2011年12月27日火曜日

暮れかけた商店街の道を

暮れかけた商店街の道を
下を向いて歩いていたら
そのこの横顔が
逆光の中で
いきなり光ったんだ

一瞬のことだったけど
シルエットは形のいい鼻の輪郭と
ふっくら盛り上がった唇を浮かび上がらせた
小さな光の欠片となった前歯は
夜空の星になろうとして飛んでいった

暮れかけた商店街は
落ち葉の雰囲気もして
足音にカサカサという音が混ざる
あの落ち葉は何日かまえに
わたしの肩をトンと叩いて落下した落ち葉だろう
商店街に人は多くも少なくもなく
冬のやや冷たい風が吹いている

そのこの額は
頭に優しい髪を湛え
体はそのこをいろんなところに連れ回してきたが
たぶん仲良くやっているのだろう
不穏さはなく
心地よさが湧き出ていた
笑顔はその一つの表現だろう

下を向いて歩くのはやめたいと
ずっと願ってきたが
いつのまにかすっかり慣れてしまい
目には動く灰色の道しか見えなかった
方向さえ決めれてやれば進んで行く道に
特別な思いもかけず
ただ単調になりかけていた

だかあのこの横顔が
逆光の中で
光ったとき
カラー写真が心に焼き付けられたんだ

薄暗い商店街の道は
私の心を映して
あかんべーをして
灰色の舌を晒しているが
その上を
慌ただしく人は通りすぎ
あのこは
いつまでも止まっている

動くことを私の心が許さないからだろう
だが間もなくその壁は破られ
動き出すだろう


これはまだ願いにすぎないのだが
薄暗い商店街のそのこの横顔が発した肉弾は
私の弱った心を間もなく打ち砕き
景色は動き
輝き出すにちがいない

それを見てみたい
岩陰から
こっそりと
できれば
だんだん堂々と

1 件のコメント:

  1. 動き出す、そのときを楽しみにしています。
    そして…私も前を向いて、歩いていきたいです。

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