2012年4月29日日曜日

彼女は立っていました 第二草稿

傘をさすほどの雨ではありませんでした
さびしさを胸に詰めて
彼女は用もないのに
人ごみの中に立っていました

お遊戯の踊りをするみたいに
時々体をひねり
控えめなステップを踏みました

女友だちたちは
いまごろどこで遊んでいることでしょう
満たされないと悟った彼女は
ここに立っていることにしたのです

誰かが声をかけてくることもあるでしょう
いかがわしいところに連れて行かまうかもしれません

でも彼女は気にしない
気にできない
彼女はただ立っていることに 全力だから
なぜ立っているのか
分からないから

夕闇が夜の空気を連れてきて
彼女のさびしさは
胸をはちきれさせます
そのせいで
息が苦しいけれど
まだ彼女は立っています

彼女が去ったあと
その場所には
今度は彼女の胸から
溢れ出したさびしさが立っています
次に立つ人を
選別するために
眼差しを路上に投げかけて

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