2011年12月14日水曜日

あなたの客人

あなたは
自分で生きようとしている
私も同じだ

世界もまた
あなたや私を
生かそうとしている

そのような
誰も語ろうとしなくなってしまった
古びた合意が
夜の町にあふれて
ひっそりと佇んでいる

あなたは時どき
その傍らに立って
手招きをする

そこに
引き寄せられるのは
見慣れた普段着の言葉たちだ
これから
詩に仕立てられるのだ

クリスマスが近づいているのに
あなたはいつもと同じ様子だ
むしろ
次の季節の中に入っていこうとしている

あなたは
あなたが作った
クリスマスのことを
思い出す

ワインが招いた
酔いが静かに
迎えにくきている

ちょっと待って!

あなたは
外に向い
声をあげて告げた

あなたの
玄関で待っていたのは
月が落とした影

それは美しい
客人だった

ーーー
谷川俊太郎さんの誕生日に

4 件のコメント:

  1. ハガキを書いてたら、
    うっこり寝るタイミングを失って大慌て。
    谷川さんに『おめでとうございます』と
    声なき声を置いて就寝★→
    おやすみ、世界。

    返信削除
  2. 今日は、俊太郎さんのお誕生日。
    こちらは、暖かな日差しに包まれています。
    宇宙を感じさせる詩の数々は、
    孤独と向き合う勇気を与えてくれますね。

    クリスマスが近付く度、幼い頃を思い出します。
    ツリーを初めて買ってもらったときの嬉しさ、
    サンタクロースを疑い始めたときのことetc.

    忙しくて、ゆっくり味わうことが出来なくても、
    やっぱり、大好きなイベントに変わりありません。

    返信削除
  3. 大好きです^^
    「クリスマスが近づいているのに
    あなたはいつもと同じ様子だ」たぶん谷川さんはサンタクロースにそっくりね(笑)
    詩で誘った、みんなさんは客人になりました^^

    返信削除
  4. 中村ゆき子2012年12月15日 0:46

    楽しく、美しい言葉が私たちのまわりを流れて行くのが見えるようですね。

    返信削除