お店の中を覗き込んだら
きれいなお姉さんと目があった
かるい笑みをうかべていた彼女は
目があうとはじかれたように
瞳をそらし
すぐに また一瞬僕の方を見た
今度は僕が瞳をそらした
彼女もまたそらした
僕は扉を開けて彼女に告白し付き合いすぐに結婚し
三人の子をもうけた
僕はその店の前に何となくたちどまった
彼女は椅子に座って何かをしていたようだった
彼女がその店の客なのか店員なのか
僕は分からず迷った
目があった瞬間
僕は恋をした
近くで大音量のスピーカーが
J-popを流していた
斜め向かいの店でカツカレーを食べる
そのあいだじゅう
僕は彼女の瞳を思っていた
夏の最後の日差しが
店前に光を当て
人が行きかっている
川の流れの音が時折聞こえてくる
きれいなお姉さんはあの店で
何を感じているのだろう
さようなら
またここに来た時
時間が止まっていたように
あの瞳は僕の瞳に焦点をあわせるだろうか
そらさずに
あわせつづけることに
どれだけたえられるか
0 件のコメント:
コメントを投稿