その名がなくとも
珈琲店と判れば

後ろから 前から トモダチは
やってきて確信をつく
うそをつく
木をつつく のは きつつき
傷つのは グラスとコップと
炒られたナッツ
入れられた夏
無理矢理に入れられた膣
入れられたナッツ
夏に入れられたnuts

濡れられたnutsペンギンマークのnuts
nutsマークのペンギン
銀色のペン
ペンの形のnuts
nutsの形のペン
ペンの 先っちょのスター
ペンの先のmoon
moonのとなりのスター

後ろのトトロ
とろろ飯のトトロ
ロートルのトロロ
トロッコのスター
とろとろのスター

Tバックのスターバックスのスタジャン
ペニンシュラの
サマーの通り雨
イースターのスター トースター

の の の
ヒー ヒー ヒー
ノーヒー ノーヒー
コー コー コー
ノーヒー トーヒー

離された
コー ヒー
スターバックス
なにはなくとも 友もなくとも
珈琲店には
コー ヒー なくとも
泣くとも 無くとも

2012年7月7日土曜日

必死に生きているのに

必死に生きているのに
なぜ自分は生きているのかと
問いかけている人は
いませんか

雨が石段の苔を潤して
上空でカラスが
けたたましく啼いている
カラスは答えてくれない

無風のせいで
蒸し蒸しする
この世は巨大な盆地
山の向こうに幸せの塊があり
それが溶け出して
人に注ぎ込むと信じている

必ず死ぬというのが必死の意味?
空気は風になることなく立ち止まっているが
答えてはくれない

心が盆地のくぼみにはまって
もがいている
居心地が悪いのだろう
くぼみを揺すりながら
息をする

手足だけでも外に出せれば
心地よく動けるだろうか

上空でカラスが
けたたましく啼いている

福島の花+詩 Facebookで連載


2012年7月6日金曜日

ピーナッツが好き

懐かしいヒッピーの香り
さっきまでそこでマリファナ吸っていたのかな?
腰に入れたtattooは気にいってる?

川と道が交わるところに
一体誰が橋なんぞ作ったのだろう

森の上にある月を眺めて
聴き古した曲をかけて
踊るんだね
踊っているかどうかも
もう分からない
途中からは相手と舌を絡ませていたし

しっとりと
時間は湿って流れている
風よりも時間のほうが
軟かい

あなたの背骨は
くねっている?

チグリス・ユーフラテス川の岸辺
乾いた靴音で歩いて行く学者
澤登博士は
ピーナッツが好き

2012年7月5日木曜日

てれ - ビジョン

てれ
ビジョン

電磁波浴び
遠くを見る
試合
刃物を持ち
新しいヒカリエの
柔道場
厚い畳は沈みやすく湿りやすい

母は寝顔を覗いた
美しい夕焼け

家に忍び込もうとする
暴漢
ハニービー

ハエ ビー

生き残ったほうが勝ち
刃物を持った闘い

女武闘戦士
Marukoは白い胴着
黒い帯

2012年7月4日水曜日

大人びた小学生に教えてほしい

大勢の大人びた小学生たちが
古い小学校の校舎を改装したホテルに
無言で宿泊している
(無言というのはそういう印象だということだ)

いつから泊まり始めたのか
なぜそこに居つづけるのか
誰も疑問を差し挟むことは出来ない
(きっとそれは宇宙の真理に由来する現象に違いないから)

小学生たちは
大人社会の事情をすでに飲み込んでいるためか
黙々とやるべきことをやっている
自らの性的な行為さえ自らの判断でコントロールし
揺るぎない確度のもとに行なっている
(小学生たちは大人の事情を
すでに凌駕する行動理念と方法を獲得していたのだ)

大人である私が宵の口の時刻にそこを訪れると
昇降口の辺りにもまだ小学生たちはあふれていて
遊びとも仕事ともつかぬことを楽しげにやっている

私は大人びた小学生たちが
一見して幸せに暮らしていることを悟り
おおいに驚いた
大人は幸せと縁遠い社会を作り
作るべきもの目指すべきものが見えず
試行錯誤に苦しんでいたから

小学生たちは
大人対子どもという対立軸からさえも自由に
現実を受け止めている

私は学者の中沢新一と一緒に
次の選挙について
選挙事務所の候補場所のカフェで落ちあい
打ち合わせし物別れに終わってここにやってきたところだった

小学生たちは
大きな鍋で夕餉の支度をしている
私はそれを一緒にいただいて
これから自分がどうするかについて
小学生に学んで
結論を得ようと考えている
私がいま望んでいることは
間違っていないのだろうか

小学生たちが整然と食堂に向かい始める
私もあとについて食堂に入っていった

2012年7月3日火曜日

旅人

ある日 あるときに
同じ土地を 訪れている人の
眼差しは
優しい

いつか どこかで
きっと 出逢ったたことがある
見たことがある

湧き水の まえで
ペットボトルに 水を 注ぎ入れている
かがんだ 後ろ姿は
かわいい

葉を茂らせて 覆いかぶさっている
大きな樹の上に 青空があり
雲が こんもりとして 漂っている

いつか こんなシーンがあった
そのシーンに
私は 入っていく

一枚の絵に
私は 描きこまれる
その絵を
誰かが見つけて
見入っている

懐かしい家の
揺り椅子の前

2012年7月2日月曜日

山盛りごはん

山盛りのごはん
食べるのだ
ごま塩とたまご
チェリートマトと一緒に

冷たい水を飲み
一気に
味わうことに集中して
よく噛んで
食べるのだ

何も考えずに
のどごしを楽しみながら
元気に生きるために一心不乱に
食べるのだ

食べ終わったら
眠るのだ
灯りを消して
明日のことなど考えずに
体を休め
心を鎮め
眠るのだ

2012年7月1日日曜日

帰る場所がない

何に憧れて
何を手に入れようとしていますか
それとも
もう憧れは
わすれてしまったの?

初めて経験したとき
ドキドキして
すごいね! と思ったことが
いまは誰も見向きもしない

いま
あなたは
どう思う?
初めての経験した時の感動のこと

答えを聞くまで
きょうは帰りたくない

というか
帰る場所がない