瓦礫の山
という慣用表現
瓦礫が積み上がってできた山のこと
瓦礫が見渡すかぎり続いている
瓦礫の道
瓦礫の荒野
一面の
瓦礫の海
そのなかで
小高くなっている
瓦礫の丘
瓦礫の崖
瓦礫の荒野
人が生き埋めになっているかも知れないのは
瓦礫の家
死んでしまった
瓦礫の墓
瓦礫の山から
人を助けるのは
救出劇
これは慣用表現
自然災害は四字熟語
災害報道
報道特別番組
いまはもうない
緊急報道特別番組
普段の体制
瓦礫の下で
テレビを観ている人はいないのだろうか
電気も来ない
電波を信じる?
瓦礫を撤去
閉鎖された遺体安置所
風評被害
出荷制限
避難指示
計画避難
魚を値切る
魚を取らない
稲を作付しない
株主代表訴訟を恐れる
働く場所がない
家族を失った
知人を失った
見つけられない
はやりの言葉が
慣用表現になっていく
想定外
想定外の計画
2011年4月15日金曜日
2011年4月10日日曜日
6次元にて
美味しいアイスコーヒーを
ありがとう
自然な笑顔が素敵です
本をかき分けて
カウンターの席で
アイスコーヒーを飲んだ
みんなが持ち込んだ
本を販売して
地震の被災者に全額を送る
色紙の看板は
谷川俊太郎さんの筆文字
売り上げを入れる募金箱は
谷川さんが持ってきた古い革のバッグ
ひょっとしたら谷川徹三さんのものかもしれないという
谷川夢佳さんは毎週のように
おじいちゃんの家から本を持ってきて
手伝っているそうだ
その様子が目に浮かぶと
自分も頑張らなければと思う
穂村弘さんは昨日きて
一箱置いて行った
その箱は出されたアイスコーヒーの隣に置かれていて
わたしに語りかけた
わたしはその中から本を買い
募金箱のバッグにいれた
混み合ってきたので
店をでることにした
外に出ると
中が恋しくなった
こんなことは
久しぶりだ
ありがとう
6次元
ありがとう
自然な笑顔が素敵です
本をかき分けて
カウンターの席で
アイスコーヒーを飲んだ
みんなが持ち込んだ
本を販売して
地震の被災者に全額を送る
色紙の看板は
谷川俊太郎さんの筆文字
売り上げを入れる募金箱は
谷川さんが持ってきた古い革のバッグ
ひょっとしたら谷川徹三さんのものかもしれないという
谷川夢佳さんは毎週のように
おじいちゃんの家から本を持ってきて
手伝っているそうだ
その様子が目に浮かぶと
自分も頑張らなければと思う
穂村弘さんは昨日きて
一箱置いて行った
その箱は出されたアイスコーヒーの隣に置かれていて
わたしに語りかけた
わたしはその中から本を買い
募金箱のバッグにいれた
混み合ってきたので
店をでることにした
外に出ると
中が恋しくなった
こんなことは
久しぶりだ
ありがとう
6次元
2011年4月5日火曜日
最高指令
原発の必要性を訴えるために
この際
計画停電を効果的にやらなければならない。
産業も病人も生かさず殺さずが方針だ。
多少の犠牲は出てもいい。
悲痛な面持ちでお詫びすればいい。
消費者心理を掴み
ニュースをコントロールして
エキセントリックな人々も利用して
悲劇を演出し
カッコつけたがりの権力者をうまく使いこなし
我々の組織を守らなければならない。
今までそうしてきたように。
我々の必要性を認識させ、
成長しなければ苦労の意味がない。
我々は産業界のエリートだ。
かつて銀行を国民の負担で救ったように
我々も救われるべきだ。
責任をとってやめなければならない者たちは
決して見捨てることはしないから
ここをうまく乗り切って
次のステージで好き好きやってくれ。
具体的には
秘密組織を発足したので情報を集約し
戦略を立て指示をくだす。
事故の影響が幅広いので
撹乱に使う情報と
ヤバイ情報の出し方が勝負だ。
さあ
取りかかれ。
これが最初の作戦だ。
---そうして
いつものように
資料が配られる
この際
計画停電を効果的にやらなければならない。
産業も病人も生かさず殺さずが方針だ。
多少の犠牲は出てもいい。
悲痛な面持ちでお詫びすればいい。
消費者心理を掴み
ニュースをコントロールして
エキセントリックな人々も利用して
悲劇を演出し
カッコつけたがりの権力者をうまく使いこなし
我々の組織を守らなければならない。
今までそうしてきたように。
我々の必要性を認識させ、
成長しなければ苦労の意味がない。
我々は産業界のエリートだ。
かつて銀行を国民の負担で救ったように
我々も救われるべきだ。
責任をとってやめなければならない者たちは
決して見捨てることはしないから
ここをうまく乗り切って
次のステージで好き好きやってくれ。
具体的には
秘密組織を発足したので情報を集約し
戦略を立て指示をくだす。
事故の影響が幅広いので
撹乱に使う情報と
ヤバイ情報の出し方が勝負だ。
さあ
取りかかれ。
これが最初の作戦だ。
---そうして
いつものように
資料が配られる
2011年4月4日月曜日
あなたのほう
待ち合わせの約束をしたまま
忘れてしまった日
取り返しのつかないことばかりが
思い出される
涙が枯れ果てた夕日のベランダで
傷ついたのは自分ではないことに気づいた
待ち合わせをしたまま
忘れられたのは私のほう
そのことを覚えていたのは
あなたのほうだった
忘れてしまった日
取り返しのつかないことばかりが
思い出される
涙が枯れ果てた夕日のベランダで
傷ついたのは自分ではないことに気づいた
待ち合わせをしたまま
忘れられたのは私のほう
そのことを覚えていたのは
あなたのほうだった
2011年4月2日土曜日
寄付をする人
大きなお金を寄付するとき
彼は幸せな気分ではない
誰かと何かを共感できるとは
思っていない
彼の目的は共感ではないし
ましてや感謝されようなどもど思ったことはないのだ
彼は寄付を済ませたあと
いつでも孤独になる
云い知れぬ寂しさに襲われ
しばらくは黙して悶絶する
彼が得たものは
このような時間なのだ
だが
彼はその孤独こそが
一番大切なものだといつからか知るようになった
引き合う孤独の力が
宇宙を形成し
人は愛について語りさえする ☆
宇宙が彼を包み
彼は自分の考えたことが
記憶という海から溢れ出し
銀河を流れ去っていく様子を見る
もはや
どこに視点があるのか分からなくなる
所在無げな彼のポストに
乱れのない文字で記された
一通の礼状が届き
指先がその冷たさに出逢った
☆ この連は著名な詩の表現を引用しました
彼は幸せな気分ではない
誰かと何かを共感できるとは
思っていない
彼の目的は共感ではないし
ましてや感謝されようなどもど思ったことはないのだ
彼は寄付を済ませたあと
いつでも孤独になる
云い知れぬ寂しさに襲われ
しばらくは黙して悶絶する
彼が得たものは
このような時間なのだ
だが
彼はその孤独こそが
一番大切なものだといつからか知るようになった
引き合う孤独の力が
宇宙を形成し
人は愛について語りさえする ☆
宇宙が彼を包み
彼は自分の考えたことが
記憶という海から溢れ出し
銀河を流れ去っていく様子を見る
もはや
どこに視点があるのか分からなくなる
所在無げな彼のポストに
乱れのない文字で記された
一通の礼状が届き
指先がその冷たさに出逢った
☆ この連は著名な詩の表現を引用しました
2011年3月31日木曜日
雨の遣い
あなたは外でつらいことがあって
その小さな部屋に逃げ帰ってきた
ベッドの上に体を投げ出したまま
動けなくなってしまった
シャワーを浴びたいのに
じっとして自分を癒すしかなかった
窓の外で雨が降り出したが
気づく様子もない
その雨は私が遣いにやったのだ
あなたは
雨の音を聴きながら
それが何であるのか認識できない
幸せだったあの頃の
遠い歌声が
聴こえているような気がしているだけだ
その小さな部屋に逃げ帰ってきた
ベッドの上に体を投げ出したまま
動けなくなってしまった
シャワーを浴びたいのに
じっとして自分を癒すしかなかった
窓の外で雨が降り出したが
気づく様子もない
その雨は私が遣いにやったのだ
あなたは
雨の音を聴きながら
それが何であるのか認識できない
幸せだったあの頃の
遠い歌声が
聴こえているような気がしているだけだ
2011年3月30日水曜日
子どもたちへ
海から魚の女の子がやってきて
町は海の底に沈んでしまった
女の子は人間になったかな
このあとの世界は
君たちがすきなように作るといい
絵を描いてみて!
僕が大人たちを説得するよ
どんな町を作りたい?
町は海の底に沈んでしまった
女の子は人間になったかな
このあとの世界は
君たちがすきなように作るといい
絵を描いてみて!
僕が大人たちを説得するよ
どんな町を作りたい?
2011年3月29日火曜日
ノ
ノノノノノ
ノノノノノノノノノノノノノノノノ
のののののののの
nonononononono
nononononononoノノノノノ
ノノノノノnono
あなたは私が間違っているという
ラジオにのせて
夕暮れ時に...........
ノノノノノノノノ
針葉樹の葉の
ノコギリ
ノノノノノノノノ
ノノノノノノノノノノノノノノノノ
ノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノ
ノノノノノノノノノノノノノノノノ
のののののののの
nonononononono
nononononononoノノノノノ
ノノノノノnono
あなたは私が間違っているという
ラジオにのせて
夕暮れ時に...........
ノノノノノノノノ
針葉樹の葉の
ノコギリ
ノノノノノノノノ
ノノノノノノノノノノノノノノノノ
ノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノ
2011年3月28日月曜日
夜はおやすみ(私の願い)
人命救助だって
夜はおやすみ
記者会見も
記者クラブも
監督官庁も
夜はおやすみ
眠れないのは
あなたとわたし
そして
人が操れないもの
電車だって
会社だって
役場だって
夜はおやすみ
でも本当は
働いている人がいる
起きている人がいる
眠れない人がいる
でも
誰かが蓋して
夜はおやすみ
ニュースは時々目を覚ます
再放送はボタン一つ
ニュースライターは夢の中で
徒競走
大事なことは
朝になるまで知らないことにします
そのほうが都合がいいこともあります
夜はおやすみなさい
それが大人の約束
どうか
朝には目覚めますように
明日こそ できごとを先送りしませんように
夜はおやすみ
記者会見も
記者クラブも
監督官庁も
夜はおやすみ
眠れないのは
あなたとわたし
そして
人が操れないもの
電車だって
会社だって
役場だって
夜はおやすみ
でも本当は
働いている人がいる
起きている人がいる
眠れない人がいる
でも
誰かが蓋して
夜はおやすみ
ニュースは時々目を覚ます
再放送はボタン一つ
ニュースライターは夢の中で
徒競走
大事なことは
朝になるまで知らないことにします
そのほうが都合がいいこともあります
夜はおやすみなさい
それが大人の約束
どうか
朝には目覚めますように
明日こそ できごとを先送りしませんように
2011年3月27日日曜日
念のため 見殺しに
念のため
この辺りの野菜は廃棄してください
10年食べ続けると
健康を害するおそれがありますもので
念のため
乳児に水を飲ませないでください
どうしても必要な場合は
大丈夫ですので飲ませてください
念のため
避難地域を広げます
いつ帰れるかは
わかりませんが
念のため
この辺りには近づかないでください
生存者は
見殺しにする方針です
この辺りの野菜は廃棄してください
10年食べ続けると
健康を害するおそれがありますもので
念のため
乳児に水を飲ませないでください
どうしても必要な場合は
大丈夫ですので飲ませてください
念のため
避難地域を広げます
いつ帰れるかは
わかりませんが
念のため
この辺りには近づかないでください
生存者は
見殺しにする方針です
2011年3月26日土曜日
ソファに坐って寛いでいる人
さっきからソファに坐って寛いでいるあの人は
ここが自分の部屋だと思い込んでいるらしい
煙草を吸い
ツマミを次々と口に運び
ビールを美味しそうに飲む
その態度は
あまりに堂にいっているので
私のほうが他人の家に来ているような錯覚に襲われる
出前でも注文しそうな勢いだ
大きなあくびをした
あの人には
私が居ることが分かっていないのだろうか
わたしは透明人間ではないのに
あの人はあの人の日常をそのまま抱えて
この部屋に来ている
わたしは
わたしの日常をかき集めて
勝負しなければ と思えてくる
そうしないと
私の存在のほうが希薄化してしまう
しかしなぜこんなことになってしまっているのだろう
いくら考えても思い当たるフシがない
いつの間に来たのだろう
なぜ 私は気づかなかったのだろう
第一 私はいま何処にいるのだろう
ソファの後ろのパソコンのところか
いいや
パソコンは付いているが
私が居る気配がない
そのとき
耳鳴りのようにサイレンが鳴った
まただ
と思った瞬間
汗のようなものがタラタラと
床に流れ落ちた
ここが自分の部屋だと思い込んでいるらしい
煙草を吸い
ツマミを次々と口に運び
ビールを美味しそうに飲む
その態度は
あまりに堂にいっているので
私のほうが他人の家に来ているような錯覚に襲われる
出前でも注文しそうな勢いだ
大きなあくびをした
あの人には
私が居ることが分かっていないのだろうか
わたしは透明人間ではないのに
あの人はあの人の日常をそのまま抱えて
この部屋に来ている
わたしは
わたしの日常をかき集めて
勝負しなければ と思えてくる
そうしないと
私の存在のほうが希薄化してしまう
しかしなぜこんなことになってしまっているのだろう
いくら考えても思い当たるフシがない
いつの間に来たのだろう
なぜ 私は気づかなかったのだろう
第一 私はいま何処にいるのだろう
ソファの後ろのパソコンのところか
いいや
パソコンは付いているが
私が居る気配がない
そのとき
耳鳴りのようにサイレンが鳴った
まただ
と思った瞬間
汗のようなものがタラタラと
床に流れ落ちた
2011年3月25日金曜日
友だちがやってきた
友だちがやってきた
一人ぼっちの夜に
まえぶれもなく
突然やってきた
いつの間にか
傍らに立っていた
やさしい表情で
言葉もなく微笑んだ
私も言葉を発しなかった
ただ友だちの眼を見つめた
気がつくと
友だちの手を握っていた
しっとりとして
あたたかかった
一人ぼっちの夜に
まえぶれもなく
突然やってきた
いつの間にか
傍らに立っていた
やさしい表情で
言葉もなく微笑んだ
私も言葉を発しなかった
ただ友だちの眼を見つめた
気がつくと
友だちの手を握っていた
しっとりとして
あたたかかった
2011年3月24日木曜日
別のものが宿る
何かの形にみえるが
そこには別のものが宿っているといっておこう
それが何であれ だ
そのことを知らずに近づけば
しっぺ返しを食ってしまう
例えばそれは大きな圧力釜の形をしているが
本当は200年以上前に戦火で焼けた掛け軸だ
日輪と一人の人物が描かれていた
また隣にあるプールは
砂漠に落ちてきた隕石のかけらだ
有名なサハラ砂漠に埋まっている
いまも埋まったままだが
そこに宿って顔を出している
その近くにあるまた別のプールは
中国 唐の時代の瀟洒な門だ
海岸線の形をしているものは
娼婦エレンディラのガーターベルトだ
そのガーターベルトには
いま数学の教科書が宿っている
数学の教科書には
ニューヨークのスタンドで1980年に売られたプレッツェルが宿っている
という具合だ
あの日
沿岸に大きな津波がやって来てから
この世は大きく変わってしまった
あらゆる形あるものに
別のものが宿っていった
宿ることで
よく変わったものもあれば
あまりよく変わらなかったものもあった
だが 悪くなったものは
わずかだった
何かの形に見えるものが
別の何かに宿られる世界ができていったとき
その大きな動きに
人々はあまり気がつかなかった
いや 気付けなかった
気づいた人は思った
なぜこんなことになってしまったかわからない
証明のしようがない
そこで詩人は詩を書いた
詩は少しずつ広がっていった
詩人に何が宿っているかは
語られていない
そこには別のものが宿っているといっておこう
それが何であれ だ
そのことを知らずに近づけば
しっぺ返しを食ってしまう
例えばそれは大きな圧力釜の形をしているが
本当は200年以上前に戦火で焼けた掛け軸だ
日輪と一人の人物が描かれていた
また隣にあるプールは
砂漠に落ちてきた隕石のかけらだ
有名なサハラ砂漠に埋まっている
いまも埋まったままだが
そこに宿って顔を出している
その近くにあるまた別のプールは
中国 唐の時代の瀟洒な門だ
海岸線の形をしているものは
娼婦エレンディラのガーターベルトだ
そのガーターベルトには
いま数学の教科書が宿っている
数学の教科書には
ニューヨークのスタンドで1980年に売られたプレッツェルが宿っている
という具合だ
あの日
沿岸に大きな津波がやって来てから
この世は大きく変わってしまった
あらゆる形あるものに
別のものが宿っていった
宿ることで
よく変わったものもあれば
あまりよく変わらなかったものもあった
だが 悪くなったものは
わずかだった
何かの形に見えるものが
別の何かに宿られる世界ができていったとき
その大きな動きに
人々はあまり気がつかなかった
いや 気付けなかった
気づいた人は思った
なぜこんなことになってしまったかわからない
証明のしようがない
そこで詩人は詩を書いた
詩は少しずつ広がっていった
詩人に何が宿っているかは
語られていない
2011年3月23日水曜日
マイページ
¥眠って
眠って起きることと
死んで生まれることは
どれほどの差があるのだろう
毎日目を覚まし
今日をどう生きようかと思案し
床に就く時
あやふやに
きょうへの思いと
明日の予定が混ざり合う
死んでゆく時
きょうまでの過去を振り返り
自分の死後に思いを寄せる
瞼に祭りの列が通り過ぎる
喜びを湛え苦悩を祓いながら
だが次の瞬間には
祭りの列の中で鳴り物をならし
舞を舞い
見物の人に愛想を振りまき
カメラに納められる
毎日眠り
毎日生きる
この役目を毎日担当して
マツザキヨシユキ46年4か月
¥ドングリ
ドングリとお魚で
ドングリトット
という
¥いつの間にか去っていった友
樹々の筆先ミドリ
キギノフデサキミドリ
という
誰も超えられない
初夏の峠のような言葉をのこして
きみが友であったことに
今初めて気づいた
2011/3/23
¥おさるさん
おさるさん
とんで行って助けてよ
籠を担いで
助け出しておくれよ
友だちを
小田原提灯ぶらさげて
暗い道を行っておくれ
¥僕の詩は
僕の詩は
もっとオトナにならなければ
ならないにだろうか
¥行方が分からない
不安はサーチライトにならない
不満は燃料にならない
心配は愛情にならない
この足で歩き
あなたを見つけ出したとき
郵便が届くように
愛が来る
誰から届いたかは知れずに
眠って起きることと
死んで生まれることは
どれほどの差があるのだろう
毎日目を覚まし
今日をどう生きようかと思案し
床に就く時
あやふやに
きょうへの思いと
明日の予定が混ざり合う
死んでゆく時
きょうまでの過去を振り返り
自分の死後に思いを寄せる
瞼に祭りの列が通り過ぎる
喜びを湛え苦悩を祓いながら
だが次の瞬間には
祭りの列の中で鳴り物をならし
舞を舞い
見物の人に愛想を振りまき
カメラに納められる
毎日眠り
毎日生きる
この役目を毎日担当して
マツザキヨシユキ46年4か月
¥ドングリ
ドングリとお魚で
ドングリトット
という
¥いつの間にか去っていった友
樹々の筆先ミドリ
キギノフデサキミドリ
という
誰も超えられない
初夏の峠のような言葉をのこして
きみが友であったことに
今初めて気づいた
2011/3/23
¥おさるさん
おさるさん
とんで行って助けてよ
籠を担いで
助け出しておくれよ
友だちを
小田原提灯ぶらさげて
暗い道を行っておくれ
¥僕の詩は
僕の詩は
もっとオトナにならなければ
ならないにだろうか
¥行方が分からない
不安はサーチライトにならない
不満は燃料にならない
心配は愛情にならない
この足で歩き
あなたを見つけ出したとき
郵便が届くように
愛が来る
誰から届いたかは知れずに
2011年3月22日火曜日
朽ちて美しくなろうとしている
朽ちて美しくなろうとしている
深く身を沈め
永遠に近づこうとしている
陽ざしも 夜の冷気も
遠くから聞こえてくる音も
潮風の香りも
人が戯れる音も
食べ物の味も
どれも同じものであると
初めて気づいたのだ
だが
その気づきもまた
同じものの一つだ
気づかないものとも
同じなのだ
もう言葉は存在しない
すべての差異が埋められてゆく
このような安定は初めてだ
誰もここにはこない
近くにいるのに
なんと遠いことだろう
朽ちていくことは
生まれていくこと
ただ
その時間の流れを
計るモノサシは
この世に存在しない
波音は繰り返し
語りかけてくる
去ったものたちは
すべてに同化して
言葉で伝えるべき物語はない
深く身を沈め
永遠に近づこうとしている
陽ざしも 夜の冷気も
遠くから聞こえてくる音も
潮風の香りも
人が戯れる音も
食べ物の味も
どれも同じものであると
初めて気づいたのだ
だが
その気づきもまた
同じものの一つだ
気づかないものとも
同じなのだ
もう言葉は存在しない
すべての差異が埋められてゆく
このような安定は初めてだ
誰もここにはこない
近くにいるのに
なんと遠いことだろう
朽ちていくことは
生まれていくこと
ただ
その時間の流れを
計るモノサシは
この世に存在しない
波音は繰り返し
語りかけてくる
去ったものたちは
すべてに同化して
言葉で伝えるべき物語はない
2011年3月20日日曜日
被災した電車さん
津波にさらわれて
線路を外れ
原っぱに倒れている
あなたに
電気を送る電線はない
あなたを操った
運転手も車掌さんも
常連のお客さんの姿もない
あなたの中には
瓦礫と林の木
電線の切れ端と電柱の一部
屋根の瓦や襖の残骸
畑でてきかけた作物の茎と葉
本屋の看板
子供のオモチャ
それから海に帰り損ねたものたちが
入っている
おおらかなきみ
よろけんで受け入れ
彼らを救おうとしたのだろう
かつて きみは
颯爽と海辺の線路を駆け抜けてきた
もっと昔には
都会のビルの間や
新しく作られたトンネルを走ったこともあった
そんなきみが
いまは横たわり
動きだす気配すらない
こんなにゆっくり
星空を見上げたことがあっただろうか
きみは僕たちの問いに答えるように
小さな聞こえない声でこたえてくれる
クモハ
クハ
モハ ……
線路を外れ
原っぱに倒れている
あなたに
電気を送る電線はない
あなたを操った
運転手も車掌さんも
常連のお客さんの姿もない
あなたの中には
瓦礫と林の木
電線の切れ端と電柱の一部
屋根の瓦や襖の残骸
畑でてきかけた作物の茎と葉
本屋の看板
子供のオモチャ
それから海に帰り損ねたものたちが
入っている
おおらかなきみ
よろけんで受け入れ
彼らを救おうとしたのだろう
かつて きみは
颯爽と海辺の線路を駆け抜けてきた
もっと昔には
都会のビルの間や
新しく作られたトンネルを走ったこともあった
そんなきみが
いまは横たわり
動きだす気配すらない
こんなにゆっくり
星空を見上げたことがあっただろうか
きみは僕たちの問いに答えるように
小さな聞こえない声でこたえてくれる
クモハ
クハ
モハ ……
2011年3月18日金曜日
懐かしい場所へ
何故か懐かしい と 思ったので
そう通信した
ルートは波形(なみがた)をしている
それが最短距離なのだ
進むために燃料は要らない
いってみれば
そう希うことで進むことができる
光の速さを殊更に意識しなくてもいい
光は違う種類の人間だ
いくつもの集落が
粒状の
光の小山として見える
そう通信した
山はいくつもある
音はほとんどしない
音を出さないのは
神様の声を聞くためだと思われる
かれらはそれぞれに
崇高に生きようとしているのだ
わたしは汚れたものだな
これは通信しなかった
明るい天体の向こうに回りこむと
小さな天体は光に邪魔されて見えなくなった
しかしそこには
あたたかい島があった
島には波が打ち寄せ
人々が穏やかに暮らしているようだ
波間から水にもぐると
水の粒が光に向かって昇っていった
青い空が水の底にもあった
鮮やかな色とりどりの貝やサンゴが星のように光っている
そう通信した
ルートは波形(なみがた)をしている
それが最短距離なのだ
進むために燃料は要らない
いってみれば
そう希うことで進むことができる
光の速さを殊更に意識しなくてもいい
光は違う種類の人間だ
いくつもの集落が
粒状の
光の小山として見える
そう通信した
山はいくつもある
音はほとんどしない
音を出さないのは
神様の声を聞くためだと思われる
かれらはそれぞれに
崇高に生きようとしているのだ
わたしは汚れたものだな
これは通信しなかった
明るい天体の向こうに回りこむと
小さな天体は光に邪魔されて見えなくなった
しかしそこには
あたたかい島があった
島には波が打ち寄せ
人々が穏やかに暮らしているようだ
波間から水にもぐると
水の粒が光に向かって昇っていった
青い空が水の底にもあった
鮮やかな色とりどりの貝やサンゴが星のように光っている
2011年3月17日木曜日
命は 失われていない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
自分の命ではない
あのひと
でも、ない
あのひとの
命、でもない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失っても
仕方のないものばかり
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失ったけれど
それは
命、ではない
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていったけれど
それはあのひとから
失われた訳ではない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失われても
仕方のないものばかり
あのひとは
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失ったけれど
それは
命ではない
命は
去っていっただけ
命は
失われていない
失ったものは
仕方のない
ものばかり
失ったものは
仕方がない
ものばかり
命は
失われていない
去っていっただけ
命は失われていない
どこかに
去っていっただけ
去っていっただけ
どこかに
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
自分の命ではない
あのひと
でも、ない
あのひとの
命、でもない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失っても
仕方のないものばかり
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失ったけれど
それは
命、ではない
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていったけれど
それはあのひとから
失われた訳ではない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失われても
仕方のないものばかり
あのひとは
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失ったけれど
それは
命ではない
命は
去っていっただけ
命は
失われていない
失ったものは
仕方のない
ものばかり
失ったものは
仕方がない
ものばかり
命は
失われていない
去っていっただけ
命は失われていない
どこかに
去っていっただけ
去っていっただけ
どこかに
だれ
だれかいませんか
声が空気をノックする
だれかいませんか
ぼくは
なんども
目を覚ます
だれか
いませんか
その声を
聞き逃すまい
その声の主を
やり過ごすまい
空き地の横の
砂利道を
一緒に歩いた
きのう
きょうは
その
あした
きのうは
きょうの
きのう
おとといの
あした
小学生の
名札
名前
書いてある
滲んでいる
書いた名前
名前
海
風
涙を
飛ばした
海の風
つめたい
まぶしい
日差し
砂
砂
なにが
できますか
なにか
できますか
なにが
月
やがて
積もる
雪
きれいな
結晶
綿
雪
星
かたち
まっすぐ
でも
ゆらめく
あの日
雪
雪の
夜
声
サカナ
きこえる
さあ
声が空気をノックする
だれかいませんか
ぼくは
なんども
目を覚ます
だれか
いませんか
その声を
聞き逃すまい
その声の主を
やり過ごすまい
空き地の横の
砂利道を
一緒に歩いた
きのう
きょうは
その
あした
きのうは
きょうの
きのう
おとといの
あした
小学生の
名札
名前
書いてある
滲んでいる
書いた名前
名前
海
風
涙を
飛ばした
海の風
つめたい
まぶしい
日差し
砂
砂
なにが
できますか
なにか
できますか
なにが
月
やがて
積もる
雪
きれいな
結晶
綿
雪
星
かたち
まっすぐ
でも
ゆらめく
あの日
雪
雪の
夜
声
サカナ
きこえる
さあ
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