2011年1月30日日曜日

ポッカリあいた穴

詩人が青空に白い雲があると言う
それで私は空に雲があることを思い出して
見上げてみる

空は青い
その言葉のせいかどうかはわからないが
確かに空は青いと思われた
その青空に
雲が幾つか浮かんでいる

詩人は
雲は地球に張り付いているようだと言う
浮かんでいると言うより
張り付いていると言う

なるほど
雲は地球にへばり付いている
そして青空は消え
群青の宇宙が広がっている

詩人はつづけて言う
宇宙は飲み込めるよ
大きく口を開けなくても
小さなカプセルだから大丈夫と

私は手渡されたその小さなカプセルを
唾と一緒に飲み込んだ
すると一瞬にして私は
宇宙の外側になってしまった
自分の意思が宇宙を形成しているようだ
星々の運行やその色
生命の生き死にも

詩人は言う
私は詩人ではないと
私は旅芸人だと
そして もう
旅の一座となって去って行こうとしている

私は引き止めたかったが
引き止めることはできないと感じていた
さびしさが溢れてきた

私は私にあいた穴から
青空を見た

ポッカリとしていた
穴から覗いた地球の風景

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