2013年6月17日月曜日

あなたの瞳が深く鎮んでいるので



あなたの瞳が深く鎮んでいるので
私は雨粒に仕立てて
明るい窓に無数にばらまいた

瞼が痛くなるほど逆光で眩しい
滴は光を溜め反射し透過させて
無言に一番近いやり方で話しかけてくる

私は答えの意味を
どう伝えていいのかたじろぐ
あなたはもうため息を長く小さく吐いて
どこかへ歩き出そうとしている




6月の湿った小さなノイズが絶え間ないこの世界で
入射角が違う光線同士のように
交わることはないから

片手で耳を塞いで
聞き耳を立て
息の音 心臓の鼓動と
周囲からくる波長を重ねよう

そうすれば
滴たちの一つが共振して落下し
何かの始まりを告げてくれるかも知れない


1 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2013年6月18日 1:01

    あなたに散りばめられた雨の粒

    ガラスの外から

    そっちに行きたいと願っているよう

    雨粒を透かして

    あなたは過去を見ているのか

    未来を見ているのかわからない

    ガラス伝う雨粒は

    無数の滴を抱きながら消えていく

    儚い滴が見ていたのは

    深く鎮んだあなたの瞳

    返信削除