2010年10月8日金曜日

秘書の階段

秘書とタワーに上る
階段で

どうしてこんなことになったのか
覚えていない

ドアに向かう社内の廊下では
秘書は前を歩く
階段では社長が前を歩く

でも疲れると
社長は秘書に前を歩くように命じる
秘書は訳もきかず今度は前を歩く
昇っていく

秘書はハイヒールに
ストッキングの足を心地悪そうに突っ込んでいる
でもすべてをかなぐり捨ててただ歩く
社長がヒーヒーと疲れて愚痴を言う
秘書は頑張らなきゃだめですよと声をかける

秘書は若くよく体を動かしている
社長はしょっちゅう椅子に座って煙草を吸いコーヒーを飲む
だから階段においては社長のほうが不利だ

足がもつれれば怪我をすることにもなる
途中でやめるには
階段を下りなければならない

汗の玉が落ちる
階段の掃除をする人のことが頭をよぎる

秘書は後ろを気遣うようにしながら
容赦なく昇っていく

社長は秘書を制止する
肩に手をかけて
秘書の一段上に倒れるように昇ると
今度は自分が先に行くという

呼吸を5回ほどすると
スローペースで昇り始める

秘書はそのペースに合わせて
二、三歩遅れてついてくる
秘書が持つ鞄には
秘密の書類

社長の後ろからついてくる
秘書の体には正しさが満ち溢れ
秘密の書類は秘書を超えて
どこまでも昇ろうとしている
階段の先の その先までも



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2 件のコメント:

  1. 社長秘書が元気で勇気づけられます。
    淡々として元気で、目的本位で。
    社長もがんばれ

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  2. いろんな秘書さんがいるとおもいますが、秘書さんが元気でいること、とても大変なことのように想像します。秘書さんって本当にすごい。僕には出来ないでしょう。

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