ぬるい場所に冷たい雨が降って
キノコが夜に育ちます
人はもう発狂寸前ですが
むしろそれは正常だと言わねばならぬでしょう
雨はいろんなことを「なかったこと」にして
雨天のため中止という看板が雨に濡れています
かわいいあの子という人が
箱詰めにされサイズを測られ宅急便の荷物になって
濡れた道を運ばれてゆきます
河合その子とは関係ないでしょう
かわいいあの子は私が継続的に好きな人です
夜の帳というのがあると噂された町には
少し前の時代のナウい人びとが往き来して
ちょっとした喧噪です
闇市で売っていそうなラジオも鳴っています
妄想の畑でキノコ雲が夜に育ちます
妄想の畑でキノコ雲が夜に育ちます
私は深呼吸して湧き水を飲み干し
鳥の形をしていない鶏肉を炒めます
昆布の揺れる海鳴りに耳を澄まします
老詩人は昨日から日本海の島へわたり
自ら作った詩を朗読し
気分よく酩酊して布団に入り目を瞑りました
ある線路脇のビルの一室では
コンビニの蕎麦が食べられようとしています
コンビニの蕎麦が食べられようとしています
その間
世界は
蕎麦をすする音に置き換えられてしまうことも
知らないで
とても心に残る詩です。
返信削除今、キノコを育てているからでしょうか。
河合その子の件も、鳥の形をしていない鶏肉も、老詩人の現状も、
きっと本当のことですね。
詩が、現在進行形で育っていくようで、興味深いです。
夜に育つきのこ、夜の帳のラジオ、
返信削除鉛のような海の音、
今までみつからないものがそこにあって
暗い夜の世界で息づくものがそこにあるよう。
電車の音、蕎麦をすする音、その音が止んだとき
ビルの片隅に今まで聞こえなかった声が
耳打ちするような気がします。
私より詩情豊かなコメント! Pollyさん、中村ゆき子さん、ありがとうございます
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