どこの誰に
質問したらいいのか
さっきから考えている
校庭のテニスコートの金網のもっと向こうにある
鉄の柱が
気になる
一部を黄色く塗装された仮設の柱
しかし
その鉄の柱は
答えてくれないだろう
☆
いつのまにか風に流されてきた雲が
マントを着た旅人のように思える
(青空を見るには少し眩しい
露出を絞りこまなければ)
その旅人に訊くのは違うだろう
旅人は盗賊のように去っていく
質問する相手を思い描いては
否定する
そのことを繰り返している
校庭では
サッカー部が大きく陣取って
サッカーボールを回している
息を切らしている奴をみていたら
自分の呼吸も引っ張られて苦しくなる
☆
通り雨
ぬるい雨
シャツが濡れて肌に張り付いたが
もう乾いてきた
文通相手に手紙を出して質問してみたらどうか
一瞬頭をよぎったが
そんな高度な手紙が書けるはずがない
それに迷惑だろう
☆
いったい誰が
質問を受け止めてくれるだろう
ネットの占い師?
マクドで
iPhoneで
詩の日記を書く
プレミアムアイスコーヒーを飲む
週末の約束が
ケータイに届く
こんな人間でも
会ってくれる人がいる
(街とは便利なものだ
人を酔わせることができる)
☆
自分は何を質問したいのだろう
それは
大事なことではないように
思えてくる
☆
放射能物質が風に乗って
飛んでくる
旅人の頭上を追い越し
雨にまぎれて
柱の黄色のところで
ちょっとたじろいだけれど
プレミアムアイスコーヒーのところまでくると
ジャンプして飛び込み
カップの中で溶けた
質問を
確かに受け止めた
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