スープをひと掬い
あなたとの会話のひとこま
スープをひと掬い
はしゃいでいるのは興奮してるから
スープをひと掬い
あの日は一緒に潜る予定だったし
一緒にのぼっていくつもりだった
スープをひと掬い
白いシーツを被って
スープをひと掬い
朝をゆっくりと迎え入れることもできた
弾けそうなあなたの胸を
後ろから抱えて
スープをひと掬い
包み込み 真昼の公園へと
弾ませながら歩いて行くことも可能だった
それを望めば
スープをひと掬い
それさえ指の隙間から逃がし
いまは見る影もないが
スープをひと掬い
だからせめて
白いカップから銀の匙で
スープをひと掬い
悔しさを流すために
口へと運ぶ
口へと何度も何度でも
スープをひと掬い
繰り返し
苦味を無意識が味わい
塩味は涙に溶けて分からなくなっても
思い出を温める、スープの美味しさ。
返信削除忘れたくないことは心の奥で味わって、
忘れたいことは、すぐに飲み込んでしまいましょう。
幸せなふりより、不幸せなふりの方が安全だから。
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