詩人が青空に白い雲があると言う
それで私は空に雲があることを思い出して
見上げてみる
空は青い
その言葉のせいかどうかはわからないが
確かに空は青いと思われた
その青空に
雲が幾つか浮かんでいる
詩人は
雲は地球に張り付いているようだと言う
浮かんでいると言うより
張り付いていると言う
なるほど
雲は地球にへばり付いている
そして青空は消え
群青の宇宙が広がっている
詩人はつづけて言う
宇宙は飲み込めるよ
大きく口を開けなくても
小さなカプセルだから大丈夫と
私は手渡されたその小さなカプセルを
唾と一緒に飲み込んだ
すると一瞬にして私は
宇宙の外側になってしまった
自分の意思が宇宙を形成しているようだ
星々の運行やその色
生命の生き死にも
詩人は言う
私は詩人ではないと
私は旅芸人だと
そして もう
旅の一座となって去って行こうとしている
私は引き止めたかったが
引き止めることはできないと感じていた
さびしさが溢れてきた
私は私にあいた穴から
青空を見た
ポッカリとしていた
穴から覗いた地球の風景
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