初めて「空海」という名の猫を見たのは
昨日のこと
古いアルバムに書き込まれていたその名の上に
行儀よく座って
こちらを見ている
写真だから
動きも
鳴きもしない
永遠に春の長閑な陽の下で
白黒写真のまま
そこに座っているのだろう
今はもう亡いその人から
空海という猫がいたことを聴かされたのは小学生の頃
ある日気づくと
いつの間にかその猫はいなくなってしまっていたという
1951 と銀文字の年号が刻まれた
そのアルバムの中で
そのアルバムの中で
私に見つけられるのを待っていたのか
いつの間にかいなくなってしまったひとが
今はもうない家の奥にひっそりと仕舞っていた
その布貼りのアルバムの中で
空海という猫がアルバムの中で
返信削除動きも鳴きもしない、座っているだけ
とあなたはいうけども
アルバムの中であなたに見つけられるのを
待っていたのか
とあなたはいうけど
いつの間にかいなくなってしまった人が
その刻まれた年に空海にとどのように過ごし
空海に何を語りかけていたのかと・・・
その布張りのアルバムを紐解いて
いつの間にかいなくなってしまった人に導いてくれたのは亡き人が愛した空海
昔の写真を見ると、切なくなります。
返信削除永遠に止まったままの時間。
もう二度と返らない瞬間に会いたくて、
何度もアルバムを開いてしまいます。