庭の木々が私を見ていた
あの時は気づかなかった
五月に花びらを落としたモクレンが
そのことを忘れようとして
私に視線を投げかけてきた
あの時は分からなかった
私には何もしてあげられない
木々の上の空から
雲が私を見て
待ちきれないという様子で
去って行った
だが本当は
私の方が待ちきれなかった
私はすぐに意味もなく立ち上がり
身支度を始めたから
あの時は知らなかった
私がいないところで起こっていたこと
それを知らせようと
周りのものたちが働きかけてくれていたこと
私は何も知らなかった
いまも屋根の上に雨が降り注ぎ
テーブルの上のコーヒーカップが微かに湯気をたてている
いま私が何を知るべきなのか
指先から文字は生まれ続けるが
私は何も気づかなかった
私は何も気づけなかった
庭の木々は季節に順応してただ姿を変化させているだけ。
返信削除なのに自分のことしか見えなかったから木々が優しく見えたり冷たく見えたり勝手に思い込んでいた。
見ようとしなければ見えない。
気付こうとしなければならないことに気付かなければ。。。