2012年6月4日月曜日

メロンパンは私に

私の目の前にあったはずの食べかけのメロンパンが
消えている
誰が食べたのだろう

死にたい と
検索窓に打ち込んでから
読みたいものを探し始めたら
死ぬ前の準備 とか 嫁に殺された俺がさっそうと登場 とか
変なものがたくさん出てきた
しばらく探しまわっていると
あるカウンセラーのページに行き着いた

その文章には
見たくない言葉がなく
ページをめくると挨拶ができなかった少年の話が紹介されていた
少年はなぜ挨拶ができなかったのか
そこにはこう書いてあった

「人に挨拶をすることと、死んでいく父親に挨拶していないこととが、重なり合っていたんですね。つまり、さよならを言わない限り父は、自分の中に生き続けていることになるわけです。
 父に挨拶をし終っていないんだから、他人に挨拶なんかできっこない。挨拶をしてしまうと、父が本当に死んでしまうから、遠くに行ってしまうから・・・。
 でも、こうした気持ちや感情は、頭の中で一瞬の無意識のうちに作られてしまうことなんです」


私は立ち上がって数歩歩き
訳もなく壁にかかっている鏡をのぞきこんだ

くちびるの左下に
メロンパンのカケラがついていた
メロンパンは
やはり自分が食べたのだ

2 件のコメント:

  1. 今日職場で
    「声優の三ツ矢雄二が『酔っ払って朝目覚めたら、手が真っ黒だったのよ』って話知ってる?」
    と部下の子が言うので
    「何それ?」って聞いたら
    「『で、なぜか栗ご飯ができてるのよ』」って
    「ええ~! 記憶ないままに栗むいてたってこと?」
    と驚いたら
    「私もたまに、炊き込みご飯つくってるんだよね」だって
    すご~い。

    返信削除
    返信
    1. 無意識に栗ご飯や炊き込みご飯を炊いちゃうって、どういう心理なのでしょう。けっこうな作業ボリュームだと思うのですが、記憶がないっていうのは酔っ払っていたから?
      知らない自分が出現している不気味さは、いつも我々につきまといます。

      削除