2012年12月26日水曜日

父の署名

死んだあとも
くっきりと在り続ける父の署名は
わだかまりを支えたまま
時の流れを渡って行く

はっきりしないことだらけの世の中を
いつ知ったのか
同じ通学路を何度も歩くうちに
大事なことは結論ではなく過程だと
いつから訳知り顔でいられたのか

冷たい風の後に何がやってくるのかを
予定表に書き込んで
未来の予定も書き込んで
オルゴールのように人生を奏でる

署名は歌わず
世の矛盾の訳を理解せず
佇んでいる

私は誰かに詫びたい気分になり
ペンを手に取るが
名前さえ書く勇気がなく
検索窓に名前を打ち込んで
結果と対峙しない理由を探し始める

1 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2012年12月27日 0:38

    署名の裏側から憂いと矛盾が滲んでるようです。
    結論より過程が大事と言うことは解ろうとしようとする人しか分からない。未来のゴールをナビに設定したとしたら、時に案内は通過予定に無い道や遠回りの道へ誘導したりする。その通りに行くか行かないかは自分で選択しなければならないけど、ハンドル持っているのが他の誰かだったらその人に委ねてしまうかもしれない。
    でも道をたとえ間違えても未来は逃げません。
    検索窓に打ち込んでクリックしたら同時に気持ちの画面も変わればいいのにね。

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