大きなお金を寄付するとき
彼は幸せな気分ではない
誰かと何かを共感できるとは
思っていない
彼の目的は共感ではないし
ましてや感謝されようなどもど思ったことはないのだ
彼は寄付を済ませたあと
いつでも孤独になる
云い知れぬ寂しさに襲われ
しばらくは黙して悶絶する
彼が得たものは
このような時間なのだ
だが
彼はその孤独こそが
一番大切なものだといつからか知るようになった
引き合う孤独の力が
宇宙を形成し
人は愛について語りさえする ☆
宇宙が彼を包み
彼は自分の考えたことが
記憶という海から溢れ出し
銀河を流れ去っていく様子を見る
もはや
どこに視点があるのか分からなくなる
所在無げな彼のポストに
乱れのない文字で記された
一通の礼状が届き
指先がその冷たさに出逢った
☆ この連は著名な詩の表現を引用しました
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