三階建のバスに乗っていると
橋をくぐる時に怖い
本当は四階建だけど
四階はほとんど棺桶状の仮眠スペースなので
慎ましくも三階建と自称しているのだ
リゾート地のホテルから幹線の駅までを走るが
市街地に入ると
その巨きさはひときわ眼を惹くから
やがて人々は箱舟バスと
ヘンテコな呼び名を与えた
その三階に秘書と同乗しているわけだが
もちろん昨夜は
一緒のベッドで一夜を過ごした
持って行った小さなカバンは
イタリアの空港で
衝動買いしたものだったが
朝 シャワーを浴びている隙に
秘書がゴミとして捨ててしまった
駅に着くと
さすがは一流のリゾートの駅という感じで
洒落た店が立ち並び
静かに賑わっていた
中には訳ありの旅行者もいるのだろう
私たちはマクドナルドに入り
コーヒーとアッブルパイを分け合って食べた
きょうはこの後
仕事があるのだ
三階建のバスが
そろそろ新しい客を
乗せ始めるころだ
そういえば
四階に乗っていた人は
どうしたのだろう
乗る時も
降りる時も
顔を合わさなかった
ただ気配だけが
頭上で蠢いていた
捨てられたカバンにしまっておいた
人には見せられない大切なもののことが
気になり出していた
カバンと一緒に
砕かれ
燃え尽きただろうか
三階建バスは
確かに
私たちを降ろしただろうか
秘書はマオだから
返信削除一緒に寝れば暖かい
マオの箱舟バス
四階に乗っているのは
数え切れないほどの
ユウーの気配
本当に三階建バスはあるの? と質問をいただきましたが、たぶん無いと思います。無責任に見えるかもしれませんが、お許しください。作者より
返信削除おとぎばな詩ね^-^★→
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