2012年7月20日金曜日

目撃者

たとえば
すべり台の途中で
世界がわたしの前から突然溶けて
なくなって
独りだけすべり台の途中の位置に
取り残されてしまったら
一緒にいたあなたは消え去った世界で
何を頼りに生きていけばいいのだろう

あなたのことがいつも心配だ
私のことを忘れてしまう
あなたは私のことを
忘れているのではないか

とある午後
私はあなたに鍵をかけて
その鍵を飲み込んだ

あなたの中に誰も出入りできず
あなたがさらわれても
誰も気づかぬように

ただ私だけが
それを目撃していた

1 件のコメント:

  1. あなたは、仕向けていた。
    私の心が細るように。
    あなたがいないとどうしようもない人になるように。
    そして、私が誰かにさらわれるように。

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