2013年10月24日木曜日

庭の木々が

庭の木々が私を見ていた
あの時は気づかなかった
五月に花びらを落としたモクレンが
そのことを忘れようとして
私に視線を投げかけてきた

あの時は分からなかった
私には何もしてあげられない

木々の上の空から
雲が私を見て
待ちきれないという様子で
去って行った

だが本当は
私の方が待ちきれなかった
私はすぐに意味もなく立ち上がり
身支度を始めたから

あの時は知らなかった
私がいないところで起こっていたこと
それを知らせようと
周りのものたちが働きかけてくれていたこと

私は何も知らなかった
いまも屋根の上に雨が降り注ぎ
テーブルの上のコーヒーカップが微かに湯気をたてている
いま私が何を知るべきなのか

指先から文字は生まれ続けるが
私は何も気づかなかった
私は何も気づけなかった

1 件のコメント:

  1. 庭の木々は季節に順応してただ姿を変化させているだけ。
    なのに自分のことしか見えなかったから木々が優しく見えたり冷たく見えたり勝手に思い込んでいた。
    見ようとしなければ見えない。
    気付こうとしなければならないことに気付かなければ。。。

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