2014年1月28日火曜日

チョコレートを買いに

雪の日に
女のひとに手を引かれて
田舎道を
チョコレートを買いにいった
古い木枠の硝子の引き戸をあけて
店の中に入った

ストーブの灯が燃えている
薄暗い店内の平台に
赤い包みのチョコレートを見つけた

その包みの中に薄い銀紙に包まれた
チョコレートが入っていて
分け合って
指をなめなめ食べるのだ

そして雪の降る薄暗い道を
女のひとと一緒に
帰っていった

あの女のひとは
母だったのだろうか
あの田舎道は
いまもあるのだろうか

ドラッグストアの店頭で

安売りされているチョコレートに訊いてみたが
もちろん答えてくれない

母に訊いてみようか
いや
訊かない方がいいだろう

甘い謎は
そのまま取っておいたほうがいいに決まっているから







絵 中村ゆき子

1 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2014年1月29日 0:16

    赤い色の記憶の中で
    その女の人と
    繋いだての温もりが
    よみがえってきそうですね
    大切な甘い思い出
    何度も何度もチョコレート食べて
    忘れないようにしてね

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