2012年11月13日火曜日

アルパカのぬいぐるみ

三階建ての二階は
天地がひっくり返っても三階建ての二階なので
彼女は安心してそこにいることができる

ずっとそこにいることもできるが
安住の地は別のところにあると信じているので
彼女の眼はいつも何かを探しているような感じになる

明け方または夕方に
雨が降っていると
道は泥水を跳ね上げる
それが泥の水であるかは
明確な証拠はないが
だれもその説明を求めないので
それはそうであるということにいておいて
差支えはなさそうだ

頼りないものを頼りにしなければ
世間はわたっていけないので
せめて頼りになるものを拵(こしら)えて縋(すが)りたくなる

水の上に魚が跳ねた
彼女は一緒に跳ね上がってみた
アルパカのぬいぐるみを落としそうになってまで
衝動のままに
跳ねる必要があったのだろうか

3 件のコメント:

  1. 二階にいるから、探せたのですね!
    だから、
    アルパカのぬいぐるみを落とすリスクがあっても
    跳びはねるのは、必然だったのですね、

    返信削除
  2. 人は良くも悪くも断定してもらうと安心する。自分の知らない間に起こった出来事はスルーしてしまいがちなのが、今の風潮なのかなぁ。魚が水から飛び出すのを見て一緒に跳ね上がることによって、探し物に近づけるのかも・・

    返信削除
  3. アルパカってよくわかりませんが、何かの呪術的な効果が周りに有りそうな気がします。

    返信削除