傘をさすほどの雨ではありませんでした
さびしさを胸に詰めて
彼女は用もないのに
人ごみの中に立っていました
お遊戯の踊りをするみたいに
時々体をひねり
控えめなステップを踏みました
女友だちたちは
いまごろどこで遊んでいることでしょう
満たされないと悟った彼女は
ここに立っていることにしたのです
誰かが声をかけてくることもあるでしょう
いかがわしいところに連れて行かまうかもしれません
でも彼女は気にしない
気にできない
彼女はただ立っていることに 全力だから
なぜ立っているのか
分からないから
夕闇が夜の空気を連れてきて
彼女のさびしさは
胸をはちきれさせます
そのせいで
息が苦しいけれど
まだ彼女は立っています
彼女が去ったあと
その場所には
今度は彼女の胸から
溢れ出したさびしさが立っています
次に立つ人を
選別するために
眼差しを路上に投げかけて
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