2013年5月17日金曜日

幸せの味


白い砂山の上の月
婆ちゃんと見たのは
いつのことだったんだろう
夜の明るさを知ったあのとき

あたたかい風をまだ頬が憶えている

きょうも仕事を終え
混雑したハイテンションの陰気な電車の箱の中に自ら飛び込んで玄関に帰り着き鉄のドアを開けて椅子に倒れ込むとしばらく心は幼い頃に飛んでいた

立ち上がり
冷蔵庫から卵を取り出し
冷や飯の上で割った

婆ちゃんは戦争で大事な人を失くし
涙と血の味がする卵かけご飯を
幸せと不幸を思いながら噛みしめては
喉に搔き込んだと言っていた

私の卵かけご飯は
ただ幸せの味がしているけれど

1 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2013年5月18日 3:09

    玉子かけご飯は幸せの味ですね。
    ご飯の上に直接玉子割るの?
    あ、私はなんとなく卵というよりは玉子。

    器の角でこんこんと玉子割って醤油を二回りチョイかけてかき混ぜるときが一番幸せ!
    この時殻が入ったら最悪です。
    お茶碗にご飯を7分目ほどついでお箸で突っついて穴明て流し込む。
    最後の方になったら玉子じゅくじゅくでご飯を足して、今度は玉子か足りなくなってまた玉子足して・・・の繰り返しで三杯はいけますよ!
    くれぐれも炊きたてアツアツのご飯にはかけないように。

    不幸と幸せの味って経験ないです・・・
    おばあちゃん、ホントは悲しい味だったんだろうな。

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