2012年11月22日木曜日

入っています

お財布の中に
小銭が少し入っています
お財布が
隠しているものは
なんでしょうか

セーターの中に
おとなが一人入っています
なぜ入って
いるのでしょうか
ほかに取替えは利かないのでしょうか

熊の中に
サーモンが一匹入りました
サーモンは
なにを
考えていたのでしょう

子供の中に
お姫様が一人入っています
大人になったら
出られなく
なるのでしょうか

毛虫の中に
蝶の子どもが
入っていますか
おたまじゃくしに
きいたら
教えてくれるでしょか

ツクバネの実に
落下傘部隊が入っています
競争したら
どちらが
負けるのでしょうか

2012年11月21日水曜日

小さな声で話すのは

小さな声で話すのは
秘密のようにしたいから
恥ずかしそうに話すのは
あなたをくすぐってみたいから

やましいことはありません
やましいこともしたいけど

2012年11月20日火曜日

クレマチス

去年のきょうから一年が経ちました
一年前のきょうも同じ11月20日でした
11月20日はやわらかい日差しで
きょうのこの辺りを明るくしています
分け隔てなく日陰以外を照らしています

地震で壊れた街は新しい建物が建ち未来都市が姿を現そうとしています
ビルの間の青空を雲が流れて行きます

ランチタイムに人びとがレストランに大挙して訪れ
壮年の旅人たちはゆったりすることを楽しんでいます
地ビールを喉を鳴らして
満足そうな表情を満面にたたえています

時間は流れているのでしょうか
今が永遠のようにその辺に佇んでいます

スマホを覗き込めば友達たちが会話をしようと仕掛けてきます
手にした端末で心がつなげられ
実際の居場所より近くに居るようです
何が実際なのか
チラと考えたりします

来年のきょうは人びとは何をしているでしょうか
あの人やこの人やその人は
今と同じことをしているでしょうか
いや
多分していないし
しているのだと流れる雲のように考えます

コーヒーを飲み終えた人が
店を出て
次の居場所に移動して
さっきまで一緒にいた人のことを忘れてゆきます

だがまた思い出すこともあるでしょう
思い出さない人は
忘れていますが
思い出したときには
忘れていたことに気づくでしょう
思い出された人は
どこで何を思っているでしょう

誰も何も何かを答えてくれません
誰も何も答えようとしません

新聞の紙面に記者は他人事を記しています
新聞はこの日に置いていきましょう
明日には明日の新聞が配られるので
溜まりすぎないようにした方がよさそうです

まあそんなところです
私もバスに乗らなくてはなりません

2012年11月19日月曜日

ベタベタ

彼女は
おでんとユッケを食べて
好きな酒を呑む
フォーにパクチーをどっさり入れてツルツルたべる
ライフスタイルは自分のもの
人に迷惑はかからないと思っている

『さようでございます』

欠点を巧く隠して
着飾って世間を渡って行く
晴れの日のためには準備も完璧にして

欠点を隠していることは
爽やかでかっこいい
そのうち隠していたことも忘れて
笑顔を振りまいている

『そのようなことはございません』

(((o(*゚▽゚*)o)))
彼女はたまに絵文字で会話をする
寒くなってきたら
暖かいお茶を何倍も飲む
実際の歳より若くてお洒落

余裕のあるときは
口数すくなくベタベタ
彼氏にものをいう

2012年11月18日日曜日

どのこかな

ちくりちくり
愛の裏返し
ひとでなし
ねちねち
くるくる
ぴったり
ぎゅうぎゅう
とろりんこん
さかなかな
かなかな泣き虫
どのこかな

2012年11月17日土曜日

抱きとめもせず 寄り添いもせず




あなたが 光なら
私は 空にたなびく 雲でありたい

抱きとめもせず
寄り添いもせず
ただ
なんとなく
近い存在でありたい

それがかなわいなら
かなわない理由は気にもとめずに
勇気だけを頼りに
さまよいたい

行き着くところは分かっているから

そこは
あなたが眠る場所

そこに
たどり着いた時にも
私はただ  なんとんく
あなたの近い存在でありたい

2012年11月16日金曜日

11月16日

白黒の兎がドアから出ていく後ろ姿を見ながら
懐かしさと悲しさの差がいまだにわからないと
ぼんやりと遠いお花畑をスローモーションで思った

知ることはすべてできない
そのことはもちろん知っていたが
知らないことがすべてであると
夕日に浮かんだ雲に打ち明けられた時

懐かしさの向こうから悲しみが
滝を崩して
勢いよくこの身を打ちにきた

寝入り鼻に
目醒めていく11月の未明
逆立ちした朝焼が夕焼けに変身し
酔った人の夢が電車の中で迷い
降りる駅を探している

まだ絶望という文字はやってきていない

2012年11月15日木曜日

そう、あなたには詩がある

うたた寝をしてしまって目覚めたあなた
そう、あなたには詩がある

こてんぱんにやっつけられて疲れて眠ってしまったあなた
そう、あなたには詩がある

首が痛くて頭も痛くなってきたあなた
そう、あなたには詩がある

明日食べるものがなくて凍えているあなた
そう、あなたには詩がある

手術を終えてやっと退院したあなた
そう、あなたには詩がある

銀行に騙されて首をくくろうとしているあなた
そう、あなたには詩がある

暴力を受けて体も心も傷ついて逃げ出してきたあなた
そう、あなたには詩がある

友だちに裏切らればかにされて悔しさを噛み締めているあなた
そう、あなたには詩がある

ふる里の家を失ったあなた
そう、あなたには詩がある

家族を目の前で傷めつけられて悲しんでいるあなた
そう、あなたには詩がある

取り立て屋に終われ税務署に催促され電気も止められたあなた
そう、あなたには詩がある

もう何もないと絶望しているあなた
そう、あなたには詩がある

まだ何も経験していないのに何もかも嫌になってしまったあなた
そう、あなたには詩がある

弱みに付け込まれていいようにされっ放しのあなた
そう、あなたには詩がある

大事に育てたものが奪われて絶望しているあなた
そう、あなたには詩がある

木馬から転げ落ちて以来いいことがないあなた
そう、あなたには詩がある

泣いてばかりいるあなた
そう、あなたには詩がある

死のうとして生きていくことをやめようとしているあなた 
そう、あなたには詩がある

何をやっても上手くいかないあなた
そう、あなたには詩がある

憂鬱で体もだるく心のどこかが張り詰めているあなた
そう、あなたには詩がある

真面目にやってきて不真面目な人にしてやられたあなた
そう、あなたには詩がある

ずっと閉じ込められてずっと我慢してずっと愚痴を言っているあなた
そう、あなたには詩がある

寒い公園のそばで幽霊と一緒に夜を過ごして眠れないあなた
そう、あなたには詩がある

毎日が同じ繰り返しで時間が無駄に過ぎていくだけのあなた
そう、あなたには詩がある

誰がなんと言おうが言うまいが
そう、あなたには詩がある

そう、あなたには詩がある

2012年11月14日水曜日

二人だけの舞踏会

わたしはあなたになりすまし
みたいものみなみてしまう
あなたはわたしになりすまし
したいことみなしてしまう
わたしはあなたになりすまし
さらにわたしになりすます
あなたはわたしになりすまし
さらにあなたになりすます
そうしてふたりはたくさんの
かめんをかぶりぶとうかい

2012年11月13日火曜日

アルパカのぬいぐるみ

三階建ての二階は
天地がひっくり返っても三階建ての二階なので
彼女は安心してそこにいることができる

ずっとそこにいることもできるが
安住の地は別のところにあると信じているので
彼女の眼はいつも何かを探しているような感じになる

明け方または夕方に
雨が降っていると
道は泥水を跳ね上げる
それが泥の水であるかは
明確な証拠はないが
だれもその説明を求めないので
それはそうであるということにいておいて
差支えはなさそうだ

頼りないものを頼りにしなければ
世間はわたっていけないので
せめて頼りになるものを拵(こしら)えて縋(すが)りたくなる

水の上に魚が跳ねた
彼女は一緒に跳ね上がってみた
アルパカのぬいぐるみを落としそうになってまで
衝動のままに
跳ねる必要があったのだろうか

2012年11月12日月曜日

破れた靴下

破れた靴下を履いているんだ
大事な靴下なんだ

それは
100円ショップで買ったから
お金がないときにやっと買ったから

破れた靴下は
あしたさよなら

君の体で
僕のクツを磨いて ピカピカにして
ゴミ箱に入って他のゴミと一緒に
ゴミ捨て場に行ってください

破れた靴下は
きょうでお別れ
君のことは忘れない
君はゴミになって燃やされて
僕のことは忘れるだろう

忘れてくれていい
感謝こそすれ
恨みはしないから





2012年11月11日日曜日

長い廊下の先には

長い廊下の先には教室があります
途中には料理屋の客間や
新館と旧館の段差に作られた「7段階段」
女子更衣室
「女中部屋」と和室の客間
映画の舞台にもなった「土曜日の実験室」
上の方にに肖像画が沢山掛かっている
モーツアルトが学んだという音楽室
その入り口には「鮫島教諭」と記されたブレートが貼られています

小雨が降り始めた門から母が入ってきて
入り口脇の「コモンスペース」でミニライブをしていたふたりの詩人に
お金の入った封筒を渡そうとしました
私はそれをやっと静止して母を
教室へ連れて行くことにしたのです
そこは北京大学です

そのころ
印刷会社の夫妻はベンツのワゴン車で
丘の上の温泉の高級旅館に向かっていました
信号のつながりが悪く
ちよっとイライラしながら
しばらくして見えてきたのは
北京大学でした

私は長い廊下を印刷会社の社長と歩きながら
その先に何があるのか想像していました

その教室には
もうすでにこの世にはいない「女学生」たちが
一様に不満気な顔押して
黒板の方を向いていました
「ラオシー」と呼ばれる先生は中国人のはずですが
中国語が上手く話せないのです

まあまあまあまあ と言いながら
にぎやかな漫才師が入って来ました
漫才師はこの場を
放送の尺に合わせて何とかまとめてしまう自信があるようです

夕闇がいつの間にか窓の外で待っていました
ガラス窓を開ければ
妖怪のような口を開けて
彼らは入ってくるでしょう
出口を探すでもなく
ただ生ぬるく成り果てて
登場人物たちを腐敗させてしまうのです

2012年11月10日土曜日

11日111月


11

どこかから賛美歌が風に乗って

大きな池のある公園を通り過ぎ

駅前の鳩のいるベンチの前の小さな広場に

聴こえてきたような気がしたその日


その穏やかな日の午後2

そのひとは黄色いラインの電車に乗って

心の闇を見せに行く


白く入り組んだ瀟洒な建物の

まあるい噴水の音が聞こえそうな

植え込みの向こうの窓に

ちらりとそのひとの姿を見ることができる


午後3

何人かと面談をして

会釈を繰り返しているうちに

心の目はおでこからはみ出して

でんでん虫のツノのように頭上に突き出していた


買ったばかりの白いスマートフォンで

電話をしなくては

私がここにいることを確かめなくては


そうして

白い糸にがんじがらめに巻かれた自分の様子を

デジタルカメラで撮影して

タイムラインに上げなくては


日暮れのオレンジ色の太陽が

ビルの向こうに落ちる前に

闇を消毒して

目を閉じてもなにも踏んでしまわないように

下の方を片付けよう


手を揉んで

リズムを掴む

心臓の鼓動と呼吸と瞬きと

言葉の早さを合わせるのだ

2012年11月9日金曜日

社長、あなたへの復讐

社長、私の気持ちがわかりませんか
あなたは
確かに私に優しいし
世界中のいろんな所に連れて行ってくれて
綺麗な景色や雄大な絶景や誰もいない海や
サバンナの草原も見せてくれました
きっと私一人では行くことが出来なかった場所

そしてあなたは私を愛してくれたし
いまも愛していると思う
だけど
ちょっと強い言葉になるけれど
あなたは勘違いしていると思う
バカにしているとおもう
人の気持ちや真面目なお勤めや一般人の考えることを

あなたは長財布にいっぱいお金やカードを入れている上
マイルやスタンプカードも細かく集めていて
無駄遣いもしないし節約もするけれど
小市民の楽しみを理解して古着も着るしB級グルメも食べるけど
女の子の好みもつぶさに調べて
私をびっくりさせるけど
私は不満がどんどん溜まっていっていることが
理解できないのですね

社長
あなたの会社はとてもうまくいっていて
業界からの期待も大きいけれど
あなたは仕事も一生懸命やるし
私のためにもたくさん時間を割いてくれるけど
私は不満なのです
あなたがなんでも上手くやってしまうところに
するするとすり抜けてしまうところに

あなたは友だちも大事にして
昔のサークルの友だちとはいまも釣りをしたり
飲みに行ったりしていますよね
そして決まってその帰り道に
私にメールをくれて
おみやげを持ってきてくれます

そんなことしなくていいのに
嬉しいけれど
無理しているように見える
上手く伝わるかどうかわかりませんが
もっと正直に
凄くやりたいことだけやってほしいのです
細かいことはいいから

社長 あなたは
私が不満を持っていることに耐えられないでしょう
私はよく分かっています
それも贅沢な不満です
でも
それだけに私にも始末が悪いと察してください

あなたは
じゃあ どうすればいいのだ と すぐ言って
それを解決しようとするでしょう
でも 解決しないで欲しいのです
私に不満を持ったまま
いさせてはもらえないでしょうか
きっとあなたにとっては我慢ならないでしょうね

そう言うと あなたは
我慢してもいいし 我慢するより
我慢しなくていいようにする と
言うでしょう

いいえ
私は 不満を持っていたいのです
その不満を持ったまま
あなたと付き合いたいのです
あなたが その 私の不満に
耐えて欲しいのです
耐えてでも 私を愛してくれるなら
私は いまより
もっと幸せに
不安な気持ちが薄れて
あなたと 初めて深い話が
不器用でもこころの通った話が
できると思うのです

だめですか
無理でしょうか
無理しないでください
いいえ
無理してください

理不尽な私の願いを
私と一緒に
抱いてください

私は 社長 あなたに
復讐をしたいのです
勘違いして
私を釘付けにして 身動きが取れない女にした
あなたに復讐を

2012年11月8日木曜日

暗黙と沈黙の上に

誰からも許可をもらわないまま
生きている「私」

勝手に生きていて
いいものだろうか

なんとなく勢いで生きているが

時に想念の強い波動に溺れそうになったりするが

暗黙と沈黙の上に布団を敷いて
今日も眠りにつくだろう

2012年11月7日水曜日

ある 日の 午後

あひるが 手のひらのパンを食べるよ

あひるは
くちばしは黄色くて
軟かい木のおもちゃのよう

手のひらに握っていたスマホは
私を呼んでくれないから
机の上に放置してきた

それと一緒に
きのうまでのわだかまりも

あひるの くちばしが震えて
パンを喉の奥へと送っている

あひるは 食べる時
手を使わない
あひるは 直接 地面に置いてある

脚の上に置いてある
アヒル形の あひるが
直接 パンを食べている
ある 日の 午後

2012年11月6日火曜日

この国の人


丈夫できれいなお家を造りました

外国から舟で運んできたデザインのいい上等な家具と

カーテンとベッドと布団も食器も買いました

いい音のするスピーカーとアンプも揃えました

カラーコーディネートやガーデニングを学び

見えない部分まできれいにしました

この国のいいものに

よその国のいいものを組み合わせて

上手に調和させていきました

 

ある人は

そこまでお金をかけることができないから

機能的で快適な家を造りました

そしてその場所を一生懸命掃除しました

自分の家のない人も

大概 部屋を借りて

生活をよくしようと頑張りました

 

道は整備され鉄道は敷かれ

電気と下水道が整備され

インフラが充実して行きました

ときには無駄なものも造りましたが

必要と思われるものを先回りしてどんどん造っていきました

そして最後に造るものがなくなってしまいました

 

それでも

隙間を見つけては

造り続けていこうとしました

しまいには 造っては壊し

造るために壊し

訳も分からず 更新して

見捨てられたものだけが

古びて行きました

 

造る力は有り余っているのに

造るべきものがなく

とうとうお金も回らなくなってしまいました

しかし権力者は

お金を着服し続けました

我儘に 好き放題に

お金の力でお金を集めました

 

この国を旅しに訪れた

旅人は思いました

 

この国はなんと美しく行き届いていていることか

いいものが

溢れかえっている様子に

驚きながら

この国の人の泣きそうな顔を眺めていました




2012年11月5日月曜日

死にたい

死にたい
というのが彼女の声に出さない口癖

死んでしまった方が楽だろうか

確信が持てないのは
死んだことがないから

死ぬと
体から魂が離れて
楽になるというが

眩しい光やお花畑のいい香り
懐かしい人や風景に出会える
生活のためにいやな仕事をする必要もなくなる

しかし
楽したいから死ぬのかというと
ちょっとちがう
そんなに楽をしたいわけではない

世間の建前では
人の命は大事なものだ
尊厳や夢よりも上位だ
何千何万人の不都合よりも
うず高く積まれた札束よりもだ

生きている価値のない人間でさえ
価値ある人間と同じく
殺すことはできない
死ぬ価値がある人さえ
殺すことはできないのだ

老人になって
世間が賞賛する仕事を初めてしてしまうことがある
それが棚ぼたや偶然でも
そういうことがあると
本人も自信をもち
生きていてよかったと満足する

楽したい
死にたいと
ずっと思っていたとしても
それはご破算となり
生きることの快楽に執着する

さて
白鳥と鶴は別の鳥だっただろうか
鶴のことを白鳥の一つと
勘違いしていた男は
自分と他人の区別もできずに
考えている

彼女はさっきから朝焼けの天空の下で
茫然としている

生きている価値がある人と
死ぬ価値がある人を混同しているのは
誰だい?

2012年11月4日日曜日

明かりの見えない森のなかに

明かりの見えない森のなかに
投げ出され放置された人

昨日までは毎日宴会をして
いい酒を飲んでいた

身ぐるみ剥がれて猿ぐつわをされ
縛り上げられた人

昨日までは笛を吹いて
威張っていた

苦しさの極限にいる人
絶望に覆われた視界
ただ明日を夢みるばかり
昨日に帰ることはできない
明日の日がくれば
明後日になにを思う
腐りかけた豆乳が冷蔵庫で待っている

2012年11月3日土曜日

5角形の白い扉

私は彼女をトイレのドアへと導き、白く輝く便器を指さした。

逃げ込んだ家は郊外の小高い丘に続く緩やかな坂道の途中の
低い崖の上にあり道路を挟んで向かい側に空き地があった。
その空き地は駐車スペースに利用できたので、いつも何台かの車が停まっていた。
昨日降った雨で駐車スペースはすこしぬかるんでいた。
晩秋らしく枯れた夏草が無秩序に生えていた。

家の扉は「5角形の白い扉」で、目の高さに明かり取りのくもりガラスが埋め込まれていた。

80年代生まれの女、Rと私はフローリングに置かれたベッドの上でむさぼり寝ていた。着の身着のままでここにやってきたので、彼女は昼間のままの服装で、下だけ脱いでいた。何かの気配で目を覚まし、危機が迫っていることを察して目を見合わせた。
今まで眠っていたと思えぬほど凛々しい表情で、互いの動きも素早かった。

私は彼女をトイレのドアへと導き、白く輝く便器を指さした。
次の瞬間、私たちは身を縮めて豆粒になり、そこに飛び込んだ。
その瞬間、遠くでドアを叩く音がした。

ドアを開ければ放射能が入ってくることは間違いない。それを伏せておいて、刺客はドアを叩いて、やがては、壊して入ってくるのだ。

刺客が入ってきた時、私たちはすで裏をかいてに駐車場に来ていた。素早く車に飛び乗って走り去らなければならない。
彼女はすでに飛び乗って態勢を低くしている。
私は一気にかけ出して乗り込むと、キーを挿してエンジンを入れ、アクセルを踏み込んだ。

追っ手は追って来なかった。

2012年11月2日金曜日

世の中に弾かれて

世の中に弾かれて
自分から出ていった

スピードに乗れなくて
脇道に入っていった

言い訳をしたくなくて
黙って座っていた

争いが嫌いなので
花の種を配った

青空が好きなので
雲と一緒に消えていった

2012年11月1日木曜日

その愛は

その愛は伝わりすぎる
いつまでも胸の中に
とどまっていることができない

その愛は激しすぎる
いますぐに縄を解かないと
引きずられて怪我をする

その愛は強すぎる
すべてを巻き込んで
吹き荒れて撒き散らす

その愛は死ぬことがない
あなたが死んでも
生きて愛し続ける

その愛は眩しすぎる
その愛は伝わりすぎる

生きる 雑念

生きていても
死んでしまっても
人に迷惑がかかるから
ただ慣性の法則に従うのだと
理屈をこねくり回して
毎日をやり過ごしているが
食欲を始めとしていろんな欲求が湧いてくるので
頭や体の働きもそれに任せて生き延びている

嬉しいことも
悲しいことも
楽しいことも
いらいらすることも
辛いことも
どうでもいいことも
毎日やってくる

知人や友人たちは
どうしているのだろう

長年仕事をしてきた人たちは
それなりに形になって
周囲に認められ 尊敬もされ
稼ぎや蓄積もあるだろう

あと1本糸が切れたら
自分は奈落の底へと落ちる
その一本にすがって
不安に揺れている

もし死んだら
生まれ変わるだろうか
それとも知らないうちに
誰かの人生を引き継いで
その命をやっていくのだろうか

神様に知らされることもなく
何の記録も遺らない状態で

意識が舟だとしたら
私は漕ぎ手なのだろうか

明日はやって来るものではなく
静止している風景なのだろうか

2012年10月31日水曜日

おまつり まんねり

つよがり しっゃくり しらんぷり
どっぷり とっぷり ぼったくり
やっぱり きっぱり へのつっぱり
おまつり まんねり あとのまつり

一昨年の10月31日に書いたもの

館内放送



ミミー マーガ サン さん
モーガ チチ トルノ さん
いらっしゃいましたら
クソレタッ イ レプス 広場で
シンケウコ ヨグウ の皆様がお待ちです
至急 お越しください

去年の10月31日に書いたもの

じんせいは わからない



よいことをして
わるいこともして
よくもわるくもないことをして
どちらかわからないことをして
おとなになった

おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった

じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない

あくびをしたら
しかられる
しかったひとも
あくびをしてる

2012年10月30日火曜日

ワタシヲ タベナイデ

ワタシヲ タベナイデ
タベタラ ナカナイデ
イナクナッテモ ソコニイテ

デモ イナクナラナイカラ
ワタシヲ タノシマセテ
シツジミタイニ
イウコトキイテ

ワタシハ
ダレカノテヲ フリホドイテ
ココニキタノデス
ホシウラナイノ カードヲモッテ

アナタハ
カクゴヲキメテ
ヨワムシナノハシッテイルヨ
デモ
モウソツギョウダネ

イチバンダイジナモノヲ
ステテキテ
ソシテ
ワタシヲ
タベナイデ
アジミスルダケニ
シテオイテ

2012年10月29日月曜日

死んでいません  (書きかけのメール)

きょうも
生きていますか
息をしていますか
鼓動を胸の中で立てて

死んでいませんね

そうですか
それはよかった

私は
あなたが生きてさえいれば
死んでいなければ
まずはいいのです
生きてさえいれば
いろんな良くなる可能性がありますから

もし
あなたが何かに苦しんでいるなら
その闘いは
あなたを良くするための闘いだと思います
「良くする」ってどういうことか分からなくても
一生懸命やっているあなたを
私はすごいと思います

私は
生きているあなたを讃えたいと思います

私も一生懸命やっていますが
あなたに比べると
ずっと努力がたりないと思います
だから
私はあなたのようにもっとちゃんと苦しんで
必要な答えを見つけたいと思っています


2012/10/29

回転

お寿司が次々やってきて
目の前を過ぎていく
お寿司 こんにちは
お寿司 さようなら

押し寿司は
押されたね
巻き寿司は
巻かれたの?

お寿司が右からやってきて
左の方へ遠ざかる
お寿司 こんばんは
お寿司 おやすみなさい

にぎり寿司よ
ようこそ
お稲荷さんは
ごきげんよう

あの子もこの子もやってきて
目の前を過ぎていく
あの子 どこから来て
この子 どこへ行く

お嬢さん
トシ幾つ?
あなた
何の用?

2012年10月28日日曜日

中央線の電車

その独り身の中年男は
(初めて詩に登場するわけだが)
JR中央線のドア際の手すりに寄りかかりながら
ぼんやり考えていた
昔からその位置が好きだった

TwitterをiPhone4Sで眺めて
学生はいいなぁ と
つぶやいた

夢や希望
世間に知らないことが沢山ある
それは中年男にはないものだ
代わりに良くない常識や古傷や
幾つものシミが顔にあった

この中年男の生きる意味は
どこにあるのだろう
中年男は誰かに教えてほしいと願っていた
しかしそう願い始めてから
無駄な時が流れている気がしていた

電車は都心に向かい高架を走っていて
踏切がない
警鐘も聴こえない
走る音も静かになった

中年男には何が必要なのか
男は黙っていた
中央線の電車だけが
それを教えようとしていた

2012年10月27日土曜日

幼い魂

この身をいじめたら
誰かが何かを赦してくれるなどと
考えていた幼い魂は
正しい答えを見つけられぬまま
立ち枯れた林の間を
獣の鳴き声のようにさまよっている

さまよっている間に
いつの間にか
老いぼれてしまう

凍てつく月光をいつか
見ていたことがあったと魂は思い出そうとするが
未来の月の光と混じってしまって
分からなくなる

そうして
すべて分からなくなる
たださまよう魂は
安堵することなく
さまよい続ける
誰かの赦しを得られるはずがないと知りながら
命が果てるまで
さまよっているのか

質問ごっこ 更新しました!

私が質問に答える「質問ごっこ」

質問も募集しています。

http://blog.livedoor.jp/matsuzaky/

2012年10月26日金曜日

ろんろんろんろん

ろんろんろんろん
ろんろんろん

きょうも ももんが
やってきた

ろんろんろんろん
ろんろろろ

なにしにやって
きたのかな

ろんろんろんろろ
ろろんろろん

どこかにつれて
いっとくれ

2012年10月25日木曜日

わたしをいじめてたきみへ

なぜ きみは となりの席に
すわって いたの?
なぜ いまになって 手紙を書いたの?
それも 出さない 届かない 手紙を なぜ
書いたの?

          *

きみが 私に お金をせびって
公園の柵をこえて もち去ったとき
私は きみと きみの友だちの
後ろ姿を みていたよ

きみは もう いじめないと約束したのに
つぎの日から まえにも増して
私を いじめたね
おぼえているでしょ

よく考えると
ああなることは うすうす分かっていたんだ
でも 少しは 希望はあった

きみは ずっと私をいじめたけど
不幸になってほしいとは考えなかった
あのときは 憎かったけど
いま考えると もっと 憎いやつがたくさんいたんだ
きみは ずっと 生ぬるい人間だったんだと
私は思う

私は
子どもを3人産んで
結婚は 2回したけど
まあまあおちついて 生活している
白髪の多い ババアになったけど
茶パツにして おしゃれもすこしはしている
少女だったころより うす化粧だけどね

         *

暗い少女時代は何だったのかと
いまだに回想することはある
たしかに 今の私の中に あのときの 自分もいる
でも 暗かった過去が
幸せの涙で洗い流され
新しい自分になったと感じたこともあったんだ
本当に愛せる人と出会ったおかげて

私はずっと愛を求めて 
愛を与えて生きていくんだと思う
きみにこんなことを言うのは変だけど
きみの中には愛情はあったんじゃないかな
もう誰にもたしかめようもないことだけど
たしかめても しかたない ことだけど

私も きみに
この 出さない 手紙で
私の こころの わだかまりを
流しさってしまおうと思う

なぜ きみが 出さない手紙を書いたのか
出してくれても よかったんじゃないか

うん
もうそんなギモンも終わりにして
さっさと 寝ることにする
明日 朝 早いから


                       
                               BYE!

2012年10月24日水曜日

いるもの と いらないもの

いらないものを身の回りに集めて
自分を守っているから
彼女の部屋はいつでも散らかり放題

たまにゴミ捨てや整理整頓をして
掃除機をかけるが
外からいろいろ持ち帰ってくるので
すぐにもとの状態を取り戻す

いらないみのといるものの区別が
たまにつかなくなるから
彼女はいつもいらついている

たまに根本的に考えなおして
いらないものを減らし
すっきりした部屋にしようと思うが
なんだか違う気がしてしまう

いらないものと同化して
身を潜めていると
いるものが隣からささやきかけてくる

2012年10月23日火曜日

「ああ、恥の多いぼくの人生」

「ああ、恥の多いぼくの人生」
という詞があったとしよう
十五歳の子と四十五歳のオヤジが言うのでは
随分違う

どう違うのか
諸君にぜひ考えてみてもらいたい

2012年10月22日月曜日

十月の とある日の わたくし

立派な表札の掛かった門があって
その前を貧相なわたくしが通り過ぎる

並木のあいだの道は人と犬が通い
木の上の枝はカラスが使っている

昼間は太陽と青空が使っていた
この辺りの世間は
夜になると月と星が控えめに控えて
見下ろしている

喫茶店は二人の姉妹とその友人がやっている
客はこの姉妹たちと無関係の人がほとんどだ

あきらめてやっていくことと
あきらめずにやっていくことは
ほぼ同じこと

わけもなく駅が混雑する日
そんな日が度々あっても
駅員にはなにも変化がない

オレンジスカッシュを頼んだのは
その色が見たかったからだけではない
三日月型のオレンジがグラスの淵にへばりついて
わたくしを励ましてくれるだろうから

ありがとうオレンジスカッシュ
わたくしは表札をいつかかけたいよ
どんな表札がいいかは
わたくしが決めよう

2012年10月21日日曜日

髪の毛を濡らして

髪の毛を濡らして
やってくる彼女は
朝 彼の家でシャワー
彼にはそれが自慢さ

シャンプーの香りを振りまいて
きのうと同じ服を着て
走ってくる彼女
彼にはそれが自慢さ

しかし
自慢の彼女は
彼とは別の誰かの腕の中
お腹の上
それは彼には
自慢できない
ご自慢の彼女の
悪い癖
いつまで続くの
自慢できない
悪い癖

2012年10月20日土曜日

・・・・・・伝えたい

「ありがとう」ばかりではなく
「さよなら」と伝えてたい

霜の降る月の夜に
狐がすすきの間から
顔を出し
きょとんとしている
その時

「さよなら」ばかりではなく
「もう会えません」と伝えたい

円型の大地に
波打ちながら風が渡っていく
吹き違い
混じりあいつつ
地にはりついて

「もうあえません」ばかりではなく
「幸せを祈っています」と伝えたい

やがて雪が振り
この辺りは一面真っ白になる
その上を
足跡が縫っていく

「幸せを祈っています」ばかりではなく
「・・・・・・・・」と伝えたい

黒板に書いた文字を消したら
教室を出て行きましょう
また明日もやってきます
その時に気持ちがいいから

2012年10月19日金曜日

ひとりでに

ひとりでに
影が窓から入ってきて
パンを食べている

やりきれぬ
思いを食べているのか
しくしくと泣いている

ひとりでに
ドアが開いて
今度は主人が帰ってきた

見たところ
不漁だったらしく
ゴキゲンが斜め

やりきれぬ
悩み事は持ち越さない主義なので
ストーブに薪をくべて
焼いてしまう

こんがりと
焼けたパンを
木の皿にのせて
テーブルの上に置く

見たところ
焦げ目を隠して
積み重ねて
置いてある

ひとりでに
涙が出てきて
頬に線ができる

そういえば
去年も
おととしも
こんなことがあった

こんがりと
焼けたパンは
影が全部食べてしまい
もう残っていない

ひとりでに
眠ってしまった主人は
いつまた起きるのか
わからない

見たところ
日が暮れて
薄暗い窓の外に
白い月が出ている

やりきれぬ
やり場のない思いは
そういえば
見たところ
ひとりでに
どこかにいってしまって
帰ってこない

2012年10月18日木曜日

廃人のように暮らしているよ
僕は元気です

それも 関係ありません

秋の夜が 更けて
囁きかけて きます
遠くから 近くにやってきます
気が 遠くなるほどの
距離を 走って

あの夏に 叶えられなかった
願いごとの 理由が
今になって
はっきりと 分かって きます

日照り続きの 道に
雨が しみ込み

さまざまな 疑問が
答えを得られないまま
報われて いきます

割り箸の うえに
カマキリが 卵を産みます

公園の 向こうで
友達の 小さな 家が
火事になって 燃えています

季節は 寒くても 暑くても
関係 ありません
すぐに 過ぎていって しまうから

ここに 残っている ものは
過ぎゆく ことが できなくて
腐って 滅びることも できなくて
ただ 立ったり 座ったり 横になったりを
繰り返しています

新月から 2日目の 月が
雲の影から
覗こうとしていますが
それも 関係ありません

犬が 吠えていますが
あの犬は
きのう 友達の家に
おしっこを 引っ掛けていた 犬です

2012年10月17日水曜日

ちゃんと苦労する詩

工藤ちゃんが
苦労してる
工藤ナオちゃんが
尚 ちゃんと 苦労してる
工藤ナオちゃんの姉が
尚 ちゃんと 苦労してる やーねー
工藤ナオちゃんの姉が
屋根が漏って ちゃんと 苦労してる
やーねー もってのほか だね!
屋根が  たわんで  漏って 苦労してる
工藤ナオちゃんの姉が
屋根が たわんで 漏って 尚 ちゃんと苦労している 
やーねー やな 屋根やね  あかんで!
工藤ナオちゃんの 姉さん
尚 ちゃんと 苦労する 姉やね  もってのほか だね! 
屋根が 漏って やーねー やーねー
もってのほか だね! 
工藤ナオ ちゃん
直さんと ちゃんと 屋根 直さんと  あかんで!

2012年10月16日火曜日

難しい話

お腹が空いたら
私にごちそうしてくれますか
なんの義理もないと
あなたは思っているのでしょう
けれど
もしかしたら
義理はあったかもしれませんよ
前世とかに・・・
私にもよく分らないけれど
そういうことにして
何か私に食べさせませんか

「すきなものを
すきなだけどうぞ」
などと言って
大盤振る舞いしなくてもいいから
ほどほどに気前よく
食べさせませんか
そうしたら
あしたから
あなたと私
仲良くなるかもしれません
私はあなたにお礼を言います

だから
どうですか
私に何か
食べさせませんか
とりあえず
お茶を濁さず
答えてください

あなたがいつも食べるために
使っているお金を
少しだけ私に振り向ければ
それができるのです

どうでしょうか
無理な相談でしょうか
あなたにとっては
難しい話なのでしょうか

おなかがすくのがいちばんこまる

おなかがすくのがいちばんこまる
なにかをたべなきゃならないからね
たべたくないときどうしたらいい?
たべずにしぬのをまつべきなのか
たべたくなるまでまつべきなのか
おなかがすいててわからない

2012年10月15日月曜日

23時のラストオーダー

一人で入った
一人きりの不二家レストランの
美味しくないパフェは
何も知らなかったころの
血の混じった涙の味
塩素の香りのカットフルーツ
湿ったカビのようなシフォンケーキ
苦味だけが後味にのこるオレンジ
それを救うのは
無造作に丸くくり抜かれた小さなバニラアイス
喉と疲れた脳をほぐして
750円と刻印される
コンクリートで整備された都会の川のほとり
24時の閉店まで
どんな明日を描こうか

2012年10月14日日曜日

ろんろんろろろん

ろんろんろんろん
ろんろんろん
ろんろんろんろん

誰か いる?

ろんろんろんろん
ろんろんろん
ろんろんろろろん

はい います

ろんろんろんろん
ろんろろろ
ろろろろろんろろ

誰ですか

ろんろろろんろん
ろろんろろん
ろろろろろろろ

ももんがです




あなたはネコが
すきなのね

あなたのまわり
ネコばかり
足の踏み場も
ネコばかり
肩を持つのね
ネコばかり
重さをはかる
ネコばかり
この場を借りて
ネコばかり
ネコの上にも
ネコばかり
ネコの下にも
ネコばかり
苦しいときの
ネコばかり
ネス湖にいるのも
ネコばかり
寝込んでいるのも
ネコばかり

あなたはネコが
すきなのね

2012年10月13日土曜日

夢から覚める前に

夢から覚める前に
いそいでアイスカフェオレを喉に流し込んだ
まだほとんど飲んでなかったので

ベッドのうえで
きのうの宿題を思い出そうとしたが
どこに置き忘れたのか
どうしても思い出せない

青空にキンモクセイが香っていた
あの少し肌寒い日に
鉢合わせして出会ったあの人は
何をしているだろう

ぼんやり部屋なかを眺めたら
そこは自分の部屋ではなかった

2012年10月12日金曜日

ものうげなあのこ

すきまからのぞいてごらん
ほんとうのことがわかるから

こえをだしちゃいけないよ
みつかったら
つかまってかえれなくなる

あのこはうつくしいかおをしているが
おそわれていらい
ひがおちると
こころがおにになってしまう

じぶんでもきづいていないらしい

あのこのおおきなひとみは
うるんで
だれもがみとれるが
ときどきまっかにそまり
あいするものを
みつめころしてしまう

あいしてもあいしても
しらぬうちに
あいてをころしてしまう

そのきおくは
あさになるときえてなくなるから
あのこは
ちゃんとあいさつして
ひとびととうまくやっている

さあ
いま
すきまからのぞいてごらん
ものうげなあのこは
なにをしているとおもう?