2012年11月16日金曜日

11月16日

白黒の兎がドアから出ていく後ろ姿を見ながら
懐かしさと悲しさの差がいまだにわからないと
ぼんやりと遠いお花畑をスローモーションで思った

知ることはすべてできない
そのことはもちろん知っていたが
知らないことがすべてであると
夕日に浮かんだ雲に打ち明けられた時

懐かしさの向こうから悲しみが
滝を崩して
勢いよくこの身を打ちにきた

寝入り鼻に
目醒めていく11月の未明
逆立ちした朝焼が夕焼けに変身し
酔った人の夢が電車の中で迷い
降りる駅を探している

まだ絶望という文字はやってきていない

2 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2012年11月17日 0:37

    夕闇迫る時間は人を物憂げに、時にネガティブにしてしまう。言葉の選択肢に「懐かしさ」と言う言葉があるのだから、本能はまだ望みを捨てられないでいるように思う。知らないことが全てなら、いっそ心の奥に閉じ込めてしまえば、時が忘れさせてくれる、時とはそう言うものだと思う。不思議の国を行ったり来たりしながら自分の居場所を見つけることが出来るのかも。

    返信削除
  2. 詩より中村ゆき子さんのコメントのほうが心に響きますね。いいコメントだと思います。

    返信削除