舗装された路を森が侵食してきて( し返してきて)、晴れているのに路面は湿っぽい。
左右は崖。木の向こうや道の彼方に青い海が時々見える。水の流れる音が重なってざわざわといっている。
人も通るが風や日差しや動物も通る。
灯台に行く路は舗装されていないが、自動車や自転車が日に数十台は行き来する。
路はその上を人に利用させ、車のタイヤに踏まれることが最も負担となっている。路は表面が破れれば、もとの森の一面を覗かせようとする。
いつかこの路を(または森と路とを)、よろめきながらも逞しく歩いて行く男の姿を見たことがある。服は破れて露出した膚は土にまみれて日に焼けて黒く、汗が滴っていた。彼は生命力にあふれていたが、まもなく力尽きてしまうのだろうか。気迫だけが彼を前進させているようだったが、行く手には広大な森があるばかり。人の住んでいる場所は逆方向にある。
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