2012年6月30日土曜日

人々は考えも

楽しいことが始まる前に
楽しいことが終わった後のことを
考えるのは
悪い癖ですか

未来を予見し
対策を打とうとすることの
弊害はありますか

明日まで考えても
私にはわからない答が
あのひとには分かるのかどうか
あなたはどう思っているか
人々は考えもしません

北京の食堂にて。


なんともいえぬ表情が愛嬌たっぷりの俊太郎さんと北京留学中の私。北京の食堂でお腹をすかせて。撮影は詩人の田原さん。みんな、気楽にパクパク食べられる料理が好き。

2012年6月29日金曜日

浜辺の少年

少年が砂浜に打ち上げられていた
気を失いながら
考えごとをしている
波は
彼のところまでは届かない

塩にぎりと梅干し
鍋でご飯を炊くと
全部おにぎりにして
ラップで包む
たまに廃棄されているコンビニの弁当や
作りすぎて埋められようとしている
山積みの野菜を
羨ましく思う
なぜ食べ物を羨ましく思うのかは
分からない
わかる必要もない?

照明を点けなくても
月夜の浜は明るすぎて
手相や砂粒さえ
くっきり見ることができる

思いではなんのためにあるのだろう
海はなんのために
陸地を遮っているのだろう

少年の命は
始まりから測るのと
終りから測るのと
どちらが長いのだろう

打ち上げられた少年には
分からない
わかる必要もない?

浜辺に落ちているのは
波が洗ったものばかり
そうでないものは
そこにはない
そこにないものは例えば
炊飯器と照明のようなもの
少年には
必要なかったもの

2012年6月28日木曜日

いつからが未来?

行きずりのカモメに指揮棒を振っている
行きずりのカモメは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

雨の日のバスに指揮棒振っている
雨の日のバスは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

遠くのカミナリ雲に指揮棒振っている
遠くのカミナリ雲は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

月の砂漠に指揮棒振っている
月の砂漠は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

ディズニーの森の精霊に指揮棒振っている
ディズニーの森の精霊は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

こまったちゃんに指揮棒振っている
こまったちゃんは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

分子構造式に指揮棒振っている
分子構造式は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

総額100万円還元キャンペーンに指揮棒振っている
総額100万円還元キャンペーンは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

クマノミを図鑑で調べた子に指揮棒振っている
クマノミを図鑑で調べた子は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

消費税増税反対に指揮棒振っている
消費税増税反対は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

屋根瓦が割れそうだに指揮棒振っている
屋根瓦が割れそうだは歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

愚かな私に指揮棒振っている
愚かな私は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

いつからが未来? に指揮棒振っている
いつからが未来?  は歌うの?
それとも楽器を奏でるの?

2012年6月27日水曜日

ふわふわ

きょうはいちにちじゅう
ふわふわしている
からだが
ふとろうとしているのかな

ふわふわ
ふわふわ

あしたもいちにちじゅう
ふわふわするかな
ゆめみたら
きもちいいかな

ふわふわのくちびるから
ふわふわのことば
たよりないかんじ
こころもふわふわしているのかな

2012年6月26日火曜日

Curry Salmon

僕のあだ名はCurry-Salmon
CurryとSalmonが主食
毎日食べています
CurryとSalmon
飽きません
食べたりません
もっとこのままずっと行きます

Curryがなくなったら
この世は闇
Salmonがいなくなったら
世界は地獄
親友が嫌いでも
僕は好き
CurryとSalmon

Salmon色の夕日
Curry色の夕闇
CurryとSalmonで満たされてゆけ

愛する人と
CurryとSalmon
幸せが満ちる
CurryとSalmonの世界
宇宙へ広がってゆけ
海と川と大陸の香辛料がある限り

2012年6月25日月曜日

そんなとき

なぜ生きているのか
たまに考えると分からなくなる
だけど
そんなとき
僕は生きていると感じる

2012年6月24日日曜日

楽しいことを

楽しいことを
もう一度やろうと思います
誰彼に気兼ねなく
のびのび自由に

あなたを
誘い込もうと思います
特別の企みはなく
素直に気楽に

どんなことも
やりたいようにやろうと思います
ひと目を気にせずに
自分なりの方法で

いつまでも
やり続けたいと思います
飽きてしまっても
また楽しくなるまで

2012年6月23日土曜日

日照りの熱、どろんこの道

土の上に草が生い茂っていてそこに急に
日照りの熱を冷ますような大雨が降ってきて
遊んでいた小学生たちはかけ出したが
なかなか勢い良く走れないのは
心と体がしっくりいかないから

二階のベランダのある窓から
中学生がその様子を見ていて
やや薄暗い部屋には最近LEDのスタンドライトを
親に頼んで買ってもらったが
点けるより点けないほうが好きで
ぼんやり過去の自分が
行った場所のことなどを思い出していて

あの日も
土の上に草が生い茂っていて
そこに急に
日照りの熱を冷ますような大雨が降ってきて
木の下へと走りだしたが
想うように早く走れず
シャツが背中にピタッと張り付いて
熱を奪われ
友だちと一緒に大騒ぎした

あんなに大騒ぎしたのに
その友だちが
いま何を考えているのか
もしいま会ったら
本当のことを話してくれるかどうか分からない

自分は本当のことを話せるだろうか
そうだ
一緒に
雨の中に飛び込み
どろんこの道で転げ回ろう

そうすれば きっと

2012年6月22日金曜日

雨が言っている

雨があらゆるもののなかに
降り注いでいて
癒しを与えようとしている

そんなに熱くならなくていい
と言っている

怖い顔しないで
慌てないで
よく見せようとしないで
言い訳も言わなくていい
と言っている

雨は
古ぼけたものと仲良し
古ぼけた というのは
人間の言い方

実は
ぼけていない
いちばん
澄んでいるんですよ
と言っている

2012年6月21日木曜日

冷温停止できるかニンゲン

自己紹介すると自分がどんなニンゲンか
鋭い相手には知られてしまうので
(ニンゲンよりニンジンになりたかったけれど)
それを惧れて私は嘘をつく
本当はそんなことを分かって欲しい訳ではない

私には分かって欲しいことは別にある

相手の自己紹介だって
ほとんど型にはめて当たり障りなく語っているだけで
なにか大事なことを隠しているに決まっている

私は一人でアイスコーヒーをかき混ぜながら
自己紹介の破綻を楽しんでいる

冷やし続けなければ破綻するアイスコーヒーは
自ら体ごと投げ出して
私の前にすべてを曝し
中をかき混ぜられ
好きなように放置される

冷たいままでいて
最期まで
私らぬるい人間の
熱を奪ってください

きのう、詩人の家へ向かう道

2012年6月20日水曜日

召される気配に

神様、まだ、生きていて、いいですか?
まだ、死にたくない、
死ぬ準備が、できていないのです、
見ていてください、
私が、いいと思う、その、タイミングまで、
見守って、いて、ください、

きっと、人の役にたつこと、しますから、
自然を、大事にしますから、
うそをつかないように、気をつけますから、
悪いこと、しません、
でも、ちょっとだけ、大目に見てくだいね、

神様、私は、なんのために、生まれてきたのか、
まだ、知りません
いつも、心が沈んで暗いとき、考えていました、
でも、答えは、あるのでしょうか、
私にわかるような、都合のいい、答えが、

そしてこの街には、きょうも、夜が、やってきます、
昨日の台風は、湿気を残して、去って、
いまは要塞の見張りのような、塔が、見下ろして、います、
薄暗闇が、街のディテールを、隠し、
私の目は、光を反射して、
キッと、光ることでしょう

あっ、獲物は、狙っていません、
狙って、いない、
ただ、私は、何かを手に入れたい、らしいのです、
それは、悪いこと、ではない、
むしろ、大事なことです、
だけれど、何を、どうやって、手に入れたらいいのか、
迷うばかりで、わかりません、

時間は、あるのでしょうか、
いつ打ち切られるか、知らされないまま、
私は、まだ、続けたいと望んでいます、

2012年6月19日火曜日

きょうを守る命

あの人が死んでから
時が経ったが
あの人の死が
あの人にとって
どういうものだったか
私は知らないまま生きている

あの人が好きなものを
あの人の写真に供えて
あの人に届けたいと願うが
このようなことを
あの人がどう思っているのか
私はわからないまま繰り返している

あの人が死ぬときに
私はそれを見ていなかった
あの人は
死んでいきながら
何を見ていたのか
私は訊くことができずに悩んでいる

あの人が死んでから
あの人がいなくなったが
あの人の気配は
私の周りにいまも残っている

あの人が生きていたら
あの人が死んでいるより
あの人は幸せだろうか
私は幸せかどうかわからない
あの人のことも私のことも
わからないまま生きている

あの人が死んでから
人々はあの人と会えなくなって
あの人には
新しい友だちが
出来ただろうか

あの人は死んだあと
体と記憶を失くし
ただの命となって
また会いにやってくるのだろうか
それとも
会いに行くのは私たちの方なのだろうか
どこに行けばいいか
分からないで迷う
私たちに答えは見つけられないまま
今日を生きていく

-----2012年6月17日、映画『きょうを守る』(菅野結花監督)を観て

2012年6月18日月曜日

窮屈な器

猫なで声で
猫背のあなたに
話しかけてみた
あなたは
あなたを抜けだして
きょうもどこかに出かけていた

帰ってきたとき
あなたから微かに
潮の香りがしたので
ビーチに行っていたのだろう

器の方のあなたは
誰かと抱き合って
昇り詰めようとしている
中身のあなたはあくびをして退屈そうだ

私も器に帰ろうと
元の器を捜しはじめた

だが
誰かに撤去されてしまったらしい
仕方なく
ここにはいったのだ
小さくまだ目もあかない窮屈な器だ

2012年6月17日日曜日

新しいポスト

錆びたポストに
真新しい手紙が届いた日に
私は家を出ていった

出ていって
帰ってくることはなかった

錆びたポストを
道路に突き出して
家族は家で生活していた

そして
妹も家を出ていった

父母が残り
錆びたポストを掲げて
この家を守っていた

家は
私が生き延びるために
融資の担保にされ
父が死に
やがて母は追い立てられて
この家を出た

私は母を新しい部屋に連れて行った
母の部屋は私の新しい帰省地になった

部屋からは富士山が見えるという
エレベーターで出会う人々と
挨拶を交わすという

母には守るべき家がなくなった
掲げるべきポストもない
ただ
気楽さを入れる空白ができた
空白はさびしいが
その空白は
新しいポストになった

新しいポストは
錆びたポストの
親戚なのか

そこに
私は新しい手紙は届くが
もう出ていく人はいない

2012年6月16日土曜日

就活生Nさんの場合

学校を卒業したら
どこかの会社に入るつもり
就活のためにスーツを買い
学生というより
これからは就活生やる

想定問答を何度も練習し
自分の長所とメリットを
うまく自分から語らなければならない
短所をどう克服しているかさえも
無理やりにでも
答えを用意して行かなければならない

迷い苦しんでいる会社の人に
癒しを与え
自信を取り戻してもらうのだ
そうしたらきっと合格する

ストレスがたまったら居酒屋で愚痴るんだ
とりあえずビールなんて余裕はないから
好きなお酒を最初から注文して
楽しかったころを懐かしんで
乾いた涙をぬるい風に晒しながら

《ホンネのつづきはミクシィへ》

2012年6月15日金曜日

大きくなるテレビ

テレビは窓とは違う


テレビはギロチンと同じ
時間がくると
さようなら

長いものに
巻かれもするが
短くカットするのが仕事

正義の味方のフリをして
いつの間にか成りきって
ギロチン
人殺し

お茶の間に届ける
お茶の間の団欒を
消し去って

誰のために何をしているのか
分からなくなっても
省電力を錦の御旗に
大きくなっていく

2012年6月14日木曜日

召しませ詩

しめ縄を締めてある岩の清水で
飯を炊き
酢飯とし
鰯を乗せよと

皺のある和紙につつまれた箸で
端まで残さずいただくのだと

橋のたもとに
幸せがやってくる
きっと幸せがやってくると
言わしめる何か
いわし雲を見上げて





参考作品
詩 未 来 創 作: いかすすいか

2012年6月13日水曜日

幸せの種

除染され新しく敷かれた芝生の上に
夕方になって霧雨が降る
その庭をランプが照らし
あなたと私が歩いてゆく

お皿ごとに出される銀のカトラリーで
植物に囲まれながら食事をすませたあと
薄い花びら色の車に乗って
渓流沿いのこの部屋まできた

車窓の風景は
緑の中に明かりを灯していた
あのころ
私は反抗期だった
あなたは幸せでしたか
横顔が幸せだよ と答えだが
あのころのあなたの日々の中に
あなたは不幸せを探しに行ってしまった

それは
幸せの種だったの?
祈りは通じたね


2012年6月12日火曜日

石畳の道

石畳の道
歩きにくい石畳の道
走り出したいけれど
ここは石畳の道

石畳の道は
古くからあるこの街の
道から路へと通じる途

走る人もあったが
容易に足をくじいてしまう
意地悪な道

未知へと続いているのか
知らんぷりで
手を取り合って歩くと
広場の外れの塔のところで
途切れてしまう道

石畳の道は
足音を響かせて
なかなか眠りにつかない道
何も語らずに
聞き耳をたてている
好奇心あふれる道

石畳の道は
いつまでもここにあるのか
私が戻るときに迎えてくれる
優しい道

2012年6月11日月曜日

僕は詩をやめるかもしれません

僕は詩をやめるかもしれません
いつも悩んでいます
または基本単語600語だけで書くとか

屋久島に初めて一人で行ったときに
島の海岸をぐるっと巡る道をレンタカーで走りながら
僕はその時も詩をやめようかと考えていました

詩は何故かいつも僕のそばに居ましたが
僕は詩がそばに居るだけで満足でした
気が向いたらすぐに詩を味わうことができたからです

何処かの町の食堂でポカンとして頼んだ定食を待っていた時
壁の棚に設置された古びたテレビから
いきなり詩の朗読が聴こえてきて 僕は
自分が知っているその詩がこうしてテレビで読まれることが
とても嫌でした

詩は皆のもの とよくいわれますが
僕は自分だけで楽しみたかったのです
しかし詩を楽しんだあと その詩の良さを
なるべくたくさんの人に知ってもらいたいと願いました
そして僕は 自分が書いた詩も合わせて知って欲しいと
願いました

自分の好きなものを
他人が紹介するのを受け入れるには
高いハードルがあるのだと知りました

会社で働いている時
僕は詩を仕事にしたいと思っていました
誰もがそうして競い合えば楽しいと思い
詩を無理やり仕事の場に挿入しました

詩は自由で
変幻自在 神出鬼没
しかも食べ物のように味わってもなくなりません
永遠に存在しつづけるかのようです
僕は食うに困っても
詩があることで命は死なないのだと勘違いさえしました



2012年6月10日日曜日

永遠につづいていくキスだった


掛け算の九九ができなくてもひとつひとつかぞえることができる
漢字の読み書きができなくても
挨拶の言葉をはっきり言うことができる

あなたは
あなたの前にいる人の気持ちを受け止めると
いつもお祈りをする
このひとの夢がかないますように と

余りお喋りは上手じゃなくても
役立たずの言い訳に時を費やすこともない

天使がやってきたとき
あなたはうれしそうにキスをした
それは
とても自然で
永遠につづいていく
キスだった

2012年6月9日土曜日

やっかいなあなた

悔しさは薬になる
あなたは夕日に向かって諦めた顔をしている
いまは挑まないのだろう

苦い果実を齧って
何かを企もうとしているが
気づいていない

自分のことなのに
冷たい視線で見つめたきり
突き放して
足の指で弄ぶだけ

2012年6月8日金曜日

何も知らずに死んでゆけ

食べ物はある
捨てるほどたくさん
だが
お前に渡すことはできない
お前は黙って死んでゆけ

この食べ物には
微量の毒が入っている可能性があるから



救助隊もある
彼らを雇うためのカネもある
だが
お前を助けに行くことは出来ない
お前は黙って死んでゆけ

お前の命など
見知らぬ名前ほどの価値しかないのだから



情報はある
みんなのカネで手に入れた情報だ
だが
お前に渡すことはできない
お前は知らずに死んでゆけ

お前はすぐに
パニックを起こすから



私たちに
それは任せておけ

そして 何も知らずに
死んでゆけ

もしうまくいけば
何も知らずに
生きてゆけ

2012年6月7日木曜日

幸せになると

幸せになると
不幸な人のこころが
見えなくなるから
お前は幸せになるな

ある朝
天使が私の前に舞い降りてきて告げた

幼い私にはその意味がわからなかったから
私はそんなお告げなどすっかり忘れて
長い年月を過ごした

ある朝
あの時の天使が
またやってきた

私は突如思い出した

そんな私に天使は告げた

不幸せになると
幸せな人のこころが
見えなくなるから
お前は不幸になるな

だが私にはその方法がわからなかったから
私はそんなお告げなどすっかり無視して
今までどおり不幸な人のこころの傍らで
暮らすことにした

2012年6月6日水曜日

やりすごす日々

街の模型の上 を 歩いているとカタカタ ウーンと唸り 電車が 走っている
夕方の風は 昼の空気のよどみを 押し去ろうと している
工場の煙 調理の油っぽい煙 車の排気ガス
街には 灯りが点ろうとしている
巨人の 私
足の踏み場もない街の上空の空気を吸いながら
ゆっくりと 視線を 旋回させる

あのこも あのひとも 知らないあの人も いやなあいつも 
がんばっているあの素敵なひとも
街の 大地の上に 頼りなげに 着地して
今を過ごしている

ひときわ 高い 塔が ライトアップされ
街の中で シンボルを 主張している

待っている 相手が 来ないのは
私が 待ち合わせ場所に いないから なのだろうか
それとも
待ち合わせ場所が
変わってしまったからなのだろうか

もう
夜になろうとしている
毎晩毎晩 ご苦労さま なことだ

むかし
「お呼びでない?  こりゃまた、失礼しました!」
っていうギャグが 繰り返し 聞こえてきたが
世の中は 呼ばないのに来るもの で満杯だ

巨人の私は 上空で 考える
呼ぶ人が 少なすぎる
待っているばかり の 人が
多すぎる
待っているだけでは駄目だ と いいながら
来る日も 来る日も
ただ 待っている

そのくせ
待っているものが来ても 気にもとめず
やりすごしてしまうのだ

俊太郎&DiVa こころの旅 観に行きたい


2012年6月5日火曜日

苦しんでいる人に

「もうだめかもしれません」
と心のなかでつぶやいて
絶望を抱えて苦しんでいるね

だれが
「もうだめかもしれません」って
言っているの?

その人に
あなたから
話しかけてあげて!

「あなたはそう思っているかもしれないけれど
私はそう思わないよ」って

だって
苦しんでいる人がいたら
いたわらなくちゃね

お互い様だから
あなたが苦しい時には
私がそばに居て
あなたをいたわるから
私が苦しい時には
あなたがそばに居てね
詩がからっ風になって吹いているが
誰も気に留めていない

その詩は私の詩なので
私だけが気にしている

私は分かりにくい生き方をしている
だから私が書く詩は
時々からっ風になってしまう

好きな女の人にまとわりついた布は
ほどけそうだが
詩の謎はこんがらがるばかりだ

2012年6月4日月曜日

メロンパンは私に

私の目の前にあったはずの食べかけのメロンパンが
消えている
誰が食べたのだろう

死にたい と
検索窓に打ち込んでから
読みたいものを探し始めたら
死ぬ前の準備 とか 嫁に殺された俺がさっそうと登場 とか
変なものがたくさん出てきた
しばらく探しまわっていると
あるカウンセラーのページに行き着いた

その文章には
見たくない言葉がなく
ページをめくると挨拶ができなかった少年の話が紹介されていた
少年はなぜ挨拶ができなかったのか
そこにはこう書いてあった

「人に挨拶をすることと、死んでいく父親に挨拶していないこととが、重なり合っていたんですね。つまり、さよならを言わない限り父は、自分の中に生き続けていることになるわけです。
 父に挨拶をし終っていないんだから、他人に挨拶なんかできっこない。挨拶をしてしまうと、父が本当に死んでしまうから、遠くに行ってしまうから・・・。
 でも、こうした気持ちや感情は、頭の中で一瞬の無意識のうちに作られてしまうことなんです」


私は立ち上がって数歩歩き
訳もなく壁にかかっている鏡をのぞきこんだ

くちびるの左下に
メロンパンのカケラがついていた
メロンパンは
やはり自分が食べたのだ

2012年6月3日日曜日

負担なく帰りたい

連れてくるのかな
猫も
連れてくるのかな
ふたり
ナナとビスケット

あのひと

連れてくるのかな
連れられてくるのかな

ライラックの咲く坂道
バッグ振り回して
登ってくるのかな

猫の鳴き声聴こえたら
あのひとの
泣き声と
間違ってしまいそう

青空に雲は流れ
ビルとビルの間に
この季節らしい風が吹く

そろそろ
自分の部屋に帰ろうかな
あのひととの待ち合わせは
6年前

もう地名も番地も変わってしまった
あっ
そういえば
自分の部屋も
今は新しい駅で降りなければ
負担なく帰ることは出来ないのだ

2012年6月2日土曜日

縄をかけてくる人

都合の悪いことは忘れてしまっていたので
心は重たいままだった

都合のいいことは小脇に抱えていたが
賞味期限が切れてねっとりとしている

太陽消毒を試みるが
効いているかどうか判断する者が居ない

私は
電車の駅に住んでいるが
きょうも発車ベルの音で目覚める

(電車はいつも立ち去ってばかりなので
ここは仮の宿なのだろう)

とところで私には添い寝する人がいないが
私の首に縄をかけてくる人はいる
冷たかった風ガタンゴトンとうるさかっった電車の音
錆とガソリンの漏れる匂いがした軽自動車
遠い
見知らぬ湖に向かって走った道
まだ何も知らない男と女
道を覆う木々と葉っぱ

2012年6月1日金曜日

私は走って

私は走って乗っちゃう
あなたはドタドタ走らなければならない

クールな吟遊詩人は
次々乗り物をとっかえひっかえ
夜昼なく駆けめぐり
この地球の縄張りと罠を探索する
レアアースより必要なもの
人の心より価値あるものがある  と

私は走って乗っちゃう
あなたはドタドタ走らなければならない

遊び飽きた 湘南女は
ボランティアに活路を見つけて
今度は国境を股にかけて井戸端会議
夜にダンスを教え
酔いつぶれて星を見ながら
眠れない夜をあわれに眠っている

私は走って乗っちゃう
あなたはドタドタ走らなければならない

私は走って告白しちゃう
あなたはドタドタ走って答えなければならない