2011年3月19日土曜日

盛大な拍手

地上よりもう一つ上の階で
パーティーが始まったが
皆 心配顏

行き先を告げずにきてしまった
いろいろとやりっぱなしで
離れてしまった

会場がざわめく

モニターに地上の様子が映し出されるたび
すまないと思う
あの惨状の中に置き去りにしてしまって

周りを見渡すと
知らない人がおおぜいいるが
なぜか旧知の親友や家族のように思える
恋人もいるに違いない

戻ることはできない

ここから眺めるだけなのだが、
会いにゆくことより祈ることのほうが尊いと思える
そのほうが役に立つのだ

パーティー会場では舞台の上で
スピーチが始まる
司会者がうまくて感心だ
登壇者の話に
皆がスッキリとした笑顔を見せる
そしてみるみる
気持ちが軽くなってゆく

皆、ありがとう
という言葉が心から湧き上る

地上の空に朝焼けが現れ
海に浮かぶ島を照らし出す

サイレンとともに
車が消えてゆく
人々が集まって
対策を練り
壊れたものを直し
さらには作り直そうとしている

パーティー会場では拍手の渦がわく

拍手の音は届いただろうか
確かに盛大な拍手だったのだが

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