2011年6月4日土曜日

あなたは私を見つめて

どんな目にあっても
体は汚れない
洗えばきれいになっていく

いつか映画で見た
美しい水車小屋の
朽ちかかった板と柱の
ホコリを払い
あなたの心は住んでいる

風が木々を揺する音
水が岸にぶつかり渦巻く音
鳥がさえずりに来る
永遠の会話を
遠くの耳で聴いている

すべてを
緑色のものが覆ってしまいそう
雲は時々やってきて
それを心配そうに見守る

嵐の日も
月が眩しすぎる夜も
季節替わりが訪れる時も
緑は着々と
この星のこの地を覆おうとしていた

あなたは
いま
動こうとしない

そんなことが何回あっただろう

あなたは
音叉をトンとたたいて
過去と
これからくるだろう未来の
チューニングをしようと試みる
その
試み自体が
私には
美しい絵のように見えている

誰も言葉を発するものが
いないかのようだ

わたしが
何かの拍子で振り向いた時も
あなたはただ私を見つめて
立っていただけだった

2 件のコメント:

  1. 「あなたの心は住んでいる」という表現、いいですね。
    緑に覆われていく、今の季節が一番好きです。

    過去の自分は、いつでも、未来へ向かう自分を心配そうに見つめています。

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  2. マツザキヨシユキ2011年6月7日 22:16

    心はどこに住んでいるのでしょう。
    自分の体の中にいるようでもありますが、
    どこか別のところにあるようにも思えますね。

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