気づくと
イヤホンをして
きみが坂をのぼってくる
リズムよく大胆な歩幅で
僕を見つけたからだろう
僕もきみに向かって歩き出す
早くきみの体に触れたいから
きみはイヤホンを外して笑顔を投げてくる
春の日差しを感じた
バスが騒音をまき散らして登ってきたけれど
僕たちの前を通りすぎると
もう僕たちはいなくなっているのさ
紅茶にスプーンが入れられて
くるくるかき回す
真昼の喫茶店にたばこの煙が漂い
誰かが入ってくる音がする
すると
もうそこに
僕たちはいないのさ
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