2012年4月29日日曜日

心を容れる器をください

心を容れる器をくださいって言ったら
〈心が器でしょ。器を器に容れるの?〉
と言われてしまった。それでちょっと沈黙してしまったんだ。
彼女は器をくれる代わりに彼女が焼いたパンを出してくれた。そのパンの美味しいのなんのって。何もつけなくても、小麦と炎の香りがして、幸せな気分になってしまった。
そして彼女は唐突に音楽をかけた。心地よい音量で。左右のスピーカーから違う音が聴こえてきて、私はその場からどこかに飛んでいっでしまいそうになった。
私は、でもやはり、心を容れる器が欲しいと望んでいた。

私ごとでもいいから、器にいれて、タンスの上のほうにでも、しまってくれないか。

2 件のコメント:

  1. 好きだな。この詩。

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  2. 中村ゆき子2013年4月25日 10:42

    私も器が欲しくなった!
    ピッタリサイズのガラスのような器
    藤色のふわふわ敷いて
    心が落ち着くまでしまっときたい
    どこにあると思う?

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