2013年2月28日木曜日

ルビー色の血が


ルビー色の血が
珠になって
転がって行くのは
あなたの肌のきめが細かいから

それでいてしっとりしているのに
血の珠は交わらない

強い意志を抱え込んで生きている
あなたと同じ

だが
引力には逆らえない
あなたも
この血の珠と同じ

2013年2月27日水曜日

死にたがりやさんへ


死にたがりやさん
私もそうだよ

欲望が強くて
抑えられない

立ち止まって
青空を見る

誰かに分けてあげたい
願望が目覚める

この宇宙に生きて
幸せ

死にたいのは
そのせい

2013年2月26日火曜日

造っているようで

造っているようで
壊している
壊しているようで
造っている
でもやはり
壊している
いややはり
造っている

神様が挟み込む栞のところ
どうなっていましたか?

神様が寝ているあいだに
造りあげたい
いや
壊してしまいたいものがある

子どもの未来の夢に
きいてみよう

2013年2月25日月曜日

どろんどろん


どろんどろん
どろんこだ
ごろんごろん
ねころんだ

しゅわっしゅわっ
かけてゆく
ぴゅあぴゃりん
かぜのおと

りるるりる
うたってる
るらりりく
きもちいい

2013年2月24日日曜日

誰のもの?


ふと思った
恋は私たちのものではないと

私たちが躯をよせ合って
過ごしたあのときの気持ちも
捧げものだ

お互い
見つめ合って
確かめ合った未来さえ
私たちのものではない

あなたは
丸いテーブルの上の果物を
器用に剥いて
はだかの私の口に
放り込む

私に与えられた
あなたの愛は
誰のもの?
私は果実でのどを潤しながら
考えるのが面倒になる

2013年2月23日土曜日

詠み人知らず


僕は傾いている
そして悪い方向に向かっている
そのぶん
周りの人がいい方向に向かえばいいと
思っている

僕は詩形を作っている
そしてそこに世界を閉じ込める
けれど
それは自分用のオモチャでしかないと
知っている

僕は謀っている
楽しく生きて行きたいと願いつつ
しかし
模型の電車が回り続けるように
目を回しながら

2013年2月22日金曜日

反省の色はない


あまりに語尾に「ね」を連発して共感を求めるから
そのうえ「ちょっと」を多用して語感をやわらげようとするから
さらに一緒にいるひとを批判せず褒めてばかりいるから
彼のことは嫌い と
彼女は思う

彼は
「ちょっとかわいそうだよね
僕にもいいところあるしね
ちょっと言い過ぎだとおもうよね」
反省の色はみえない

2013年2月21日木曜日

2013年2月20日水曜日

しあわせ


さびしすぎても
しあわせ
さびしさは
きずなだから

ないていても
かなしくない
わびしくて
ないているから

わらわなくても
それでいい
なみだがあったかいって
いってくれたから

2013年2月19日火曜日

詩はなにも


常識というものが
一番の権威だと

常識というものが
一番人を傷つけるのだと

でも人は傷ついても悪くない
善し悪しを言うのは悪い癖だと
教えてくれた詩人さんは
詩はなにも教えたくないんだよ と
きょうもすたすた
歩いてどこかに
行ってしまった

2013年2月18日月曜日

甘くて苦いジュース


あの日
前触れもなく
あなたから
恋が舞い降りて
唇から侵入し
私ののどは熱くなってしまった

私は唇を閉じていたのに
どうやって
入ってきたの?

恋は
果実の
あの甘くて苦いジュースに
まぜてあったの?

訊いてみたかったけど
もうあなたが
唇を
塞いでしまっていて
わたしたち
会話することができない

詩の電車Vol.2

2013年2月17日日曜日

神様には見えている


何かいいものを作ると
目の前に神様が現れるらしい
 神様は「いいもの」は「自分のもの」と
 考えているらしい
 神様には特別な力が備わっていて
 欲しいものは何でも手に入ってしまうので
 神様の欲望は人の欲望とは違い
 所有を目的としないらしい

神様が現れると
辺り一帯がパワースポットとなるらしい
 神様はいつもパワースポットの真ん中にいるので
 パワースポットのことを特別視しないらしい
 だが人はありがたがって祈りを捧げたり
 願い事を沢山するらしい
 神様はその様子を見なれているが
 人様に何をしたらいいにのかよく分からないらしい

パワースポットにはいいものがあり
さらに神様がいいものを引き寄せるらしい
 欲深な人にはいいものの真価がわからないらしい
 たとえばそのいいものがどこに置かれるべきかや
 何にどうやって使うべきものなのかが
 分からないらしい
 
いいものは大事にされても
大事にされなくても朽ちてくらしい
 朽ちていく姿もまた美しいと神様は思っているらしい
 時の流れに逆らわないものが美しいものだと
 神様は言っているらしい
 とどまるものは欲望にまみれて
 汚れて悪臭を放つらしい

人には見えないけれど
人が作った神様には見えているらしい

2013年2月16日土曜日

(株)武士の情(なさけ)はちょっと困った会社

(株)武士の情(なさけ)はちょっと困った会社
というのは客のわがままを多めに見てくれるわけではなく
会社が重大な失敗をしたときに
武士の情け と口走って
勘弁してもらうとするから

2013年2月15日金曜日

私には分からない

死んでしまった人はこの世にいない
それを証明することは難しい
それに照明を当てることも困難だ

私は頭の中に死んだ人がいることを知っている
頭の中にいる死んだ人を
生き返らせることは困難だ
消し去ることも難しい

死んだ人と生きている私
死んだあの人から見たら
どちらが生きているのだろう

死んだあの人は時折語りかけてくるが
私があの人の話し相手になっているかどうかは
分からない
またその逆も分からない

線香の火に
夕日が重なって見える
どちらがいま起こっていることなのか
それともそんな考えごとは余分なのか
本筋なのか
私には分からないと私は考えている

2013年2月14日木曜日

これからなにができるだろう

あなたがやってきたことを
あなたはずっとみてきただろう
あなたがやっていくことを
あなたはずっとみていくだろう

いろんなことがあっただろう
いろんなおもいをしただろう
いろんなひとがせめただろう
いろんなひとがたすけただろう

わたしはなにをおもってる
わたしはなにをやるのかな
あなたはなにをおもってる
あなたはなにをやるのかな

あなたとわたしがしりあって
せかいのなにがかわったろう
わたしとあなたがしりあって
せかいでなにがおこるだろう

会社を設立しました

ポエムピース株式会社という名前の会社をきょう設立しました。
すでに、縁ある多くのみなさまに支えられていることを実感し、感謝の気持ちでいっぱいです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
マツザキヨシユキ










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2013年2月13日水曜日

彼女はいつも間に合わない


彼女はいつも間に合わない
締め切りがきても
まだやっている
集中力が高まった表情で
髪を振り乱し湯気を立ててやっている

どうしてもっと早くやらなかったのか
それは言ってはいけない禁句
提出期限は過ぎている
猶予期限ももう過ぎている
でも彼女はやっている
途中経過の報告もせずに
わあわあ言いながらやっている

夏休みの宿題は冬に出した
冬休みの宿題は夏に出した
長距離走は周回遅れでやっとスタート
各種支払いは握りつぶす

彼女は間に合わない
それを見ている彼女のカレシは
自分のことはあきらめて
彼女の脇で応援するばかり

2013年2月12日火曜日

病気になった友だちが


病気になった友だちが
カメラを向けると
景色は味方する

綺麗なところを撮ってくれると
知っているから

友だちは
人に優しいが
人を信じない

自分を信じられないから

でも
いつか
自分を信じ
人も信じたいと願っている
ことばにはしないけど

友だちは
それでも幸せだった
なにも
ごまかす必要がなかったから

池のほとりにたって
カモの背中の水はけを
うっとり眼に入れている

寒い風がくるくる回って
古い思い出をつれてくる

ここにいたはずのない母が
ここで夕暮れに沈んで
父とまどろみを手招きしている

2013年2月11日月曜日

言いたかったこと

残された時間はすくない
よくききなさい

そう言って何も語らねうちに
死んでしまった

目を閉じて訊ねてみる
なにか言いたいことがあったのですか

そう どうでもよいような
そうでもないようなことが
たくさんあった
でも
みんな忘れてしまった

だからー
なにが言いたかったのか
想像してみてくれないか

私は思った
きっと
わがままがいちばん言いたかったのだと

2013年2月10日日曜日

私はほぼひとりで居る


あなたの前に私は滅多に居たことがない
私はほぼひとりで居る

ほぼひとりで居ると
自分の考えが中心となっていく

その自分は
他人を思いやりたいと思っている

思ってはいるがどうすればいいのか分からない
分からないままに過ごしている

するとやはり自分の考えしか見えてこない
私は思う
「あの人はこう思うだろう」と

あの人はよく私を思い遣ってくれるが
私のことが分かっているのだろうか

訊いてみたいけれど
どう訊いたらいいか分からない

それもあって
きょうも私は
やはりひとりで居る

2013年2月9日土曜日

Inflame a grumbling to be updated will be

Inflame a grumbling to be updated will be

あっ、いや、

天才バカボンがテレビで放映されている

竹筒に切り花を活けて
蛍光灯の色温度をきにしつつ

Needed to come over
I'm going to each other get you
It wouldn't be good
Wayland theater who took the picture in effect

天才バカボンのパパ
じーっと見ていた

そんなこともですか
Didn't Kosina

2013年2月8日金曜日

友だちが病気になって


友だちが病気になって
連絡がしづらい
友だちは急に
元気になり
友だちと騒いだりしているから

友だちが病気になって
連絡がしづらい
友だちは急に
入院して
面会謝絶になるから

友だちが病気になって
連絡がしづらい
友だちは急に
やってきて
僕は都合が付けられなかったから

友だちが病気になって
連絡がしづらい
友だちは急に
やさしくなって
どうしたらいいのかわからなくなるから

友だちが病気になって
連絡がしづらい
友だちは急に
恋人のようになって
後ろから抱きつくのを我慢したから

2013年2月7日木曜日

B面の気分


ケーキ工場の駐車場からビートたけしが帰っていく
それを見送る
きょうは著名な作詞家もやってきたのだ
彼はもモグモグと豆菓子を食べながら一人で車を運転してやってきた
踏切と畑の向こうから

ビートたけしをたけし軍団の1人と一緒に見送ったあと
社員が出てきて「社長期待していますよ」って私に言った
きょう聞いたラジオ番組の内容はB面特集だったが
いまそんな気分だ
日本
55445
アメリカ
4878
ロシア
945
マレーシア
392
ドイツ
156
イギリス
118
カナダ
45
大韓民国
37
フランス
35
ラトビア
32

2010年8月31日から今までの閲覧数

62,785

2013年2月6日水曜日

私の人生これで終わり

私の人生これで終わり

つぶやいて
侘しさを味わい
悦にいってみた

一人旅の部屋で
街の音を遠くに聴きながら
また
つぶやいた

これから始まるのさ
私の楽しい人生

しらけ鳥が飛んで行くという歌を
モゴモゴ歌ってみたけれど
何も変わらなかった

私の人生これで終わり

また
声に出さずに
つぶやいてみた

2013年2月5日火曜日

古の都市が

息ができないほど
目を開けていられないほど
空気がザンザンときしんでいる

鳥も耐えきれずギュウギュウ鳴いて
空へ羽ばたこうとしない

誰がこのようなことをしでかしたのか
無責任な風が
教えてくれる

都市の煙突にLED照明を飾り付け
浮かれて見せても
もともと浮かれている人が乗ってくるだけだ

空気がザンザンときしんでいる
人の涙が枯山水を流れ
古の都市が洪水に見舞われている

2013年2月4日月曜日

スイカジュースを飲んだあとで

スイカジュースをごくごく飲むと
懐かしい町をおもいだす

懐かしい町の
懐かしい通りの曲がり角

曲がり角を曲がって
青い山に向かって歩いていった

その先には
ありふれたことがあるだけだったけれど

スイカの香りは
ほかに例えようのない
いい香り

ふる里の土のにおいと
多分 仲がいい

私は何と仲がいいのだろう
大好きな先輩に聞いたら
邪魔が入ってかき消された

またいつか
聞いてみよう
スイカジュースを飲んだあとで

2013年2月3日日曜日

彼女の印象(スケッチ)

名前を呼んでも彼女は振り向かないだろう
彼女は名前を換えたから
名前を換えて記憶も消したから

彼女は水辺に佇んで背中を向けている
背を向けて自分の気持ちにも背を向けている
水面に彼女が男に犯されたシーンが繰り返し映し出されているが
彼女にはそれが見えない
もう当り前の風景の一部になっていたから

彼女はいま感傷に浸っているのではない
もちろんなにか夢見ているのわけでもない
彼女はこの風景に溶け込んでいるだけだった

たまに微風で感情が波打ちそうになるのだが
気圧と仲良くなってそれを抑えようとしていた

時は一瞬だった
たとえば写真の一枚のように
たとえば一度の瞬きのように
もう二度と訪れようとしなかった

私は振り返る
彼女の眼を
前から覗き込んだときのことを
彼女は裸だった
なにもその躯にまとっていなかった

弾力とぬくもりが渦巻いて
私を巻き取った

わたしは今
近寄らずに彼女を見ている
彼女は自らの宇宙に
アクセスを試し続けている



2013年2月2日土曜日

SOSの

SOSのサインが
ドアのところで順番待ち
奥ゆかしいSOSは
決して割り込まない

そのうち
SOSは力尽きて
新たなSOSを発信する

2013年2月1日金曜日

ほんの一駒の

青空を背負って
その人は私を見下ろしている
私はしゃがんでいて
その人は立っているからだが
空がまぶしくて
その人の表情はよく見えない
これほど近くにいるのに

その人は髪の毛の乱れも気にせずに
カメラをのぞいている
私はその人の
カラダのラインと顔を見て
その躍動する様子に
息をするのも忘れて
見入っている

その人は時折
思いがけない声で
思いがけないことをいう

私は何を話したら
調和するのかどぎまぎして
言葉が滑ってしまう