2013年5月15日水曜日

未来創作をごらんの方へ


いつも、ありがとうございます。
私は去年の6月ごろから、原子力災害で苦しむ福島県に何度も出向き、私が詩を書くことで、なにかできることがないか、役に立てないか、いつも考えていました。そんな中、福島の写真家の花の写真に毎日詩を付け始め、その活動は被災した方を招いてのコンサートへと発展しました。作曲・ピアニストの谷川賢作さんに出演をお願いして、1月に、花と詩と音楽のコンサートを開催しました。そんなご縁から、賢作さんと、花をモチーフとした歌を作ることになり、何度もやり取りをして、ここにようやく「ここは花の島」が完成しました。皆様にご報告するとともに、多くの方に歌っていただけますよう、ご紹介させていただきます。楽譜もご必要な方にお渡ししています。

マツザキヨシユキ


ここは花の島  作曲・谷川賢作  作詞・マツザキヨシユキ

一枚の花びらを
日差しに透かして見てる
それはいつかあなたと見た
朝焼けの海

一枚の花びらを
指先に置いて見てる
それはいま生まれたあの子の
こわれそうなてのひら

大切なもの守りたいと
願ってここにいる
ここは 美しい島 
花の島

季節は巡り
春も夏も
歌ってる 美しい島


一枚の花びらを
唇に当ててみてる
それはきょう初めて知った
あこがれの恋

一枚の花びらを
風にあそばせてみてる
それはなぜ やさしく誘うの
透き通った涙よ

大切なひと守りたいと
願ってここにいる
ここは 美しい島
花の島

季節は巡り
秋も冬も
呼びかける 美しい島

ここは花の島
美しい島
Lu・・・

2013年5月14日火曜日

だいじなひとをめぐる詩


だいじなひとが
死んでしまったらどうしよう

朝 小鳥のさえずりが
遠くから聴こえていた

ベッドから半身 起き上がると
喉のあたり
涙が溜まっていて
いまにもあふれようとしていた

明るい外の景色から
カーテン越しに
日の光が入ってきていた

だいじなひとが
死んでしまったらどうしよう

取り返しのつかないことをして
おとなに叱られた記憶が
回り始める

起きて
だいじなひとのことを考えなければ と
急いで机の前に座った

あの日から
もうずいぶん歳月が流れ
だいじなひとは
もう いなくなっていた

2013年5月13日月曜日

やっぱり 草加


仮想 かどうか 
うかうか するな
やっぱり そうか
仮装 火 土か
やっぱり 草加
家相 華道家
火葬 過度 羽化
鵜 飼うか 擦る 菜
やっぱ 理想家
や! パリ 僧か

2013年5月12日日曜日

爽やかな仕事

仕事が私を探していた
そんな風にして出会った仕事だ

だから私はこの仕事を
ただ一生懸命やる
ただそれだけのことだ

爽やかな気分でいられるのは
困難がないからではない
嫌な人間に会わなくてすむからでもない

爽やかでいよ! と
仕事が私をそうさせているからだ

2013年5月11日土曜日

イカしたたこ焼き

たこ焼きに絡み合うソースは自慢の逸品
マヨネーズとかつお節に合わせて
イカした踊りは
阿波踊りを彷彿とさせるいやらしさ
蛸はますます出ていきにくくなり
肉にタッチ交代の要請メール
そこに明石からイカした蛸さま登場
あわや淡路の泡となるのか
元いた蛸の運命やいかに

2013年5月10日金曜日

永遠に解決しない


夏の日の陽炎の彼方に
立っている人がいる

黒い人影だ
一人
いや二人

いや一人や二人ではない
何十人 何百人
いや
いつのまにかそれはひとつの群れをなして
何千人
数えきれない群衆
こちらに歩いて来る

見つけなければよかった

錯覚だろうか
錯覚であってほしい
暑さのせいで 私は
オカシクなってしまったのだ

群衆はどよめいて左右に揺れながら
乾いた土を大きく舞い上げている
土?
そんなものあっただろうか
舗装された道の脇にはビルや家が建ち並んでいる

顔が見えない
姿を見ることができない
群衆の中からたまに
人影が立ち上がるだけだ

唸り声とも叫び声とも
経を読む声ともつかぬ音が
車輪や足音に混じって聴こえて来る

女の子が壊れかけた人形の片腕を
無造作に握り
ぶらぶら振りながら群衆の影の中に沈んだ

あれは私が知っている少女だろうか

まだ太陽は高いのに
背後から夕日が射して
長い影が揺れ始めた

何のために
向かってくるのか
問いかけることはできない
心の中で叫び訊いてみるが
おかまいなしだ

時間は普通に流れているのだろうか
道ばたの草花が
風に抗って揺れているのが分かる

群衆は近づいてきているはずなのに
いつまでたっても影のままだ

もう長い時間が経ったようでもあるが
まだ一瞬が過ぎただけのようにも思える

私の日常生活はたしかに私の周りに存在している

鳩が背後で戯(おど)けたように鳴く
私は鳩は嫌いだ

私はこの出来事を誰かに話すのだろうか
それとも
すぐに忘れてしまうのだろうか
意味が分からない出来事

過ぎ去る訳でも
遠ざかる訳でも
襲ってくる訳でもないこのできごと

その渦中にいて
友人たちは
何かに熱中しているのだろうか
私の一大事は
何事もない一コマのように
永遠に解決しないでいるというのに



2013年5月9日木曜日

戦争に行った

首がもげたぬいぐるみの胴体が
野原に転がっていました
だれも触ろうとする者はいません
ただ
雨 虫 植物 空気 霧 土埃 光の粒子だけが
触れました

そこに一緒に留まろうとするもの
去ろうとするもの
みな 
触れた経験を持って
思っていました

持ち主は
戦争に行ったのだと

2013年5月8日水曜日

その人の居る場所


アパートの一室
箪笥の横
畳の上
錦糸の布に包まれ
白い器の中で眠る人

ああ もう「人」ではないのでしたね
でも
その人の名前は
よく憶えているし
その人によく似た人が
たまに ここを訪れ
布の中身を見たいとごねている

アパートの一室
箪笥の前に布団を敷いて
その人のそばで眠るまた別のその人
その包みを
土に埋めたいという

私は
穏やかなその話を
何度となくきいた
そして包みは
土に埋められることもなく
今も箪笥の横においてある

そして

遊び飽きた
オモチャの木馬みたいに
夕方の日差しのシャワーを浴びている

2013年5月7日火曜日

ブランコがひとりでに


ブランコがひとりでに揺れて
夕日が長い影を作ると
どこかに閉じ込められていたあの子が
やって来る

歳のはなれた姉の手を引いて

姉は悪い男に犯されてから
誰とも恋をすることができなくなった
恋の真似事をして
恋の気分を味わおうと何度も試みたけれど
それはいつもただの激しいセックスに溺れ
傷つくだけだった

だから
歳のはなれたミルクの匂いのする妹とは
気兼ねなくつきあえたのだろう

ブランコがキーキーと
音を立てる
諦めかけた悲鳴のように
か細いまま 叫び続けている

風も吹いていないのに
木の葉がしきりに
裏表になるのを繰り返している
何かの警告だろうか

ブランコがひとりでに止まり
夜が来て
もうここには誰の悲鳴も聞こえない

2013年5月6日月曜日

ゲルニカの画が

ゲルニカの画がモダンにアレンジされて
踊っている楽しげな人びとと馬たちの宴会だ
首がもげ血しぶきをあげる人はいない
黒 白 赤のよどみのない世界
泣く人の涙は巨大な黒い宝石
振り下ろす斧はホームランバッターのバット
ゲルニカの画の毒は抜かれてデザインされ
都会的なリビングの壁紙の前
誰も殺し合わない誰も告げ口しない憎しみさえも生まれない
ただゲルニカの記憶がうっすらと揺れDNAを活性化している
ゲルニカの画がモダンにアレンジされて
新しい恐怖を生む準備はもうできた
パブロピカソはハフロチカトと変わりない
くだらないだじゃれは風化しない
風化するのは風化しないもの以外のもの
ゲルニカの画がモダンにアレンジされて
沢山製造されて

2013年5月5日日曜日

ご破算の方法


偽物を彼は好む
そしてそれが本物だという
私は
マイナス×マイナスの掛け算の
答えを知った時のあの衝撃を思い出す

最後にゼロを掛ければ答えはゼロになる
これは使えると思った
そのご破算の方法も

2013年5月4日土曜日

夕焼け、夕焼け


夕焼け、夕焼け と唱えて
夕焼け色のベールが掛かる
釉薬は溶け沁み込み抱きしめる

夕焼け、夕焼け
言い訳 分け隔て

勇敢な戦士が
呆気なく命を落とす
命は舞い上がるか
地に沁み入るか消え去るか

夕焼け、夕焼け
今はない野原の夕焼け
廃棄物置き場の風に舞う埃
言い訳 捨て台詞
無神経

真紅の炎が
傍らに佇んでいるが
見つけられない人

夕焼けは 空を旋回して
遠ざかってゆく

夕焼け、夕焼け
ボールペンでスケッチした
夕焼け いい加減な紙の上
線の集合体

私に似合っている夕焼け
油の匂いがして
ダマになっている
もがき苦しんでいる

2013年5月3日金曜日

ブロッコリーの森の上

ブロッコリーみたいじゃない? 森。

TAKAはロープウエーから眼下を動いていく森に
私の視線を促して言う

ブロッコリーって、ぴったしじゃん?
おれ、前にここ、乗ったとき思った。
ブロッコリーみたいって、ぴったしだって。
うまくない?

うん、うまいうまい。いいね。
そうだよね、ブロッコリー。

ブロッコリー。たしかに、ブロッコリーに見える。

似ている。
ブロッコリーの森。
マヨネーズかけたくなったりしない?

車内ではこの観光地の歴史を説明している。
TAKAはくつろいで無邪気に口をあけて下を見ている。
私もだ。

あんね、降りたら、海の浜に行こう。海水浴場。
近くに食堂もあるから。

うん。どのくらい?

ブロッコリー、サラダにあるかな?
とも言おうとしてやめた。
だってサービス良すぎじゃん。

30分ぐらい。

ブロッコリーの森の上、
ロープウエーは通り過ぎ、
私たちの「時」もまた通り過ぎた。

2013年5月2日木曜日

初夏の夜に
見上げた窓に人の気配がある
閑静な住宅地のその家の住人は
そこで何かいい構想を巡らせている

落ち着いて仕事に取り組めること
私が長年ずっと求めて来たものが
ここにある

親は景色の中に我が子の気配を感じ
無言の幸せを噛みしめる

私は親ではない
子であるだけだ


駅に向かって歩くと
窓の中で
人影が動いた

振り向いて
我が事は前を向かねばと悟って



2013年5月1日水曜日

ぼくの経済圏

その日
ぼくの経済圏はぼく一人
食べたものが栄養となり
ぼくを明日も生き延びさせる

あの日
ぼくの経済圏は自宅そばの街並
桃色レンジャーが握手して
キャンディーくれた

ある日
ぼくの経済圏は日本国内
ニートが誤って偽札を製造しちゃって
一枚くれた

またある日
ぼくの経済圏は銀河系
まぶたを閉じて宇宙を見通し
近視の治療を試みる

いつか
ぼくの経済圏は掌の上
きみの作り話が小さな世界を
作っている

2013年4月30日火曜日

明るい唄を聴きたいのかい
暗い唄を聴きたいのかい

唄いたい唄は明るい唄かい
唄いたい唄は暗い唄かい

2013年4月29日月曜日

夜は訪れる

誰にも夜は訪れる
どれだけ明かりを灯しても
ありとあらゆる時計を壊しても
夜は訪れる
闇にすべてが包まれる
日照りで傷ついた傷がいやされる

そして
夜は立ち去る
行かないでと鎖で繋ぎ止めようとしても
横たわる涙の川で通せんぼしようとしても
夜は立ち去る
すべては白日の下に晒され
弱い者は干涸びてゆく

誰にも朝は訪れる
同じように
誰にも夜は訪れる
愛するあの人にも
憎いあの人にも

そして
私とあなたのあいだにも

2013年4月28日日曜日

私は東側の部屋に移った

父と母が建てた小さな家には
部屋が2つあった

一つは居間で
一つは2階の寝室

妹が生まれてやがて
部屋の数は増えた
1階のベランダだったところに
私の部屋ができた
しゃぼんだまを上げたベランダのところで
私は眠った

それからまた月日は過ぎて
父の書斎と私の新しい部屋ができた
私の部屋は2階の西側に作られた
妹には私がもと居た部屋をあてがわれた

それからまたしばらくして
部屋の数は増えた
母の部屋と物置部屋だ
2階の寝室だったところが妹がの部屋となった
私は新築の東側の部屋に移った

2013年4月27日土曜日

側面を磨いている

彼は側面を磨いている
真剣な目をして
側面は滑らかになって
だんだん光を
反射するようになる

側面を磨きながら
彼にはその磨き上がりが既に見えている

来る日も来る日も
彼はその場所で
側面を磨いている
決して
他の面を磨くことはない

彼が
側面を磨くことに
疑いを持っているかどうかは
誰も知らない

側面を磨き始めると
片時も目を離すことなく
側面を磨いていく

彼は
側面を磨くことと
切っても切れないことになっている
彼は
明日も
あさっても
私が見ていなくても
側面を磨いている

自分の命を人ごととして



自分の命を人ごととして
清く正しく 生きるんだ

侘び 寂び 哀しみ 素敵な日本で
苦労も 厭わず 苦痛に耐えて 世間に馴染んで
希望を持って 夢を描いて 
へこたれずに くよくよせずに
自信を持って 他人にやさしく 自分に厳しく
勇気を持って 挑戦しつづけ
反省しても 後悔せずに
一生懸命 あきらめないで
欺くことなく 正直に

自分の命を人ごととして
生きるんだ

生きた証に 何かを残し
いい気になって 死ねばいい

2013年4月26日金曜日

星の考え

隙間があったら
緑の草で埋めてしまいましょう
それが星の考え

緊張が続かないように
呪縛はほどいて
すべては水に流しましょう
水は山から川にして
あるいは一度空に持ち上げて
最後は海まで流しましょう
それが星の考え

人は進化し
進化の先端が尖り錆び
朽ちたら新しい芽ばえがあるでしょう
芽は根を張り空に向かい
子孫はその屍をたき火して
暖をとるでしょう
それは
星が
あずかり知らぬこと

でもそれはすぐに
星の考えとなった

がれきになって

「がれき」という言葉について
どれほどのことを考えただろう

がれきとは何か
なぜがれきなのか
昔のがれきと今日のがれきとの差異とはなにか
がれきと名付けられたがれきの気持ちはどんなものか

がれき 瓦礫 ガレキ GAREKI
がれきが語りかけてくるその声に
耳を傾ける
いつまでもがれきであるそのあるがれきは
がれきのなかでも筋金入り

がれきに身分制度はあるのか
参政権はあるのか
学歴や出身地は関係あるのか
芸術や文学に精通しているのか
家族はあるか

がれきに訊いてみる
がれきの表示を確かめる
安全基準を見直し不法投棄を取り締まり
転校移民難民を受け入れる
がれきのぬくもりに顔をうずめる

がれきにまじり
闇夜に考える
詩は終わりにして
がれきになって
うずもれて睡ろうと
せめて今夜は
蛍光灯の明かりは消して

2013年4月25日木曜日

あなたは誰が好き?

秘密にしようとすると
つい 口走ってしまう

そのくせ
言おうと思っていたことは
忘れてしまう

憶えておきたい大事なことは
つまらないことに押し出されて見えなくなり
忘れてしまいたいことは
シミになってしぶとく居座る

私はあなたが好き
あなたは誰が好き?

訊いてみたかったけれど
あなたは私に
「あんたなんかきらいだ」
会うなり
いきなり宣(のたま)った

2013年4月24日水曜日

振り返らずに生きるのだ

きょうも新しい日が始まった
きのうまでの自分は消去した
振り返らずに生きるのだ
のうてんきにやるべきことをやっていく
思い出の宝物は燃料にして

2013年4月23日火曜日

自分が出てこない

季節は一進一退で
入れ替わっていく

人は
おやすみなさい とさっき言って眠ったのに
もう おはよう と言っている

だが その間に
昔むかしの夢を見た

自分が出てこない夢だ

2013年4月22日月曜日

詩のメモ

もうずいぶん沢山眠ってしまったものだと
布団から半身起き上がり
目を凝らして暗闇の時計を見ると
まだ1時間しか経っていなかった

頭が痛いので
やることがあったけれど
もう少し眠ることにした

2、3時間眠っておき上がってみると
10分しか経っていなかった

それから約4時間眠って
眠りながら詩を考えた
時間に関する詩だ
起きてメモを取り
それからまた1時間ほど眠った

起き上がると
そこは自分の部屋のベッドだった
書いたはずのメモは
どこにもなかった


2013年4月21日日曜日

誰かと繋がっていることが

誰かと繋がっていることが
鮮明に分かる時がある

時に 身じろぎもしないで
深夜の寝台列車の揺れを
共有している

いや
共有しているのは
深夜の寝台列車の揺れではなく
地を這っていく感情だ

月に冷やされて
キキ キーと
金属質の摩擦音を発するその感情

射的場の的に向けて
息を合わせて
玉を打ち込むときの
苦い唾

2013年4月20日土曜日

蕎麦をすする音

ぬるい場所に冷たい雨が降って
キノコが夜に育ちます
人はもう発狂寸前ですが
むしろそれは正常だと言わねばならぬでしょう

雨はいろんなことを「なかったこと」にして
雨天のため中止という看板が雨に濡れています

かわいいあの子という人が
箱詰めにされサイズを測られ宅急便の荷物になって
濡れた道を運ばれてゆきます
河合その子とは関係ないでしょう
かわいいあの子は私が継続的に好きな人です

夜の帳というのがあると噂された町には
少し前の時代のナウい人びとが往き来して
ちょっとした喧噪です
闇市で売っていそうなラジオも鳴っています

妄想の畑でキノコ雲が夜に育ちます
私は深呼吸して湧き水を飲み干し
鳥の形をしていない鶏肉を炒めます
昆布の揺れる海鳴りに耳を澄まします

老詩人は昨日から日本海の島へわたり
自ら作った詩を朗読し
気分よく酩酊して布団に入り目を瞑りました

ある線路脇のビルの一室では
コンビニの蕎麦が食べられようとしています
その間
世界は
蕎麦をすする音に置き換えられてしまうことも
知らないで

2013年4月19日金曜日

あなたの悩み


あなたを苦しめる
冷たいあの人は
あなたのそばから
いなくなることはない

あなたを悩ませる
いやらしいあのひとは
あなたの心から
立ち去ることはない

あなたが大すきな
愛しいあのひとは
さよならを
いつ切り出そうか
迷ってる

2013年4月18日木曜日

青空へ


自転車をこぐ音は
きみがやってくる音

背中から近づいて
すぐ脇を追い越していく

空から小鳥が
眺めていたって

教室の窓から見える
通学路の並木道

なんど通ったのだろう
きみのこと追いかけるように

窓から小鳥が
歌っていたって

この町の空の上
風とともに
季節は巡り
きみはここを出て行く

空から小鳥が
眺めていたって

小さい私たちの
大きな未来

仰ぎ見れば
涙の向こう
滲んで見えている
青空

2013年4月17日水曜日

そこだけあたたかい


こうしたらうまくいく
ということが
どうしても
やりたくなくて

うまく生きていくことから
どんどん
遠ざかってしまう
いやな性格

よく分かっている

あなたはあきれて
ため息をついていた
いやみをぶつけて背を向けて

でも
こうしたらうまくいく
ということは
つまらないことばかりで
あなたは私を見て
よく笑ってた
時に指を指して

私も一緒になって
笑ったけど
涙が頬で乾いて
そこだけが寒くて
そのあと
あたたかい指が
私の上に寄り添った

2013年4月16日火曜日

今年の冬は何もなかった
今年の冬は何もなかった
春にはきっと何かある
今年の冬は何もなかった
春にはきっと何かある

2013年4月15日月曜日

首をかしげてあなたを見るのは


首をかしげて
あなたを見るのは
そうじゃなきゃいけない
理由があるの

まっすぐ見ないのは
恥ずかしいからじゃない

私 鳥だから
正面から見るなんて
できないの

神様が
そこがいいよ って
いってくれたから


言葉じゃなくて
ハミングするのは
それがいちばんいい
そうおもうの

おしゃべりしないのは
嫌いだからじゃない

私 鳥だから

手紙を書くのも
できないの


パパ ママが
文字はいらない って
話してくれたから

2013年4月14日日曜日

宇宙の小石

上手に生きないと
幸せになれないと
知らされた日

私は自分に誓った
縁ある仲間を守るために
汚れ役も買って出ようと

傷つけたあの人に
いつかお詫びするために
何ができるのかと

自分の声しか
教えてくれる者はない
自分に語らせるのもまた自分
その自分を生かしているのは
私の中の宇宙の小石

2013年4月13日土曜日

泣き声が聴こえる


さきほどから
誰かが泣いている気配がしているので
あたりを見回してみているのですが
人影は見えません

それどころか
人が隠れられるような物陰さえないのです

虫か
鳥の声でしょうか
すすり泣くような
しかしあまり悲壮な感じのしないその声は

耳をそばだてると消え
しばらくすると
また聴こえてくる

まさか
私が泣いているのでしょうか

そういえば
きのう私は
大事な人に裏切られたのでした

2013年4月12日金曜日

どうしても必要

自分の重さで自分を支え
輪っかを抱いて
ベタベタを取り出させる

コトアルゴトニ
程よく回る

一人きりの真っ暗な夜には
ひときわ
思い出を語りたくなるので
涙に濡れ
吐く息で曇らせないよう
注意していなければならない

私は何度となく選ばれた
何度となく
姿を消した

某氏がいう

あなたが必要だと
透明なベタベタを取り出すことは
どうしても必要なことだと


2013年4月11日木曜日

かの女はいなくなった


心に小石を握りしめて
となりのオバさんとあいさつした

おはよう!
こんにちは!

見れば太陽はもう高く
車の騒音 工場の音
賑々しく聴こえてくる

もう春ですね
きょうは涼しいですね

蝉の声がして
心がどっぷり懐かしさにまみれ
淡い初恋がツンと鼻を突いた

こんばんは
さようなら

きょうは夕暮れの景色の記憶がない
下校放送も
休みだったらしい

もしもし
何だ 使われてないって



2013年4月8日月曜日

もう夢中

音楽が先に行ってしまうので
気持ちは引きずられていく

リズムを刻んで流れていく歳月
私の思いはあなたの前にとどまり
やって来た電車を何本も見送っている

音楽が先に行ってしまうので
私は足踏みしてタイミングを合わせる
あなたはチャンネルを換えて
新しい番組のお話にもう夢中

2013年4月7日日曜日

謝らずに訣れたあなた

いま ここで謝れてよかった

あなたのプロフィール写真が
スマホの画面に突然 現れた

あなたには
ずっと謝ってきた

いま ここであなたに謝れてよかった

私にはしなければならないことがあると
いまハッキリ悟った

あなたのおかげだ

私は明日からあなたに向けて
それをするために
生きていく

空よりも暗い山
見ているか?
聞いていてくれ

私は無言で
誓ったのだから

2013年4月6日土曜日

小石をよけて

よってたかって ひどいことをやってしまっても
そのことに気づかないのは
昔も今も同じ

古代から現代まで
変わらぬ営み

だだ技術は進み
いい訳もうまくなり
やさしさは文明的に洗練されたけど
涙の滴は塩辛いし
血を嘗めれば鉄の味がする

よってたかって ひどいことをやってしまったから
だれかがそれを償ってる

ひどいことをやった人は
今も昔も地獄に行くのだろうか

捧げるべき生け贄は
どこにいる
ハイエナがうろついている

星明かりの下
子どもたちは
眠りにつく

そして夢を見る
春の草原に花が咲いて
会いたかった人が呼んでいる

だからあとは
ただ足を前に出して
小石をよけて
駆けていくだけだ



福島の花


毎日Facebookページ『福島の花』(写真・野口勝宏)で連載しています。
毎日送られてくる花の写真に詩をつけて、翌朝5時までにメールで送ります。
2−3編書いて選んでもらうという方法で共同制作しています。
さあ、きょうはどれが選ばれたでしょうか?
花はフランネルフラワーです。


1

坂を駆け下りたの
青空に雲が流れ石の柱の影で猫が鳴いてた
私は何かから逃げてきたみたい
座り込んでうっとりとキミのことを思うよ

2

あなたの何もかもがステキだわ
抱きしめられてまだぎくしゃくする感じも
新鮮で すき
もっと私に魔法をかけてくださいますか

3

厚手の綿のワンピは体になじまない
空気が入ってくる
あなたはそれを見て
手を滑り込ませようとしているわ

4

私の名前を呼ばないあなた
私から何を奪い去ろうとしているの?
いいえ きっと 私が
あなたから何かを奪ってしまったんだわ



https://www.facebook.com/FukushimaFlower

2013年4月5日金曜日

そこいらの 風




だれが あなたの 
手をひいてくれたの?

だれが あなたの
背中を おしてくれたの?

それは 風
やさしい 風?

いいえ
ただの 風

ふるさとの でもない
ただ
吹いてきた 
そこいらの 風

2013年4月4日木曜日

かんじてるこころ

みつめてみよう
たいせつなこと
めをそらさずに
はなしをすりかえずに
だれかとはなそう

やってみよう
できること
きばらずに
ひとめをきにせず
いいとおもったことを

やりすごせる?
わるいこと
だましたりしないで
よわいものまもって
しぜんたいで

おもっている
いろんなこと?
じぶんにといかける
こたえをあせらず
かんじているこころ




2013年4月3日水曜日

大きらいなひと




大きらいなひとのことが
いつまでも わすれられない

好きな人の顔が
思い出せないというのに

忘れそうになるたびに
思い出してしまう

忘れそうになるたび
メールがくる

好きな人は
メールをくれないのに

大きらいなひとと出会った日
台風の後の夕空が
燃えているようだった

きっと
私の顔も真っ赤に染められていたに違いない

好きな人と最後にわかれたのは
きのう

私がきょうも思い出すのは
あの夕空ばかり




2013年4月2日火曜日

社長が帰る

社長が帰ってきた
煙草の匂いも帰ってきた
古い皺だらけの財布をポケットに
おみやげの冷凍ピザを持って

専務は部屋でお出迎え
僕はピザを受け取り電子レンジへ
妹は部屋で漫画描いてる

社長は着替えて晩酌の準備
焼いたタラコを専務が持ってくる
ビールの瓶と一緒にお盆に載せて

2013年4月1日月曜日

桜前線から逃げながら


自分が偉いんだと
つい勘違いしてしまう
右と左を間違えて
シャツがうまく着られない

うつ病らしく生きるのだ
誰も待ってはいなくとも

朝日の時間に夕日が出て
生活必需のノルマをこなしつつ

きみの大事な誇りはとうに
埃だらけ

曇った空気を胸にいっぱい吸い込んで
自分のなかの何か
余裕はないけどゆっくりと
芽吹くのをまっている

世間は春で浮かれているし



桜なんかきらいだ
とっくに飽き飽きした
桜の花から逃げて
北上したり南下したり

だけどそれは現実ではなく
ことばだけのこと

ミルクも賞味期限を知らぬ間に過ぎて
流しのステンレスに広がりたい

何もかもが壊されるため
理由を待っている

捨て去る勇気さえ手に入らず
何が必要か
迷い慣れても また
忘れて繰り返し

みんな自分のことで頭がいっぱい

それが憲法に成れば
反発するかな
世間の風は世間の噂を作って
ぬるい春を作っていく

みんな自分のことで胸もいっぱい

2013年3月30日土曜日

さくらがさいた

さくらがさいたと
さわいでる
さわいでいると
ひろめてる

さくらのしたで
さがしてる
ほんとのしあわせ
そこにない

さくらがちると
さがしてる
つぎにさくばしょ
さがしてる

さくらのはなは
すぐにちる
ひとのいのちは
いつちるの

さくらはなにも
おもわない
ひとがかってに
おもうだけ

2013年3月29日金曜日

束ねた髪の 後ろを歩く 歌詞


束ねた髪を振り子のように
揺らして歩く
月夜の道を

束ねた髪の振り子を見つめ
一緒に揺れる
リズムをとって

束ねた髪が
かすかに香る
あなたはあまい
果物のよう

宙に浮かんで
実っている
あなたはあまい
果物のよう