2012年9月22日土曜日

取り壊される校舎に

草花が窓の向こうに咲いている
街はなくなってしまったのに
人々の思いは
この場所に自分たちの懐かしい姿を投影する

泥に覆われた場所も
大事な思い出が置いてある場所
その目には
泥は見えていて見えていない

一番大事なものは
すでに持っている
すべてを失ったあとも
大事なものはすでに持っている

窓から入ってくる風が
楽しそうに教室を舞う
友だちや知り合いと
話をしよう

どんな話でもいい
校舎に聞かせてやろう

































岩手県立高田高校 旧校舎
陸前高田市 
2012年9月20日筆者写す



 

2 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2012年9月23日 2:55

    校舎に、魂が宿っているように思えました。さびしそうです。いずれ取り壊されてしまうのでしょうが、校舎に思い出話でもしてあげたいですね。たいせつな思い出は胸に刻み込んで、一歩前へ!

    中村ゆき子

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    1. コメントありがとうございます。この詩、本当は言葉が出なかったのですが、無理をして書きました。23時59分という投稿時刻は本当です。

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