暗くて寒い部屋
胸のところで缶ジュースみたいに
絶望を握りしめて
息を潜めているあなた
私は
あなたのことばかり
考えています
あなたにも
うれしさにみちあふれた
日々がありましたね
私にもありました
不器用なあなたは
大事なことを
いつも後回しにしないと
その大事さが分からなかった
幸せを放っておいて
人の幸せを願うという贅沢を
たくさんして
そんなに不幸に浸かってしまった
今度はあなたが
幸せになる番です
幸せをつかんだ人の
真似をしても
悪いことはないのです
私もそうしたいと
思っています
2013年12月31日火曜日
2013年12月30日月曜日
たとえられた風
海の向こうから
潮風の香りの手紙がとどく
はりがねの形の平仮名が
洒落た置き物のような漢字をつないで
ほどけぬように
カタカナでとめてある
あなたの見慣れたイニシャルは
渡り鳥が羽を休める場所
私もなんどか
あなたにとまって
羽を休めた
そんなこともあった
地球の違う場所では
朝と昼と夕方と夜とが
それぞれの場所を覆っていて
みな
違う言葉で挨拶をしたりするが
黙っている場合もある
そういう私も
いま黙って
手紙が来るのを待っている
手紙というたとえをまとった
なつかしい
春の風が
潮風の香りの手紙がとどく
はりがねの形の平仮名が
洒落た置き物のような漢字をつないで
ほどけぬように
カタカナでとめてある
あなたの見慣れたイニシャルは
渡り鳥が羽を休める場所
私もなんどか
あなたにとまって
羽を休めた
そんなこともあった
地球の違う場所では
朝と昼と夕方と夜とが
それぞれの場所を覆っていて
みな
違う言葉で挨拶をしたりするが
黙っている場合もある
そういう私も
いま黙って
手紙が来るのを待っている
手紙というたとえをまとった
なつかしい
春の風が
2013年12月29日日曜日
てにしたしゅんかんに
てにしたしゅんかんに
あわくきえてしまうものがある
てにしなければよかったと
くいてももうおそい
ずっとてにしたかったものなのに
ずっとおいもとめてきたものなのに
どうしてそれは
きえてしまうのか
てにしては
いけないものだったのか
ほんとうはわたしは
きづいている
わたしがそれを
ほしいとねがうちからが
わたしには
いちばんだいじなものだったと
それがこころにあったとき
わたしのこころは
つよかった
みたされることをまちこがれる
つよいおもいで
わたしはいつもみたされていた
わたしとともにいた
だいじなじかん
あわくきえてしまうものがある
てにしなければよかったと
くいてももうおそい
ずっとおいもとめてきたものなのに
きえてしまうのか
てにしては
いけないものだったのか
きづいている
わたしがそれを
ほしいとねがうちからが
わたしには
いちばんだいじなものだったと
わたしのこころは
つよかった
つよいおもいで
わたしはいつもみたされていた
わたしとともにいた
だいじなじかん
2013年12月28日土曜日
初めて知るだろう
あなたの前ではずんでいた白い鞠
私がポケットに隠し持っていた光るパイプ
あなたの髪が匂い立つ真昼のスコール
私の胸で渦巻く怪鳥の羽ばたき
あなたのものと
私のものを
一緒くたにして
たき付けに
くべてしまえ
その穴に
その竃の火に
やがて湯がたぎるだろう
湯に その辺の生命をそのまま投げ入れて
私たちは夜の間中
魔除けのダンス
やがて明け方の太陽が
夕焼け空を背景にしていると
初めて知るだろう
初めて知っただろう
私がポケットに隠し持っていた光るパイプ
私の胸で渦巻く怪鳥の羽ばたき
私のものを
一緒くたにして
たき付けに
くべてしまえ
その穴に
その竃の火に
湯に その辺の生命をそのまま投げ入れて
私たちは夜の間中
魔除けのダンス
夕焼け空を背景にしていると
初めて知るだろう
初めて知っただろう
2013年12月27日金曜日
日々の扉
もう気づくことはない
そんなふうに 思うことはなくても
毎日が新しいことの連続だった日々は
いつのまにか別世界を描いた絵のようだ
もう誤ることはない
そんなふうに 考えはしなくても
いつも間違った道に迷い込んでいたあの頃は
かさぶたとなってすでに消えた傷口のようだ
もう「いいひと」にはならない
そんなふうに 決意しなくても
すぐに人を信じてしまう性格は
皮膚に刻まれた曲がった笑い皺のようだ
もう私は私から抜け出したい
そんなふうに 望みはしなくても
そう願った日々の重い扉は
とっくに開け放たれていて出入りは自由だ
そんなふうに 思うことはなくても
毎日が新しいことの連続だった日々は
いつのまにか別世界を描いた絵のようだ
そんなふうに 考えはしなくても
いつも間違った道に迷い込んでいたあの頃は
かさぶたとなってすでに消えた傷口のようだ
そんなふうに 決意しなくても
すぐに人を信じてしまう性格は
皮膚に刻まれた曲がった笑い皺のようだ
そんなふうに 望みはしなくても
そう願った日々の重い扉は
とっくに開け放たれていて出入りは自由だ
2013年12月26日木曜日
なみは
なみはさらう
りくちのものを
そのてにしたものを
うむをいわさず
ひきつれて
なみはつつむ
うつくしいもの
そうでないもの
おんどやいろさえ
同化して
なみは話す
太古と未知のはなし
いみのない繰りごと
その声がこきゅうと
まざりあったあとも
なみはしる
せつなのかがやき
むごんのよげん
なみだがかくまった
ちいさなこえも
なみはあそぶ
ほしとゆきをうずまいて
あさとよるを
ひとつにして
ふところに深海をかかえて
なみはありつづける
わたしがせかいから
しょうめつしても
りくちのものを
そのてにしたものを
うむをいわさず
ひきつれて
なみはつつむ
うつくしいもの
そうでないもの
おんどやいろさえ
同化して
なみは話す
太古と未知のはなし
いみのない繰りごと
その声がこきゅうと
まざりあったあとも
なみはしる
せつなのかがやき
むごんのよげん
なみだがかくまった
ちいさなこえも
なみはあそぶ
ほしとゆきをうずまいて
あさとよるを
ひとつにして
ふところに深海をかかえて
なみはありつづける
わたしがせかいから
しょうめつしても
2013年12月25日水曜日
見知らぬだれかが
心がつかれたら
重荷をいったん脇に置いて
ひと息つきましょう
ぎすぎすした衣を脱いで
日向ぼっこでも
してみましょう
好きな人と過ごした
きらめく日々を
思い出してみましょう
無垢な魂の
わがまま勝手な力を
体の芯に感じてみましょう
そして
あなたのように
心がつかれたひとのことを
見知らぬだれかが
どこかで
心配して祈りを捧げているのだと
信じてみましょう
それは全く
本当のことなのだから
重荷をいったん脇に置いて
ひと息つきましょう
ぎすぎすした衣を脱いで
日向ぼっこでも
してみましょう
好きな人と過ごした
きらめく日々を
思い出してみましょう
無垢な魂の
わがまま勝手な力を
体の芯に感じてみましょう
そして
あなたのように
心がつかれたひとのことを
見知らぬだれかが
どこかで
心配して祈りを捧げているのだと
信じてみましょう
それは全く
本当のことなのだから
2013年12月24日火曜日
気取らない幸せ
幸せをそっちのけにしておいて
それに気づかない人が多い
そしてそれに気づいたときには
もうその幸せはそこにない
メーテルリンクさんが教えてくれたのは
まだ学校に行く前のこと
ルビー色の気取ったカクテルが いま
気取らない幸せを教えてくれた
もう学校も出て街をふらついている私に
君の居場所はそこではない と
それに気づかない人が多い
そしてそれに気づいたときには
もうその幸せはそこにない
メーテルリンクさんが教えてくれたのは
まだ学校に行く前のこと
ルビー色の気取ったカクテルが いま
気取らない幸せを教えてくれた
もう学校も出て街をふらついている私に
君の居場所はそこではない と
2013年12月23日月曜日
ケーキの入った箱を
ケーキの入った箱を
落としてしまいました
やっと手に入れた
大事なケーキ
ケーキは箱の中で
大けがしてしまったでしょう
私の顔からは
笑みがきえました
そのかわりに
涙がとまりません
あなたを守れなくて
ごめんね
強くなりたいと
願った夜
落としてしまいました
やっと手に入れた
大事なケーキ
大けがしてしまったでしょう
笑みがきえました
そのかわりに
涙がとまりません
ごめんね
願った夜
2013年12月22日日曜日
私の中に
泥水の中に落ちた
大事なもの
私の手を引いてくれたから
私
我に返った
太陽の光を跳ね返して
眩しかった
私の
大事なもの
泥水の中で
輝いていた
泥水の中から
私は
拾い上げた
泥でよごれてしまったけれど
それは
もっと大事なことを
話してくれた
私の中に
残った
その 輝き
大事なもの
私の手を引いてくれたから
私
我に返った
眩しかった
大事なもの
泥水の中で
輝いていた
私は
拾い上げた
泥でよごれてしまったけれど
それは
もっと大事なことを
話してくれた
私の中に
残った
その 輝き
2013年12月21日土曜日
記憶
あなたの顔は
なつかしい村
私はそこで
暮らしてた
泉の水で喉を潤し
水鏡でいい顔を作った
防風林をかき分け
砂浜に転がり遊んだ
小高い山に登り
しっとりした驟雨を浴びた
洞窟を覗き込み
コウモリのねぐらを見つけた
あなたの声は
到来(アリバダ)の知らせ
波打ち際に
一万の亀たちが上陸した
月は姿を隠し
影は命を満たした
私はあなたを縛り
あなたは一切の夜の記憶をほどいた
2013年12月20日金曜日
少年
*
みんなのまえでうたった暗い歌
聴かせたくない人がいた
弱い者をみていた弱い自分
夢の中で遠くまで出かけた
外の宇宙と相談している
人差し指が覚えているそのなつかしい人
みんなのまえでうたった暗い歌
聴かせたくない人がいた
*
強いものの陰に隠れ弱い者をみていた弱い自分
*
寂しさのうえに横たわり夢の中で遠くまで出かけた
*
自分の中の宇宙が自分を介して外の宇宙と相談している
*
木の机に刻まれていた知らない人の名前人差し指が覚えているそのなつかしい人
2013年12月19日木曜日
少し背伸びを
白い椅子に
空気が座っている
ほおづえをついて
私の話を聴いている
もうだいぶ長い時間が過ぎた
私は
さっきとまた同じ話をしている
空気が
あくびした
私は席を立って
改札口へ向かった
カードをかざすと
そこから数字が抜かれて
小さくなった
肩をすぼめていた私は
すこし
背伸びをしてみた
空気が座っている
ほおづえをついて
私の話を聴いている
私は
さっきとまた同じ話をしている
あくびした
私は席を立って
改札口へ向かった
そこから数字が抜かれて
小さくなった
すこし
背伸びをしてみた
2013年12月18日水曜日
きいろいくまさん
きいろいくまさん
わらっているよ
ひとりぼっちで
ソファーにすわって
きいろいくまさん
なかないでね
わたしもひとり
ゆうごはんはパン
きいろいくまさん
どこかにいこう
だれもこれない
かなたのさとへ
きいろいくまさん
つかれてねむる
わたしもねむる
ほしぞらがいっしょ
2013年12月17日火曜日
ほしいもの
いま食べるための
ひときれのパン
いま喉を潤すための水
いま伝えなければならないことを知らせるコトバ
それをささえる勇気
私はほしい
パンでなくてもいい
水でなくても
コトバでなくても
勇気さえなくてもいい
いま
私がここに生きていくために
必要なもの
それがあれば
宇宙からの問いを
問いのまま受け入れることの大事さを
忘れることはない
流れる水さえ
止めることができる
一枚の写真に収まってしまったように
宗教画の一部となってしまったように
私は風景の一部に
積極的に加担する
黄金比のポーズさえキメて
ひときれのパン
いま喉を潤すための水
いま伝えなければならないことを知らせるコトバ
それをささえる勇気
パンでなくてもいい
水でなくても
コトバでなくても
勇気さえなくてもいい
私がここに生きていくために
必要なもの
宇宙からの問いを
問いのまま受け入れることの大事さを
忘れることはない
止めることができる
一枚の写真に収まってしまったように
宗教画の一部となってしまったように
私は風景の一部に
積極的に加担する
2013年12月16日月曜日
きょうのぼく
いきているかちがない
しんだほうがましなぼく
しぬかちもない
いきているほうが
なみかぜがたたないぼく
いのちをつながない
かくんやいえもつがない
たちきるぼく
わるいせけんには
だまされてばかり
いいひとをまもれない
むりょくなぼく
ごみのかちもない
にさんかたんそをはいしゅつするぼく
はやくつちとまじって
しょくぶつになりたい
あわれでみにくいぼく
しょくぱんをたべるとき
おいしいとかんじる
そのことをだれかに
プレゼントしたい
きょうのぼく
しんだほうがましなぼく
しぬかちもない
いきているほうが
なみかぜがたたないぼく
いのちをつながない
かくんやいえもつがない
たちきるぼく
わるいせけんには
だまされてばかり
いいひとをまもれない
むりょくなぼく
ごみのかちもない
にさんかたんそをはいしゅつするぼく
はやくつちとまじって
しょくぶつになりたい
あわれでみにくいぼく
しょくぱんをたべるとき
おいしいとかんじる
そのことをだれかに
プレゼントしたい
きょうのぼく
2013年12月15日日曜日
しにゆくひとは
きょうは、谷川俊太郎さんの誕生日。毎年それを祝い詩を書くのですが、
この詩は違います。
しにゆくひとは
しにゆくひとは
すんでいる
にごりすぎて
すみわたる
みなもになにかをなげいれても
なみはたたず
なにもかもをしまいこむだけ
おともきこえてこない
この世でノイズを聴きすぎたので
もう音はたたない
ただかすかな色彩が
ゆうぐれて
漂ってくる
しにゆくひとは
方向音痴になっていく
三半規管も不要であるから
回路を切ったのだろう
走馬灯のようなおもいでが
走馬灯のように回る
意味が重なってしつこくなっても
意味は無意味に行きついたので
自由だ
しにゆく人が
死にゆきつくまで
あとどのくらい時間があるのか
答える神様はいない
死にゆく人は
死にゆく人になりきり
世間をつんざいて
血潮で線を描く
道に喩えることができる
無粋な比喩は
苦いくすりのように
何かに効き目がある
とは
言えないだろう
この詩は違います。
しにゆくひとは
しにゆくひとは
すんでいる
にごりすぎて
すみわたる
みなもになにかをなげいれても
なみはたたず
なにもかもをしまいこむだけ
おともきこえてこない
この世でノイズを聴きすぎたので
もう音はたたない
ただかすかな色彩が
ゆうぐれて
漂ってくる
しにゆくひとは
方向音痴になっていく
三半規管も不要であるから
回路を切ったのだろう
走馬灯のようなおもいでが
走馬灯のように回る
意味が重なってしつこくなっても
意味は無意味に行きついたので
自由だ
しにゆく人が
死にゆきつくまで
あとどのくらい時間があるのか
答える神様はいない
死にゆく人は
死にゆく人になりきり
世間をつんざいて
血潮で線を描く
道に喩えることができる
無粋な比喩は
苦いくすりのように
何かに効き目がある
とは
言えないだろう
2013年12月14日土曜日
奇跡というもの
奇跡は何食わぬ顔をして
あんパンを食べている
ところで
そのあんはうぐいす色であった
奇跡はハッとして
帽子に手をやった
鳥のフンかとおもいきや
なんと金貨だった
奇跡は青空に
軌跡を描いて
行くべき道を
教えてくれたこともある
奇跡なんか起きたことがない
と言っている人がいるが
なんと滑稽なのだろう
気づかないなんて
☆蛇足
(奇跡はあまりに
ありがたがられるので
ありふれた格好で
ドアががたっと開くの待っている
ドアが開いたら
やさしい日差しが
あるいは
微かな風邪が
頬に触れるだろう
そのとき・・・・)
あんパンを食べている
ところで
そのあんはうぐいす色であった
帽子に手をやった
鳥のフンかとおもいきや
なんと金貨だった
軌跡を描いて
行くべき道を
教えてくれたこともある
と言っている人がいるが
なんと滑稽なのだろう
気づかないなんて
ありがたがられるので
ありふれた格好で
ドアががたっと開くの待っている
やさしい日差しが
あるいは
微かな風邪が
頬に触れるだろう
そのとき・・・・)
2013年12月13日金曜日
ほしいものができたら
ほしいものができた
買うことはできない
ほしいもののことを
ずっと考えている
ほしいものは変わらずに
そこにある
私は少しずす変わっていっていて
ほしいものは
気配を変えない
落ち着いている
瞑想しているのだろうか
あるいは眠っているのか
私の瞼は重たくなってくる
私はその場所から姿を消す
夢のなかでは
知り合いの女が
腹から血を流してもがいている
近くにその元恋人が立って
真っ二つに割れたiPadで
病院を検索していたがその過程で
ほしいものをみつけ
そちらに夢中になってしまっているようだ
私は女に
大丈夫だからと言って
女のことを気遣いつつ
助けたいと願った
私はこの女をほしいと思うと同時に
ほしいものリストに追加した
買うことはできない
ほしいもののことを
ずっと考えている
ほしいものは変わらずに
そこにある
私は少しずす変わっていっていて
ほしいものは
気配を変えない
落ち着いている
瞑想しているのだろうか
あるいは眠っているのか
私の瞼は重たくなってくる
私はその場所から姿を消す
夢のなかでは
知り合いの女が
腹から血を流してもがいている
近くにその元恋人が立って
真っ二つに割れたiPadで
病院を検索していたがその過程で
ほしいものをみつけ
そちらに夢中になってしまっているようだ
私は女に
大丈夫だからと言って
女のことを気遣いつつ
助けたいと願った
私はこの女をほしいと思うと同時に
ほしいものリストに追加した
2013年12月12日木曜日
あなたがこのよにうまれて
あなたがこのよにうまれて
よろこんだひとはいたが
かなしんだひとはいなかった
あなたがかなしみのなかにいるとき
くうきはバリアをつくって
あなたをまもろうとした
あなたがこのよにうまれて
やがてあなたはめをひらき
うつくしいものをみた
いいかおりをかいだ
それはあなただけのものだ
いま
まちにながれはじめたおんがくも
よくきいてみるといい
それは
あなたのためだけに
かなでられている
おんがくだ
と
わたしはおもっている
よろこんだひとはいたが
かなしんだひとはいなかった
くうきはバリアをつくって
あなたをまもろうとした
やがてあなたはめをひらき
うつくしいものをみた
いいかおりをかいだ
いま
まちにながれはじめたおんがくも
よくきいてみるといい
それは
あなたのためだけに
かなでられている
おんがくだ
と
わたしはおもっている
2013年12月11日水曜日
花をだいていた女の子
はなをだいていた
おんなのこ
いつのまにか
じぶんも
おはなになっていました
みんながくちぐちに
きれいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
かれていく
おはなも
だいじにしました
みんながくちぐちに
あわれだと
いいあいました
はなをだいていた
おんなのこ
じぶんは
きれいじゃないと
ないていました
みんなはくちをつぐんで
ひとことも
こえをかけませんでした
はなをだいていた
おんなのこ
かれしが
きれいだよと
まいにちきすをしました
みんなはくちぐちに
おにあいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
はなの
たねを
まきました
みんなはどんなはなが
さくのか
めをとじてかんがえました
おんなのこ
いつのまにか
じぶんも
おはなになっていました
みんながくちぐちに
きれいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
かれていく
おはなも
だいじにしました
みんながくちぐちに
あわれだと
いいあいました
はなをだいていた
おんなのこ
じぶんは
きれいじゃないと
ないていました
みんなはくちをつぐんで
ひとことも
こえをかけませんでした
はなをだいていた
おんなのこ
かれしが
きれいだよと
まいにちきすをしました
みんなはくちぐちに
おにあいだと
いいました
はなをだいていた
おんなのこ
はなの
たねを
まきました
みんなはどんなはなが
さくのか
めをとじてかんがえました
2013年12月10日火曜日
だからとにかく
こそこそと
みちのはじをあるけば
どろみずにはまり
こえをたてずに
ちかづくとちゅうで
ころんでたおれ
みようとすれば
そこにはもうなく
さわったときには
やけどしたっけ
のぼっていくと
みちはなく
くだっていけば
がけからおちた
わたしはさいきんこんなぐあい
だからとにかく
だいじょうぶ
みちのはじをあるけば
どろみずにはまり
こえをたてずに
ちかづくとちゅうで
ころんでたおれ
みようとすれば
そこにはもうなく
さわったときには
やけどしたっけ
のぼっていくと
みちはなく
くだっていけば
がけからおちた
わたしはさいきんこんなぐあい
だからとにかく
だいじょうぶ
2013年12月9日月曜日
本物
コンサートが終わり
一つの家族が薄暗い道を歩いている
命のかたまり
音楽はしつけ糸
靴はクッション
まとったユニクロのウルトラライトダウンは
隠し事を欺く
足取りは恋心の成れの果て
夜の星空は
寒い風に散る涙を映した偽物
一つの家族が薄暗い道を歩いている
命のかたまり
音楽はしつけ糸
靴はクッション
まとったユニクロのウルトラライトダウンは
隠し事を欺く
足取りは恋心の成れの果て
夜の星空は
寒い風に散る涙を映した偽物
2013年12月8日日曜日
ゆらゆらゆれて
ゆらゆら
ゆれています
ふらふら
しています
うごくもののうえ
かわりゆくかたち
うまれてくるもの
きえさってゆくもの
ゆらゆら
ゆれています
ふらふら
しています
ゆらゆらゆれる
しんきろうのまどから
みわたします
せかいは
やはりゆらゆらゆれて
そこにたつ
ひとはふらふらしています
ふらふらしながら
どこかに
たよるものがないか
めをまわしてさがしています
ゆれています
ふらふら
しています
うごくもののうえ
かわりゆくかたち
うまれてくるもの
きえさってゆくもの
ゆらゆら
ゆれています
ふらふら
しています
ゆらゆらゆれる
しんきろうのまどから
みわたします
せかいは
やはりゆらゆらゆれて
そこにたつ
ひとはふらふらしています
ふらふらしながら
どこかに
たよるものがないか
めをまわしてさがしています
2013年12月7日土曜日
鉛筆で
私の考えは
鉛筆で書く
文字を書き間違えるように
考えもよく間違えるから
私の思いは鉛筆で書く
書き終わった途端に変わるから
きらいな人も好きな人に変わるから
私の未来は鉛筆で書く
あなたが消して書き直せるように
未来は独り占めできないだろうから
鉛筆で書く
文字を書き間違えるように
考えもよく間違えるから
書き終わった途端に変わるから
きらいな人も好きな人に変わるから
あなたが消して書き直せるように
未来は独り占めできないだろうから
絵 一之瀬仁美
2013年12月6日金曜日
いつまでもここに
いつまでも
ここにすわっていたい
この席に
いまは
駅前の
クリスマスのイルミネーションを借景に
珈琲の香りが漂い
ほどよく賑わっている
今ふうのカフェだが
まわりのひとが
すべていなくなり
たてものに蜘蛛の巣が張り巡らされ
壁は剥げ落ち窓は割れ
寒風が吹きこんでも
街が廃墟となり
行き交うひとが皆無となっても
私は
この席に
すわっていたい
私の思いは
強く不変であるに違いない
私はいたい場所に
いたい
それが私の抵抗だから
それが私がいる意味だから
ここにすわっていたい
この席に
いまは
駅前の
クリスマスのイルミネーションを借景に
珈琲の香りが漂い
ほどよく賑わっている
今ふうのカフェだが
まわりのひとが
すべていなくなり
たてものに蜘蛛の巣が張り巡らされ
壁は剥げ落ち窓は割れ
寒風が吹きこんでも
街が廃墟となり
行き交うひとが皆無となっても
私は
この席に
すわっていたい
私の思いは
強く不変であるに違いない
私はいたい場所に
いたい
それが私の抵抗だから
それが私がいる意味だから
2013年12月5日木曜日
あやまち
あやまちをくりかえし
いきてきた
いきてきたといま書いたのも
またあやまち
あやまちにあやまちをかさね
あやまちの塔が建つ
あやまちの塔を自ら破壊して
あやまちの道をひきかえして
あやまちの川のほとり
誤って正しいことを
水にながす
あやまちで
日が暮れて
あやまちの夢にめをさまし
誤った名を呼んで
ふたたび眠る
あやまちをくりかえし
いきつづける
くらしをよくしようとする
だがくらしはよくならない
すべてがあやまちだから
あやまちの躯を
正しいもので染め
正しさというもので染め
中身も
ねこそぎ入れ替えなければ
それでも
あやまちをおかすだろうが
あやまちには
気づかなくなるだろう
2013年12月4日水曜日
みらいのために
だれかのために
はたらいて
なにかのために
しんでいく
そんなじんせい
ありました
すきなだれかに
のせられて
しぼりとられて
わらわれて
ちいさなゆめは
きえるもの
やさしいひとを
ふみだいに
とおくをながめた
ひとがいた
こわれたふみだい
もえるごみ
ながいものには
まかれつつ
いやなおもいは
ひとまかせ
おやまのたいしょう
ごきげんよう
わるいはなしは
わすれましょう
おとくなはなしは
おぼえとこう
やったもんがち
おらがむら
きれいなものに
かこまれて
よごれたものは
しらんぷり
じぶんのよごれは
きづけない
はたらいて
なにかのために
しんでいく
そんなじんせい
ありました
のせられて
しぼりとられて
わらわれて
ちいさなゆめは
きえるもの
ふみだいに
とおくをながめた
ひとがいた
こわれたふみだい
もえるごみ
まかれつつ
いやなおもいは
ひとまかせ
おやまのたいしょう
ごきげんよう
わすれましょう
おとくなはなしは
おぼえとこう
やったもんがち
おらがむら
かこまれて
よごれたものは
しらんぷり
じぶんのよごれは
きづけない
2013年12月3日火曜日
無題の日々
2013年12月2日月曜日
そんなこともあった
まいにち生きているのが、つらくて、あなたは、もう死ぬ価値さえない、という
生きている価値は、たぶん、もうとっくの昔にあなたのこころから、消失したというのだろうか
ああ。わたしも、世の中を切り裂いて死んでいくことができたなら、と、あるいは、生きていくことができたなら、と唱えながら
放課後の校舎で、誰かが書いた「生きる」という詩を読んだことがあったな、と、ありありとその景色や色彩まで、思い浮かべた
弄ぶものはいない だが弄ばれている
それは 行きずりに誰かが触れたから。その影を踏んだから…
音が交じってグラウンドノイズができあがるときに、それに隠れて
あなたの吐いた息が、あなたの命を吹き消した
2013年12月1日日曜日
取扱い説明書
この容れ物
不便なこと この上ない
もっと
いいものがたくさん容れられるようにしたいが
どうしたらいいのか
説明書がない
多くの人が
知恵を出し合って
取扱い方法を考えたり教えたり
話し合ったりしているが
いまだに
明快な答えはないようだ
造ったひとが
ちゃんと取り扱い説明書を
残すべきだったといえるだろう
不親切なことをすると
きっと
バチが当たると思う
それがたとえ神様でも
不便なこと この上ない
もっと
いいものがたくさん容れられるようにしたいが
どうしたらいいのか
説明書がない
知恵を出し合って
取扱い方法を考えたり教えたり
話し合ったりしているが
いまだに
明快な答えはないようだ
ちゃんと取り扱い説明書を
残すべきだったといえるだろう
きっと
バチが当たると思う
それがたとえ神様でも
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