去って行く夏と
入れ替わりにやってくる秋に
挨拶をするために
詩を書かなければならない
しかし夏と秋の輪郭は
意外とぼんやりしていて
一部は混ざり合っているので
明確に分けて挨拶をするのは困難だ
夏は半ズボンの少年で
秋は少し年上の少女だ
ちなみに
冬は未婚の母で
春は幼女だ
夏くん
さようなら
よくやってくれた
おかげでたくさん汗をかいた
叶わなかった恋や
挫折した冒険は来年に持ち越すよ
夏くんには関係ないだろうけど
秋さん
聞こえたと思うけど
そんなわけで
傷跡が染みる
美しい紅葉でなぐさめておくれ
未婚のお母さんがたまに吐く冷たい息で
凍えるまえに
美味しい収穫物をいっぱい食べさせておくれ
セピア色の写真を眺めるより
いますぐ写真を撮るように
アドバイスをしておくれよ
夏くん
秋さん
二人が愛し合いながらも結ばれないことを
私はまえからしっているよ
だから
あの涙に滲んだような
オレンジ色の夕日を
きょうは長めに
灯していてくれないか
夏くんと秋さんは愛し合っていたのですね。
返信削除少ししんみりとして、静かな感動を覚えました。
ありがとうございます。私が13歳の時に書いた詩に「そして冬」というのがあるんですが、その続編のような気持で書きました。あの頃の自分とあまり変わっていない自分に多少の驚きを覚えながら。。。
削除「そして冬」の最初の2行
君は柿の実を一つ
ぼくに落とした
…初めて雑誌に掲載され、飛び跳ねて喜びました。