2010年10月27日水曜日

月の香

目が覚めていくとき
固まってしまうだろう

季節の風が運んでくる感覚
何回めぐってきたのだろう

今はもういないあのひとの香り
浸みこんでとどまるように祈ったけれど

月のない夜に観た
思い出の中の月はほのかに赤かった

不吉と絶頂の予感が繰り返し
やかんの水が煮えたぎる音だけがして

通奏低音が鼓膜の奥でなっている
自分はどんな譜面の上を進むのか
誰の意思で
いつまで

1 件のコメント:

  1. 嗅覚というのは、五感の中でも、人の記憶の奥の方に根づいているように感じます。普段思い出すこともないような記憶が、突然、懐かしい香りで蘇ったり。。月の香は、どんな香りなのか、イマジネーションが、ひろがりました。

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