2011年7月22日金曜日

夜の香り

夜の間に激しい雨が降って
夜が流されてしまったので

あなたはベッドの上で
裸のまま
救助を待っていた

隣にいた人も
どこかに行ったまま
帰ってこない
もうだいぶ遠くへ行ってしまったに違いない

あなたは
かかとを片手でつかんで
時間というものが
どんな姿をしているのか
また善なのか悪なのか考えていたが
直ぐにつまらなくなって
考えるのをやめた

相変わらず
かかとを片手でつかんでいた

しばらくすると
朝が回りだし
通りに人の動き出す気配がした

あなたは
すこし体が冷えてきたのを感じ
服を着た

服の中に
夜が残した
海の香りがあった

2 件のコメント:

  1. 海の香りは、昼間より夜の方が似合いますね。
    夏の夜は、特に。

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  2. マツザキヨシユキ2011年8月10日 23:52

    癒されるようで、気持ちが悪くなる時もある香り。

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