2012年6月29日金曜日

浜辺の少年

少年が砂浜に打ち上げられていた
気を失いながら
考えごとをしている
波は
彼のところまでは届かない

塩にぎりと梅干し
鍋でご飯を炊くと
全部おにぎりにして
ラップで包む
たまに廃棄されているコンビニの弁当や
作りすぎて埋められようとしている
山積みの野菜を
羨ましく思う
なぜ食べ物を羨ましく思うのかは
分からない
わかる必要もない?

照明を点けなくても
月夜の浜は明るすぎて
手相や砂粒さえ
くっきり見ることができる

思いではなんのためにあるのだろう
海はなんのために
陸地を遮っているのだろう

少年の命は
始まりから測るのと
終りから測るのと
どちらが長いのだろう

打ち上げられた少年には
分からない
わかる必要もない?

浜辺に落ちているのは
波が洗ったものばかり
そうでないものは
そこにはない
そこにないものは例えば
炊飯器と照明のようなもの
少年には
必要なかったもの

1 件のコメント:

  1. 少年のポッケには何が入っているんだろう

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