2011年4月6日水曜日

質問するよりも

どこの誰に
質問したらいいのか
さっきから考えている

校庭のテニスコートの金網のもっと向こうにある
鉄の柱が
気になる
一部を黄色く塗装された仮設の柱

しかし 
その鉄の柱は
答えてくれないだろう



いつのまにか風に流されてきた雲が
マントを着た旅人のように思える

 (青空を見るには少し眩しい
    露出を絞りこまなければ)

その旅人に訊くのは違うだろう
旅人は盗賊のように去っていく

質問する相手を思い描いては
否定する
そのことを繰り返している

校庭では
サッカー部が大きく陣取って
サッカーボールを回している

息を切らしている奴をみていたら
自分の呼吸も引っ張られて苦しくなる



通り雨
ぬるい雨

シャツが濡れて肌に張り付いたが
もう乾いてきた

文通相手に手紙を出して質問してみたらどうか
一瞬頭をよぎったが
そんな高度な手紙が書けるはずがない
それに迷惑だろう



いったい誰が
質問を受け止めてくれるだろう
ネットの占い師?

マクドで
iPhoneで
詩の日記を書く
プレミアムアイスコーヒーを飲む

週末の約束が
ケータイに届く

こんな人間でも
会ってくれる人がいる

 (街とは便利なものだ
  人を酔わせることができる)



自分は何を質問したいのだろう

それは
大事なことではないように
思えてくる



放射能物質が風に乗って
飛んでくる
旅人の頭上を追い越し
雨にまぎれて

柱の黄色のところで
ちょっとたじろいだけれど

プレミアムアイスコーヒーのところまでくると
ジャンプして飛び込み
カップの中で溶けた

質問を
確かに受け止めた

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