ドカンがドカンと響いた
夜間に
きみというあなたがやって来た
きみというのはあなたの名前だ
あなたは
わたしの
穴の空いたタオルをみて
穴の空いていないタワシをわたしに渡した
わたしはタワシを
タオルの穴からすかしてみてみた
すると
タオルに空いた穴が
あながち悪いものではないことがわかり
代わりにまっさらなタオルを買うのは罪ぶかいことのように
思われてきた
きみはわたしにタワシの話しをし始めた
わたしは仕方なくその話を聞いていたが
その話は長くそのうち飽きてしまったので
いつの間にか眠ってしまった
またもやドカンがドカンと響いた
きみというあなたは帰っていった
タワシもどこかへ行ってしまったのか
みあたらない
ここには
もう誰もいないみたいだ
ただ
波が頭上で
波打っている
そのうち
凪もやってくるだろう
空の渚に
ぼくは、探し物をしていた。
返信削除初めての海に飛び込んだ。
ぼくのタワシはつがいだったが、メスのタワシが
生まれ故郷の海に帰ってしまったからだ。
海の底には、美しい人がいた、
驚くことに、その人のもつタオルに
メスのタワシがくっついていた。
彼は、自分の持っているタオルに
不満持っているらしい。
ぼくのことを「きみ」と呼んだ。
ぼくが連れてきた、オスのタワシを、タオルごしに
興味深げに見始めた。
僕は、驚いて、タワシを返してくれるように話をした。
でも、そんなことには、まったく興味はないようで
自分がもつ、タオルに興味があるらしい。
あまり見ているから、タオルに穴があいた。
メスのタワシは、穴があいたことで目が覚め
雄のタワシとぼくのことを思い出し、
泣きながら、戻ってきた。
彼は、タオルをみていたかと思ったら
眠ってしまったようだ。
ぼくは、メスのタワシの気持ちがかわらないうちに
帰ろう。
彼が起きないうちに帰ろう。
AKIRAさん、傑作すぎます!
返信削除タワシは深い世界を背負っていますね。
そこでタワシではなく鰯(いわし)について書いてみました
「いわし雲」
鰯(いわし)が儂(わし)に言わしめた
岩清水は湧き続けよと
しめ縄を締めてある岩の清水で
飯を炊き
酢飯とし
鰯を乗せよと
皺のある和紙につつまれた箸で
端まで残さずいただくのだと
橋のたもとに
幸せがやってくる
きっと幸せがやってくると
繰り返すのだ
いわし雲を見上げて