あなたの瞳が深く鎮んでいるので
私は雨粒に仕立てて
明るい窓に無数にばらまいた
瞼が痛くなるほど逆光で眩しい
滴は光を溜め反射し透過させて
無言に一番近いやり方で話しかけてくる
私は答えの意味を
どう伝えていいのかたじろぐ
あなたはもうため息を長く小さく吐いて
どこかへ歩き出そうとしている
6月の湿った小さなノイズが絶え間ないこの世界で
入射角が違う光線同士のように
交わることはないから
片手で耳を塞いで
聞き耳を立て
息の音 心臓の鼓動と
周囲からくる波長を重ねよう
そうすれば
滴たちの一つが共振して落下し
何かの始まりを告げてくれるかも知れない
あなたに散りばめられた雨の粒
返信削除ガラスの外から
そっちに行きたいと願っているよう
雨粒を透かして
あなたは過去を見ているのか
未来を見ているのかわからない
ガラス伝う雨粒は
無数の滴を抱きながら消えていく
儚い滴が見ていたのは
深く鎮んだあなたの瞳