2011年12月31日土曜日
一休みする場所について
歩いて行こう
うさぎさんはさようなら
遠くには火山が見える
あの煙の先の
雲の下あたりに
綺麗な街がある
そこまで行ったら
一休みしよう
うさぎさんが
いるかな
2011年12月30日金曜日
2011年12月29日木曜日
間違って愛してしまうあなたへ
お正月が過ぎたら飾りましょう
お漬物はセブンイレブンで買いましょう
洗濯物はつららの隣に干しましょう
ナッツ類はすぐに食べましょう
手紙は開けずに捨てましょう
サイドボードは真ん中に置きましょう
石にはホイップクリームを塗りましょう
よく来る客は風呂に入れましょう
ナナカマドの影には隠れましょう
引き受けたら大声を出しましょう
月が出たら酒を仕舞いましょう
苦しい時は正面をよく確かめましょう
ルビーを見つけたら手を叩きましょう
よく確かめたら捨てましょう
胸を見せたら交代しましょう
線に沿って剥がしたら床に置きましょう
揺れが収まったら潜りましょう
以上が私のアドバイスです
2011年12月28日水曜日
捨てたくない
靴下の一つは片足に穴が空き、間もなく、もう片方にも穴が空いた。
これらはさよならするものたちだ。
捨てたほうがいいものが
他にもありそうだが
なかなか捨てられない。
とっておくというのが
私の性格だが
煮えきれない思いも同様に
とっておいてしまう。
断捨離というのが
うらやましい。
やる気がないのに
うらやましい。
でも
少しだけ真似してみたいのだ。
少しは気分が軽くなって
新しいものが見えてくるだろう。
だが、
効能がはっきりしても
性格が邪魔をして
思い切ったことはできないだろう。
人からはよく
思い切ったことをすると言われるが
本人は
自分なりに熟慮の末
おそるおそるやっているだけなのだから。
ところで、
ここ数日は試験勉強ばかりしているが
パジャマと靴下のことが気になっているのも確かだ。
捨てる前に写真を撮ろうと思っているが
そうしたら
彼らは永遠の生命を得ることに
なるのだろうか。
過去に捨てなければならなかったものたちが
永遠という駅で
私に手招きをしている。
絶望の谷には何も落ちていない
孤独の影さえ見ることができない
日は暮れかかり
どんよりと冷たく湿った空気が忍び寄ってくる
カビのにおいが立ちこめて
逃れるすべがないことが知らさる
体の向きを変えれば
少しは景色が変わるが
もう前に見た景色は忘れている
いつからここにいたのか
迷い込んだのか追い立てられたのかも分からない
心臓の鼓動と息の音はしているが
その数を数えることはできない
星は出ているのだろうか
ここは屋外のようだが
なぜ空が見えないのだろう
立ち尽くしているより
歩いていた方がいいのだろうか
靴紐がほどけているようだ
耳を澄ますと
静けさに圧倒されそうになる
何という轟音だろう
体の中を甲高いエンジン音をうならせて
黒い輸送機が飛行していく
戦地から帰るのだろうか
目を閉じても
何も変わらないのは何故だ
小学校の授業を抜け出して
掛けていった裏庭の花壇のミツバチが
この世界を想像しているのだろうか
誰かが誰かを呼ぶ声が
上空を通過する
私の名前を呼ぶ人は居ないのか
何らかの変換装置が作動して
私には届かないだけなのか
2011年12月27日火曜日
暮れかけた商店街の道を
下を向いて歩いていたら
そのこの横顔が
逆光の中で
いきなり光ったんだ
一瞬のことだったけど
シルエットは形のいい鼻の輪郭と
ふっくら盛り上がった唇を浮かび上がらせた
小さな光の欠片となった前歯は
夜空の星になろうとして飛んでいった
暮れかけた商店街は
落ち葉の雰囲気もして
足音にカサカサという音が混ざる
あの落ち葉は何日かまえに
わたしの肩をトンと叩いて落下した落ち葉だろう
商店街に人は多くも少なくもなく
冬のやや冷たい風が吹いている
そのこの額は
頭に優しい髪を湛え
体はそのこをいろんなところに連れ回してきたが
たぶん仲良くやっているのだろう
不穏さはなく
心地よさが湧き出ていた
笑顔はその一つの表現だろう
下を向いて歩くのはやめたいと
ずっと願ってきたが
いつのまにかすっかり慣れてしまい
目には動く灰色の道しか見えなかった
方向さえ決めれてやれば進んで行く道に
特別な思いもかけず
ただ単調になりかけていた
だかあのこの横顔が
逆光の中で
光ったとき
カラー写真が心に焼き付けられたんだ
薄暗い商店街の道は
私の心を映して
あかんべーをして
灰色の舌を晒しているが
その上を
慌ただしく人は通りすぎ
あのこは
いつまでも止まっている
動くことを私の心が許さないからだろう
だが間もなくその壁は破られ
動き出すだろう
と
これはまだ願いにすぎないのだが
薄暗い商店街のそのこの横顔が発した肉弾は
私の弱った心を間もなく打ち砕き
景色は動き
輝き出すにちがいない
それを見てみたい
岩陰から
こっそりと
できれば
だんだん堂々と
2011年12月26日月曜日
何度も経験している君に
それは形式的なことに過ぎず
見ているだけでも飽き飽きしているのだろうが
まだ経験していない私にとって
それはとても刺激的でときめくような出来事なのだ
だから口を出さず見守っていてくれないか
答えや本質を知っているからって
何度も経験しているからって
うまくできるからって
偉そうにできることではない
初めてやるときの気分を
君は思い出せるか
君はYesというかもしれないが
それなんだっていうのだ
私はいま
初めてそれを体験することで
こころが
満たされている
うれしいのか辛いのかさえ分からない
なにをどうやったらいいかは
他人からの受け売りだ
だけど
君のほうがオリジナリティがあるのだろうか
私はそうは思わない
私はうまくできないかもしれない
うまくできるかもしれない
またやりたいとおもうかもしれない
それが形式的なことでも
何度も繰り返しても
いつも飽きもしないで
次を待とうとするかもしれない
そんな私を
君は笑うだろう
でも
そんな君を
私は笑いはしない
私には
そんな暇はないのだ
2011年12月25日日曜日
なにかありそう気分
ずっとしんぱいしてします
しんぱいしすぎていがいたむ
おまけにずつうがしてきたよ
ねつもしょうしょうあるみたい
よくないことがないように
やはりしんぱいしています
なにかいいことありそうで
とにかくそとにとびだした
きぶんそうかいスキップし
にだんとばしでかいだんを
あがったところはうでのなか
やさしいあなたにだかれます
とてもいいことありそうで
2011年12月24日土曜日
こんにちは さようなら
マツザキヨシユキです。
どうぞよろしくお願いします。
きっと
あしたも
マツザキヨシユキです
やはり
どうぞよろしくお願いします。
日本という国は
あなたがいるので
日本は素敵な国です。
あさっても
マツザキヨシユキです
日本にいませんが
どうぞよろしくお願いします。
パソコンのラジオからは
日本の歌と中国の歌が
ランダムに流れてきます
中国の歌の言葉で一番好きなのは
つーちー です
あっ いままた出てきました
つーちー は
日本語では「自分」という意味です
あなたは
誰ですか
どこにいるのか分かりませんが
どうぞよろしくお願いします。
あっ 曲が変わりました
とくにいいたいことはないのです。
周りのみんなは
メリークリスマス、バイバイといって
立ち去っていきます
それではさようなら。
さようならは
仮定法の言葉ですか
よくわかりません
それではさようなら、
自分。
2011年12月23日金曜日
2011年12月22日木曜日
愛しているといえなくなった日 12月
あきらめ顔で
気取ってみる
誰も見ていないのに
誰かに見られているよう
あなたではない誰かが
あなたに報告してくれそうで
愛しているといえなくなった日に
周りに流されなかった
過去の一シーンを繰り返し思い描く
あなたはそこに居なかったけれど
いつかあなたと出会う日の
準備をしていたあの日
愛しているといえなくなったのには
どんな訳があるの?
誰も訊いてくることはないけれど
誰かがあなたに報告してくれそうで
何もない半端な高さの空を
何も見えない風が吹いてゆくのを
感じるふりをして
耽っている
2011年12月21日水曜日
2011年12月20日火曜日
意味があるの?
持っていたいの?
好きなの?
と訊かれても
意味がわからなかった
その意味が
今は分かるようになり
人に
尋ねることさえしてしまう
これ、いらないの?
欲しくないの?
じゃあ
あげないよ
意味が分かるようになって
分からないことが
増えていった
はおま?
にーやお?
るーぐおにーしゃん
ばーぅおーそんげいにー
答えを
知らず知らず予想してしてしまうことも
うまくやるコツだと
教えられ
言葉の籠を背おって
切り立った霧の崖に登る
ここから
飛び降りるときの話
言葉の意味と私は
どちらが先に落ちていくだろうか
答えは分かりきっている
だんらん
・・・・・
おふこーす
・・・・・
ちゃお
2011年12月19日月曜日
動物園
ネコが歩く
熊のあとを
鳥が
羽ばたく
ネコの上で
あなたが歩く
ネコの横を
わたしは
見てる
歩くの やめて
★ふたつめ
猿の山の広場に
いるのは
黄色い木馬と
赤い木馬
緑の木馬
猿の母さん
子どもを
木馬に乗せるかな
あっ
子どもは
ひとり勝手に飛び乗った
木馬がゆらり
重みで揺れた
猿の母さん
楽しそう
木馬は揺れる
お猿を乗せて
何を考えてるの?
揺れながら
木馬は
★三ツ目(小僧)
三つ目は、いつの間にかそばにいる「三ツ目小僧」のお話。
私には
生まれ時から
目が三つある
おでこにある目は やっかいで
髪の毛が 入っていつもかゆくなる
だけど
どの目も大切な目
シャンプーの時は
全部つぶらなければならない
だけどいつも
右の目を閉じるのを忘れて
痛い思いをする
左の目は
一番視力がよくて
天文学者がやっと発見した星だって
あたりまえに見える
右目は普通の目
ふつうの人間の子と同じ
おでこの目は
何が見えると思う
あなたの顔が見えるんだよ
ここに居ないのに
おまけ
三ツ目小僧は女の子も居ます。小僧ってよくないと思う。
パンダより珍しいけど、動物ではないので動物園には居ませんが、見に行くことはあります。
2011年12月18日日曜日
ぞうさんのしょくじ
おとうさん
ぞうさんの
こども
おいしい
くさを
いっしょにたべる
やわらかいのは
こっちだよ
ぼくは いいんだ
こっちがすきなの
ぞうさんの
おとうさん
ぞうさんの
こども
おはなししながら
ごはんをたべる
おはなを
じょうずにつかってね
こっちのくさも
おいしいよ
ぼくはこっちを
たべてるの
おいしい
くさを
いつまでたべる?
たべたら
おひるね
するのかな
2011年12月17日土曜日
それが残念
と 訊かれて
突然気づいた
大事なものなら
すでに持っているはずだと
手放すことはなかったと
と そこまで思って
手放さないでも
向こうから無理矢理離れていったことはあった
と思い出した
だが
大事なものを
自分から手放したことはないはず
と いうことは
今も持っているはず
だが
それは何か
分かった
大事なものが
なんだか分からない自分が
きっと 一番大事なもの
だが
あなたはしらけた様子
ああ そうだ 大事なものは
しらけて
機嫌の悪くなった
しらけていないあなた
そして
あなたが愛する人
あなたが愛する人が
愛しているあなた
そこに
私は居ないけれどね
それが
残念
2011年12月16日金曜日
空の対話
晴れている?
曇っている?
それとも…
あなたの心と同じように
天気雨の後に
虹が出ている?
心を空にたとえるのは
難しいけれど
空を心にたとえるよりは
いいと思いませんか?
ところで
私の空は
先ほどから
星が輝き始めました
正確に言うと
輝く星が見え始めました
あなたの空と
私の空は
繋がっているはずだから
空を見あげて
話をしましょう
空の彼方には
遠い日の私たちが居るはず
未来の
私たちは
どこに居るのかな
目を凝らして
探してみましょうか
小さい名もない星を
探してみましょうか
なぜロシアが増えてきたの?
日本
1,257
アメリカ合衆国
165
ロシア
75
ラトビア
16
ドイツ
11
ウクライナ
8
マレーシア
3
オランダ
3
中国
2
インドネシア
1
マレーシアは残念ながら少し減ってしまいました。
2011年12月15日木曜日
あなたのことが
あなたから逃れようとしているけれど
あなたのことが
嫌いなわけではない
寒さを振り切るように
バス停からの道を勢いよく歩いて
帰ってきたけれど
あなたはまだ外のどこかに立っている
私のことを
待っているわけではないけれど
こたつに足を投げ入れてみたり
お風呂のお湯をかき寄せてみたり
パジャマのボタンを全部留めたりしているけれど
私の体が求めているのは
暖かさではない
寒さは
あれから黙ったまま
外に立っている
いや
立っているだけではなく
思い出の場所や
知らない場所を歩き回っている
歩き回っては
誰かの襟からその手を
暖かい背中や胸へ進入させている
私は考えたくても考えられない
正しい行いと誤ちが
天秤の上で釣り合って
どちらがどちらでもよくなってしまう
その天秤さえ
天秤の上に乗っている
行ったり来たりしていて
最初にどっちにいたのか分からなくなった
カウントダウンしているのか
それとも
経過時間を計っているのか
それとも
それは同じ意味なのか
ミカンを剥きながら
柿の種を食べる
あなたのことを思いながら
私の未来予想を繰り返しながら
寒さは私の味方?
やはり
あなたから逃れようとしているけれど
あなたのことが
気になっているけれど
好きなわけではない
−−−愛しているといえなくなった日
2011年12月14日水曜日
あなたの客人
自分で生きようとしている
私も同じだ
世界もまた
あなたや私を
生かそうとしている
そのような
誰も語ろうとしなくなってしまった
古びた合意が
夜の町にあふれて
ひっそりと佇んでいる
あなたは時どき
その傍らに立って
手招きをする
そこに
引き寄せられるのは
見慣れた普段着の言葉たちだ
これから
詩に仕立てられるのだ
クリスマスが近づいているのに
あなたはいつもと同じ様子だ
むしろ
次の季節の中に入っていこうとしている
あなたは
あなたが作った
クリスマスのことを
思い出す
ワインが招いた
酔いが静かに
迎えにくきている
ちょっと待って!
あなたは
外に向い
声をあげて告げた
あなたの
玄関で待っていたのは
月が落とした影
それは美しい
客人だった
ーーー
谷川俊太郎さんの誕生日に
2011年12月13日火曜日
幸せの顔
あなたは
幸せになれない
なっても
すぐに
不幸になるよ
それに
幸せになっても
気づかないよ きっと
あなたは
幸せの顔を
知らないし
欲深いから
不満をたくさん持っていると
幸せの手を握れない
あなたは
欲望をかかえて
何処までいくの?
心配している人も
そのままにして
息を切らして
なぜそんなに急いで
その山を登るの?
2011年12月12日月曜日
2011年12月11日日曜日
詩の時間
いきなり目の前に現れた
といっても似ているだけのひと
おまけに二人連れで
とても仲よさそう
私はよく見える席に座っていて
二人に見入っている
あっ ビールの泡が
唇の周りに着いているのに
気にせずに見つめ合っている
二人は静かに
会話をしている
何を話しているか悟られないようにして
二人の世界を守っているのだろう
私はチキンにソースを絡ませて
ココナッツライスと一緒に頬張る
彼女は
煮込んだチキンを箸で割いて
ひとかけらを口に入れる
私は大きなベッドの上に横たわった
彼女の足の方から彼女の中心めがけてダイブする
彼女は前を見つめて
相手の言葉に相槌を打つが
男は小さな椀に入った麺をすする
私は彼女の視線に絡め取られて
言葉を失う
勘定を済ませて
歩き始める
2011年12月10日土曜日
ドレミ
その笑顔で
あなたは
質問する
「なぜ笑っているの?」
わたしは
答えられずに
もう一度笑顔をつくりなおした
だから
二度目の笑顔はにせ物
あなたはもう
わかっているね
あなたは
自分の夢のために熱心で
そのせいで優しい人になっている
わたしはあなたに
「優しい人ね」
といわれたとき
わたしが優しいのは
ほかに何もできないからなのだと
告白できなかった
タイミンクを
逸してね
でも
きょうは
月食の日
おもてには
たくさんの人が集まって
わいわい月食を観たり
写真に撮ったりしながら
この時間を楽しんでいる
月は
優しさがあるのかな
だから
たまには
地球の影に隠れて
太陽に見えないところで
嘘をついてみたいのかな
でも
私たちが観ているのにね
2011年12月9日金曜日
プレゼント
箱の中に
箱が入っていた
その中にも
箱が入っていた
いくら開けてみても
中から箱が出てきた
18個目を開けたとき
彼は
やっと気づいた
箱の中には何も入っていない
箱の外に
彼女からの
贈り物が入っていたのだ
2011年12月8日木曜日
調整日
気にいらない
冴えない
色が悪く
覇気がない
眼も充血している
お腹の辺りも
たるんだ感じ
目立たない服着て
当たり障りなく
過ごしたい
食べものに注意して
バランスよく少なめに
そして早く帰宅して
考えごとをしよう
勝負は
別の日にしよう
きょうは
調整日
大事な人から
優しい電話が
来ませんように
2011年12月7日水曜日
中身
ちょうどいい容れ物が見つからなかったのか
その朝
その辺に放ってあった黄色い容れ物に投げ込まれた
そのせいか
私はいつまでたっても居心地がわるい
首のあたりがフワフワし
節々が痛い
脳裏をヤドカリの中身が横切って行く
2011年12月6日火曜日
マリン
あなたのことを
きょうは
マリンと呼ぼう
あなたのうなじから
海の香りはしてこないけれど
あなたの瞳に
海の底の星空は映っていないけれど
きょうは
あなたのことを
マリンと呼ぼう
あなたは自分のことを
不器用だと言うけれど
私は あなたから
その器用な身のこなしを学んでいる
と
いつか
告げたことがあった
あなたはまた
人間関係が苦手だと言ったけれど
あなたの周りには
いつもあなたを求めて素敵な人が
集まっていた
マリン
と呼んでも
マリリンモンローを連想しないでくれ
いっそプリンや風鈴の方がまだ近いのだから
きょうは
煩わしいことが片付いて
いま
何が煩わしかったのかさえ
リアルには思い出せないくらいに
脱力し
重力となって地面に落ちている
マリン
あなたは
あなたであって
あなたではない別の誰か
マリンは
私を
何と呼んでくれるのだろう
朝のベッドのシーツの中で
2011年12月5日月曜日
あなたはすべてを
あなたは
すべてを知ってしまったから
あとは
知らないふりをすることにした
あなたは
すべてをやり終えてしまったから
ほどよく
壊してはまた作ることにした
あなたは
すべてを生きてしまったから
あとは
他人の人生を生きようとした
あなたは
すべてを愛していたから
無限の星が
いつまでも祝福していた
2011年12月4日日曜日
夕日の質問
池に
わたしの
顔が映っていますか
それは
どんな顔ですか
きれいですか
好きな顔ですか
見つめていて
気持ちが昂ぶりますか
抱いてみたいですか
橋に
わたしの影が
掛かっていますか
スマートな影ですか
魅力的な曲線を持っていますか
微かに花の香りがしますか
欲しいですか
影を持ち帰りたいですか
わたしと一緒に
あなたのベッドに
2011年12月3日土曜日
自分らしく生きること
自分らしく生きてほしくないと
言っているのも同じことだと
気づかずに言っているひとは
自分らしく生きていると
思い込んでいる人から見ても
滑稽だが
真に自分らしく生きている人から見れば
見慣れたコマーシャルの一コマに似すぎない
自分らしく生きているひとは
自分らしく生きることを求められるたびに
もっと無名なありきたりの幸せを得て
生きていきたいと思うのだが
相手はそれを許してくれないのを
知っているから
おざなりな答えをするだけである
自分らしく生きたいと願うひとは
自分らしく生きたいと願うことが
自分らしく生きることの
邪魔をしていることに気づかないので
いつまでたっても悩みの中にいる
自分らしく生きたいと思わずに
むしろ自分を殺して生きていきたいと
願っているひとは
自ずと自由な自分らしい生き方をしているのだが
その自由さゆえに不満を持っている
だがその不満が
自分らしく生きることにつながっているのだと
意識することはむずかしい
それは興味がないからでもあるが
生まれながらにして
定まっていたことであるからだ
2011年12月2日金曜日
幽霊が応援している
あなたが悲しむと
そこだけ大地がへこんで
水が流れ込んでくるが
それが涙というものだ
水が流れ込んで来るのと一緒に
やってくるのが
あなたのことを大事に思う人の幽霊だ
幽霊だけど怖くはない
なぜなら
幽霊は人には見えないから
幽霊といったが
幽霊とは曖昧なものだ
(つまりあなたの「幽霊」と筆者の「幽霊」とは
別のものに違いない。
ちなみに筆者の幽霊は普通の人と見分けがつかない。
ひょっとしたら人間なのかもしれない・・・と思うほどだ)
その幽霊はあなたを応援してくれる
ただ便利な存在であるということではない
そこには愛があるから
あなたは
その幽霊に
何となくきづいてしまうことがあるかもしれない
幽霊にとって
それは嬉しいことだ
今晩
悲しいことがあったとしたら
あなたは涙を零すかもしれないが
幽霊はさっそく近くで
応援しているので
念のためにお伝えしておく
2011年12月1日木曜日
間違えられた天国
四週間前では
どちらが幸せでしたか
いきなり質問を浴びせられた君は
とっさに四週間前だと答えた
では一か月前と一年前
どちらが幸せでしたか
どうもクイズ番組に出演しているらしいことに
君は気づいた
一年前!
君は自信を持って答えた
では三年前と十年前では?
たたみかけてくる
あの
椅子が回ることで有名なクイズ番組なのだろうか
十年前!
ほとんど間髪入れずに君は答えた
まだ質問は続く
では、二十年前と百年前では?
百年前!
と君はすぐに答えて
しまった!
と思った
引っ掛け問題に引っ掛ってしまったらしい
百年前はまだ生まれていなかったからだ
お得意の罰ゲームが待っているだろうか
だが
質問は続けられた
では、生まれる前と生まれた後では
生まれた後!
君は矛盾を楽じながら答えた
生まれてから、いったいどのくらい?
年の数と同じくらい!
ふざける余裕などないのに
なんだか腹が立ってきて
投げやりに答えた
では、生まれてすみません、といったのは誰だっけ
私の友だち!
君が満面の笑みで答えると
会場から笑いが起こり
掛かっていた音楽が盛り上がって鳴りやんだすかさず司会者らしき男が言った
やりました!
全問正解
地獄行きが待っています
おめでとうございます!
大きな拍手と歓声が鳴り響いた
君は天国の間違いではないかと言おうとしたが
雰囲気に飲まれて
笑顔で会釈しただけだった
2011年11月30日水曜日
忘れられた人は
2011年11月29日火曜日
それが どうしたのですか?
毎日が過ぎていきますか
あなたの目の前を
あなたは気づかないようにしているのですか
去って行くものが
あなたに語りきれなかったことを
小川が流れていますね
もうすぐ氷が張るでしょう
氷の下を
水が流れるでしょう
氷の上に枯れ葉が積もり
そこを小さなネズミが
渡っていくでしょう
月は出ていますか
ほかの星より特別ですね
あなたは特別ですか
あなたにとって
誰かにとって
目覚まし時計は掛けて眠りますか
目覚まし時計のことを
忘れて眠れますか
2011年11月28日月曜日
飛んできたボール
飛んできたボール
捕ろうとしたけれど
捕りそこなって
顔面に当たった
鈍い音がして
頭の中が釣り鐘のように響いて
重たい痛みが沸きあがってくるのを
おさえられないことは知っている
心臓の鼓動に合わせて
痛みが波打ち
地面に倒れて
もだえているところだ
駆け寄ってくるのは「仲間」と
近くにいた人だ
間近まで来て様子をのぞき込んで
対処方法を考える
ゲームは暗黙のうちに
緊急停止している
銀杏の木のところで
いきなり鋭い木漏れ日に当てられた私は
その日のことを思い出した
あれからどうしたのだろう
冬の日の公園を歩きながら
私にはつながりが分からなかった
ただ
あれは今も私にぶつかってくるあれは
ボールではなく
詩ではないのか
それは
確からしいことだった