秘書と世界の境目に衣服がある
秘書寄りにはランジェリー、ストッキング、キャミソール、
指には指輪、首の周りにはネックレスがある
世界よりにはブラウス、ブレザー、スカート靴などがある。
秘書の顔と世界の間にはファンデーション、唇はルージュ、爪はエナメル、ビーズ
混ざり合う位置に香水、シャンプーの残り香などがある
秘書と世界の間には気流があり、秘書の中と世界とを出入りしている
秘書が声を発するとき、世界との境目は渦巻いて混沌とする
秘書の中の濡れた肉が開口した唇から覗き見えたかと思うと世界の空気が出入りし、その時
外と中の区別が付きにくくなる
見ようによっては世界は秘書の中に入り込み、秘書は世界に挟まれてしまうからだ
秘書を境目にして世界の内外(うちそと)は区別が難しくなる
もう一つ重要な事柄がある
それは、この秘書が抱えている意識と世界の意識との関係である
秘書は世界の意識によって支配されているが
秘書はそのことを意識せずに
もっぱら自分の意識の中に世界を置いているのだ
このことにより世界と秘書との主従関係と
身体性とがねじれ現象を起こしている
第三者Aから見れば秘書と世界との関係は一見そう複雑に見えない
だが秘書は秘書と世界との関係を第三者に投影して意識することに不慣れだ
そこで第三者は自分の身体の一部を秘書の内部に挿入して
客観的な意識の一体化を試みるが成功した試しがない
この問題を解く鍵は何処に存在するのか
詩人Bに訊いてみると詩人Bは一編の詩を以て回答した
その詩はいずれ紹介するとしよう
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