少年が砂浜に打ち上げられていた
気を失いながら
考えごとをしている
波は
彼のところまでは届かない
塩にぎりと梅干し
鍋でご飯を炊くと
全部おにぎりにして
ラップで包む
たまに廃棄されているコンビニの弁当や
作りすぎて埋められようとしている
山積みの野菜を
羨ましく思う
なぜ食べ物を羨ましく思うのかは
分からない
わかる必要もない?
照明を点けなくても
月夜の浜は明るすぎて
手相や砂粒さえ
くっきり見ることができる
思いではなんのためにあるのだろう
海はなんのために
陸地を遮っているのだろう
少年の命は
始まりから測るのと
終りから測るのと
どちらが長いのだろう
打ち上げられた少年には
分からない
わかる必要もない?
浜辺に落ちているのは
波が洗ったものばかり
そうでないものは
そこにはない
そこにないものは例えば
炊飯器と照明のようなもの
少年には
必要なかったもの
少年のポッケには何が入っているんだろう
返信削除