白黒の兎がドアから出ていく後ろ姿を見ながら
懐かしさと悲しさの差がいまだにわからないと
ぼんやりと遠いお花畑をスローモーションで思った
知ることはすべてできない
そのことはもちろん知っていたが
知らないことがすべてであると
夕日に浮かんだ雲に打ち明けられた時
懐かしさの向こうから悲しみが
滝を崩して
勢いよくこの身を打ちにきた
寝入り鼻に
目醒めていく11月の未明
逆立ちした朝焼が夕焼けに変身し
酔った人の夢が電車の中で迷い
降りる駅を探している
まだ絶望という文字はやってきていない
夕闇迫る時間は人を物憂げに、時にネガティブにしてしまう。言葉の選択肢に「懐かしさ」と言う言葉があるのだから、本能はまだ望みを捨てられないでいるように思う。知らないことが全てなら、いっそ心の奥に閉じ込めてしまえば、時が忘れさせてくれる、時とはそう言うものだと思う。不思議の国を行ったり来たりしながら自分の居場所を見つけることが出来るのかも。
返信削除詩より中村ゆき子さんのコメントのほうが心に響きますね。いいコメントだと思います。
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