思い切り力を込めて
黄色い風船を
空に打ち上げようとするのだが
風船は
上がっていかない
なにをしても
うまくいかない私
遠くで
住んでいた家も倒壊する
近くで
愛していた女も発狂する
静かにしていると
動いているものが見えてくるが
動いているもの同士は
連絡を取っているのだろうか
目を閉じて
闇の中に
浮き上がったギモンの答えを見つけようとするが
脳の周りに白い泡が纏わりついて
つい
その蠢く泡に見入ってしまう
胎内で丸まっていたときから
私がしようとしていたことが
いつかきっと明らかになる
風船は空気を内包して
空気の中で浮き沈みする
泡ははじけて会話する
私は耳の奥で「それ」を聴くことで
会話に参加しようとする
2014年1月31日金曜日
2014年1月30日木曜日
あなたは首を横に振る
あなたは首を横に振る
私の方を向いたとき
目が合う
でもまたすぐに眼をそらして
素知らぬフリ
私はため息を一つ漏らす
あなたは
私たちのいる部屋の空気を
かき回して
私に風を送る
押し入れの中に
しまっちゃうぞ
また次の夏が来るまで
私の方を向いたとき
目が合う
素知らぬフリ
あなたは
私たちのいる部屋の空気を
かき回して
私に風を送る
しまっちゃうぞ
また次の夏が来るまで
2014年1月29日水曜日
じぶんは ひとり
ともだちは
じぶんではありません
じぶんのなかに
ともだちが
いるようなきがしても
ともだちはじぶんではありません
ともだちのゆめをみても
ともだちのきもちがわかっても
ともだちとじぶんが
くっついてうでずもうしていても
ともだちとじぶんは
わかれている
べつべつのにんげんです
もし
ともだちと じぶんのからだが
いれかわって
こころが
そのことにきがつかなくても
じぶんはじぶんだけ
ひとりです
じぶんがひとりであることは
すてきなことです
ふたりがともだちであるのと
おなじくらい
すてきなことです
じぶんではありません
ともだちが
いるようなきがしても
ともだちはじぶんではありません
ともだちのきもちがわかっても
ともだちとじぶんが
くっついてうでずもうしていても
ともだちとじぶんは
わかれている
べつべつのにんげんです
ともだちと じぶんのからだが
いれかわって
こころが
そのことにきがつかなくても
じぶんはじぶんだけ
ひとりです
すてきなことです
おなじくらい
すてきなことです
2014年1月28日火曜日
チョコレートを買いに
雪の日に
女のひとに手を引かれて
田舎道を
チョコレートを買いにいった
古い木枠の硝子の引き戸をあけて
店の中に入った
ストーブの灯が燃えている
薄暗い店内の平台に
赤い包みのチョコレートを見つけた
その包みの中に薄い銀紙に包まれた
チョコレートが入っていて分け合って
指をなめなめ食べるのだ
そして雪の降る薄暗い道を
女のひとと一緒に
帰っていった
あの女のひとは
母だったのだろうか
あの田舎道は
いまもあるのだろうか
ドラッグストアの店頭で
安売りされているチョコレートに訊いてみたが
もちろん答えてくれない
母に訊いてみようか
いや
訊かない方がいいだろう
甘い謎は
そのまま取っておいたほうがいいに決まっているから
女のひとに手を引かれて
田舎道を
チョコレートを買いにいった
古い木枠の硝子の引き戸をあけて
店の中に入った
ストーブの灯が燃えている
薄暗い店内の平台に
赤い包みのチョコレートを見つけた
その包みの中に薄い銀紙に包まれた
チョコレートが入っていて分け合って
指をなめなめ食べるのだ
そして雪の降る薄暗い道を
女のひとと一緒に
帰っていった
あの女のひとは
母だったのだろうか
あの田舎道は
いまもあるのだろうか
ドラッグストアの店頭で
安売りされているチョコレートに訊いてみたが
もちろん答えてくれない
母に訊いてみようか
いや
訊かない方がいいだろう
甘い謎は
そのまま取っておいたほうがいいに決まっているから
2014年1月27日月曜日
小さなとりが
ぼくはだまっているのに
小さなとりが
ずっとなにかをはなしている
ぼくは心のなかで
ひとりごとをいっている・・・ことに
いま気がついた
だまってぼくはひとりごとをいっているのに
小さなとりは
声をだしてはなしている
ぼくは小さな声をだして
いってみた
ーーだれにはなしてるの?
なにをはなしてるの?
小さなとりはぼくを見て
くびをかしげた
でもまた
そっぼをむいて
なにかをはなしはじめた
ぼくはまつげをパタパタさせた
小さなとりはいきおいよく
空へと とびたった
小さなとりが
ずっとなにかをはなしている
ぼくは心のなかで
ひとりごとをいっている・・・ことに
いま気がついた
だまってぼくはひとりごとをいっているのに
小さなとりは
声をだしてはなしている
ぼくは小さな声をだして
いってみた
ーーだれにはなしてるの?
なにをはなしてるの?
小さなとりはぼくを見て
くびをかしげた
でもまた
そっぼをむいて
なにかをはなしはじめた
ぼくはまつげをパタパタさせた
小さなとりはいきおいよく
空へと とびたった
2014年1月26日日曜日
ぼくの せんそう
せんそうがやってきた
うかれたひとはいなくなった
まちじゅうに
なんみんがあふれた
しんだひとは
だれかがつちにうめる
おおきなふろおけが
といれのかわり
こうみんかんは
なんみんのすみか
ぐんたいは
がいこくにでかけて
まもってくれないから
てきがやってくれば
ていこうせず
ころされるかもしれない
やきゅうじょうのフェンスのうらに
ひとがたむろしているのは
せめてくるものから
かくれたいからだ
まだ
そらからばくだんはふってきていない
ラジオもテレビもほうそうをやめたので
がいこくのほうそうを
きくしかない
よるはでんとうがともらないせいで
ほしがきれいだ
エアコンもとまっている
いろんなにおいがまざっている
ちょうへいされたひとも
いるという
ぼくはふつかのあいだ
なにもたべてない
もうそのことさえわすれそうだ
こっかはなくなってしまったようだ
みんなしょくばほうきして にげたのだ
ひとびとは
ただいきのびるだけのじょうたいとなっている
しをかいたり
うたをうたをうたっているひともいない
あんなに はやっていたスマホさえ
もうするひとを どこにもみることができない
ふろおけに
ちんぽをむけて
ちからをこめると
なんと おしっこは
いきおいよく
むこうのふちあたってしぶきをあげた
そういえば
ふつかぶりの
しょんべんだった
うかれたひとはいなくなった
まちじゅうに
なんみんがあふれた
しんだひとは
だれかがつちにうめる
といれのかわり
こうみんかんは
なんみんのすみか
がいこくにでかけて
まもってくれないから
てきがやってくれば
ていこうせず
ころされるかもしれない
ひとがたむろしているのは
せめてくるものから
かくれたいからだ
そらからばくだんはふってきていない
ラジオもテレビもほうそうをやめたので
がいこくのほうそうを
きくしかない
ほしがきれいだ
いろんなにおいがまざっている
ちょうへいされたひとも
いるという
なにもたべてない
もうそのことさえわすれそうだ
みんなしょくばほうきして にげたのだ
ひとびとは
ただいきのびるだけのじょうたいとなっている
しをかいたり
うたをうたをうたっているひともいない
あんなに はやっていたスマホさえ
もうするひとを どこにもみることができない
ちんぽをむけて
ちからをこめると
なんと おしっこは
いきおいよく
むこうのふちあたってしぶきをあげた
ふつかぶりの
しょんべんだった
2014年1月25日土曜日
なまえ
ぼくはきょうからぼくでなくなる
だから
ぼくの おなまえさん
さらばだ さようなら!
おなまえさん
おもえばいつも
きみを やおもてにたててきた
いつからか
ぼくはきみのかげにかくれて
そのぶんへいおんに
すごしてきた
だがきみは
もんくひとついわず
ぼくをまもってくれた
きずついて あざだらけになり
ふくはやぶけ
くつも かたほうしかのこっていないのに
そこでぼくは けついして
きみをへやのなかにいれ やすませることにした
もういんきょしてもいい
というきもちだ
とはいっても
ネットはつながるし
メールやFaceTimeだってできるから
きみにふじゆうはないだろう
おなまえさん
どうかゆっくり ほねやすめして
ぼくをみまもっていてほしい
こんどは ぼくじしんが
やおもてにたって
じぶんじしんで
せいぎのために たたかうから
せいぎはかっこいいもんんじゃない って
だれかいってたな
かっこわるいのは
ぼくのもちあじだ
そして
ぼくはしぬとき
いちばんきれいな
ほしをおもおう
とほうもなくとおくにあるそのほしは
なまえもないが
うちゅうのどこかでかぼそくひかっている
だれかにみられているか なんてことは
もちろん きにせずに
いまぼくにはみえていない
その ほし
きみにも
みえないかもしれない
なまえのない ほし
だから
ぼくの おなまえさん
さらばだ さようなら!
おもえばいつも
きみを やおもてにたててきた
いつからか
ぼくはきみのかげにかくれて
そのぶんへいおんに
すごしてきた
もんくひとついわず
ぼくをまもってくれた
ふくはやぶけ
くつも かたほうしかのこっていないのに
きみをへやのなかにいれ やすませることにした
もういんきょしてもいい
というきもちだ
ネットはつながるし
メールやFaceTimeだってできるから
きみにふじゆうはないだろう
どうかゆっくり ほねやすめして
ぼくをみまもっていてほしい
やおもてにたって
じぶんじしんで
せいぎのために たたかうから
だれかいってたな
ぼくのもちあじだ
そして
ぼくはしぬとき
いちばんきれいな
ほしをおもおう
とほうもなくとおくにあるそのほしは
なまえもないが
うちゅうのどこかでかぼそくひかっている
だれかにみられているか なんてことは
もちろん きにせずに
その ほし
きみにも
みえないかもしれない
なまえのない ほし
2014年1月24日金曜日
まいにち ちがう
おもしろいこと あったなら
ひとにいわずに だまっとこう
しかし いいたく なるもんだ
それがにんじょう しかたない
おもしろいこと たのしんで
がまんできずに はなしちゃう
おとなはそれを やめろって
えらそうに すぐ めいれいだ
おもしろいこと やめたあと
わらいをこらえて ねむったら
きみょうな ゆめを みてしまい
おきたらぜんぶ わすれてた
おもしろいこと なんだっけ
おもいだそうと してる あさ
おもしろいこと やってきた
おならもしちゃった だまっとこう
ひとにいわずに だまっとこう
しかし いいたく なるもんだ
それがにんじょう しかたない
がまんできずに はなしちゃう
おとなはそれを やめろって
えらそうに すぐ めいれいだ
わらいをこらえて ねむったら
きみょうな ゆめを みてしまい
おきたらぜんぶ わすれてた
おもいだそうと してる あさ
おもしろいこと やってきた
おならもしちゃった だまっとこう
2014年1月23日木曜日
2014年1月22日水曜日
2014年1月21日火曜日
詩人のコトバ
下の方で火がチロチロと燃えて
煤(すす)の匂いが立ち込めている
あの大火がまだ続いているのだ ✴︎
消し止められたものだと思っていた
もう忘れ去られたのだと高を括っていた
だがあの人の哀しい願いごとのように
その火は
いつまでも消え去ることはなかった
あの人は白黒写真のなかで笑っている
時代が繊細な色模様に彩られ
ノイズさえ音楽になったとき
あの人の叫び声は
人々が気づかぬ時に蒼空の彼方から
空に吊るされた高い高いブランコのように
やってきてはまた彼方目指して消えていった
それでも
時代の漆喰の壁に打ち付けられた〈?〉の形のねじ釘は
夕日にただあやしく光って
コトバでないものを語りかけてくる
その問いに私は頷いて
やはり
答えのコトバをもつことはなかった
——吉野弘さんを追悼して
✴︎酒田大火(さかた たいか)。1976年(昭和51年)10月29日に、吉野弘さんの郷里である山形県酒田市で発生した。
煤(すす)の匂いが立ち込めている
あの大火がまだ続いているのだ ✴︎
消し止められたものだと思っていた
もう忘れ去られたのだと高を括っていた
だがあの人の哀しい願いごとのように
その火は
いつまでも消え去ることはなかった
あの人は白黒写真のなかで笑っている
時代が繊細な色模様に彩られ
ノイズさえ音楽になったとき
あの人の叫び声は
人々が気づかぬ時に蒼空の彼方から
空に吊るされた高い高いブランコのように
やってきてはまた彼方目指して消えていった
それでも
時代の漆喰の壁に打ち付けられた〈?〉の形のねじ釘は
夕日にただあやしく光って
コトバでないものを語りかけてくる
その問いに私は頷いて
やはり
答えのコトバをもつことはなかった
——吉野弘さんを追悼して
✴︎酒田大火(さかた たいか)。1976年(昭和51年)10月29日に、吉野弘さんの郷里である山形県酒田市で発生した。
2014年1月20日月曜日
満月の次は?
君が向かう方向に
未来とやらが待ち構えているのか
待ち構えているものだから
すでに過去だといま君が言った
済んだことは全て過去にながれさるのか
いま思い出した過去は未来のビジョンだが
明日考える今日と3年後に考える昨日は
いまの私からどちらが近いのか
アラームのスイッチをいれ
予定を確認して
夢を見に螺旋階段を満月の方向へ上ってゆく
2014年1月19日日曜日
冷たい風にのせて
冷たい風にのせて
石の声を伝えよう
水の声でささやこう
冬の日差しを浴びながら
土の香りを懐かしもう
木々の戯れを見守ろう
私はこの地が好きだ
あなたと同じくらい
鉄瓶で湯を沸かそう
ナイフで鉛筆を削ろう
生きた証などなにも必要ない
ただ
いまを精一杯生きて
あなたを抱きしめよう
石の声を伝えよう
水の声でささやこう
冬の日差しを浴びながら
土の香りを懐かしもう
木々の戯れを見守ろう
私はこの地が好きだ
あなたと同じくらい
鉄瓶で湯を沸かそう
ナイフで鉛筆を削ろう
生きた証などなにも必要ない
ただ
いまを精一杯生きて
あなたを抱きしめよう
2014年1月18日土曜日
振り向いて、、、
声? 鳴き声?
が、したので、振り向いてみたら
田んぼの脇の 夜の道
暗がりから 何かの気配が
こっちを見てる
獣だろうか 人? 宇宙人?
森の黒い影の上に
たなびく 雲の上に
三日月
いつもより大きい
いつもより
時間が早く流れている
もう一時間も
ここで 振り向いて
様子をうかがいながら
つい 物思いに耽る私
きつねでございます
油揚げ
本当に 好きなんだ
が、したので、振り向いてみたら
田んぼの脇の 夜の道
暗がりから 何かの気配が
こっちを見てる
森の黒い影の上に
たなびく 雲の上に
三日月
時間が早く流れている
ここで 振り向いて
様子をうかがいながら
つい 物思いに耽る私
油揚げ
本当に 好きなんだ
2011年10月、北京市西部で撮影
2014年1月17日金曜日
曇り空の彼方に
わざと気づかないように
奥の方に仕舞ってあるもの
たまに目が合うと
コトバを失う
こわいかさえ分からないけど
なんだかヤバい気がして
触れずに来た
いままで ずっと
だけど いま取り出して
手にとって向き合わなければ
負けた気持ちで
生きていくしかない
そんなのいやだからと
自分に言い聞かせて
思いきって
蓋を開けた
わざと気づかないように
奥の方に仕舞ってあったもの
私はその中に引きずり込まれて
なにかが碎け散った
その破裂した音だけが
木霊して 羽音のように
バタバタと耳をかすめて
曇り空の彼方に飛び立っていく
奥の方に仕舞ってあるもの
たまに目が合うと
コトバを失う
なんだかヤバい気がして
触れずに来た
いままで ずっと
手にとって向き合わなければ
負けた気持ちで
生きていくしかない
自分に言い聞かせて
思いきって
蓋を開けた
奥の方に仕舞ってあったもの
私はその中に引きずり込まれて
なにかが碎け散った
木霊して 羽音のように
バタバタと耳をかすめて
曇り空の彼方に飛び立っていく
2014年1月16日木曜日
どうしようもない子 〜少女編〜
平らで硬かった胸板に
柔らかなふくらみが育って
波打つようになった
制服を着替えるとき
空気がひりっとして
思わず 手のひらで押さえると
指のあいだから
はみ出して
押さえつけないで
痛い! と主張してくる
瞳は蒼空をうつして緑に萌え
流れる雲を追って灰色の哀しみを湛える
12歳の卒業式から
何日が経ったのか
指を折って数え
そしてその指を唇にもっていった
指が唇に触れているのだが
この感覚は
唇から来るものなのか
指から来るものなのか
それとも
どこか遠くからやって来たのか
分からずに途方に暮れる
私の唇は
小さなアンテナ
指はセンサー
私は大きくため息をついて
明るくない 未来のことも
考えていた
柔らかなふくらみが育って
波打つようになった
空気がひりっとして
思わず 手のひらで押さえると
指のあいだから
はみ出して
押さえつけないで
痛い! と主張してくる
流れる雲を追って灰色の哀しみを湛える
何日が経ったのか
指を折って数え
そしてその指を唇にもっていった
この感覚は
唇から来るものなのか
指から来るものなのか
それとも
どこか遠くからやって来たのか
分からずに途方に暮れる
小さなアンテナ
指はセンサー
明るくない 未来のことも
考えていた
2014年1月15日水曜日
まっすぐな道を
足が痛いから
もう旅行なんかいかないと
不機嫌そうに言う母
家にいたほうが安心だし
行きたくないという
つれていってよ
また いつか
楽しい場所へ
ちょっと恥ずかしいけど
そこで
新しい 楽しい想い出を作って
土産に持ってかえろう
レンタカーを借りて
まっすぐな道を
どこまでも 走って
もう旅行なんかいかないと
不機嫌そうに言う母
行きたくないという
また いつか
楽しい場所へ
ちょっと恥ずかしいけど
新しい 楽しい想い出を作って
土産に持ってかえろう
まっすぐな道を
どこまでも 走って
2014年1月14日火曜日
井の中のドングリ
いいもの持ってるね
いつどこでそろえたの?
あなたの周りには
ボクがほしいものばかり
そのまん中にあなたがいるのに
きょうも足早に立ち去ろうとする
いい香りがしている
サラダよりも新鮮だね
風下に立っていると
うっとり眼を閉じたくなる
引力は向かってくる
光を集めてくちびるが香る
あなたはそっぽを向いているけど
ピンク色
ボクは首ったけ
へのへのもへじ
井の中のドングリ
いつどこでそろえたの?
ボクがほしいものばかり
そのまん中にあなたがいるのに
きょうも足早に立ち去ろうとする
サラダよりも新鮮だね
うっとり眼を閉じたくなる
引力は向かってくる
光を集めてくちびるが香る
ピンク色
ボクは首ったけ
へのへのもへじ
井の中のドングリ
2014年1月13日月曜日
最初の一粒を 見つけたら
最初の一粒を
見つけたら
そうしたら
次から次へと
雪の粒が空から舞い降りてきた
いつの間にか
街じゅうが
雪の襲来に会って
黙らされていく
だれかが声を上げても
空の途中で
凍えて落ちていってしまう
今夜の雪は容赦ない
過去と現在(いま)をつなげようとしているのは
空がひとのコトバに飽き飽きしたから
そんなに私たちは
無駄口をきいてしまった
雪を見張るのを飽きてしまったあとも
雪は降り続いているだろう
海の中でヒトデが時計の代わりに回転して
時を計っているが
それは空と申し合わせをした訳ではあるまい
最初の一粒を
見つけてから
私は
いつかも こんなことがあったと気づきながら
口をつぐんで
コトバにならないように気を遣っていた
あまりにも
身も蓋もないではないか
もしコトバにしてしまったら
私はこの世の牢獄に閉じ込められて
生涯出ることができないかも知れないのだから
見つけたら
そうしたら
次から次へと
雪の粒が空から舞い降りてきた
いつの間にか
街じゅうが
雪の襲来に会って
黙らされていく
空の途中で
凍えて落ちていってしまう
過去と現在(いま)をつなげようとしているのは
空がひとのコトバに飽き飽きしたから
そんなに私たちは
無駄口をきいてしまった
雪は降り続いているだろう
時を計っているが
それは空と申し合わせをした訳ではあるまい
見つけてから
私は
いつかも こんなことがあったと気づきながら
口をつぐんで
コトバにならないように気を遣っていた
身も蓋もないではないか
もしコトバにしてしまったら
私はこの世の牢獄に閉じ込められて
生涯出ることができないかも知れないのだから
2014年1月12日日曜日
2014年1月11日土曜日
どうしようもない子
どうしようもない子
その少年は
自分でも
どうして自分が人と違うことをするのか
普通のことが
普通にできないのか
わからない
いましがたも
飛び出して来てフェリーに
飛び出して来てフェリーに
飛び乗ったばかりだ
強い海の風が
甲板の先端に立つ哀しげな少女を後ろから襲って
スカートの裾をなんども捲りあげて
少女は
少女は
パンティーのお尻を
その度ごとにさらけ出している
(少女はたぶんそれに気づいているのだ)
少年は高いデッキからそれを見て
独り占めしていたいと願っていた
悲しいことがあると…
悲しいことがあると
人は何をすればいいのだろう
少年は
いつまでもその
パンティーのお尻を見ていた
それは永遠に続く物語のようだ
それは永遠に続く物語のようだ
海の強い風に
パンティーを捲らせて
(何かを忘れただろうか
少女は
きっと
そのことさえ
忘れてしまっただろう)
心では
2014年1月10日金曜日
薄い革袋
薄い革袋に
荷物をたくさん詰めて
やぶけそうになっても
耐えて
このままやっていきます
肉や骨
毛髪などが一緒くたです
もう
くたくたですが
なぜか
新鮮で
血がかよっているせいか
冬でも暖かいのです
薄い革袋のうえに
布をかけて
紐状のもので結び
定期券を持たせて
電車に乗せます
この
革袋を愛するひともいるのです
革袋はそのときほんのり染まり
甘美な香りに
酔いしれさえするのです
皮から湯気を発して
荷物をたくさん詰めて
やぶけそうになっても
耐えて
このままやっていきます
肉や骨
毛髪などが一緒くたです
もう
くたくたですが
なぜか
新鮮で
血がかよっているせいか
冬でも暖かいのです
薄い革袋のうえに
布をかけて
紐状のもので結び
定期券を持たせて
電車に乗せます
この
革袋を愛するひともいるのです
革袋はそのときほんのり染まり
甘美な香りに
酔いしれさえするのです
皮から湯気を発して
2014年1月9日木曜日
いないいないバー
ぴたっとキマルそのポーズ
その瞬間
ドキューン×3
素知らぬ顔
アンニュイ
不埒な女なの そうそう
今日は顔の半分マスクして
立ち姿
細枝に可憐な花弁
はんなりキメタそのポーズ
その瞬間
スポーン×3
猫なで声 かすれ声
いないいない
バー×3
ヴァーサス イケメンじゃない
におう におう
メン×3
その瞬間
ドキューン×3
素知らぬ顔
アンニュイ
不埒な女なの そうそう
今日は顔の半分マスクして
立ち姿
細枝に可憐な花弁
はんなりキメタそのポーズ
その瞬間
スポーン×3
猫なで声 かすれ声
いないいない
バー×3
ヴァーサス イケメンじゃない
におう におう
メン×3
2014年1月8日水曜日
まだ行ったことのない場所が
写真の中から誘っている
私はここでこうして生きてきたと
愚痴まじりの味わい深い話を始める
ここ日本は
2014年1月。1週間前からの天気予報が当たって
夕方から雨になった。
耳が寒さの向こうに
聞き耳を立てているのは
寂しいからじゃなく
未来の友だちを捜しているのだ
その写真には
葉がすっかり落ちてしまって
だがもう間もなく芽吹きそうな
広葉樹
雨上がりの濡れた道
その向こうに
雲の小どもが遊びにきそうな池
私は
部屋に帰ってきて
何かを整理するつもりもなく
だだ思いや視線を巡らせ
部屋の中を行き来し
昨日の残りの麻婆豆腐を
暖めて食べた
まだ行ったことのない場所が
誘ってくれているのは
幸せなことだ
そんな場所が
まだ五万とあり
その数は死ぬまで大差なく減らないだろう
私は
まだ行ったことのない場所に
行きたいし行きたくない
だが
ただどこかに
まだ行ったことのない場所があることが
私を生かしている
と言うことができるのだ
2014年1月7日火曜日
そしてあんたは
愛するとは
裂けた傷口を癒すことだ と
あんたは言った
一緒にいると
周りの空気が淀んでくるよ と
あんたは言った
離れていると
あんたを恨みたくなるんだ と
あたしは言った
波風が立たないと
不安と絶望で眠れないよ と
あんたは言った
そして
あんたはいなくなった
嵐の夜が終わった朝の
金色の日差しの矢の中
あたしもいなくなった
裂けた傷口を癒すことだ と
あんたは言った
一緒にいると
周りの空気が淀んでくるよ と
あんたは言った
離れていると
あんたを恨みたくなるんだ と
あたしは言った
波風が立たないと
不安と絶望で眠れないよ と
あんたは言った
そして
あんたはいなくなった
嵐の夜が終わった朝の
金色の日差しの矢の中
あたしもいなくなった
2014年1月6日月曜日
星屑 落下星(らっかせい)
得意なことを自慢しているあなたの
眼の輝きが好き
苦し紛れのいい訳を探すときの
あなたの声が好き
海でも見に行くかと
ぶっきらぼうに誘うあなたが好き
階段をひとりで走って上っていってしまう
気遣わないあなたが好き
お前は何がほしいんだと
決めているくせに訊いてくるあなたが好き
あなたが好きで好きでどうしようもない
のぼせちゃってる私も好き
サンダルつっかけて
夜道に星屑 落下星 探しにいこう
眼の輝きが好き
苦し紛れのいい訳を探すときの
あなたの声が好き
海でも見に行くかと
ぶっきらぼうに誘うあなたが好き
階段をひとりで走って上っていってしまう
気遣わないあなたが好き
お前は何がほしいんだと
決めているくせに訊いてくるあなたが好き
あなたが好きで好きでどうしようもない
のぼせちゃってる私も好き
サンダルつっかけて
夜道に星屑 落下星 探しにいこう
2014年1月5日日曜日
忘れてはいけない
冷たい風にあたり
ぼやけた気持ちをしゃっきりさせます
小さな勇気を取り戻します
忘れてはいけないもの
それは
真空の夜空から見守っている星
春風を生む暗い海
あなたが作りだすことができる未来
覚えていてほしいこと
私たち出会えたこと
離れたあとも忘れない
あなたの手の温もりが残って
いまも私を励ましている
ぼやけた気持ちをしゃっきりさせます
小さな勇気を取り戻します
忘れてはいけないもの
それは
真空の夜空から見守っている星
春風を生む暗い海
あなたが作りだすことができる未来
覚えていてほしいこと
私たち出会えたこと
離れたあとも忘れない
あなたの手の温もりが残って
いまも私を励ましている
2014年1月4日土曜日
あなたと私
電車にとびのれば
すぐに生まれ育った街に行ける
そこには見慣れた道
街路樹
駅前のビル
まだ
あなたと私が一緒にいたころの
思い出が
影のように 遺ってる
もう一度出会いたいなんて言えない
あの頃の私たち
楽しすぎて
輝いていたから
いまは静かに時を
やり過ごしている
その時を
美しい色に染め上げたくて
暮れ行く街
遠く 道の見えなくなるあたり
まだ
あなたと私
ふざけながら
歩いていそうで
2014年1月3日金曜日
足りない気持ちに包まれて
太陽と風の香りがする
ベッドに顔をうずめて
透明な涙を零してみたら
滴はすぐに
見えなくなった
部屋に舞う埃の小宇宙
フッと吹き飛ばして
どの靴を履いて出かけようか
考えてみた
君は遠くて近いから
君はやさしくて残酷だから
ボクは君と無関係に
生きていく
さよなら
さよならをおそれた
愛しい時間たち
もう君がいなくても
足りない気持ちに
包まれて 寄り添って
生きてゆける
ベッドに顔をうずめて
透明な涙を零してみたら
滴はすぐに
見えなくなった
フッと吹き飛ばして
どの靴を履いて出かけようか
考えてみた
君はやさしくて残酷だから
ボクは君と無関係に
生きていく
さよならをおそれた
愛しい時間たち
もう君がいなくても
足りない気持ちに
包まれて 寄り添って
生きてゆける
2014年1月2日木曜日
夜を待つ朝は
夜を待つ朝は
無骨な薬缶の冷めた水の心
なんのために
生まれてきたのか
思春期は遠く過ぎ去ったのに
青春の蹉跌は
錆びて胸に刺さったまま
心臓が鼓動を打つたびに
これでもか、これでもか、と
痛みを投げかけてくる
夜は眠るもの
朝は希望を抱いで外に飛び出すものと
オトナは教えてくれたけど
むしろ 夜の闇の中にしか
希望は見出せないと今 感じてる
なんのために生きているのか
自己満足のためなのか
それとも他人を満足させるためなのか
そもそも意志や思いなどは無関係なことなのか
大事なことは
口を開けて待っていても
学びようはなかったのだ
夜を待つ朝は
無骨な薬缶の冷めた水の心2014年1月1日水曜日
君の磁石
君の磁石はいい磁石かい?
何を引き寄せるというのだ
どこまでも渡ってゆける鉄の舟か
太古ににちりばめられた無数の恒星か
俺の磁石はいい磁石はかい?
何を弾き飛ばすというのだ
悪い連中が抱え込んだくすんだ名誉か
夜な夜な取り出して眺める不安と恐怖か
君の磁石はいい磁石かい?
何を預言するというのだ
大事なひとを即座に見分ける秘伝の術か
悪魔に出会わない藪の中の一本の小径か
俺の磁石はいい磁石はかい?
何を言いよどむというのだ
短い命が絶えるまでの残り時間か
悦楽と幸福を得るための生け贄のリストか
磁石は引き寄せ弾き飛ばし
預言し言いよどむ
人の胸の上で
踊り狂って光を反射して
何を引き寄せるというのだ
どこまでも渡ってゆける鉄の舟か
太古ににちりばめられた無数の恒星か
何を弾き飛ばすというのだ
悪い連中が抱え込んだくすんだ名誉か
夜な夜な取り出して眺める不安と恐怖か
何を預言するというのだ
大事なひとを即座に見分ける秘伝の術か
悪魔に出会わない藪の中の一本の小径か
何を言いよどむというのだ
短い命が絶えるまでの残り時間か
悦楽と幸福を得るための生け贄のリストか
預言し言いよどむ
人の胸の上で
踊り狂って光を反射して
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